株価
TOYO TIREとは

TOYO TIRE株式会社は兵庫県伊丹市に本社を置く自動車タイヤおよび自動車用ゴム製品のメーカーであり、国内タイヤメーカーでは売上規模ベースで4位に位置づけられる企業である。1945年8月1日に設立され、戦後日本のモータリゼーションとともに成長してきた。旧社名は東洋ゴム工業株式会社で、2019年1月1日に現在のTOYO TIRE株式会社へ商号変更している。
同社は三菱商事グループの一員であり、2018年11月に三菱商事と資本業務提携を締結、509億円の追加出資を受けて三菱商事が出資比率約20%の筆頭株主となった。これにより、原材料調達、物流、海外展開などの面で三菱商事のネットワークを活用できる体制を整えている。また、三和グループに属し、三水会、水曜会、みどり会といった企業グループの主要構成企業でもある。2017年には本社を大阪市から発祥の地の一つである伊丹市へ移転し、同年中に化工品事業を売却するなど事業ポートフォリオを見直し、モビリティ分野へ経営資源を集中させた。2019年の社名変更は、同社にとって「第二の創業」と位置づけられている。
事業の中核は自動車タイヤの製造・販売であり、売上高の約9割を占める主力事業となっている。乗用車用タイヤに加え、SUVやピックアップトラック向けのライトトラック用タイヤ、トラック・バス用タイヤまで幅広く手掛けているが、特に北米市場でのSUV・ピックアップトラック向け大口径タイヤに強みを持つ点が同社の最大の特徴である。価格競争に陥りやすい汎用品ではなく、デザイン性、耐久性、走破性といった付加価値を重視した製品を展開し北米市場を成長ドライバーとして位置づけている。
ブランド戦略としては「TOYO TIRES」と「NITTO」の二つのブランドを展開している。SUV・ピックアップトラック向けの「OPEN COUNTRY」シリーズは北米を中心に高い評価を受けており、バハ1000やダカールラリーといった過酷なオフロードレースでも使用されるなど実戦を通じたブランド訴求が行われている。スポーツ性能や走行性能を重視したプレミアムタイヤとしては「PROXES」シリーズを展開し、ニュルブルクリンク24時間レースへの参戦などを通じて高性能イメージを確立している。冬用タイヤでは「OBSERVE」シリーズを展開し、SUV向けスタッドレスタイヤなどもグローバルに販売している。
研究開発体制は日本、アメリカ、ドイツの三極体制を敷き、高性能、高品質、環境対応を重視した技術開発を進めている。生産拠点は日本、アメリカ、マレーシア、中国に加え、2022年には欧州初の生産拠点としてセルビア工場を稼働させ、北米・欧州・アジアをカバーするグローバル供給体制を構築している。これにより為替変動や地域ごとの需要変化に対応しやすい事業構造となっている。
また、同社はタイヤ事業に加えて、自動車用防振ゴムやシール材などの自動車用ゴム製品も手掛けている。現在は規模を抑えつつも自動車メーカーとの取引関係を維持し、タイヤ事業を補完する位置づけとなっている。過去には多角化事業も展開していたが、近年はモビリティ分野に集中する戦略を明確にしている。
ブランド訴求の面ではモータースポーツ活動に加え、東京オートサロンやSEMAショーなどの国際的なモビリティイベントへの出展、サッカー日本代表やロサンゼルス・ドジャースへのスポンサー活動などを通じて、グローバルでの認知度向上を図っている。「まだ、走ったことのない道へ。」というブランドステートメントのもと、挑戦的で個性的なブランドイメージの構築を進めている。
総じてTOYO TIREは国内では4位規模のタイヤメーカーでありながら、北米市場における大口径SUV・ピックアップトラック用タイヤという明確な強みを持ち、価格競争に依存しない高付加価値・ニッチ戦略で差別化を図る企業である。三菱商事を筆頭株主とする安定した資本関係を背景にグローバル市場での収益拡大とブランド力向上を同時に追求する、特徴のはっきりしたタイヤメーカーと位置づけられる。
TOYO TIRE 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 EPS (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.12 | 497,213 | 44,046 | 51,035 | 47,956 | 311.5 | 80 |
