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ラウンドワン(4680)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ラウンドワンとは

ラウンドワンは、大阪府大阪市中央区難波に本社を置く、日本発の複合型エンターテインメント施設運営会社であり、ボウリングを核に、アミューズメント、カラオケ、ビリヤード、ダーツ、卓球、時間制スポーツ施設などを一体的に提供する独自の店舗モデルを国内外で展開している。2024年4月に持株会社体制へ移行し、日本国内事業はラウンドワンジャパン、米国事業はRound One Entertainment Inc.、中国事業は朗玩(中国)文化娯楽有限公司などが担うグループ経営となっている。

同社の事業の原点は、1980年に大阪府泉南市で開業したローラースケート場にあり、その後ボウリングレーンを併設し、スポーツと娯楽を融合させた店舗運営へと発展してきた。1990年代にはボウリングとアミューズメントを組み合わせた現在のラウンドワン業態の原型を確立し、1997年の上場以降は全国規模での出店を加速させてきた。2000年代後半の景気低迷期以降は、拡大路線と並行して有利子負債の圧縮やリースバックの活用などにより、財務体質の改善にも取り組んできた経緯がある。

国内店舗の大きな特徴は、ほぼ全店舗にボウリング場を設置している点にあり、これは他の複合レジャー施設には見られない強みとなっている。料金体系は全国で概ね統一されており、通常の1ゲーム料金に加えて、複数ゲームパックや投げ放題プランを用意することで、ライトユーザーからヘビーユーザーまで幅広い層を取り込んでいる。加えて、アミューズメントゲーム、ビリヤード、ダーツ、卓球などを併設することで、来店目的を多様化させ、滞在時間を延ばす設計がなされている。

スタジアム型店舗に併設される「スポッチャ」は、同社を象徴するコンテンツであり、一定時間内で多種多様なスポーツやアクティビティを自由に楽しめる時間制施設となっている。バスケットボール、バッティング、ゴルフ、アーチェリー、ローラースケートなどのスポーツ系アトラクションに加え、ビリヤードやダーツ、アーケードゲームも含まれており、家族連れや若年層グループの長時間利用を促している。用具レンタル込みの定額制である点も、利用のハードルを下げる要因となっている。

近年特に力を入れている分野がクレーンゲームを中心としたアミューズメント事業であり、1店舗に数百台規模のクレーンゲームを設置した「ギガクレーンゲームスタジアム」を各地で展開している。景品の充実やSNSとの親和性の高さから、若年層を中心に集客力が高く、従来のボウリング主体のイメージから、より広いエンタメ企業へと進化する要素となっている。

海外事業では、米国を最大の重点市場と位置づけており、日本式の複合エンターテインメントモデルを大型店舗として展開している。米国店舗はボウリングとアーケードゲームを軸に、高い稼働率を維持しており、為替や人件費の影響を受けつつも、グループ全体の成長ドライバーとして存在感を高めている。中国市場でも「朗玩(ラウワン)」ブランドで出店を進めており、中長期的な海外比率の引き上げを視野に入れている。

決済面では、現金に加え、クレジットカード、電子マネー、交通系IC、QRコード決済など多様な支払い手段に対応しており、来店時の利便性向上を図っている。さらに、2020年以降はオンラインクレーンゲーム事業「クレッチャ」を立ち上げ、リアル店舗に依存しすぎない収益源の育成にも取り組んでいる。

全体としてラウンドワンは、ボウリングを中核に据えつつ、アミューズメント、時間制スポーツ、カラオケなどを組み合わせた複合型モデルを武器に、国内外で事業を拡大してきた企業である。景気や消費マインドの影響を受けやすい業態ではあるものの、長時間滞在型の施設設計、若年層への訴求力、海外展開の進展を背景に、中長期的な成長余地を残したエンターテインメント企業として位置づけられる。

