株価
コスモエネルギーホールディングスとは

コスモエネルギーホールディングス株式会社はコスモエネルギーグループ全体を統括する純粋持株会社であり、日本のエネルギー産業を担う中堅総合エネルギー企業グループの中核に位置付けられている。前身はコスモ石油株式会社で同社の単独株式移転により持株会社として設立された。持株会社体制に移行することで、グループ全体の戦略立案、資本政策、事業ポートフォリオ管理を担う役割を明確化している。
2016年1月にはグループ事業体制を大きく再編し供給機能を担うコスモ石油株式会社、販売機能を担うコスモ石油マーケティング株式会社、資源開発を担うコスモエネルギー開発株式会社などを直接の子会社とする体制へ移行した。これにより石油精製、物流、販売、資源開発といった各機能が分社化され、収益責任やコスト管理を明確にした経営体制が構築されている。
中核となる石油事業では原油の調達から精製、貯蔵、輸送、サービスステーションを通じた販売までを一貫して手掛けており、国内のエネルギー安定供給に重要な役割を果たしている。ガソリン、軽油、灯油、重油といった燃料油に加え、潤滑油やアスファルトなどの石油製品も幅広く展開し産業用途向けの安定的な需要を取り込んでいる。物流・備蓄・輸送関連会社を多数抱えることで、供給網全体をグループ内で完結させている点も特徴である。
販売分野では全国のサービスステーション網を基盤に、法人向け燃料供給やエネルギーソリューション事業も展開している。単なる燃料販売にとどまらず、エネルギーコスト削減や環境対応を支援する付加価値型サービスへの展開を進めており成熟市場の中での収益確保を図っている。
資源開発事業ではコスモエネルギー開発株式会社を中心に、アブダビ、カタールなど中東地域を中心とした原油開発を行っている。原油価格の変動によって業績が左右されやすい一方、上流事業として高収益を確保できる可能性を持ち、下流の精製・販売事業と組み合わせることでエネルギー価格変動への耐性を高める構造となっている。かつてはアブダビ政府系投資会社が筆頭株主として資本参加していたが、2022年に全株式が売却され現在は資本提携関係を解消している。
再生可能エネルギー分野ではコスモエコパワー株式会社を中核に風力発電事業を展開しており、国内有数の風力発電事業者として一定の実績を有している。石油事業を基盤としながらも脱炭素社会への対応を中長期戦略の柱に据え、再生可能エネルギー比率の拡大や低炭素エネルギーへの転換を進めている点が特徴である。
また、石油化学分野では丸善石油化学などの関連会社を通じて基礎化学品を製造しており、エンジニアリング、商社機能、潤滑油製造、設備管理、物流、サービス関連など、多様な周辺事業をグループ内に抱えている。これにより、エネルギー供給に関わるバリューチェーンを広範囲に内製化し、安定した事業運営を可能にしている。金融・企業グループ面では旧三和銀行系を中心とする企業集団との歴史的なつながりを持ち、三水会、水曜会、みどり会といった企業ネットワークに属している点も特徴の一つである。
総じて、コスモエネルギーホールディングスは石油事業を軸とした安定収益基盤を持ちながら、資源開発による収益変動要素と再生可能エネルギーによる成長要素を併せ持つバランス型のエネルギー企業グループである。エネルギー転換期において、安定供給と事業構造転換を同時に進める現実的な戦略を採っている点が同社の大きな特徴となっている。
コスモエネルギーホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(単位百万) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益EPS(円) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3* | 2,233,250 | 101,289 | 97,370 | 85,910 | 512.9 | 40 |
| 連22.3* | 2,440,452 | 235,303 | 233,097 | 138,890 | 829.3 | 50 |
| 連23.3* | 2,791,872 | 163,780 | 164,505 | 67,935 | 405.6 | 75 |
| 連24.3* | 2,729,570 | 149,200 | 161,615 | 82,060 | 469.1 | 150 |