| 連23.12 | 552,825 | 76,899 | 86,047 | 72,273 | 469.4 | 100 |
| 連24.12 | 565,358 | 93,981 | 102,117 | 74,810 | 485.9 | 120 |
| 連25.12予 | 590,000 | 95,000 | 90,000 | 65,000 | 422.1 | 130記 |
| 連26.12予 | 610,000 | 100,000 | 100,000 | 70,000 | 454.6 | 130〜140 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022 | 15,172 | -16,712 | -16,231 |
| 2023 | 86,503 | -14,661 | -62,894 |
| 2024 | 67,059 | -15,214 | -23,077 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 13.9 | 18.2 | 11.1 | — | — |
| 2024 | 16.6 | 15.8 | 10.3 | 3.7〜6.0 | 1.35 |
| 2025 | 16.1 | 13.7 | 8.9 | 10.27 | — |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績規模と利益の推移を見ると連23.12は売上高5,528億円、営業利益768億円、経常利益860億円、純利益722億円と非常に高い収益水準にある。連24.12は売上高5,653億円と小幅な増収ながら、営業利益は939億円、経常利益1,021億円、純利益748億円へと伸びており利益率の改善が強く表れている。連25.12予では売上高5,900億円、営業利益950億円、経常利益900億円、純利益650億円と利益はやや調整局面に入る想定だが、それでも過去と比べれば高水準を維持している。連26.12予では売上高6,100億円、営業利益1,000億円、経常利益1,000億円、純利益700億円と再び増益基調に戻る見通しとなっている。
次に収益性を見ると営業利益率は2023年13.9%、2024年16.6%、2025年16.1%と極めて高水準で推移している。製造業の中でも明らかに利益率が高く、価格競争に巻き込まれにくい事業構造であることが数字から読み取れる。北米向け高付加価値タイヤを中心とした戦略が、収益面で強く機能している状態と言える。
資本効率の面ではROEは18.2%から15.8%、13.7%へと低下傾向にあるものの、それでも2桁台を維持しており非常に高い水準である。ROAも11.1%から10.3%、8.9%と低下しているが、依然として高収益企業の水準にある。利益規模が大きいため、多少の低下があっても資本効率が著しく悪化しているとは言えない。
バリュエーションを見ると2024年の実績PERは3.7倍から6.0倍という極端に低いレンジにあり、収益力に対して市場評価がかなり抑えられていたことが分かる。PBRは1.3倍で、ROE15%超という水準を考えると資産価値に対しても割安寄りの評価であった。2025年予想PERは10.2倍とやや上昇する見通しだが、それでも依然として2桁前半であり利益水準を踏まえれば高い評価とは言えない。
これらを総合するとTOYO TIREは営業利益率、ROE、ROAのいずれを見ても非常に優秀な収益体質を持ち、業績規模も拡大基調にある。一方で、市場はタイヤ業界特有の景気循環や需要変動を意識してかPER・PBRともに抑えた評価を付けている。その結果、2024年時点では明確な割安水準、2025年予想でもなお割安感が残る状態にある。
投資判断としてはTOYO TIREは高成長株ではないものの、利益率と資本効率が極めて高い成熟型の優良企業であり数字だけを見る限り明確に収益力が高い割に評価が低い銘柄と判断できる。業績が大きく崩れない前提であれば、現在のPER水準は下値リスクを限定しやすく中長期では見直し買いが入りやすい余地がある。結論として、TOYO TIREは数値上、収益力に対して株価評価が控えめな割安寄りの実力株と位置づけられる。
配当目的とかどうなの?
