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コタ(4923)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

コタとは

コタは京都府久世郡久御山町に本社を置く、美容室向けヘア化粧品専業メーカーである。シャンプー、リンス、トリートメント、整髪料などの頭髪用化粧品を中心に美容室専売という明確なポジションを取り、一般消費者向けの量販市場には依存しない事業モデルを構築している。

コタの最大の特徴は美容室への一括販売と、バーター的に提供される無料コンサルティングを組み合わせた「旬報店」制度にある。これは単に製品を卸すだけでなくサロン経営、販売戦略、顧客管理、スタッフ教育などに関する情報提供や助言を行う仕組みであり、美容室側にとっては経営パートナーに近い存在となる。この仕組みによって美容室との関係は短期的な売買関係ではなく、長期的かつ排他的な取引関係になりやすく結果として安定した継続需要が生まれている。

事業所体制としては本社および工場を京都府久世郡に置き、製造と品質管理を自社で担っている。営業拠点は仙台、東京、千葉、横浜など主要都市に配置されており地域密着型の営業活動を通じて、美容室一軒一軒との関係構築を重視している。海外展開は限定的で主戦場はあくまで国内市場であり、その分、国内美容室向けビジネスへの集中度が高い。

製品戦略においては、高付加価値路線が明確である。主力ブランドの一つであるコタ アイ ケアは「Timeless Quality 色あせない美しさ、時間を超える上質」をコンセプトに髪そのものが持つ個性や美意識を引き出すことを重視したシリーズであり、カウンセリング販売と非常に相性が良い。髪質やライフスタイルに合わせた提案が可能な点が美容室側の単価向上やリピート率向上につながっている。

上位ラインであるコタクチュールは「五感に満ちる、最上質」を掲げ、成分選定から製造工程まで徹底的にこだわったプレミアムブランドとして位置付けられている。上質を求める女性を主なターゲットとし、美容室での体験価値そのものを高める役割を担っている。価格帯が高い分、サロン側にとっては差別化商品としての意味合いが強い。

スカルプケア分野ではコタ クールアを展開しており、スパークリング美容液という特徴的な形態を通じて頭皮環境を整える基礎化粧品として位置付けられている。髪の美しさは頭皮の健康から始まるという考え方を前面に出し、ヘアケアだけでなくスカルプケアまで含めたトータル提案を可能にしている。

さらに、コタクオリアは「Quality of Japan」を掲げ、日本の匠の技術や美意識を尊重し見た目だけでなく所作まで含めた「たおやかな髪」を目指すブランドとして展開されている。伝統的価値観と現代的ヘアケアを融合させた位置付けであり、品質や世界観を重視する顧客層に訴求している。

業績構造の面では需要が下期に集中する下期偏重型である点も特徴である。これは美容室の販促強化や製品導入タイミングが秋冬に集中しやすいことと関係しており、年間を通じた売上の出方には明確な季節性がある。このため、短期的な四半期比較では業績の振れが大きく見えることがあるが、通期で見ると安定した収益構造を持っている。

総合するとコタは美容室向けヘア化粧品製造に特化し、旬報店制度という独自の営業・支援モデルと、高付加価値ブランド群を組み合わせることで、国内市場において強固なポジションを築いている企業である。派手な成長や海外展開を追うタイプではないが、美容室との深い関係性と継続需要を軸に、安定性と収益性を重視した事業運営を行っている点がコタの最大の特徴と言える。

コタ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益
EPS(円)
一株当り配当
DPS(円)
単21.3* 7,764 1,620 1,657 1,169 40.6 12.3
単22.3* 8,691 2,151 2,177 1,393 49.3 15
単23.3* 8,804 2,020 2,115 1,560 54.7 16.5
単24.3* 9,136 1,921 1,953 1,349 47.8 18.2
単25.3 9,376 1,831 1,834 1,304 46.8 20
単26.3予 9,660 1,850 1,900 1,330 47.9 20〜22
単27.3予 9,950 1,900 1,930 1,350 48.7 20〜24.2

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
2023.3 1,300 -473 -922
2024.3 2,168 -1,212 -485
2025.3 998 -389 -1,136

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率
(%)
ROE
(%)
ROA
(%)
PER
(倍)
PBR
(倍)
2023.3 22.9 15.3 11.3
2024.3 21.0 12.2 9.1
2025.3 19.5 11.6 8.7 32.0(高)
26.3(安)
2.91

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績規模を見ると、売上高は2024年3月期で91億円、2025年3月期で93億円、2026年3月期予想で96億円と、年率数%程度の緩やかな成長が続いている。急成長企業ではないが、美容室向け専業というニッチな市場で、着実に売上を積み上げている姿が数字から読み取れる。

利益面では、営業利益は19億円前後、経常利益も19億円前後、純利益は13億円前後でほぼ横ばいとなっている。売上は増えているものの、利益が大きく伸びているわけではなく、成長というよりは安定を重視したフェーズにあると言える。ただし注目すべきは利益率の高さで、営業利益率は約19%台と非常に高水準にある。売上規模が小さいにもかかわらず、これだけの利益率を維持できている点は、コタのビジネスモデルの強さを示している。

資本効率の面でも、ROEは11.6%、ROAは8.7%と、安定して高い水準を維持している。派手な拡大をしていないにもかかわらず、株主資本や総資産を効率的に使って利益を生み出せており、経営の質は高いと評価できる。営業利益率、ROE、ROAが同時に高水準で揃っている企業は多くなく、この点はコタの大きな強みである。

