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マンダム(4917)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

マンダムとは

マンダムは、大阪府大阪市中央区に本社を置く日本の化粧品メーカーで、男性化粧品分野では国内トップクラスの地位を持つ企業である。特に整髪料やフェイシャルペーパーなどの分野で圧倒的な知名度とシェアを誇り、主力ブランドであるギャツビーは若年層男性向け化粧品の代名詞的存在となっている。一方で、男性向けに偏っていた事業構造を見直し、女性用化粧品の育成や海外事業の再構築にも取り組んでいる。

同社の歴史は古く、明治時代の大阪で輸入雑貨を扱っていた大崎組を前身とする。1900年代初頭には香水の輸入販売を行い、1927年に金鶴香水株式会社が設立された。1933年に発売した「丹頂チック」は、スティック状で使いやすい男性用整髪料として大ヒットし、現在に至るまで続くロングセラー商品となり、マンダムの礎を築いた。戦後は「丹頂」ブランドを中心に男性化粧品メーカーとしての地位を固めていった。

1960年代に競争激化で経営危機に直面したが、1970年に俳優チャールズ・ブロンソンを起用した「マンダム」シリーズを投入し、テレビCMと相まって爆発的なヒットを記録したことで業績は急回復した。1971年には社名をマンダムに変更し、再成長路線へと舵を切る。1978年には若者向け男性化粧品ブランド「ギャツビー」を発売し、以降リニューアルを重ねながら同社最大の主力ブランドへと成長させている。

現在の事業は、男性化粧品を中核としながら、年齢層や嗜好に応じたブランド展開を行っている点が特徴である。ギャツビーは若年層向け、ルシードは無香料を特徴としたミドルエイジ男性向けブランドとして定着しており、さらにルシードLは女性向け頭髪製品として独自のポジションを確立している。熟年層向けにはマンダムブランドを展開し、世代別に明確な棲み分けを行っている。

海外事業ではインドネシアを中心とした東南アジア市場が重要な成長ドライバーとなってきたが、近年は収益性の低下を受けて事業の再構築を進めている。ブランド戦略や販売体制、コスト構造の見直しを行い、再び成長軌道に戻すことが中期的な課題となっている。国内では成熟市場に対応するため、高付加価値商品の開発や女性向け・中高年向け市場の深掘りを進めている。

企業としては、人間の自由や多様性を重視する姿勢を掲げ、社名であるmandomも現在では「Human & Freedom」を意味するものとして再定義されている。2021年にはビジュアル・アイデンティティを刷新し、「BE ANYTHING, BE EVERYTHING.」というスローガンのもとでブランド価値の再構築を進めている。三和グループに属する安定した企業基盤を背景に、男性化粧品という強固な強みを軸としつつ、事業の幅を広げていく段階にある企業と言える。

マンダム 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益
(円)
一株配当
(円)
連21.3 63,310 -793 -273 860 19.2 32
連22.3 57,361 -2,308 -1,856 -621 -13.8 36
連23.3 67,047 1,409 2,207 958 21.3 38
連24.3 73,233 2,020 2,981 2,601 57.8 40
連25.3 76,183 1,028 2,180 1,859 41.3 40
連26.3予 84,300 3,500 4,300 2,810 62.3 0
連27.3予 87,000 4,800 5,600 3,600 79.8 0

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
連23.3 4,065 -1,257 -2,072
連24.3 6,812 -887 -2,110
連25.3 4,924 -2,085 -2,204

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER PBR
連23.3 2.1% 1.4% 1.0%
連24.3 2.7% 3.9% 2.7%
連25.3 1.3% 2.6% 1.9% 35.2~47.4倍 1.77倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績の水準感を見ると、売上高は2024年3月期が約732億、2025年3月期が約761億、2026年3月期予想で約843億と、トップライン自体は緩やかな拡大基調にある。一方で営業利益は2024年が約20億、2025年が約10億と一度落ち込み、2026年予想で約35億へ回復する見通しとなっている。経常利益・純利益も同様に2025年に弱含み、2026年に持ち直す予想であり、収益の安定性という点ではまだ揺れが大きい。

収益性指標を見ると、営業利益率は2023~2025年で2.1%、2.7%、1.3%と低水準で推移しており、2025年はむしろ悪化している。ROEは1.4%、3.9%、2.6%、ROAは1.0%、2.7%、1.9%と、いずれも資本効率がかなり低く、事業構造として高収益型とは言い難い。売上規模の割に利益が残りにくい体質であることが数字から明確に読み取れる。

バリュエーション面では、2025年実績PERが35.2~47.4倍と非常に高く、PBRも1.7倍台と、ROE2%台の企業としては割高な水準にある。利益水準や資本効率を考慮すると、現在の評価は「回復期待」や「ブランド価値」をかなり先取りしている状態といえる。

以上を踏まえると、この銘柄は現時点では「業績が安定して高収益を生む企業」として評価するのは難しい。2026年にかけて利益回復予想は出ているものの、営業利益率・ROE・ROAが低いままであれば、PERの高さを正当化するのは容易ではない。

業績が計画どおり回復し、かつ収益性が中期的に改善していく確度が高まらない限り、投資妙味は限定的と判断される。結論としては、提示された数値だけで見る限り、マンダムは「回復途上で評価先行気味の銘柄」であり、積極的な成長投資向きというよりは、業績改善が数字として確認できるまで様子見が妥当な局面にあるといえる。

配当目的とかどうなの?

