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ユー・エス・エス(4732)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ユー・エス・エスとは

ユー・エス・エスは、中古車オークション会場の運営を主力事業とする日本最大手の自動車流通企業であり、本社を愛知県東海市に置く。中古車オークション業界における草分け的存在として知られ、長年にわたり業界標準を築いてきた企業である。現在では中古車オークション分野で国内シェア4割超とされ、出品台数・成約台数・会員数のいずれにおいても圧倒的な業界首位の地位を確立している。

主力事業は中古自動車のオークション運営であり、全国各地に大規模なオークション会場を展開している。各会場では原則として週1回の定期オークションが開催され、自動車ディーラー、中古車販売業者、リース会社、レンタカー会社、貿易業者など幅広い業者が参加している。会場は工業団地や埋立地など、広大な敷地を確保できる一方で住宅地から離れた立地に設けられることが多く、これは大量の車両を効率的に集積・運営するための合理的な戦略といえる。

USSオークションは会員制を採用しており、参加には事前の審査を経た会員登録が必須となっている。この仕組みにより取引の信頼性が担保され、成約率の高さと価格の透明性が維持されている。収益源は会費収入、出品手数料、成約手数料が中心であり、取引量の増減はあるものの、在庫リスクを抱えないストック型・手数料型のビジネスモデルを構築している点が大きな特徴である。

オークション事業を支える重要な要素として、車両検査体制が挙げられる。USSでは専門の検査員が独自基準に基づき車両状態を評価し、その結果を点数化して開示している。これにより、現車を直接確認できない遠隔地や海外のバイヤーでも安心して取引が可能となり、全国規模・国際規模での高い流動性を実現している。また、落札後の陸送手配、保管、各種事務手続きまで一貫して提供することで、会員の業務効率向上にも寄与している。

同社はオークションを通じて蓄積される膨大な取引データを活用し、インターネット情報サービス「CIS」を展開している。中古車の成約価格や需給動向といった市場情報をリアルタイムで提供することで、会員の仕入れ・販売戦略を支援しており、データビジネスとしても高い付加価値を持つ事業となっている。かつて同サービスを運営していた子会社カークエストは2016年に吸収合併され、グループ内での事業集約が進められた。

グループ会社には、中古車買取専門店「ラビット」を全国展開するラビット・カーネットワークがあり、オークション事業と買取事業を組み合わせることで中古車流通の川上から川下までをカバーしている。また、二輪車分野ではジャパンバイクオークションを展開しており、自動車に限らずモビリティ流通全体への事業領域拡大も進めている。

USSというブランド名は、創業当初は「Used car Scramble and Survival」の略として、競争の激しい中古車業界を勝ち抜く姿勢を表したものであったが、2000年の株式上場時に「Used car System Solutions」へと意味が変更されている。これは単なるオークション運営会社にとどまらず、中古車流通全体を支えるシステムインフラ企業としての位置付けを明確にしたものといえる。

高い市場シェアを背景とした強力なネットワーク効果、安定した手数料収入、設備投資後は高い利益率を維持できる事業構造により、同社は極めて収益性と安定性の高い企業体質を有している。財務面でも自己資本比率が高く、潤沢なキャッシュフローを生み出す点が特徴であり、景気循環の影響を受けにくいディフェンシブ性と、国内中古車流通を支えるインフラ企業としての競争優位性を併せ持つ企業と評価されている。

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直近の業績・指標

年度 売上高(単位百万) 営業利益 経常利益 純利益 一株益EPS(円) 一株配当
連21.3 74,874 36,227 36,996 4,022 8.1 27.8
連22.3 81,482 41,574 42,374 29,745 59.9 33.1
連23.3 88,778 43,778 44,491 30,008 61.3 33.8
連24.3 97,606 48,937 49,654 32,906 68.3 37.7
連25.3 104,021 54,206 54,883 37,636 78.7 43.4
連26.3予 111,800 57,400 58,100 39,700 85.7 51.4
連27.3予 117,000 61,000 61,700 42,100 90.9 52〜54

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(百万円) 営業キャッシュフロー 投資キャッシュフロー 財務キャッシュフロー
2023 36,907 -9,074 -17,121
2024 47,150 -2,646 -28,187
2025 38,157 -5,995 -29,951

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROA ROE PER PBR
2023 49.3% 12.3% 15.7%
2024 50.1% 12.1% 16.8%
2025 52.1% 14.0% 18.4% 20.8(高)
15.6(安)
4.08

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず利益規模を見ると2024年3月期は営業利益489億円、経常利益496億円、純利益329億円。2025年3月期は営業利益542億円、経常利益548億円、純利益376億円。2026年3月期予想では営業利益574億円、経常利益581億円、純利益397億円と、すでに高水準にある利益がさらに積み上がる前提となっている。利益額そのものが年々拡大しており、成長の質が落ちていない点は明確な強みである。

収益性を見ると営業利益率は2023年49.3%、2024年50.1%、2025年52.1%と年々上昇しており、2025年には5割超に達している。事業構造として固定費負担が軽く、売上増がほぼそのまま利益に転化されるモデルであることが数値から読み取れる。

資本効率の面ではROEが2023年15.7%、2024年16.8%、2025年18.4%と着実に改善している。ROAも2023年12.3%、2024年12.1%、2025年14.0%と高水準で推移しており、資産を効率良く使って利益を生み出していることが分かる。ROE・ROAともに国内企業平均を大きく上回る水準であり、経営効率は非常に良好と判断できる。

