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インテリジェント ウェイブ(4847)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

インテリジェント ウェイブとは

インテリジェント ウェイブ株式会社である。インテリジェント ウェイブは1984年に設立されたシステムインテグレータで、東京都中央区新川に本社を置き、日本のキャッシュレス決済インフラを長年にわたって支えてきた企業である。現在は大日本印刷の子会社であり、経営面では安定した資本基盤を背景に、中長期視点での事業運営が行われている。

同社の事業の中核は、クレジットカード決済システムをはじめとする金融機関向けのミッションクリティカルなシステム開発と自社製品の提供である。1989年に開発した「NET+1」は、カード決済に必要なネットワーク接続やオーソリゼーション機能を24時間365日リアルタイムで処理するシステムであり、日本のキャッシュレス決済の黎明期から現在に至るまで、カード会社や金融機関に広く採用されてきた。この分野では高い信頼性と安定稼働が絶対条件となるため、新規参入のハードルは非常に高く、同社が長年にわたりトップシェアを維持していること自体が大きな参入障壁となっている。

1999年には、クレジットカードの不正利用を検知する「ACEPlus」を開発し、決済の安全性向上にも貢献してきた。キャッシュレス化が進展するにつれて不正リスクも高度化してきたが、同社は大量の取引データをリアルタイムで分析する技術を磨き、不正検知分野でも業界内で確固たる地位を築いている。これらの決済関連システムは、単なる一時的な導入ビジネスではなく、長期にわたる保守・運用やライセンス収入を伴うストック型の収益構造を形成している点が特徴である。

決済分野で培った技術は、セキュリティ事業にも展開されている。2003年には、企業内部からの情報漏えいを防止するソリューション「CWAT」を開発し、内部不正対策という新たな市場に参入した。現在では、内部情報漏えい対策にとどまらず、ランサムウェアや標的型攻撃といった高度化するサイバー攻撃への対策として、自社開発製品と海外の先進的なセキュリティ製品を組み合わせたソリューション提供を行っている。情報セキュリティは業種を問わず重要性が高まっており、この分野は同社にとって決済に次ぐ成長領域と位置付けられる。

さらにインテリジェント ウェイブは、「高速・大量データ通信・分析技術」をコア技術として、金融以外の分野にも事業領域を広げてきた。証券業界向けには、市況情報など膨大なデータをリアルタイムに処理・連携するシステムを提供し、市場インフラの一端を担っている。また、4K・8K放送といった大容量データを扱う映像伝送の監視・統合システムなど、放送分野でも技術を応用しており、「大量データを安全かつ確実につなぐIT基盤」という強みをさまざまな領域で発揮している。

同社のビジネスモデルは、システム開発によるフロー収益と、保守・運用、ライセンスによるストック収益を組み合わせた構造である。特に金融機関向けシステムは一度導入されると長期にわたって利用されることが多く、景気変動の影響を比較的受けにくい安定した収益源となっている。キャッシュレス化の進展、サイバーセキュリティ需要の拡大、データ活用の高度化といった中長期トレンドは、同社にとって構造的な追い風となりやすい。

総合すると、インテリジェント ウェイブは、カード決済という社会インフラの中核を担う分野で圧倒的な実績と信頼を積み上げ、その技術を不正検知、内部情報漏えい対策、データ通信・分析基盤へと横展開してきた企業である。派手な成長企業ではないが、「24時間365日止まらないこと」が求められる領域で価値を提供し続けてきた点に同社の本質的な強みがあり、IT基盤を通じて社会における「信頼」を支える企業と位置付けられる。

インテリジェント ウェイブ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益 EPS
(円)
一株配当 DPS
(円)
2023.6 13,374 1,556 1,603 1,165 44.3 20
2024.6 14,518 2,030 2,072 1,420 54.2 40
2025.6 15,596 1,848 1,890 1,349 51.6 35
2026.6 予 17,200 2,150 2,190 1,510 57.7 37
2027.6 予 18,200 2,500 2,540 1,760 67.2 37~39

