株価
住友ゴム工業とは

住友ゴム工業株式会社は兵庫県神戸市中央区脇浜町および東京都江東区豊洲に本社を置く、住友グループに属する総合ゴムメーカーである。1909年創業の長い歴史を持ち、現在はタイヤ事業を中核にスポーツ用品や産業用ゴム製品まで幅広く事業を展開している。白水会および住友グループ広報委員会に属し、国内タイヤメーカーでは2位の地位にある。世界市場ではドイツのコンチネンタルなどに次ぐ世界第5位クラスのタイヤメーカーとして位置づけられている。
同社の主力事業はタイヤ事業であり売上高の大半を占めている。乗用車用タイヤを中心にSUV用、トラック・バス用、スタッドレスタイヤ、オールシーズンタイヤなど幅広いラインアップを持つ。ブランド戦略の中核は「DUNLOP(ダンロップ)」であり、低燃費・静粛性を重視したVEUROやLE MANS、ENASAVEシリーズ、高性能車向けのSP SPORT MAXXやDIREZZA、SUV向けのGRANDTREK、冬用のWINTER MAXX、オールシーズンのSYNCHRO WEATHERなど多様な用途に対応した製品群を展開している。また、グローバルブランドとして「FALKEN(ファルケン)」の育成にも力を入れており、特に海外市場やスポーツイメージの強化を担うブランドとして位置づけられている。
海外展開の面では欧米・アジアを中心にグローバルで事業を行っており、1999年から2015年にかけては米国グッドイヤー社と欧米市場で合弁事業を展開していた実績を持つ。現在は自社主導の体制で、北米、欧州、中国、東南アジアなどに生産・販売網を構築している。
タイヤ事業に加えて住友ゴム工業はスポーツ事業も重要な柱としている。ゴルフクラブ、ゴルフボール、テニス用品などのスポーツ用品を製造・販売しており、特にゴルフ用品分野では世界的に高い知名度とシェアを持つ。また、スポーツ施設の運営にも関わっており、「つくる」だけでなく「使われる場」を含めた事業展開を行っている点が特徴である。
さらに、産業品分野では防振ゴム、制振・免震ゴム、土木・建築向けゴム製品、医療関連ゴム製品などを手掛けており、自動車以外の分野でもゴム技術を生かした事業を展開している。これにより、タイヤ市況に左右されにくい事業ポートフォリオの構築も進めている。
生産拠点としては日本国内に白河工場、名古屋工場、泉大津工場、宮崎工場を有し、安定した国内生産体制を維持しているほか海外にも複数の製造拠点を持つ。研究開発についても、日本を中心にグローバルで展開し、安全性、耐久性、環境性能を重視した技術開発に取り組んでいる。
総合すると、住友ゴム工業は国内タイヤ市場で2位、世界でも上位に位置するタイヤメーカーであり、「ダンロップ」を軸とした強いブランド力と「ファルケン」の育成による海外展開、さらにゴルフ用品やスポーツ施設運営まで含めた多角的な事業構造を持つ企業である。タイヤを中心としつつ、スポーツ・産業分野にも広がる事業基盤を持つ点が同社の大きな特徴と言える。
住友ゴム工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 EPS (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ◇22.12 | 1,098,664 | 14,988 | 22,539 | 9,415 | 35.8 | 35 |
| ◇23.12 | 1,177,399 | 64,490 | 62,745 | 37,048 | 140.9 | 58 |
| ◇24.12 | 1,211,856 | 11,186 | 16,251 | 9,865 | 37.5 | 58 |
| ◇25.12予 | 1,200,000 | 84,000 | 74,000 | 45,000 | 171.2 | 70 |
| ◇26.12予 | 1,240,000 | 102,000 | 96,000 | 58,000 | 220.7 | 70〜90 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022 | 27,869 | -78,697 | 41,556 |
| 2023 | 169,800 | -62,230 | -95,568 |
| 2024 | 104,325 | -64,659 | -35,623 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.4 | 5.9 | 2.9 | — | — |
| 2024 | 0.9 | 1.5 | 0.7 | 22.9〜33.8 | 0.95 |
| 2025 | 7.0 | 6.8 | 3.3 | 14.1 | — |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績規模を見る。23.12は売上高1.17兆円、営業利益644億円、経常利益627億円、純利益370億円で、タイヤメーカーとしては標準的だが安定した収益水準にあった。
24.12は売上高1.21兆円と増収である一方、営業利益111億円、経常利益162億円、純利益98億円と利益が急減しており、明確な失速局面となっている。25.12予では売上高1.20兆円、営業利益840億円、経常利益740億円、純利益450億円と、一気に23年水準を上回る回復が想定されている。26.12予では売上高1.24兆円、営業利益1,020億円、経常利益960億円、純利益580億円と、利益規模は過去最高水準を更新する前提となっている。
次に収益性を見ると、営業利益率は23年5.4%、24年0.9%、25年7.0%と振れ幅が非常に大きい。24年はほぼ利益が出ていない水準まで落ち込んでおり、同社の収益構造が原材料価格や市況変動の影響を強く受けることが明確に表れている。一方で、25年予では7.0%まで回復する前提であり、正常化すれば一定の収益力は持つ企業といえる。
ROEは23年5.9%、24年1.5%、25年6.8%、ROAは23年2.9%、24年0.7%、25年3.3%で、24年に極端な低下を見せた後、回復する想定ではあるが、いずれも高水準とは言えず、資本効率は低めである。
バリュエーション面では、24年は実績PERが22.9〜33.8倍と極端に高く見えるが、これは利益が急減したことによる見かけ上の数値であり、割高というより業績悪化の反映と考えられる。PBRは0.9倍で、資産価値に対しては割高感はない。25年予想PERは14.1倍まで低下しており、利益回復を前提にすれば評価は落ち着いた水準に戻る。
以上を総合すると、住友ゴム工業は24年に大きく業績を落とし、25年・26年に急回復するという業績変動の大きさが最大の特徴である。営業利益率・ROE・ROAはいずれも安定的に高い企業ではなく、好不調の波が大きい。そのため、評価もPER一桁台から二桁後半まで振れやすい構造にある。
投資判断としては、住友ゴム工業は安定高収益株ではなく、業績回復前提で評価される循環株と位置づけられる。25年・26年予想どおりの利益回復が実現すれば、PER14倍前後、PBR1倍未満という水準は割高ではなく、一定の見直し余地はある。一方で、再び市況悪化が起きれば、利益率・ROEの低さが強く意識され、評価が急速に低下するリスクも大きい。数値だけで判断すると、現在は「回復期待込みで中立、ただし慎重さが必要」という位置づけであり、安定性よりも業績の波を許容できる投資家向けの銘柄と言える。
配当目的とかどうなの?
