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早稲田アカデミー(4718)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

早稲田アカデミーとは

早稲田アカデミーは、首都圏を中心に中学受験・高校受験・大学受験に強みを持つ進学塾を展開する教育サービス企業である。主力ブランドは集団指導型進学塾「早稲田アカデミー」で、難関校志向の受験市場に特化した指導体制を軸に事業を展開している。近年は集団指導を基盤としつつ、個別指導分野にも本格的に取り組んでいる点が特徴である。

同社は1975年、創業者の須野田誠が東京都杉並区阿佐ヶ谷で小中学生向け学習塾を開いたことに端を発する。名称の由来は、創業者が早稲田大学大学院を修了し、前身が「早稲田大学院生塾」であったことによるもので、早稲田大学や地名の早稲田とは直接の関係はない。略称は「早稲アカ」として広く知られている。

受験実績においては業界トップクラスの地位を確立しており、高校入試では2001年以降、早慶附属高校の合格者数で全国1位を維持している。2024年時点でも24年連続で全国1位となっており、合格者数は1,500名超に達している。また、開成高校の合格者数でも長年にわたり全国トップを維持しており、難関校受験に強い進学塾としてのブランド力が事業の中核をなしている。

中学受験部では、小学低学年向けのスーパーキッズコースから始まり、学年進行に応じてジュニアコース、Sコースへと段階的に移行する体系的なカリキュラムを構築している。四谷大塚の教材やテストを活用し、定期的なクラス分けテストによって競争意識を高める指導スタイルを採用している。小学6年生では、最難関校対策として志望校別のNNクラスを設置し、選抜制による集中的な受験対策を行っている。さらに、最難関校向け専門塾「中学受験SPICA」も展開している。

高校受験部では、小学生高学年から中学生までを対象に、特訓クラスや選抜クラスを設け、学力テストに基づく厳格なクラス編成を行っている。教材は教育開発出版の新中学問題集を中心に使用し、開成、筑駒、慶應女子、日比谷高校など最難関高校への合格実績を積み重ねてきた。定期テスト対策など、学校成績を意識した指導も取り入れている。大学受験部では、オリジナル教材を用いた指導を行い、中高一貫校向け、難関私大志向向けなど目的別のクラス編成を行っている。授業と演習を組み合わせたFIT講座など、演習量を重視した学習スタイルが特徴である。

事業面では、2005年に医歯薬系予備校「野田クルゼ」を運営する野田学園を子会社化し、医歯薬系受験分野にも進出した。2010年には明光ネットワークジャパンと資本業務提携を行い、「早稲田アカデミー個別指導学館」を立ち上げるなど、個別指導分野の強化を進めている。現在の塾生数は約4万7千人、教室数は180校超と、首都圏有数の規模を持つ。

総合すると、早稲田アカデミーは、首都圏の難関校受験市場に特化した集団指導塾として強固なブランドと実績を持つ一方、個別指導や専門分野への展開によって事業領域の拡張を進めている教育サービス企業である。少子化という構造的課題はあるものの、受験志向の強い家庭層を主要顧客とすることで、安定した需要基盤を維持している点が大きな特徴である。

早稲田アカデミー 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連21.3 25,453 1,064 1,077 529 33.1 20
連22.3 28,551 1,821 1,841 1,108 58.8 22
連23.3 30,728 2,400 2,431 1,553 82.4 24
連24.3 32,867 2,889 2,951 2,132 112.8 40
連25.3 35,069 3,549 3,600 2,338 127.1 55(記)
連26.3予 37,700 3,680 3,750 2,590 140.2 55
連27.3予 39,800 4,000 4,100 2,800 151.5 55〜60

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(百万円) 営業キャッシュフロー 投資キャッシュフロー 財務キャッシュフロー
2023.3 2,908 -1,130 -687
2024.3 3,637 -2,355 -761
2025.3 3,886 -1,342 -2,123

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率(%) ROE(%) ROA(%) PER(倍) PBR(倍)
2023.3 7.8 12.3 7.3
2024.3 8.7 14.9 9.2
2025.3 10.1 15.3 9.5 11.2〜16.4 2.68

出典元:四季報オンライン

投資判断

早稲田アカデミーを直近の利益水準と収益性指標から見ると、教育業界の中では収益力と成長性のバランスが取れた銘柄と評価できる。まず利益の推移を見ると、営業利益は連24.3期が28億円、連25.3期が35億円、連26.3期予想が36億円と着実に増加している。経常利益も29億円から36億円、37億円へと伸びており純利益も21億円から23億円、25億円へと拡大している。売上拡大に伴い利益が素直に積み上がっており、事業運営の安定感が確認できる。

収益性の面では、営業利益率が2023年の7.8%から2024年に8.7%、2025年には10.1%まで上昇している。集団指導塾を主軸とする教育事業で10%を超える営業利益率は評価できる水準であり教室運営の効率化や単価改善が進んでいることがうかがえる。

