株価
有沢製作所とは

株式会社有沢製作所は新潟県上越市に本社を置く、エレクトロニクス関連材料を中心とした高機能素材メーカーである。創業は1909年と古くもともとはバテンレースの製造から事業を開始したが、ガラス繊維との出会いを契機に事業領域を大きく転換し現在の電子材料・産業材料メーカーとしての基盤を築いた。
同社の発祥はガラス繊維であり長年にわたり培ってきた繊維技術が最大の強みとなっている。有沢製作所は「織る」「塗る」「形づくる」という一貫した製造技術を中核に据え、素材開発から加工、成形までを自社で担える体制を構築してきた。特に、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維などの最先端素材を自在に織り上げる技術力は国内でも屈指であり、日本における新素材繊維の試織の多くを手がけてきた実績を持つ。
主力事業はプリント配線板向けの電子材料である。ガラスクロスやフィルムを基材にエポキシ樹脂などを塗工したプリプレグは高い電気絶縁性と信頼性を持ち、パソコン、スマートフォン、通信機器、自動車向け電子機器など幅広い分野で使用されている。電子機器の小型化・高性能化が進む中で同社の電子材料は不可欠な存在となっており、売上の中核を占めている。
これに加えて電気絶縁材料分野でも存在感を強めている。高耐熱・高信頼性が求められる電力設備や各種電気機器向けに、ガラス繊維と樹脂を組み合わせた絶縁材料を提供しており、電力・インフラ分野を支える材料として採用が進んでいる。
近年は産業用構造材料の拡大にも注力している。織りや塗工を施した素材をプレス成形、フィラメントワインディング成形、引抜成形などの技術でFRPとして成形し、軽量で高強度、耐食性・耐候性に優れた構造材料を提供している。これらは航空機や宇宙機器の内装材、医療機器、土木・建設関連製品、超純水製造設備や海水淡水化設備向け部材など、幅広い用途で活用されている。
ディスプレイ材料分野も重要な事業の一つであり、レンズや光学フィルム、3D立体表示用位相差板、レンチキュラーレンズ、プロジェクター用大型反射スクリーンなどを手がけている。液晶や有機ELといったディスプレイ技術の進化に対応し、高い光学特性と加工精度を武器にニッチだが付加価値の高い市場を狙っている。
事業拠点は上越本社を中心に東京本社、大阪支店、複数の工場や研究開発拠点を有しており、技術開発センターやディスプレイ材料開発センターを通じて研究開発型企業としての性格を強く保っている。総合すると、有沢製作所はガラス繊維技術を起点に電子材料を主力としながら、電気絶縁材料、産業用構造材料、ディスプレイ材料へと事業領域を広げてきた高機能素材メーカーである。派手さはないが、エレクトロニクスや産業の基盤を支える縁の下の存在として高い技術力と安定したニッチ競争力を持つ企業だと言える。
有沢製作所 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 46,439 | 3,118 | 3,578 | 2,160 | 64.9 | 39 |
| 22.3 | 43,089 | 3,320 | 4,204 | 3,911 | 117.4 | 95特 |
| 23.3 | 42,722 | 2,228 | 2,717 | 2,856 | 86.5 | 90 |
| 24.3 | 42,114 | 1,483 | 1,488 | 1,639 | 49.5 | 60 |
| 25.3 | 49,815 | 4,893 | 5,267 | 3,969 | 119.5 | 96 |
| 26.3予 | 52,000 | 4,700 | 4,500 | 3,200 | 96.2 | 88 |
| 27.3予 | 53,500 | 4,900 | 4,900 | 3,500 | 105.2 | 88 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 23.3 | 3,471 | 508 | -2,572 |
| 24.3 | 3,219 | -1,061 | -3,415 |
| 25.3 | 4,548 | -2,076 | -4,086 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER (高値/安値) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 23.3 | 5.2 | 6.0 | 4.2 | – | – |
| 24.3 | 3.5 | 3.5 | 2.3 | – | – |
| 25.3 | 9.8 | 8.1 | 5.5 | 14.3 / 9.3 | 1.18 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績を億円ベースで見ると24.3期は売上約421億円に対して営業利益約14億円、経常利益約14億円、純利益約16億円という水準である。25.3期は売上約498億円と大きく伸び、営業利益は約48億円、経常利益約52億円、純利益約39億円と利益面が大幅に改善している。26.3期予想では売上約520億円、営業利益約47億円、経常利益約45億円、純利益約32億円と25.3期比ではやや減益だが、高水準の利益を維持する計画となっている。
収益性を見ると営業利益率は23.3期5.2%、24.3期3.5%と一度低下したものの、25.3期には9.8%まで大きく改善している。素材メーカーとしては比較的高い水準であり、電子材料を中心とした高付加価値製品が収益に貢献していることがうかがえる。ROEも6.0%、3.5%から25.3期には8.1%まで回復しており、自己資本に対する利益創出力は改善基調にある。ROAも同様に4.2%、2.3%から5.5%へ上昇しており資産効率の面でも好転が見られる。
一方で、26.3期予想では営業利益・純利益が25.3期のピークからはやや低下する見込みであり、足元の高収益がどこまで持続するかは不透明な部分もある。業績は明確に改善しているが成長が直線的に続くというよりは、需要環境や電子材料市況の影響を受けながら上下するタイプと考えられる。
バリュエーション面では25.3期実績PERは高値平均14.3倍、安値平均9.3倍と極端な割高感はない。PBRは1.1倍台と、資産価値に対してはほぼ妥当水準、やや評価され始めた段階といえる。ROEが8%前後まで改善してきていることを考えるとPBR1倍超は合理的な水準であり、これ以上の評価拡大にはROEが安定して10%近くまで上がるかどうかが一つの目安になる。
これらを総合すると有沢製作所は電子材料を主力とする高付加価値型の素材メーカーとして、足元では業績・収益性ともに明確な改善局面にある。営業利益率、ROE、ROAはいずれも上向いており、事業の競争力は数字上しっかり示されている。一方で、PER・PBRはすでに「割安」と言い切れる水準ではなく、市場は業績改善をある程度織り込み始めている。
投資判断としては安定成長と収益性改善を評価する中長期向けの銘柄と位置づけられる。高成長で評価が跳ねるタイプではないが、利益水準が維持されれば現在の評価は妥当で緩やかな株価上昇と安定した配当を期待できる余地がある。反対に、25.3期の高収益が一過性に終わる場合には、PER調整による株価の伸び悩みも想定されるため、今後数年の利益水準の持続性を見極めながら付き合う銘柄と考えられる。
配当目的とかどうなの?
