株価
フジミインコーポレーテッドとは

フジミインコーポレーテッドは、半導体製造用研磨材を中核とする世界的な研磨材メーカーであり、CMP(化学機械研磨)製品およびシリコンウエハ研磨材の分野で世界トップクラス、特にウエハ研磨材では世界首位のシェアを持つ企業である。本社は愛知県清須市に置き、1950年に不二見研磨材工業所として創業した、日本における精密人造研磨材のパイオニアである。
フジミの事業の根幹は、半導体シリコンウエハの製造工程に不可欠な研磨材である。単結晶シリコンインゴットのスライス後に行われるラッピング材、ファイナルポリシング材の分野では他社を圧倒する世界シェアを持ち、これが同社の収益の柱となっている。これらの研磨材はウエハ表面の平坦性や欠陥密度を左右し、半導体デバイスの歩留まりや性能に直結するため、極めて高い品質と安定性が求められる分野である。
近年特に重要性が高まっているのが、半導体デバイス製造工程におけるCMP(化学的機械的研磨)向け研磨材である。フジミはCMPスラリー分野でも世界的な競争力を持ち、特にトランジスタ素子形成工程であるFEOL(前工程)のポリシリコン向けCMP研磨材では世界シェアの過半を占めている。先端ロジック半導体や微細化が進むプロセスほど研磨材への要求水準は高く、ここでの強みは同社の技術力と参入障壁の高さを象徴している。
同社の競争力の源泉は、研磨材の基礎となる粉体技術、特に分級技術にある。粒径や分布をナノレベルで制御する技術を長年蓄積しており、これを基盤としてCMPスラリー、機能性研磨材、ハードディスクドライブ基板用研磨材などへ展開してきた。半導体用途にとどまらず、光学レンズ、ハードディスク、電子部品、ディスプレイ、LED、パワーエレクトロニクス用部品など、高精度な表面加工が求められる分野で幅広く製品を提供している。
また、研磨材技術の延長として、溶射材などの皮膜形成材分野にも事業を拡大している。航空機、鉄鋼、半導体装置などで使用される溶射用途向け材料を手がけ、粉体技術を応用した新たな収益機会の創出を進めている点も特徴である。
事業拠点は、本社・枇杷島工場を中心に、稲沢工場、各務原工場、各務東町工場、研究開発センターなどを中部地方に集約しており、研究開発と生産の連携を重視した体制を構築している。研究開発投資への意識は非常に高く、先端半導体プロセスへの対応力が同社の持続的競争優位につながっている。
業績面では、半導体市況の影響を受けるものの、参入障壁の高い分野で世界シェアを持つことから利益率は高く、2022年3月期には純利益が過去最高を更新し、営業利益率23%という素材メーカーとしては極めて高い水準を記録した。社員への還元姿勢も強く、賞与水準が高い点も特徴の一つである。
総合すると、フジミインコーポレーテッドは、半導体製造の中でも特に重要度が高く代替の効きにくい研磨工程を支えるキーマテリアル企業であり、CMPおよびウエハ研磨材というニッチかつ高付加価値分野で世界的な競争力を確立している。半導体市況による変動はあるものの、技術力とシェアを背景に、長期的には半導体の高度化とともに成長が期待される研磨材メーカーと位置づけられる。
フジミインコーポレーテッド 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3* | 41,956 | 7,639 | 7,709 | 5,607 | 75.6 | 38.3 |
| 連22.3* | 51,731 | 12,059 | 12,490 | 9,156 | 123.5 | 61.7 |
| 連23.3* | 58,394 | 13,243 | 13,595 | 10,594 | 142.7 | 73.3 |
| 連24.3 | 51,423 | 8,251 | 8,958 | 6,499 | 87.6 | 73.34 |
| 連25.3 | 62,503 | 11,780 | 12,251 | 9,428 | 127.1 | 73.34 |
| 連26.3予 | 68,000 | 13,000 | 12,700 | 9,400 | 126.7 | 73.34 |