まず結論から言うと現時点のマンダムは配当目的には向かない銘柄と判断される。理由はシンプルで2026年3月期・2027年3月期ともに予想配当利回りが0.00%となっており、インカムゲインが期待できないからである。

業績面を見ると売上高は増加基調にあるものの、営業利益率は直近で1%台と低くROEも2%台にとどまっている。これは事業が十分な利益を生み出せていない状態を示しており、安定的に配当を出し続ける体力が弱いことを意味する。実際、2025年以降は配当を一旦ゼロにする予想となっており、会社としても株主還元より事業立て直しや内部留保を優先している局面と読み取れる。

また、配当目的で重要となる「継続性」という観点でも不安が残る。過去には配当を出していたものの、業績の振れに応じて減配・無配に転じており安定配当銘柄とは言い難い。営業キャッシュフロー自体は黒字を維持しているが、利益率が低いため、配当余力が十分に積み上がっている状況ではない。

さらに、株価評価の面ではPERが35倍超と高く配当利回りがゼロである以上、株主リターンはほぼキャピタルゲイン頼みとなる。配当目的の投資では、「低~中PER・安定利益・安定配当」が基本となるためこの条件からは大きく外れている。

総合すると、マンダムは「配当をもらいながら長期保有する銘柄」ではなく、「業績回復や構造改善が進めば株価が見直されるかもしれない回復期待型の銘柄」という位置付けになる。配当目的であれば現時点では明確に不適、少なくとも配当再開と利益率改善が数字で確認できるまでは対象外と考えるのが妥当である。

今後の値動き予想!!(5年間)

マンダムの現在値は2,744.0円である。同社は国内の男性化粧品分野でトップクラスのシェアを持ち、主力ブランド「ギャツビー」や「ルシード」などを軸に事業を展開している。直近の業績では営業利益率やROE・ROAは低水準で推移し、利益構造の安定感にはやや弱さがある。また直近予想では配当がゼロに転じる見込みであり、株主還元は配当収入ではなく株価上昇を狙う位置付けとなる。こうした前提を踏まえ、現在値2,744.0円を起点に今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。

良い場合のシナリオでは、国内男性化粧品市場における同社の強いブランド力が持続し、ギャツビーやルシードのブランドが新規カテゴリーや新しい顧客層の獲得に成功する展開を想定する。また、海外事業の再構築が進み、特に東南アジア市場での売上が拡大し収益基盤が強化される状況を想定する。この場合、営業利益率やROEが改善し、利益拡大が実現することで投資家の評価が高まる。PERがこれまでの水準から低下しても利益の成長を織り込む形で株価は上昇し、5年後には3,500円〜4,200円程度まで評価される可能性がある。このシナリオでは、業績改善とブランド成長が株価上昇を牽引する。

中間のシナリオでは、国内市場は堅調ながらも成長率は緩やかで、利益率改善は限定的な状態が続くものの大きな悪化もないと想定する。海外事業再構築の進捗はあるものの、収益貢献はゆっくりと進むため業績は横ばい〜緩やかな増益にとどまる。この場合、PERは市場平均〜消費財セクターの標準レンジに収まり、株価は業績に沿った緩やかな上昇または横ばいの動きとなりやすい。5年後の株価は2,500円〜3,200円程度のレンジが想定される。値動きは限定的ながら、市場評価の変化に合わせて上下する展開となる。

悪い場合のシナリオでは、利益率の改善が進まず、原材料費や販売コストの上昇などにより収益が圧迫される状況を想定する。国内市場でも競争が激化し、ブランド力の維持が難しくなると共に海外事業の立て直しが遅れることで利益が伸び悩む。こうした状況では市場評価が低迷し、PERが割安レンジに沈むことで株価は重たくなりやすい。この場合、5年後の株価は1,800円〜2,300円程度まで下落する可能性があり、値下がりリスクが意識される動きとなる。

総合すると、マンダムは業績の回復力とブランド戦略の進捗が株価を大きく左右する銘柄である。良いシナリオでは4,000円超に迫る上昇余地も想定されるが、中間シナリオでは現在値付近かやや上振れ、水準は2,500円〜3,200円程度となる可能性が高い。逆に業績が低迷すれば2,000円台後半〜2,300円台前半、さらに悪化すれば1,800円台までの下値リスクがあるため、収益改善の確度を見極めながら投資判断を行うことが重要である。

この記事の最終更新日:2025年12月30日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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