まず利回り水準を見ると予想配当利回りは連25.12で2.99%、連26.12でも2.99%と約3%水準にある。高配当株と呼べる4%以上には届かないものの製造業の中では平均以上で、インカム狙いとして一定の魅力はある水準と言える。
次に配当の裏付けとなる利益規模を見ると連25.12予で純利益は650億円、連26.12予でも700億円と大きく、配当原資には十分な余裕がある。一株配当も80円、100円、120円と増配してきており、直近予想では130円、さらに26.12では130〜140円と増配余地が示されている。利益水準と照らし合わせると無理に配当を出している印象はなく、配当の持続性は高い。
収益性の面では営業利益率が13〜16%台、ROEが13%超、ROAも9%前後と非常に高水準であり、本業の稼ぐ力はかなり強い。これだけの収益力があれば多少の業績調整局面があっても、すぐに減配に追い込まれる可能性は低い。実際、配当を安定的に積み上げられる体質であることが数字からも裏付けられている。
一方で注意点もある。配当利回りは約3%とインフラ株や高配当株に比べると控えめであり、配当だけを最優先する投資スタイルにはやや物足りない。また、タイヤ事業は市況や為替、原材料価格の影響を受けやすく、業績がピークアウトした局面では増配が止まり「配当維持」に重心が移る可能性もある。
総合すると、TOYO TIREは配当目的として「悪くないが、特化型ではない」銘柄と言える。利回りは中程度だが、利益水準が非常に高く配当の安定性と緩やかな増配余地が見込める点が強みである。高配当を最優先する投資よりも業績の強さを背景に配当を受け取りつつ株価評価の見直しも期待する中長期スタンスに向いた銘柄と判断できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
TOYO TIREについて現在値4,335.0円を起点に、今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。まず全体像としてTOYO TIREは典型的な高成長株というよりも、北米向け高付加価値SUV・ピックアップトラック用タイヤを軸に非常に高い収益力を持つ成熟型のグローバル製造業と位置づけられる。営業利益率が2桁台半ばに近い水準まで上昇している点やROE・ROAが国内製造業としては極めて高い水準にある点から本業の稼ぐ力は非常に強い。一方で、PERは長らく低位に抑えられており、市場はタイヤ業界特有の景気循環や市況変動リスクを織り込んだ、慎重な評価を続けている状況にある。
良い場合のシナリオでは、連25.12予、連26.12予で示されている売上高5,900〜6,100億円、営業利益950〜1,000億円、純利益650〜700億円といった高水準の利益が計画通りに実現し、その後も大きく崩れずに推移する。営業利益率は15%前後、ROEも10%台半ばを維持し、収益力の高さが改めて市場に評価される。この場合、PERは過去の極端な低水準から見直され、予想PERである10倍前後、場合によっては12倍程度まで許容される可能性がある。EPS水準を前提にすると株価は5,000円前後、評価が一段進めば6,000円近辺まで上昇する余地が出てくる。配当利回りは2%台後半から3%程度に低下するが、キャピタルゲインを含めたトータルリターンは大きく改善する展開となる。
中間のシナリオでは、業績は概ね会社予想通りに推移するものの、これ以上の利益率改善や成長ストーリーは見えにくい。営業利益率は15%前後で横ばい、ROE・ROAも緩やかに低下しつつ高水準を維持する。市場評価も大きく変わらずPERは8〜10倍程度に落ち着き、株価は4,000円台前半から4,800円程度のレンジで推移しやすい。この場合、株価の値上がり余地は限定的だが、配当利回り約3%を安定的に受け取りながら保有する形となり業績の安定感を重視する中長期投資に適した展開となる。
悪い場合のシナリオでは、北米需要の減速や原材料価格の上昇、為替の逆風などにより、利益がピークアウトする。営業利益率が13%前後まで低下しROE・ROAも1桁台前半へと下がると、市場は再び慎重姿勢を強める。この場合、PERは実績レンジである6倍前後あるいはそれ以下に固定され、株価は3,000円台後半から3,500円程度まで下落する可能性がある。地合いが悪化すれば一時的に3,000円近辺まで調整する場面も想定される。ただし、配当利回りは相対的に高まり、下値では一定の買いが入りやすい構造となる。
総合すると、TOYO TIREの5年間の値動きはインフロニア・ホールディングスのような配当重視のインフラ株とは異なり、「高収益だが評価が低めな製造業株」として評価倍率の見直しがどこまで進むかが最大のポイントになる。良い場合で5,000〜6,000円程度、中間では4,000円台前半から4,800円程度、悪い場合でも3,000円台前半から後半までの調整にとどまるイメージである。現在値4,335円はすでに業績の強さをある程度織り込みつつもなお慎重な評価が残る水準であり、今後5年間は急騰を狙う銘柄というより収益力と評価修正のバランスを見ながら中長期で付き合う銘柄としての性格が強いと言える。
この記事の最終更新日:2026年1月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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