| 連27.3予 | 75,000 | 14,000 | 13,700 | 10,000 | 134.8 | 73.34〜75 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 7,377 | -822 | -6,139 |
| 2024 | 7,452 | -5,311 | -5,636 |
| 2025 | 12,987 | -15,874 | -5,636 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER 高値平均/安値平均 |
PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 22.6% | 15.3% | 13.2% | – | – |
| 2024 | 16.0% | 8.9% | 7.8% | – | – |
| 2025 | 18.8% | 12.3% | 10.3% | 30.3倍/17.7倍 | 2.21倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績規模を億円単位で見ると、売上高は24.3期で約514億円、25.3期で約625億円、26.3期予想で約680億円と、半導体市況の調整を挟みつつも中期的には拡大基調にある。営業利益は24.3期で約82億円、25.3期で約117億円、26.3期予想で約130億円と、売上以上に利益の回復・拡大が目立つ。経常利益も同様に約89億円→約122億円→約127億円と推移しており、収益構造は依然として強い。純利益は24.3期で約64億円、25.3期で約94億円、26.3期予想で約94億円と高水準で安定している。
収益性指標を見ると、営業利益率は2023年22.6%から2024年16.0%へ一度低下したものの、2025年には18.8%まで回復している。素材メーカーとしては非常に高い水準であり、CMPやウエハ研磨材という高付加価値分野での競争力が数字に表れている。ROEは15.3%→8.9%→12.3%、ROAは13.2%→7.8%→10.3%と、市況調整期に一度落ち込んだ後、再び二桁水準へ戻りつつある。資本効率は循環的ではあるが、構造的に弱体化している様子は見られない。
一方で評価面を見ると、2025年実績ベースのPERは高値平均30.3倍、安値平均17.7倍とレンジが広いが、いずれにしても市場平均と比べて高い。PBRも2.2倍程度と、すでに高収益・高技術企業としての評価を織り込んだ水準にある。利益率やROEの高さを考えれば一定のプレミアムは妥当だが、明確な割安感があるとは言いにくい。
以上を踏まえると、フジミインコーポレーテッドは営業利益率・ROE・ROAいずれも高水準で、事業の質は極めて高い。半導体市況に左右される局面はあるものの、26.3期予想でも利益水準は維持されており、収益基盤の強さは確認できる。一方で、PER・PBRはすでに高く、株価は将来の成長と高収益体質を相当程度織り込んでいる状態である。
結論として、フジミインコーポレーテッドは業績面だけを見れば「優良中の優良」だが、評価面では成長前提の価格帯にある。今後の投資判断は、短期的な割安狙いよりも、半導体の中長期成長とCMP・ウエハ研磨材での世界シェア維持を信じて保有できるかどうかが分かれ目になる銘柄であり、業績の安定成長を前提とした中長期志向向けの高品質株と位置づけられる。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りは、26.3期・27.3期ともに3.09%と、製造業・素材株の中では中程度からやや高めの水準にある。銀行預金や国債と比べれば十分に魅力があり、極端に低いという印象はない。一方で、4~5%台の高配当株と比べると、純粋な配当利回り重視銘柄とは言い切れない位置づけである。
配当の裏付けとなる収益力を見ると、営業利益率は18%前後、ROEは12%台、ROAは10%台と非常に高く、本業の稼ぐ力は強い。営業CFも安定しており、配当原資そのものに不安は感じにくい。実際、業績が一時的に落ち込んだ24.3期でも配当水準を維持しており、配当の安定性という点では評価できる。