| 連25.3* | 2,799,947 | 128,249 | 150,758 | 57,671 | 336.4 | 165 |
| 連26.3*予 | 2,580,000 | 123,000 | 121,000 | 53,000 | 322.9 | *165 |
| 連27.3予 | 2,620,000 | 127,000 | 125,000 | 57,500 | 350.4 | 165〜175 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 8,122 | -81,178 | 81,137 |
| 2024 | 177,944 | -32,768 | -104,178 |
| 2025 | 137,118 | -145,688 | -69,027 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER 高値-安値平均 |
PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.8% | 12.8% | 3.2% | – | – |
| 2024 | 5.4% | 13.6% | 3.7% | – | – |
| 2025 | 4.5% | 9.8% | 2.6% | 8.9倍 – 5.5倍 | 1.16倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の水準を見ると売上高は24.3期が2兆7295億円、25.3期が2兆7999億円、26.3期予想が2兆5800億円となっており、規模自体は一貫して2兆円後半という非常に大きな水準を維持しています。一方で利益面を見ると営業利益は1492億円から1282億円、さらに1230億円へと減少し、経常利益も1616億円から1507億円、1210億円へと下がっています。純利益は820億円から576億円、530億円と、よりはっきりした減益トレンドになっています。売上規模は維持されているものの、稼ぐ力はピークアウトしている状態だと読み取れます。
EPSも同様で、469円から336円、322円へと縮小しています。1株あたりで見ても利益の取り分は明確に減っており、株主価値の成長という観点では逆風の局面にあります。それにもかかわらず配当は150円から165円へ引き上げられ、その後も165円が維持される予想となっています。この点だけを見ると、配当は利益成長と連動しておらず、株主還元を優先している姿勢が数字に表れています。
収益性指標を見ると、営業利益率は2023年の5.8%から2024年に5.4%、2025年には4.5%まで低下しています。ROEも12.8%から13.6%と一度は上がったものの、2025年には9.8%まで下がっています。ROAも3.2%、3.7%から2.6%へと低下しており、売上や資産を使って利益を生み出す効率は全体として悪化傾向にあります。特にROEが10%を下回ってきている点は、資本効率の面で強さを感じにくい水準です。
次にバリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均で8.9倍、安値平均で5.5倍となっており、株価は利益水準に対してかなり低めに評価されているレンジにあります。一方でPBRは1.1倍となっており、資本効率が低下している状況でも純資産価値を上回る評価が付いています。利益が伸びていない中でPBRが1倍を超えている点は、割安とも割高とも言い切れない微妙な位置付けです。
これらの数値だけから判断すると、コスモエネルギーホールディングスは成長株として評価できる状態ではありません。利益、EPS、収益性指標はいずれもピークアウトしており、業績は明確に調整局面にあります。一方でPERは低く、配当は高水準で維持されているため、値上がり益を狙う銘柄というよりは、市況に左右されることを前提に配当を受け取る銘柄という性格が強く出ています。
結論としては、この数値水準だけを見る限り、長期の利益成長を期待して保有するタイプの銘柄ではなく、利益が減少しても配当を出し続けることを許容できるかどうかが投資判断の分かれ目になります。値上がり益狙いでは分が悪く、安定成長狙いにも向かない一方で、高配当かつ市況連動型と割り切れる投資家であれば、条件付きで検討余地がある、という位置付けになります。
配当目的とかどうなの?
