株価
タカラバイオとは

タカラバイオ株式会社は宝ホールディングス傘下に位置するバイオテクノロジー関連の研究開発型企業であり、研究用試薬・機器を主力としつつ研究受託や再生医療・遺伝子治療分野へと事業領域を広げている。本社は滋賀県草津市にあり、東京支店を東京都中央区に構えている。大学や公的研究機関、製薬企業、バイオベンチャーなど研究開発を行う組織を主要な顧客としている。
同社の成り立ちはややユニークで1967年にタカラビールがビール事業から撤退した際、醸造で培った発酵技術や微生物関連の知見を活かすため、技術者の一部を研究部門へ移したことが出発点となっている。当初は酒類事業の延長線上にあった研究活動が遺伝子工学や分子生物学の分野へ発展し、結果的にグループの中で安定した収益を生む中核事業へと成長した。
現在の事業の柱は研究用試薬・機器であり、遺伝子解析、遺伝子増幅、遺伝子導入、細胞操作などに用いられる各種試薬やキット、理化学機器を幅広く提供している。基礎研究向けから応用研究向けまで製品ラインアップが厚く、研究現場での使いやすさや再現性の高さが評価されている。この分野は景気変動の影響を比較的受けにくく、同社の業績を下支えする安定収益源となっている。
一方で、研究受託サービスやCDMO事業にも注力しており遺伝子解析・検査、細胞加工、ベクター製造など、研究・開発工程の一部を受託するビジネスを展開している。特に再生医療等製品や遺伝子治療分野では自社で全工程を賄えない企業や研究機関からの外注ニーズが高く、タカラバイオは技術力と実績を背景に存在感を高めている。受託型ビジネスは規模拡大とともに収益性の改善余地もあり、中長期的な成長ドライバーの一つと位置づけられる。
さらに、遺伝子医療、遺伝子治療、細胞医療といった先端医療分野にも取り組んでおり、研究段階から臨床応用を見据えた開発を行っている。これらの分野は研究開発期間が長く、収益化まで時間を要する一方で成功した場合のリターンは大きく、同社の事業ポートフォリオの中ではハイリスク・ハイリターンの位置づけとなっている。
加えて、医食品バイオ分野としてフコイダン関連製品や寒天オリゴ糖、明日葉カルコン関連製品などの機能性素材、さらにはハタケシメジやホンシメジといったキノコ事業も展開している。これらはバイオ技術を応用した周辺事業であり、規模は限定的ながら事業の多角化という役割を果たしている。
総合するとタカラバイオは研究用試薬・機器という安定的な収益基盤を持ちながら、研究受託やCDMO、再生医療・遺伝子治療といった成長分野へ段階的に踏み込む構造を持つ企業である。短期的には研究関連需要に支えられた堅実な事業運営、中長期では先端医療分野の進展次第で評価が大きく変わる可能性を併せ持つ点がこの会社の特徴と言える。
タカラバイオ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益EPS (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 46,086 | 13,952 | 14,159 | 9,547 | 79.3 | 16 |
| 連22.3 | 67,699 | 28,902 | 28,459 | 19,849 | 164.8 | 33 |
| 連23.3 | 78,142 | 20,541 | 20,682 | 16,012 | 133.0 | 42 |
| 連24.3 | 43,505 | 3,003 | 3,405 | 1,480 | 12.3 | 17 |
| 連25.3 | 45,039 | 2,263 | 2,592 | 1,041 | 8.7 | 17 |
| 連26.3予 | 42,000 | -4,000 | -4,400 | -9,000 | -74.7 | 0 |
| 連27.3予 | 45,000 | -3,000 | -3,500 | -4,000 | -33.2 | 0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 36,897 | -6,693 | -4,119 |
| 2024 | 1,711 | -13,043 | -5,233 |
| 2025 | 5,844 | -10,912 | -2,256 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 26.2% | 12.3% | 14.2% | ― | ― |
| 2024 | 6.9% | 1.2% | 1.3% | ― | ― |
| 2025 | 5.0% | 0.8% | 0.9% |
高値平均 100.1倍 安値平均 62.0倍 |
0.93倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の流れを見ると売上高は2024年が435億、2025年が450億、2026年予が420億と2023年の高水準から大きく落ちたあと、横ばいからやや減少方向にある。売上そのものは極端に崩れてはいないが、成長性が感じられる水準ではなく調整局面にある印象が強い。
営業利益は2024年が30億、2025年が22億と急速に縮小し、2026年予では-40億と大幅な赤字転落が見込まれている。経常利益も2024年34億、2025年25億から2026年予で-44億と同様に赤字に沈む見通しである。純利益についても、2024年14億、2025年10億から2026年予では-90億と大きな赤字が想定されており、利益面では完全に悪化フェーズに入っていることが分かる。2024年、2025年は黒字を保っているものの、利益の減り方が急で持続性はかなり弱い。
収益性を見ると営業利益率は2023年26.2%から2024年6.9%、2025年5.0%へと急低下している。2023年の数字が特需的であったことを差し引いても、その後の落ち込みは大きく研究開発型バイオ企業としても足元の収益力はかなり低い水準にある。
資本効率の面でも厳しい。ROEは2023年14.2%から2024年1.3%、2025年0.9%へとほぼゼロに近づいており、ROAも2023年12.3%から2024年1.2%、2025年0.8%まで低下している。資本や資産を使って利益を生み出す力が、短期間でほぼ失われた状態と言ってよい。
株価評価を見ると2025年の実績PERは高値平均で100.1倍、安値平均でも62.0倍と極端に高い。一方、実績PBRは0.9倍と1倍を下回っている。ただし、このPBRの低さは割安感というより、利益が出ていないために資本の価値が市場から評価されていない結果と見る方が自然である。ROEが1%未満、営業利益率が5%程度まで落ちている状況で、PERが60倍から100倍というのは業績実態と評価が大きく乖離している。
総合すると、タカラバイオは2023年の高収益期を完全に終え、現在は調整局面を超えて赤字転落が視野に入る段階にある企業と判断できる。売上は底堅いが、利益構造が大きく崩れており収益性や資本効率の回復には時間がかかりそうだ。
結論として提示された数値だけで見る限りタカラバイオは割安株でも安定株でもなく、業績不安を強く抱えた局面にある銘柄だと思う。将来の研究成果や事業転換が評価される可能性はあるものの、少なくとも足元の数字からは積極的に買いを判断できる材料は乏しく投資判断としてはかなり慎重、もしくは様子見が妥当だと感じる。
配当目的とかどうなの?