一方で注意点として、同社は成長投資を重視する局面では投資CFが大きくマイナスになりやすく、キャッシュは設備投資や研究開発に優先的に使われる傾向がある。今後も先端半導体向けCMPやウエハ研磨材での競争力維持には投資が欠かせず、配当性向を大きく引き上げていくタイプの企業ではない。そのため、配当が毎年大きく増えていくというよりは、一定水準を安定的に維持する性格が強い。
また、PERは17倍〜30倍、PBRは2倍超と評価水準が高いため、配当利回りだけを目的に高値圏で買うと、株価調整局面ではトータルリターンが悪化しやすい点も意識しておく必要がある。高配当株にありがちな「株価は動かないが配当だけもらえる」タイプとは異なり、株価変動リスクはそれなりにある。
総合すると、フジミインコーポレーテッドは「配当だけを最大化したい投資家」向けの銘柄ではないが、「高収益・高技術企業に投資しつつ、3%前後の配当を安定的にもらいたい」というスタンスには合っている。配当はあくまで副収入で、主軸は事業の質と中長期的な成長、その上で配当もきちんと出る、という位置づけで考えるのが現実的な銘柄である。
今後の値動き予想!!(5年間)
フジミインコーポレーテッドについて、現在値2,371円を起点に、今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。フジミインコーポレーテッドは、世界首位級の半導体シリコンウエハ研磨材やCMP(化学機械研磨)用スラリーなど高付加価値素材を手がける企業で、営業利益率15〜20%台、ROE10%台超と高い収益性を持つ。製造拠点や研究開発体制を中部圏に集中させ、高度な粉体・分級技術を核に製品力を築いている。世界的な半導体設備投資や電子部品需要の動向に業績は左右されるものの、成熟したニッチ領域でシェアを持つ安定感と、高付加価値製品への依存比率が高い点が強みである。
良い場合のシナリオでは、世界的な半導体設備投資が再加速し、メモリ・ロジックの微細化・高集積化の投資サイクルが延伸する。CMPやウエハ研磨材の需要が想定以上に強く、売上・利益が年率8〜10%の成長を続け、営業利益率も20%前後を維持する。このような高収益が継続するならば、市場評価もプレミアムを維持しやすく、PERが25〜30倍程度、PBRが2〜2.5倍程度で付けられる可能性がある。この場合、株価は3,000円〜3,800円程度まで上昇する余地がある。配当利回りは相対的に低下するが、配当込みでもトータルリターンは良好となる。
中間のシナリオでは、半導体や電子機器向けの設備投資は大きく崩れず、緩やかな成長が続く。売上・利益は年率3〜6%程度で伸び、営業利益率は18%前後、ROEは10〜12%台で安定する。市場評価はPER15〜22倍、PBR2倍前後で推移しやすい。この場合、株価は2,300円〜2,900円程度のレンジで推移する可能性が高い。配当利回りは市場評価水準の変動に応じて3%前後で推移し、配当受領を続けながら緩やかな値上がりが期待できる。ただし値上がりの加速は限定的で、底堅い事業基盤を背景に「緩やかな上昇トレンド」という形で着地する。
悪い場合のシナリオでは、世界的な景気減速や半導体向け設備投資の大幅縮小が長期化し、CMPやウエハ研磨材の需要が鈍化する。売上と利益は横ばい〜微減傾向になり、営業利益率が15%割れ、ROEも10%を下回る局面が生じる。市場評価は慎重になり、PERは10〜15倍、PBRは1.5倍前後まで低下する可能性がある。この場合、株価は1,700円〜2,100円程度まで調整するリスクがある。配当利回りは一時的に上昇するが、業績悪化の懸念が強まると評価倍率低下による値下がりが配当以上に影響しやすい。
総合すると、フジミインコーポレーテッドの今後5年間の株価は、良い場合で3,000円〜3,800円程度、中間では2,300円〜2,900円程度、悪い場合でも1,700円〜2,100円程度というレンジ感が想定される。現在値2,371円はすでに高収益と将来の需要を織り込んだ水準であり、短期的な値動きは半導体市況の影響を受けやすいが、長期的には高シェア・高収益ビジネスを背景に、配当を受け取りながら安定的なリターンを狙う姿勢が有効となるシナリオと考えられる。
この記事の最終更新日:2026年1月4日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す