株価
日本高純度化学とは

日本高純度化学株式会社は、電子部品の接点や接続部位に用いられる貴金属めっき薬品に特化した専業の化学メーカーである。大量生産型の素材メーカーとは異なり、電子部品・電子機器向けのハイエンド用途に重点を置き、極めて高い品質と信頼性が求められる分野で事業を展開している。所在地は東京都練馬区北町三丁目10番18号で、東京証券取引所プライム市場上場企業としては人員規模が小さく、研究開発に人材を集中させる体制が特徴となっている。
同社の最大の強みは、電子部品の接続部位向け貴金属めっき薬品における圧倒的な技術力とシェアである。特に、MPUをプリント配線基板に接合する際に使用される金めっき用薬品では、世界シェア約50%を占めるとされ、極めて高い競争力を持つ。取り扱う金属は主に金、銀、パラジウムで、プリント基板や半導体搭載用基板には金めっき、コネクター用途には金やパラジウムめっきが使われている。装飾目的ではなく、電気的特性や耐久性を重視する機能めっきを主軸としている点が事業の本質である。
事業内容は、電子部品用貴金属めっき薬品の研究開発、製造、販売が中核である。売上原価は金やパラジウムといった貴金属材料の市況に連動する構造を持つが、その一方で高付加価値製品比率が高く、価格転嫁力と技術優位性を背景に独自のポジションを築いている。株主還元については、自己資本配当率を重視する方針を採用している点も特徴的である。
研究開発の基本方針は、最先端デバイスの表面実装に必要な貴金属めっき技術をエレクトロニクス業界に提供することであり、「ソフト技術」と「材料技術」の両輪で推進されている。ソフト技術とは、既存のめっき薬品をどの条件で、どの前工程・後工程と組み合わせるかを設計し、顧客の設備やデバイス特性に最適化したトータルプロセスを提案する技術である。顧客や設備の多様性が高い分野で、短期間に最適解を提示する能力が求められている。
一方、材料技術は、既存薬品では対応できない課題を解決するための新規薬品の開発を担う。新製品はデバイス実装から最終的な完成装置としての評価までを経て認定されるため、製品化までに数年を要することも多い。新規化合物の探索や環境試験を含む長期の研究開発は避けられないが、グローバルなファインケミカル企業として成長するための必須条件と位置づけられている。
歴史的には、1971年創業後、1999年に日本初のマネジメント・バイアウトを実施した企業としても知られている。2002年にJASDAQへ上場し、2005年には東京証券取引所市場第一部に上場するなど、独自の成長過程を歩んできた。現在は、貴金属めっきという極めて専門性の高い分野で、品質と生産効率の両立を追求しながら、グローバルな電子デバイス産業を支えるニッチトップ企業として位置づけられる。
日本高純度化学 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単21.3 | 16,622 | 955 | 1,069 | 790 | 136.5 | 80 |
| 単22.3 | 18,714 | 1,201 | 1,339 | 974 | 166.8 | 90 |
| 単23.3 | 16,254 | 567 | 753 | 569 | 97.8 | 80 |
| 単24.3 | 11,419 | 354 | 553 | 548 | 95.3 | 101 |
| 単25.3 | 12,611 | 502 | 657 | 1,579 | 273.7 | 126 |
| 単26.3予 | 15,100 | 540 | 700 | 1,470 | 254.1 | 126 |
| 単27.3予 | 15,400 | 560 | 720 | 690 | 119.3 | 126 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 2,539 | 19 | -824 |
| 2024 | 683 | 166 | -456 |
| 2025 | 579 | 1,522 | -676 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 3.4% | 3.6% | 4.2% | ― | ― |
| 2024 | 3.1% | 3.1% | 3.7% | ― | ― |
| 2025 | 3.9% | 9.9% | 11.6% |
高値平均 30.0倍 安値平均 23.7倍 |
1.31倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の水準を見ると売上高は2024年が114.1億、2025年が126.1億、2026年予が151.0億と2024年を底にして明確に回復基調に入っている。数量面や需要環境は改善方向にあり、少なくとも減少局面は抜けたと判断できる。
営業利益は2024年が3.5億、2025年が5.0億、2026年予が5.4億と絶対額としては小さいが着実に改善している。経常利益も2024年5.5億、2025年6.5億、2026年予7.0億と同様の動きで、本業はゆっくりだが持ち直してきている。一方で純利益は2024年5.4億から2025年15.7億へ大きく跳ね、2026年予でも14.7億と高水準が続く見通しになっている。ただし、営業利益の伸びに比べて純利益だけが突出しているため、この部分は一時的な要因の影響が大きく本業の実力をそのまま示しているとは言いにくい。したがって、利益の持続性を見るなら純利益よりも営業利益を重視すべき局面だと感じる。
収益性を見ると営業利益率は2023年3.4%、2024年3.1%、2025年3.9%とマイナス圏からは完全に脱したものの、依然として低水準にとどまっている。改善方向ではあるが、高付加価値素材メーカーとして十分と言える水準にはまだ達していない。
資本効率ではROEが2023年4.2%、2024年3.7%から2025年に11.6%へ、ROAも2023年3.6%、2024年3.1%から2025年に9.9%へと大きく改善している。ただし、この改善は純利益の急増による影響が大きく、営業利益率の低さを考えると今後も同水準が安定して続くかはまだ確認が必要な段階にある。
株価評価の面では2025年の実績PERは高値平均30.0倍、安値平均23.7倍、PBRは1.3倍となっている。営業利益率が4%未満、ROEがようやく二桁に乗ったばかりという状況を踏まえると、PER20倍台後半から30倍という評価は業績回復をかなり先取りした水準だと感じる。PBRについても、収益性が低い企業としては割安感がある水準とは言いにくい。
総合すると、日本高純度化学は業績が底を打ち回復の方向性ははっきりしているものの、まだ収益力そのものは弱い段階にある。現在の評価は今後も回復が順調に続くことを前提に成り立っており、安全余裕は大きくない。数字だけを見る限り、割安株というよりは回復期待先行型の銘柄という位置づけになる。
結論としては、営業利益率が安定して5%以上に乗り、ROEが二桁で定着する姿が確認できるまでは強気になりにくい水準だと思う。現時点では、業績回復の継続性を見極める段階で中立からやや慎重寄りで向き合うのが妥当な投資判断になる。
配当目的とかどうなの?