まず配当水準そのものを見ると26.3期・27.3期ともに予想配当利回りは3.95%と国内株の中では十分に高配当と呼べる水準です。配当額も165円が維持される見通しであり、表面利回りだけを見れば配当目的の投資先として一定の魅力はあります。少なくとも、低配当銘柄や無配企業と比べるとインカム狙いの選択肢に入る水準です。
一方で、配当の裏付けとなる利益の動きを見ると安心感が強いとは言えません。純利益は24.3期の820億円から、25.3期は576億円、26.3期予想では530億円へと減少しており、はっきりとした減益トレンドにあります。EPSも469円から336円、322円へと下がっており、1株あたりの稼ぐ力は確実に弱まっています。この状態で配当が150円から165円へ引き上げられ、その後も維持されている点を見ると配当は利益成長に支えられているというより、還元を優先して維持されている性格が強いと言えます。
収益性指標を見ても営業利益率は5.8%から5.4%、4.5%へと低下し、ROEも13.6%から9.8%まで落ちています。ROAも同様に低下しており、事業全体としての効率は悪化傾向です。こうした数字を見る限り、配当を将来にわたって自然に増やしていける局面にはなく、むしろ配当維持のためには一定の無理を伴う可能性がある局面だと読み取れます。
バリュエーションの面ではPERが5.5倍から8.9倍と低いレンジにあり、株価はすでに慎重に評価されています。そのため、3.95%という配当利回りは成長期待が低いことの裏返しとも言えます。PBRは1.1倍と極端に割安というほどではなく、配当だけを理由に強く買われている状況でもありません。
これらを踏まえると、コスモエネルギーホールディングスは配当目的として「絶対に安心して持てる銘柄」とは言いにくい存在です。利益とEPSが伸びていない中での高配当は市況が悪化した場合に減配リスクが顕在化しやすく、安定配当株のように放置して持ち続けるタイプではありません。一方で、配当利回り3.95%という水準を評価し市況や業績の変化を定期的に確認しながら保有するのであれば、配当を取りに行く対象としての意味はあります。
結論として、コスモエネルギーホールディングスの配当投資は安定配当狙いというより、市況連動型の高配当を理解したうえでの条件付き投資に向いたものです。配当利回りの数字だけに安心感を求めるのではなく、利益水準の変化を前提に、減配の可能性も織り込んだ上で向き合う必要がある銘柄だと言えます。
今後の値動き予想!!(5年間)
コスモエネルギーホールディングスは石油精製・販売を中核に資源開発や再生可能エネルギーも手掛ける総合エネルギー企業であり、業績は原油価格やマージン環境に大きく左右される典型的な市況株である。直近では売上規模は2兆円後半を維持しているものの営業利益・経常利益・純利益はいずれもピークアウトしており、営業利益率やROE・ROAも低下傾向にある。PERは一桁台と低く、PBRは1.1倍前後と極端な割安感はないが、高配当を前提とした慎重な評価にとどまっている。こうした前提を踏まえ、現在値4,175.0円を起点に今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。
良い場合のシナリオでは、原油市況が比較的高水準で安定し精製マージンも一定水準を維持することで、営業利益率が4%台後半から5%前後で踏みとどまる展開を想定する。純利益は減少局面を脱し、EPSも300円台前半で底打ちする。ROEは10%前後を回復し、市場からは「減益は一巡し、安定収益に戻った市況株」と評価される。この場合、PERは8倍前後が許容され、PBRも1.2倍程度まで見直される余地がある。5年後の株価は5,000円前後、条件が整えば5,500円程度まで上昇する可能性があり、配当を含めたトータルリターンは比較的良好となる。
中間のシナリオでは、原油市況は上下を繰り返し利益は現状水準から大きく伸びもせず、急激に悪化もしない展開を想定する。営業利益率は4%台前半、ROEは8〜10%程度で推移し、業績は横ばい基調となる。市場からは「高配当だが成長性は乏しい市況連動型銘柄」として扱われ、PERは6〜7倍、PBRは1倍前後に収れんしやすい。この場合、株価は現在値付近を中心に上下し、5年間を通じて3,800円〜4,500円程度のレンジ内で推移する可能性が高い。値上がり益は限定的だが、配当が下支えとなる現実的なシナリオである。
悪い場合のシナリオでは、原油市況の軟化やマージン悪化により営業利益率が4%を下回り、純利益・EPSの減少が続く展開を想定する。ROEは一桁前半まで低下し配当維持に対する警戒感が強まることで、市場の評価は一段と慎重になる。この場合、PERは5倍前後まで切り下がり、PBRも1倍を割り込む水準が許容される。株価は現在値4,175円を明確に下回り、5年後の水準は2,800円〜3,300円程度まで下落するリスクがある。配当についても、減額や据え置きが意識されやすくなる。
総合するとコスモエネルギーホールディングスは急成長を期待する銘柄ではなく、原油市況と収益環境によって評価が大きく振れるタイプの企業である。5年間で見ると中間シナリオが最も現実的で、株価は現在値近辺を中心としたレンジ推移になりやすい。一方で、市況が好転すれば上振れ余地はあり、逆に環境が悪化すれば下値リスクもはっきり存在する。現在値4,175.0円は高配当の魅力と市況依存のリスクを天秤にかけながら割り切って向き合うべき水準と言える。
この記事の最終更新日:2026年1月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す