一方で、評価面を見ると慎重になる。実績PERは安値平均でも26.3倍、高値平均では32.0倍と、明確に高い水準にある。PBRも2.9倍と高く、市場はコタの高収益体質が今後も大きく崩れないことを前提に株価を付けている。裏を返せば、業績が大きく伸びなくても高い評価が維持されている状態であり、成長余地を織り込んで買う余地は小さい。

2026年3月期予想を見ても、売上は伸びるが利益はほぼ横ばいであり、今後数年で利益が大きくジャンプするイメージは持ちにくい。株価の上昇余地は、利益成長よりも「この高い利益率と資本効率がどこまで維持できるか」という信頼感に左右される構造になっている。

総合すると、コタは事業規模こそ小さいものの、営業利益率約19%、ROE11%台、ROA8%台という極めて優れた収益性を持つ企業であり、ビジネスモデルの完成度は非常に高い。一方で、その完成度の高さはすでに株価に十分反映されており、PER30倍前後、PBR約3倍という水準は決して割安ではない。

結論として、コタは数字だけで見れば「質は非常に高いが安くはない銘柄」であり、短期的な値上がりを狙うよりも、高収益モデルが長期にわたって続くことを前提に、価格水準を意識しながらじっくり保有するか、全体相場の調整局面での押し目を待つタイプの投資対象だと判断できる。

配当目的とかどうなの?

コタを配当目的という観点で見ると、結論としては配当を主目的に投資する銘柄ではない。予想配当利回りは2026年3月期、2027年3月期ともに1.76%と低水準であり日本株全体の中でも明確に見劣りする。高配当株や安定配当株と呼べる水準には届かず、利回りを重視する投資スタイルには適していない。

一方で、コタは営業利益率が約19%、ROEが11%台、ROAが8%台と非常に高い収益性と資本効率を維持している。配当を出せない企業ではなく、利益を十分に稼げているにもかかわらず配当利回りが低いのは株価水準が高いことと配当性向を意図的に抑えているためである。つまり、配当余力がないのではなく、内部留保や事業の安定性、将来の成長余地を優先している企業と読み取れる。

このため、コタの配当はインカムゲインを目的とした魅力ではなく、高収益モデルを長期に維持するための補助的な株主還元という位置づけになる。毎年の配当収入を重視する投資家にとっては物足りず配当目的で保有する意味は薄い。

総合すると、コタは配当を期待して買う銘柄ではなく、事業の質の高さや収益力の持続性を評価し株価の安定や長期的な企業価値の積み上がりを狙う投資家向けの銘柄である。配当はあくまで付加的な要素であり、配当収入を主目的とする投資スタイルには向かないという判断になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

コタの現在値は1,134.0円である。同社は美容室向けヘア化粧品専業という明確なポジションを持ち、旬報店制度による一括販売と無料コンサルを組み合わせた独自モデルで営業利益率約19%、ROE11%台、ROA8%台という高い収益性を長年維持してきた。一方で、売上成長は年率数%と緩やかで、配当利回りも1%台後半にとどまるため株価は「高収益・低成長」を前提とした評価に収れんしやすい。こうした前提を踏まえ、現在値1,134円を起点に今後5年間の値動きを3つのシナリオで整理する。

良い場合のシナリオでは、国内美容室向け市場が大きく拡大しない中でも、旬報店制度の浸透が進み既存サロンとの関係がさらに深まることで単価と継続率が向上する展開を想定する。高付加価値ラインの比率が高まり、原価・販管費のコントロールも効いて営業利益率は19%前後を維持、ROEも10%台を安定的に確保する。成長率は小さくても「質の高さ」が改めて評価され、ディフェンシブかつ高収益な国内専業モデルとしてプレミアムが維持される場合PERは30倍前後が許容されやすい。この場合、利益の横ばい〜微増と評価の維持が同時に進み、株価は1,500円〜1,700円程度まで緩やかに上昇する可能性がある。配当は控えめだが、下値不安が小さい点が評価され長期保有資金が流入しやすい展開となる。

中間のシナリオでは、国内美容室市場は横ばい、同社の売上も微増にとどまり原材料費や人件費の上昇を吸収しきれず利益率はわずかに低下するが、依然として高水準を保つ展開を想定する。営業利益率は18%前後、ROEは10%前後で安定し、業績は「良くも悪くも安定」。市場評価は落ち着き、PERは25倍前後に収れんしやすい。この場合、株価は現在値近辺を中心に上下し、5年間では1,050円〜1,300円程度のレンジ推移が続く可能性が高い。値上がり益は限定的だが、事業の質が下支えとなり大きな下落も起きにくい現実的なシナリオである。

悪い場合のシナリオでは、美容室数の減少や競争激化により旬報店制度の優位性が相対的に弱まり、価格・条件面での譲歩が必要になる展開を想定する。高収益モデルが揺らぎ、営業利益率が17%を下回り、ROEも1桁台前半まで低下すると市場はこれまでのプレミアム評価を見直す可能性が高い。配当利回りが低いため下値の支えは弱く、PERは20倍前後まで切り下がるリスクがある。この場合、評価調整が主因となって株価は下落し、5年後の水準は800円〜1,000円程度まで下押しされる可能性がある。

総合すると、現在値1,134円は、コタの高収益・安定モデルを前提とした中間シナリオに近い水準に位置している。大きな成長が実現すれば上振れ余地はあるが、構造的に成長率が高くないため、株価の上昇も緩やかになりやすい。一方で、利益率が大きく崩れない限り急落もしにくく、今後5年間の値動きは、収益性の維持度合いと市場が許容する評価倍率がどこに落ち着くかが最大の分岐点となる銘柄である。

この記事の最終更新日:2025年12月30日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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