ラウンドワン 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(単位百万) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS)(円) 一株配当
連21.3 60,967 -19,286 -19,811 -17,973 -67.4 6.67
連22.3 96,421 -1,726 5,360 3,937 14.0 6.67
連23.3 142,051 16,921 16,690 9,737 34.0 8
連24.3 159,181 24,195 24,316 15,666 58.0 12
連25.3 177,057 27,006 27,227 16,032 59.7 16
連26.3予 188,800 30,100 26,600 17,800 67.7 18
連27.3予 200,000 31,500 27,500 18,500 70.4 18〜22

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2023.3 35,830 -11,911 -42,110
2024.3 44,632 -15,356 -22,856
2025.3 45,465 -23,368 -7,219

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値/安値) PBR
2023.3 11.9% 15.9% 5.7%
2024.3 15.1% 22.2% 8.4%
2025.3 15.2% 22.2% 7.5% 20.0倍/10.5倍 4.14倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

2024年3月期の業績を見ると、売上高は1,591億円、営業利益は241億円、経常利益は243億円、純利益は156億円となっており、コロナ禍からの回復局面を完全に抜け、利益水準が大きく改善している段階にあることが分かる。営業利益率は11.9%と、レジャー・サービス業としては高い水準で、収益構造がかなり引き締まってきている。

2025年3月期には、売上高1,770億円、営業利益270億円、経常利益272億円、純利益160億円と、利益は引き続き緩やかに拡大している。営業利益率は15.1%まで上昇し、ROEは22.2%、ROAは8.4%と、資本効率・総資産効率の両面で非常に高い水準に達している。特にROE20%超は、事業の稼ぐ力が相当強い局面にあることを示している。

2026年3月期予想では、売上高1,888億円、営業利益301億円、経常利益266億円、純利益178億円と、売上・営業利益は成長が続く一方で、経常利益の伸びはやや抑えめとなっている。ただし営業利益率は15%台を維持する見込みで、ROE22.2%、ROA7.5%と高水準を継続しており、収益性が崩れる兆しは今のところ見られない。

一方、バリュエーション面を見ると、2025年実績PERは高値平均20.0倍、安値平均10.5倍と振れ幅が大きく、PBRは4.1倍とかなり高い水準にある。これは、現在の高い成長性と収益性を市場が強く評価していることの裏返しであり、利益成長が鈍化した場合には株価調整が起きやすい水準でもある。

総合すると、ラウンドワンは営業利益率15%前後、ROE20%超という非常に優れた収益性を持ち、業績面だけを見れば明確な成長企業である。一方で、PBR4倍超という評価はすでにかなりの成長を織り込んでおり、今後は「どれだけ成長が続くか」が株価の最大の焦点になる。業績拡大が続く前提では中長期での上値余地はあるが、成長鈍化や外部環境悪化があれば調整も大きくなりやすい、ハイリターンと同時に価格変動リスクも高い銘柄という投資判断になる。

配当目的とかどうなの?

配当目的という観点で見ると、ラウンドワンは正直に言って主力にはなりにくい銘柄という評価になる。2026年3月期、2027年3月期ともに予想配当利回りは1.5%台にとどまっており、一般的に配当目的で選ばれる水準である3%前後と比べると明確に低い。足元では増配基調にあり、業績回復に伴って配当額自体は引き上げられているものの、株価水準が高く、利益成長を前提にした評価が先行しているため、利回りはどうしても抑えられている。

事業の性格を考えても、ラウンドワンは安定配当を最優先する企業というより、成長投資と店舗展開、海外展開を軸にキャッシュを回すタイプの会社であり、配当性向も高くはない。実際、営業利益率やROEは非常に高い一方で、その稼いだ利益を大きく株主還元に振り向けるよりも、事業拡大や競争力強化に使っている段階と見るのが自然である。