まず結論から言うと配当目的としては全く向いていない銘柄だと思う。予想配当利回りは2026年、2027年ともに0.00%で、実質的に無配が前提になっている。インカムゲインを狙う投資において、検討対象にすらなりにくい水準である。
この背景は数字を見ればはっきりしている。営業利益は急減し、2026年には営業・経常・純利益すべてが赤字に転落する予想になっている。営業利益率は2023年の26.2%から2025年には5.0%まで低下し、ROE・ROAも1%未満と資本効率はほぼ機能していない状態に近い。こうした状況では配当原資を安定的に生み出す力はなく、会社としても配当を出す余裕がない。
過去を振り返るとコロナ関連需要など特殊要因があった時期には配当も出せていたが、それはあくまで一時的な高収益の結果であり恒常的な配当力を示すものではなかった。現在の業績水準と2026年の赤字予想を踏まえると、配当は「余裕があれば出すもの」ではなく「まず止めて体力を温存するもの」という位置づけに変わっていると考えるのが自然だ。
タカラバイオの性格はもともと配当を軸にした株ではなく、研究開発や新規事業の成果による将来価値を期待するタイプである。配当を安定的に積み上げていく企業とは方向性がまったく違う。無配が続くこと自体は、この会社のビジネスモデルから見れば不思議ではない。
結論として、タカラバイオは配当目的では完全に対象外の銘柄である。インカム狙いで保有する意味はなく、配当を期待して持つと失望する可能性が高い。もし投資するなら、あくまで研究開発の成果や事業再成長による株価上昇を狙うキャピタルゲイン目的に限定される。配当を重視する投資スタイルとは相性が悪く、ポートフォリオの役割も全く別物だと言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
タカラバイオ株式会社は研究用試薬・機器を主力とするバイオテクノロジー関連企業であり、大学・研究機関・製薬企業向けの基礎研究需要を土台に事業を展開している。コロナ関連需要がピークとなった時期には高い収益性を示したが、その後は需要の反動減を受け足元では業績調整から赤字転落局面に入っている。営業利益率やROE・ROAは2023年をピークに急低下し、2025年時点では極めて低水準、2026年には赤字が見込まれている。一方でPBRは1倍をやや下回る水準にあり、市場はすでに業績悪化を織り込んだ慎重な評価をしている。こうした前提を踏まえ、現在値795.0円を起点に今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。
良い場合のシナリオでは、研究用試薬・機器の需要が安定的に回復し、加えて遺伝子解析・検査やCDMO事業が徐々に収益貢献する展開を想定する。再生医療や遺伝子治療分野での受託案件が積み上がり、営業赤字から脱却、営業利益率は数%台まで回復する。ROE・ROAも一桁後半程度まで改善し、市場からは「調整を終えた研究基盤型バイオ企業」として再評価される。この場合、PBRは1.2倍〜1.5倍程度まで見直される余地があり、5年後の株価は1,200円〜1,600円程度まで上昇する可能性がある。成長期待が戻れば、赤字局面からの回復銘柄として評価が切り上がる余地は大きい。
中間のシナリオでは、研究用試薬・機器事業は底堅く推移するものの、受託や先端医療分野の収益化は限定的にとどまり赤字からの回復は緩やかとなる。営業利益率はゼロ近辺から小幅なプラスにとどまり、ROE・ROAも低水準で推移する。業績は最悪期を脱するが、高収益体質への回帰は見えにくい。この場合、市場評価は慎重なままで、PBRは0.8倍〜1.0倍程度にとどまりやすい。株価は大きなトレンドを描かず、5年間を通じて600円〜900円程度のレンジ内で推移する可能性が高い。値上がり益は限定的で、様子見姿勢が続く現実的なシナリオである。
悪い場合のシナリオでは、研究投資の抑制や競争激化により主力の研究用試薬・機器の収益性が回復せず、CDMOや再生医療関連事業も期待ほど伸びない展開を想定する。営業赤字が長期化し、ROE・ROAはマイナス圏に低迷する。この場合、市場は構造的な低収益企業と判断し、評価はさらに切り下がる。PBRは0.5倍〜0.7倍程度まで低下する可能性があり、株価は下押しされて5年後の水準は400円〜600円程度まで下落するリスクがある。無配が続く中での下落となり、投資家心理は一段と冷え込む。
総合するとタカラバイオは急成長を期待する銘柄ではなく、調整後にどこまで事業の立て直しが進むかで評価が大きく分かれるタイプの企業である。5年間で見ると中間シナリオが最も現実的で、株価は現在値近辺を中心とした不安定なレンジ推移になりやすい。一方で、収益回復が明確になれば上振れ余地はあるが、回復が遅れれば下値リスクも大きい。現在値795.0円は、将来の再成長期待と業績不透明感を天秤にかけながら、慎重に向き合うべき水準と言える。
この記事の最終更新日:2026年1月1日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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