まず数字を見ると予想配当利回りは2026年3.58%、2027年も3.58%とはっきりと配当目的として成立する水準にある。一般的に3%を超えてくるとインカム狙いとして意識されやすく、この水準が2年連続で続く見通しという点は評価できる。
業績面を見ると営業利益率は3%台と低く、本業の収益力はまだ強いとは言えない。一方で、純利益は2025年以降に大きく改善しており、ROE・ROAも二桁近くまで回復している。つまり、会社としてはまだ「高収益体質」ではないが利益回復を背景に配当原資は確保できている段階にある。
この会社の配当の特徴は成長投資を最優先するタイプではなく、一定の利益が出れば比較的素直に株主還元に回す姿勢が見える点にある。営業利益率が低い割に配当利回りが3.5%超というのは、成長株というよりも回復期に入った成熟型に近い性格を帯び始めていることを示している。
ただし注意点もある。配当の持続性は現状では純利益の改善に強く依存しており、本業の営業利益が安定して積み上がる構造にはまだなっていない。もし利益が再び細れば、配当水準の維持が重荷になる可能性は残る。その意味でJTや商社のような「何があっても減りにくい配当」とは性質が違う。
結論として、日本高純度化学は配当目的として「成立はするが、安心感は中程度」という位置づけになる。利回り3.5%超は魅力的で回復が続く前提ならインカム狙いの候補にはなる。ただし、配当の安全性はまだ完全には固まっておらず、あくまで回復途上企業の配当として向き合う必要がある。高配当株の中核に据えるより、分散の一部として配当を取りにいくという使い方が一番しっくりくると思う。
今後の値動き予想!!(5年間)
日本高純度化学株式会社は電子部品の接点や接続部位に用いる貴金属めっき薬品を専業とするニッチトップ型の素材メーカーであり、特に半導体・電子部品向けの高付加価値分野に強みを持つ企業である。近年は需要調整や貴金属市況の影響を受けて収益力が低下していたが、直近では業績が底を打ち回復局面に入りつつある段階にある。営業利益率は3%台と依然として低水準だが、ROE・ROAは2025年にかけて大きく改善しており収益性は改善方向にある。一方で、PERは20倍台後半から30倍、PBRは1.3倍前後と回復期待を一定程度織り込んだ評価となっている。こうした前提を踏まえ、現在値3,515円を起点に今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。
良い場合のシナリオでは、電子部品・半導体向けの高信頼性めっき薬品需要が安定的に拡大し、日本高純度化学の技術優位性が改めて評価される展開を想定する。貴金属価格の変動を吸収しつつ、付加価値の高い製品構成が進み営業利益率は5%前後まで改善、ROEも10%超の水準が定着する。この場合、市場からは回復が定着したニッチトップ素材メーカーとして評価され、PBRは1.5倍前後まで見直される余地がある。配当利回り3.5%前後を維持できればインカム狙いの資金も入りやすく、5年後の株価は4,800円〜5,500円程度まで上昇する可能性がある。
中間のシナリオでは、業績は回復基調を維持するものの利益率の改善は緩やかにとどまり、営業利益率は4%前後、ROEは8〜10%程度で安定する状況を想定する。回復は確認できるが、高収益体質に完全に戻ったとは言い切れず市場評価は慎重なままとなる。この場合、PBRは1.1倍〜1.4倍程度にとどまり株価は大きな上昇トレンドを描かず、5年間を通じて3,300円〜4,200円程度のレンジ内で推移する可能性が高い。配当利回りが下支えとなる一方、値上がり益は限定的な現実的シナリオである。
悪い場合のシナリオでは、電子部品・半導体分野の需要が想定より伸びず、貴金属価格変動の影響を十分に吸収できない展開を想定する。営業利益率は再び3%前後にとどまり、ROE・ROAも一桁に低迷する。この場合、回復期待は後退し、市場評価は切り下がる。PBRは1.0倍を割り込み、0.8倍前後まで低下する可能性があり株価は下押しされて5年後の水準は2,600円〜3,000円程度まで下落するリスクがある。配当利回りは一時的に高く見えるが、減配懸念が意識されやすくなる。
総合すると日本高純度化学は急成長を期待する銘柄ではなく、業績回復がどこまで定着するかで評価が分かれるタイプの企業である。5年間で見ると中間シナリオが最も現実的で、株価は現在値近辺を中心としたレンジ推移になりやすい。一方で、収益性改善が明確になれば上振れ余地はあり、逆に回復が止まれば下値リスクも残る。現在値3,515円は、高配当利回りと回復期待を天秤にかけながら、慎重に向き合うべき水準と言える。
この記事の最終更新日:2026年1月1日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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