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
2023.6 3,122 -1,913 -448
2024.6 3,815 -2,681 -1,018
2025.6 4,263 -1,599 -1,052

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023.6 11.6% 13.2% 8.5%
2024.6 13.9% 15.3% 8.4%
2025.6 11.8% 14.2% 7.2% 14.9倍 ~ 23.2倍 2.72倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず利益水準を億円ベースで見ると、2024年6月期は営業利益20億円、経常利益20億円、純利益14億円である。2025年6月期は営業利益18億円、経常利益18億円、純利益13億円とやや減益となったが、高水準の利益は維持している。2026年6月期予想では営業利益21億円、経常利益21億円、純利益15億円と再び増益に転じる見通しであり、全体としては緩やかな成長軌道にある。

収益性を見ると、営業利益率は2023年6月期11.6%、2024年6月期13.9%、2025年6月期11.8%と、10%を明確に超える水準で安定している。SI業界全体で見ると高収益といえる水準であり、決済・不正検知という参入障壁の高い分野に強みを持つ事業構造が数字に表れている。

資本効率の面では、ROEが13.2%、15.3%、14.2%、ROAが8.5%、8.4%、7.2%と、いずれも安定して高い。特にROEは中期的に14~15%前後で推移しており、資本を使って着実に利益を生み出せている企業と評価できる。ROAも7%超を維持しており、総資産効率の面でも優秀である。

一方、バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは安値平均14.9倍、高値平均23.2倍とレンジが広いが、業績の安定性を考えると市場は概ね15~20倍程度で評価していると読み取れる。実績PBRは2.7倍台であり、純資産に対しては明確なプレミアムが付いている。これは高い収益性と安定性を市場がすでに織り込んでいる状態を示している。

これらを総合すると、インテリジェント ウェイブは、営業利益率・ROE・ROAがいずれも高水準で安定しており、業績の質は非常に高い。一方で、PBRは2倍台後半、PERもレンジ上限では20倍超となっており、割安感が強い局面ではない。今後の株価は業績の大崩れリスクが小さい反面、評価倍率の拡大余地も限定的になりやすい。

投資判断としては、「高品質だが評価はすでに織り込まれている銘柄」。安定成長と収益力を重視する中長期投資には適している一方、割安株狙いや短期的な評価修正を期待する投資には向きにくい。位置付けとしては、業績を下支えにした「中立からやや強気の保有継続」が妥当であり、押し目があれば検討、現水準では積極的な新規買いは慎重、という判断になる。

配当目的とかどうなの?

インテリジェント ウェイブの予想配当利回りは2026年6月期が3.89%、2027年6月期も3.89%とされている。この水準は日本株全体で見れば明確に高配当ゾーンに入り、配当を主目的とする投資対象として十分に検討に値する数字である。

配当の裏付けとなる利益水準を見ると2024年6月期は純利益14億円、2025年6月期は13億円、2026年6月期予想では15億円と安定した黒字を継続している。営業利益も20億円前後で推移しており、営業利益率は直近3年で11.6%、13.9%、11.8%と二桁水準を維持している。これはSI業界の中では高収益に分類され、配当原資の安定性という点では安心感がある。

資本効率の面でもROEは13.2%、15.3%、14.2%、ROAは8.5%、8.4%、7.2%といずれも高水準で安定している。利益を出し続けながら資本効率も確保できているため、無理に配当を出している企業ではなく「稼いだ利益の中から配当を出せている」状態と判断できる。

一方で注意点としては、PBRが2.7倍台とやや高めであることが挙げられる。これは市場が同社の安定収益性と事業の質を高く評価している結果であり、配当利回りが高いからといって株価の割安感が強いわけではない。PERも安値平均で14.9倍、高値平均で23.2倍とレンジが広く株価は業績の安定性を前提に一定のプレミアムを許容されている水準にある。