有沢製作所を配当目的で見ると、数字上はかなり魅力が出てきている状況だといえる。予想配当利回りは26.3期・27.3期ともに5.10%と東証プライム全体で見ても高水準であり、素材・電子材料系の中堅メーカーとしては明確に「高配当株」の部類に入る。これだけの利回りが確保できる時点で、インカム狙いの投資対象としての条件は十分に満たしている。
業績面を前提に考えると25.3期は営業利益率9%台、ROE8%台まで改善しており、利益創出力はここ数年で明確に強くなっている。26.3期予想では利益はやや減少するもののそれでも営業利益は40億円台、純利益30億円台を維持する計画であり、配当原資が急激に細るような水準ではない。配当性向を極端に引き上げて無理をしている印象もなく、現状の利益水準が続く限り5%前後の利回りは現実的に維持可能なレンジに見える。
一方で注意点としては有沢製作所は典型的な「業績安定一辺倒」の企業ではなく、電子材料需要や顧客の設備投資動向に左右されやすい面があることだ。実際、過去には営業利益率が3%台まで落ち込んだ年もあり、業績には波がある。そのため、景気後退やエレクトロニクス市況の悪化局面では、減益とともに配当水準が見直されるリスクはゼロではない。
それでも、現在のPBRは1倍前後、PERも10倍前後と極端な割高感はなく株価自体はすでに「高配当前提」をある程度織り込んだ水準にある。つまり、配当利回り5%超は一時的な異常値というより、今の評価水準であれば比較的持続しやすい水準と考えられる。
総合すると、有沢製作所は「値上がり益を大きく狙う銘柄」ではないが、「業績改善を背景に、5%前後の配当を取りながら中期で保有する」配当目的にはかなり相性が良い銘柄といえる。株価が大きく上がらなくても、配当を積み上げることでトータルリターンを確保するタイプでありインカム重視の投資スタンスには十分に検討価値がある。一方で、景気循環の影響は受けるため、完全なディフェンシブ高配当株ではなく「業績とセットで配当を確認し続ける前提」の配当株という位置づけが妥当だろう。
今後の値動き予想!!(5年間)
有沢製作所について現在値1,723.0円を起点に、今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。まず全体像として有沢製作所はガラス繊維技術を基盤とした電子材料メーカーであり、プリント基板向け材料を中心に電気絶縁材料や産業用構造材料へと用途を広げてきた企業である。急成長株ではないが利益率改善と高配当を軸に評価されやすいタイプで、株価の焦点は成長期待よりも収益の安定性と配当水準に置かれている。
良い場合のシナリオでは、電子材料需要が堅調に推移し、営業利益率が8〜10%前後で安定する。ROEも8%台で定着し配当は1株80円前後を維持、利回りは4〜5%台となる。この場合、市場は同社を「高配当かつ収益安定型の電子材料メーカー」として再評価し、PERは12〜15倍、PBRは1.2倍前後まで許容される可能性がある。EPS水準を前提にすると、株価は2,200円〜2,500円程度まで緩やかに上昇する余地があり、配当と値上がり益の両方でトータルリターンが期待できる展開となる。
中間のシナリオでは、業績はおおむね計画通りだが電子材料市況に大きな追い風も逆風もなく、利益水準は横ばいで推移する。営業利益率は6〜8%、ROEは6〜7%程度にとどまり、配当は現状水準を維持するが増配余地は限定的となる。この場合、PERは9〜12倍、PBRは1倍前後で落ち着き、株価は1,600円〜2,000円程度のレンジで上下しやすい。5年間で見れば株価の伸びは小さいものの5%前後の配当を積み上げることで、トータルでは堅実なリターンが見込める。
悪い場合のシナリオでは、エレクトロニクス市況の悪化や顧客の設備投資減速により、利益率が再び低下する。営業利益率が4〜5%台まで落ち込みROEも5%前後に低下すると、市場は収益力の不安定さを意識し始める。この場合、PERは7〜9倍、PBRは0.8〜0.9倍程度まで評価が切り下がり、株価は1,300円〜1,500円程度まで調整する可能性がある。ただし、配当は一定程度維持される可能性が高く、利回りが6%前後まで上昇することで下値は比較的限定されやすい。
総合すると、有沢製作所の5年間の値動きは大きな成長で株価が倍増するタイプではなく、配当を軸に評価が上下する緩やかな展開が想定される。良い場合で2,400円前後、中間では1,600〜2,000円、悪い場合でも1,400円前後が一つの目安となる。現在値1,723円はすでに高配当を意識した水準であり、今後5年間は値上がり益よりも配当を受け取りながら中長期で保有する銘柄としての性格が強いと考えられる。
この記事の最終更新日:2026年1月3日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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