そのため、配当を毎年しっかり受け取りたい、利回りでインカムを積み上げたいという投資スタイルにはあまり向かない。一方で、業績成長が続く中での緩やかな増配と株価上昇を含めたトータルリターンを狙うのであれば、一定の魅力はある。配当はあくまでおまけ程度と割り切り、値上がり益と成長ストーリーを重視できる投資家向けの銘柄と言える。まとめると、ラウンドワンは配当目的単独で保有する銘柄ではなく、成長株として保有し、その過程で少額の配当を受け取るタイプの投資に向いた企業、という評価になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

ラウンドワンについて、現在株価1,165円前後を基準に見ると、創薬バイオや新興IT企業のように一つの技術革新やプロダクトの成否で業績が大きく振れる企業とは性格が異なり、ボウリング、アミューズメント、スポーツ、カラオケといったリアル施設を軸にした複合エンターテインメント事業を展開する、需要循環型だが事業基盤の厚いサービス企業と位置づけられる。屋内型施設を中心としたビジネスモデルのため天候の影響を受けにくく、国内外で店舗網を広げることで一定の集客力を確保している点が特徴である。

直近の数値を見ると、売上高はコロナ禍からの回復を背景に大きく伸び、2024年から2025年にかけては1,500億円台後半から1,700億円台へと拡大している。営業利益・経常利益・純利益はいずれも着実に増加し、営業利益率は2023年の11%台から2025年には15%台まで改善しており、レジャー業としてはかなり高い水準にある。ROEは20%を超え、ROAも7〜8%台と、設備投資型ビジネスでありながら資本効率は非常に高い。一方で、事業の性質上、成長率が常に高水準で加速していくタイプではなく、景気や消費マインドの影響を受けやすい側面も持つ。

バリュエーション面では、2025年実績ベースでPERは高値平均20倍、安値平均10倍台と振れ幅が大きく、PBRは4倍超と収益性の高さを強く織り込んだ水準にある。これは市場がラウンドワンを「回復局面の高収益エンタメ株」として評価していることを示す一方、業績の伸びが鈍化した場合には株価調整が起きやすいことも意味している。この前提を踏まえ、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、国内のレジャー需要が底堅く推移し、米国を中心とした海外事業が安定した成長軌道に乗る。ボウリングやクレーンゲーム、スポッチャといった主力コンテンツの稼働率が高水準を維持し、営業利益率は15%前後、ROEも20%超を継続する。市場からは「高収益・海外展開型エンタメ株」として評価され、PERは15〜18倍程度で安定する。この場合、利益成長と評価の維持が重なり、5年後の株価は1,700円から2,000円程度を目指す展開が想定される。配当は大きくないものの、値上がり益を含めたトータルリターンは比較的堅実なシナリオとなる。

中間のシナリオでは、業績は会社想定に近いペースで推移し、営業利益率は13〜15%程度、ROEは15〜20%前後で安定する。評価面ではPER10〜12倍程度に落ち着き、市場での位置づけは「高収益だが循環色のある安定株」となる。この場合、株価は大きな上昇トレンドは描かず、配当を受け取りながら緩やかに水準を切り上げ、5年後の株価は1,300円から1,500円程度に収れんする中立的なシナリオとなる。

悪い場合のシナリオでは、国内外の景気減速により来店客数が伸び悩み、人件費や維持費の上昇が利益率を圧迫する。営業利益率は10%前後まで低下し、ROEも10%台前半にとどまる。この場合、市場は成長期待を後退させ、PERは8〜9倍程度まで低下する。ただし、ブランド力と店舗資産を背景に急激な業績悪化には至りにくく、株価の下値は一定程度支えられる。このシナリオでは、5年後の株価は900円から1,100円程度にとどまる弱気展開が想定される。

総合すると、現在株価1,165円前後を起点としたラウンドワンの5年間の値動きは、良い場合で1,700円から2,000円前後、中間で1,300円から1,500円、悪い場合で900円から1,100円程度といったレンジが想定される。急成長や株価倍増を狙う銘柄ではないが、高い営業利益率とROEを背景に、景気循環を許容しながら中長期で値上がり益を狙う投資と相性の良い銘柄、という評価になる。

この記事の最終更新日:2025年12月27日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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