まず利回り水準を見ると予想配当利回りは25.12で2.9%、26.12でも2.9%と概ね3%弱の水準にある。一般的に高配当株とされる4%以上には届かず、インカム狙いに特化した銘柄とは言いにくい。一方で、製造業の中では平均的からやや上の利回り水準であり極端に低いわけでもない。
次に配当の裏付けとなる利益規模を見る。25.12予では純利益450億円、26.12予では580億円が想定されており、予想配当70円、26年は70〜90円という水準は利益規模から見て無理のある数字ではない。少なくとも現時点では配当が利益を大きく上回るような不安定な状態ではなく、配当の持続性は一定程度見込める。
ただし注意点として、住友ゴム工業は業績の振れ幅が大きい企業である。実際に24年は純利益が98億円まで落ち込み、利益率・ROE・ROAが急低下した。このような局面では配当は「増やす」よりも「維持」に重心が移りやすく、状況次第では減配リスクが顕在化する可能性もある。安定的に毎年増配を期待できるタイプではない点は押さえておく必要がある。
総合すると、住友ゴム工業は配当目的として「悪くはないが、強くはない」銘柄と言える。利回りは約3%で下支えとしては機能するが、インフラ株や高配当株のような安心感はない。業績が想定どおり回復すれば配当維持から緩やかな増配も期待できる一方、再び業績が悪化すれば減配リスクも同時に抱える。配当を主目的にするよりも、業績回復と株価評価の変化を見込みつつ配当を「おまけ」として受け取るスタンスに向いた銘柄と判断できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
住友ゴム工業について現在値2,413.5円を起点に、今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。まず全体像として住友ゴム工業は高成長株というより、タイヤ市況や原材料価格の影響を強く受ける循環型の製造業であり業績の振れが大きい点が最大の特徴である。営業利益率・ROEともに安定して高い企業ではなく、好不調の波が株価にそのまま反映されやすい。その一方で、PBRは1倍前後と低く配当利回りも約3%あるため、下値では一定の支えが入りやすい構造になっている。
良い場合のシナリオでは、25.12予、26.12予で示されている業績回復が計画通りに進み、売上高1.2兆円超、営業利益1,000億円前後、純利益500億円超の水準が定着する。営業利益率は7%前後、ROEも6〜7%台で安定し業績のブレが小さくなる。この場合、市場は同社を「回復済みの安定収益株」として再評価し、PERは現在の予想14倍前後から16〜18倍程度まで許容される可能性がある。EPS水準を前提にすると株価は3,000円前後、評価が進めば3,300円程度まで上昇する余地がある。配当利回りは2%台後半に低下するが、インカムとキャピタルの両立が期待できる展開となる。
中間のシナリオでは、25年・26年の利益回復は実現するものの、その後は市況の影響を受けて横ばいに近い推移となる。営業利益率は6%前後、ROEも6%前後で安定するが、明確な改善トレンドは見られない。市場評価も大きく変わらずPERは12〜14倍程度にとどまり、PBRも1倍前後で推移する。この場合、株価は2,300円から2,700円程度のレンジ相場になりやすく、5年間で大きな値上がりは期待しにくい。一方で、配当利回り約3%が下支えとなり、配当を受け取りながら保有する展開になる。
悪い場合のシナリオでは、再び原材料価格の上昇や需要減速が起こり、利益が計画を下回る。営業利益率が5%を割り込みROEも5%未満まで低下すると、市場は同社を低収益な成熟企業として厳しく評価する。この場合、PERは10倍前後、あるいはそれ以下に抑えられPBRも0.8倍前後まで低下する可能性がある。EPSが伸び悩めば、株価は1,900円から2,100円程度まで下落するリスクがあり、地合い次第では一時的に1,800円台を付ける可能性もある。ただし、この水準では配当利回りが4%近くまで上昇するため、下値は比較的固まりやすい。
総合すると、住友ゴム工業の5年間の値動きは成長株のように大きな上昇を狙う展開よりも、業績回復の成否と市況環境によって緩やかに評価が上下する循環株らしい動きになる可能性が高い。良い場合で3,000円台前半、中間では2,300〜2,700円程度のレンジ、悪い場合でも2,000円前後までの調整にとどまるイメージである。現在値2,413.5円は、回復期待と慎重評価が拮抗した水準であり、今後5年間は値上がり益よりも、配当を受け取りながら業績動向を見守るスタンスに向いた銘柄と言える。
この記事の最終更新日:2026年1月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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