資本効率も改善傾向が明確である。ROEは12.3%から14.9%、15.3%へ、ROAは7.3%から9.2%、9.5%へと右肩上がりで推移している。利益成長が資本効率の改善につながっており、成熟産業の中でも質の高い成長を示している。

一方、バリュエーションを見ると2025年実績ベースのPERは11.2倍から16.4倍、PBRは2.6倍となっている。営業利益率が改善し、ROEが15%前後まで上昇していることを踏まえるとPBR2倍台後半はやや高めではあるが過度な割高感とまでは言い切れない。PERも成長を前提とすれば妥当なレンジに収まっている。

以上を踏まえた投資判断としては、早稲田アカデミーは利益成長、収益性改善、資本効率向上が揃って進んでおり、教育銘柄の中では内容の良い企業と評価できる。急成長株ではないものの、安定した需要を背景に着実な成長が見込め評価水準も極端に割高ではない。配当も増配傾向にあり業績の積み上がりとともに株主還元が期待できる点を考えると、短期的な値幅狙いよりも業績成長を確認しながら中長期で保有する投資と相性の良い銘柄という位置づけになる。

配当目的とかどうなの?

配当目的で見ると、早稲田アカデミーは成立はするが主役ではないという評価になる。予想配当利回りは連26.3期、連27.3期ともに2.43%と、東証全体で見れば平均的からやや低めの水準である。高配当株として積極的に資金が集まる水準ではなく、インカム狙い一本で選ぶ銘柄ではない。

一方で、配当の安定性という点では評価できる。営業利益は30億円台後半まで拡大し、営業利益率も10%台に改善している。純利益も20億円台半ばまで伸びており、利益水準に対して配当が過度に重い印象はない。営業キャッシュフローも安定しており、配当の継続性に不安は小さい。

ただし、配当の伸びしろは限定的である。成長余地はあるものの、少子化という構造要因を抱える中で今後も大幅な増配を続けていく余地は大きくない。会社のスタンスとしても、配当よりは教室展開や指導体制への投資を重視する姿勢がうかがえる。

整理すると、早稲田アカデミーは高配当株として積極的に買う銘柄ではないが、成長を取りながら安定した配当も受け取れる補助的なインカム銘柄といえる。値上がり益を主目的にしつつ、配当はあくまで上乗せ要素として受け取る投資スタンスと相性が良い銘柄という評価になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

早稲田アカデミーを現在株価2,257円前後を基準に見ると首都圏の中学・高校受験需要を背景とした比較的安定性の高い教育サービス企業と位置づけられる。近年は売上成長に加え、営業利益率が7%台から10%超まで改善し、ROE・ROAも着実に上昇しており、収益体質が一段良化している点が特徴である。この前提を踏まえ、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、首都圏の中学受験・難関校志向が引き続き底堅く推移し、主力の集団指導塾に加えて個別指導部門の収益貢献が進む。営業利益率は10%前後を維持し、ROEも15%台で安定することで、市場からは教育銘柄の中では高収益企業として評価される。この場合、PERは15倍前後まで許容され、業績の積み上がりに沿って株価は緩やかに上昇する。5年後の株価は3,000円から3,400円程度を目指す展開が想定され、配当を受け取りながらの堅実な上昇シナリオとなる。

中間のシナリオでは、業績は会社想定に近いペースで推移し、生徒数や単価は横ばいから微増にとどまる。営業利益率は9%前後、ROEは14~15%程度で落ち着き、評価面でも現状水準を大きく超えない。この場合、PERは12~14倍程度に収れんし、株価は大きなトレンドを描かず、配当を受け取りながら緩やかに水準を切り上げる動きとなる。5年後の株価は2,600円から2,900円程度が中心となる、最も現実的なシナリオである。

悪い場合のシナリオでは、少子化の影響や競争激化により生徒数が減少し、利益率の改善が止まる展開を想定する。業績が急激に悪化するわけではないが、営業利益率は一桁台後半にとどまり、ROEも低下する。この場合、市場の評価は慎重になり、PERは10~11倍程度まで切り下がる可能性がある。株価は調整色を強め、5年後は1,900円から2,200円程度で推移する弱気シナリオとなる。ただし、受験需要という事業特性から、下落が長期化する可能性は限定的と考えられる。

総合すると、現在株価2,257円前後を起点とした早稲田アカデミーの5年間の値動きは、良い場合で3,000円から3,400円程度、中間で2,600円から2,900円、悪い場合でも1,900円から2,200円程度というレンジが想定される。急成長や株価倍増を狙う銘柄ではないが、業績改善と一定の配当を背景に、値下がりリスクを抑えつつ中長期で着実なリターンを狙う投資と相性の良い銘柄という評価になる。

この記事の最終更新日:2025年12月27日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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