一方、バリュエーションを見ると2025年実績PERは高値平均20.8倍、安値平均15.6倍、PBRは4.0倍である。ROE18.4%という高い資本効率を考慮すればPBR4倍は割高とは言い切れず、むしろ高収益インフラ企業としては妥当な評価水準といえる。ただし、PERの高値帯である20倍超では、成長鈍化が見えた場合の調整余地は意識する必要がある。

以上を総合するとユー・エス・エスは利益規模が大きくなおかつ拡大傾向にあり、営業利益率50%超という極めて高い収益性と年々改善するROE・ROAを兼ね備えた事業の質が非常に高い企業といえる。一方で、PBRはすでに4倍水準にあり、明確な割安感がある銘柄ではない。

このため投資判断としては、高品質・高収益を評価して中長期で保有するには適した銘柄だが、短期的な割安狙いには向かずPERが安値帯である15倍台に近づく局面では積極、20倍超では慎重、というスタンスが妥当と判断する。

配当目的とかどうなの?

結論から言うと、ユー・エス・エスは純粋な高配当株ではないが配当目的でも十分に成立する銘柄である。ただし狙い方には条件がある。まず配当利回りを見ると、連26.3予で2.95%、連27.3予で2.98%とおおむね3%前後の水準で推移している。J-REITや高配当株指数銘柄の4〜5%と比べれば突出して高いわけではないが、東証プライム全体の平均と比べるとやや高めの水準にある。

重要なのは、配当の裏付けとなる稼ぐ力の強さである。営業利益率は50%超、ROEは18%台、ROAも14%台と事業の収益性と効率性は極めて高く、営業キャッシュフローも潤沢である。配当が無理をして出されている水準ではなく十分な利益とキャッシュフローの中から自然に支払われている点は、配当目的では大きな安心材料となる。

また、EPSは2024年から2026年にかけて着実に増加しており、配当もそれに合わせて増配基調にある。利回りは3%前後でも増配が継続すれば取得単価ベースの利回りは年々高まっていくため、長期の配当目的には向いたタイプの銘柄といえる。

一方で注意点としてPBRは約4倍、PERも安値帯で15倍台、高値帯では20倍超と、株価水準はすでに事業の質の高さを織り込んだ水準にある。そのため、配当利回りだけを目的に短期で飛びつく銘柄ではなく、株価調整によって利回りが3%台前半から中盤に乗る局面の方が配当目的としての妙味は高まる。

総合すると、ユー・エス・エスは高利回りを一気に取りにいく配当株ではなく、減配リスクが低く、増配を積み重ねていく安定配当株という位置付けになる。主力の高配当銘柄を補完する安定・高品質枠としては適しており、取得タイミングを選べば配当と企業成長の両方を狙える銘柄と判断できる。

今後の値動き予想!!(5年間)

ユー・エス・エスの現在値は1,741.0円である。中古車オークションという寡占的な事業基盤、高水準の営業利益率、安定したキャッシュフローを踏まえると今後5年間の株価は急成長株のような値動きではなく、評価と業績のバランスによって上下しながらも全体としては安定した推移を見せる可能性が高い。

良い場合のシナリオでは、オークション出品台数が安定的に増加し手数料単価や稼働率の高さが維持されることで、営業利益・純利益ともに予想通り拡大していく展開を想定する。営業利益率は50%超、ROEは18%前後という高水準が継続し市場からは「国内中古車流通インフラ」としての評価が一段と定着する。この場合、PERは18〜20倍水準で安定し、増益と増配が同時に進むことで株価は年率で緩やかに切り上がっていく。短期的な調整を挟みつつも、5年後には2,600円〜3,000円程度まで到達する可能性があり、配当を含めた総合リターンはかなり良好なものになる。

中間のシナリオでは、事業環境に大きな変化はないものの成長率は徐々に落ち着き、利益の伸びも一桁台に収れんしていく展開を想定する。営業利益率やROEは高水準を維持するものの、市場全体の地合いや金利環境の影響で評価はやや保守的になりPERは15〜17倍程度に落ち着く。この場合、株価は大きく跳ねることも急落することもなく、配当を受け取りながら緩やかに上昇し、5年後の水準は2,100円〜2,400円前後となる可能性が高い。値動きとしては、上下を繰り返しながらも長期ではプラスを維持する典型的な安定成長銘柄の推移となる。

悪い場合のシナリオでは、中古車流通量の減少や競争環境の変化、海外バイヤー需要の一時的な後退などにより出品台数や成約率が伸び悩む展開を想定する。業績が大きく崩れるわけではないものの、利益成長が止まり市場の評価が引き締まることでPERは12〜14倍程度まで低下する可能性がある。この場合、株価は調整局面に入り、1,300円〜1,500円程度まで下落する場面も想定される。ただし、営業利益率の高さやキャッシュフローの強さから業績悪化が長期化する可能性は低く、下値は比較的限定的と考えられる。

総合すると、ユー・エス・エスは5年間で見ると下振れリスクよりも安定性が際立つ銘柄であり、大きな値幅を狙う成長株というより配当を受け取りながら株価の緩やかな上昇を期待する中長期向けの銘柄といえる。良い場合には着実な株価成長が見込め、中間シナリオでも安定したリターンが期待でき悪い場合でも致命的な下落に陥りにくいという点がこの銘柄の最大の特徴である。

この記事の最終更新日:2025年12月28日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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