以上を総合するとインテリジェント ウェイブは「配当目的として十分に成立する銘柄」と評価できる。利回りは約4%と魅力的で、利益水準・営業利益率・ROEのいずれも安定しており、配当の持続性に対する信頼性は高い。一方で、株価はすでに高品質を織り込んだ水準にあるため、大きな値上がり益を同時に狙うよりも「安定配当を受け取りながら中長期で保有する」タイプの投資に向いた銘柄と判断される。

今後の値動き予想!!(5年間)

インテリジェント ウェイブの現在値は949.0円である。同社は金融機関向けのミッションクリティカルなシステム開発・製品販売を中核とし、高い営業利益率・ROE・ROAを維持する安定収益型企業である。ERPや汎用のSI企業と比べてリピート性の強い決済インフラや不正検知システムを主力とし、長期的な収益基盤を持つ。

この点は中長期投資の安心材料である一方、既にPERやPBRが市場評価を織り込んでいるという側面もあるため、5年間の株価は業績そのものの変化と評価倍率の動向に大きく左右されやすい。以下、良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで値動きを整理する。

良い場合のシナリオでは、同社の主力事業である決済・不正検知システムの需要が引き続き堅調に伸び、特に既存顧客への深耕や新規顧客獲得が進むことで売上・利益が安定的に拡大する展開を想定する。営業利益率は10%台後半から12%前後で推移し、ROEも10%台後半から15%前後を維持、ROAも高水準を保つことで投資家の信頼が継続する。この場合、市場はインテリジェント ウェイブを「安定成長優良株」と評価し、PERは中期的に15〜20倍程度、PBRも2倍台前半から中盤を維持する可能性がある。これらの利益成長と評価倍率を織り込む形で、株価は5年後に1,300円〜1,700円程度まで上昇するシナリオが想定される。配当利回りも3%台後半を維持することで、インカムとキャピタルの両面でリターンが出る展開になる。

中間のシナリオでは、同社の事業は黒字基調を維持するものの成長率は緩やかになり、売上・利益は横ばいから年率数%程度の緩やかな伸びにとどまる展開を想定する。営業利益率やROEは直近実績の水準を維持するものの、明確な改善トレンドには乗らず、PERやPBRも大きく拡大しない。この場合、市場評価は落ち着いて15倍前後のPER、2〜2.5倍台のPBRで推移し、株価は業績成長に沿ってゆっくりと上昇するか、レンジ内での値動きにとどまる可能性が高い。5年後の株価レンジは900円〜1,200円程度が中心となり、配当を受け取りながら中期的な資産形成を図るという投資スタンスが合致する展開になる。

悪い場合のシナリオでは、決済インフラや不正検知システムへの投資需要が想定より鈍化し、同社の主力事業の伸びが停滞する展開を想定する。また、顧客側のコスト削減圧力や競合環境の変化、システム更新のタイミングの遅れなどが重なり、売上・利益の安定性が損なわれる可能性もある。この場合、営業利益率が10%割れに低下し、ROEやROAも低水準に沈むことで、市場評価が見直されPERは12倍台前後、PBRは1.5倍台まで調整される可能性がある。利益水準の低下と評価倍率の縮小が同時に進むことで、株価は5年後に600円〜800円程度まで下落するリスクシナリオが考えられる。この場合、配当利回りは相対的に高く見えるが、利益基盤の弱さを懸念した投資家の手仕舞いが進む可能性がある。

総合すると、インテリジェント ウェイブは安定した利益体質と高い資本効率を持つ企業であり、5年間の中期スパンでは業績そのものが株価の下支えとなる可能性が高い。一方で、現在の株価はすでにある程度の成長と安定性を織り込んでおり、将来の値動きは「成長の持続性」と「評価倍率の維持・拡大余地」に大きく左右される。良い場合は1,300円〜1,700円、中間は900円〜1,200円、悪い場合は600円〜800円というレンジが想定され、配当目的の保有と業績フォローを併せて行う投資スタンスが適している。

この記事の最終更新日:2025年12月29日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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