株価
中山製鋼所とは

中山製鋼所は、大阪市大正区に本社を置く老舗の鉄鋼メーカーであり、日本製鉄系に位置づけられる中堅鉄鋼会社である。1919年に中山悦治が兵庫県尼崎市で亜鉛鉄板製造業として創業したのが始まりで、1923年に法人化、1934年に現在の社名である株式会社中山製鋼所に改称した。1939年には高炉を設置し、戦前から戦後にかけて日本有数の銑鋼一貫メーカーとして発展してきた。
戦後は三和銀行系企業で構成される三和グループの中核企業の一つとして、三水会や水曜会、みどり会に属し、関西経済の一翼を担ってきた。社会人野球部も戦前から続く名門として知られ、また中山報恩会の設立や学校法人中山学園(現・浪工学園)の設立など、教育・社会貢献活動にも長い歴史を持つ。
技術面では、高炉と電気炉の両方を経験してきた点に特徴があり、圧延技術の蓄積が同社の強みとなっている。2001年には世界初となる微細粒熱延鋼板(NFG)の製品化に成功するなど、独自技術を持つメーカーでもある。一方で、2000年代以降は鉄鋼業を取り巻く環境変化に対応するため事業構造の転換を進め、2002年に高炉・転炉を休止、2010年にはNSR(中山式冷鉄源溶解法)も休止し、以後は電気炉を中心とした生産体制に移行した。不足する素材については、日本製鉄や神戸製鋼所から鋼片の供給を受けている。
2010年代初頭には業績悪化が深刻化し、2010年3月期以降は連続して営業赤字を計上、財務体質も大きく悪化した。これを受けて2013年に地域経済活性化支援機構の支援を受け、私的整理による事業再生に踏み切った。金融機関による大規模な債権放棄と、日本製鉄を含む複数企業からの第三者割当増資によって資本増強を行い、債務超過を解消して経営再建を果たしている。この過程で日本製鉄との関係は一段と強化され、現在の日本製鉄系という位置づけが明確になった。
現在の主力事業は鉄鋼事業であり、鋼板分野では熱延鋼帯、厚板、中板、縞板、鍍金鋼帯などを、条鋼分野では線材、棒鋼、バーインコイル、軽量C形鋼、パイプ、線材二次製品などを製造・販売している。加えて、建材事業として軽量形鋼や電縫鋼管、建設関連製品の製造・加工を行い、エンジニアリング事業では鋼製魚礁や増殖礁といった海洋関連製品、ロールやバルブ、機械加工なども手がけている。不動産事業では保有資産を活用した賃貸・売買を行い、鉄鋼市況の変動を補完する収益源としている。
製造拠点は大阪市大正区の船町工場に集約されており、現在は電気炉による鉄源生産と圧延を中心とした体制で運営されている。将来に向けては、2030年以降の電気炉更新・能力増強を見据え、2025年に日本製鉄と共同出資で電気炉保有会社を設立し、新たな電気炉を建設することで合意している。この新電気炉で生産される鋼片やホットコイルの一部を日本製鉄に供給する業務提携も進められており、同社は日本製鉄グループの電炉・圧延拠点としての役割を強めていく構図にある。
総合すると、中山製鋼所は高炉時代からの技術と電気炉メーカーとしての柔軟性を併せ持つ老舗鉄鋼メーカーであり、再建を経て日本製鉄との連携を軸に安定した事業基盤を再構築している企業である。成長性は高くないものの、建設・製造業向け鋼材を中心に、圧延技術と地域密着型の供給力を強みとした堅実な鉄鋼事業を展開している点が特徴と言える。
中山製鋼所 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 113,275 | 2,355 | 2,665 | 2,359 | 43.6 | 6 |
| 連22.3 | 166,701 | 7,250 | 6,654 | 4,815 | 89.0 | 16 |
| 連23.3 | 188,514 | 13,644 | 13,371 | 10,227 | 188.9 | 55 |
| 連24.3 | 184,445 | 12,327 | 12,244 | 8,904 | 164.4 | 50 |
| 連25.3 | 169,329 | 8,436 | 8,119 | 5,695 | 105.1 | 40 |
| 連26.3予 | 151,000 | 4,200 | 4,000 | 2,300 | 42.4 | 13 |
| 連27.3予 | 152,000 | 5,200 | 5,000 | 3,500 | 64.6 | 20 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 13,012 | -3,460 | -8,541 |
| 2024 | 5,153 | -2,300 | -3,141 |
| 2025 | 7,346 | -4,683 | -3,804 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER 高値平均/安値平均 |
PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 7.2% | 10.5% | 6.8% | – | – |
| 2024 | 6.6% | 8.5% | 5.8% | – | – |
| 2025 | 4.9% | 5.3% | 3.8% | 7.3倍/4.5倍 | 0.31倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
中山製鋼所の業績を億円換算で見ると、連24.3は売上高1,844億円、営業利益123億円、経常利益122億円、純利益89億円と、市況が比較的良好だった局面の数字である。連25.3は売上高1,693億円、営業利益84億円、経常利益81億円、純利益56億円へと減益に転じ、連26.3予では売上高1,510億円、営業利益42億円、経常利益40億円、純利益23億円まで落ち込む見通しとなっている。利益の減少ペースは速く、鉄鋼市況悪化の影響を強く受ける体質が数値から明確に読み取れる。
収益性を見ると、営業利益率は2023年7.2%、2024年6.6%、2025年4.9%と3年連続で低下している。ROEも10.5%から8.5%、5.3%へ、ROAも6.8%から5.8%、3.8%へと下がっており、資本効率・資産効率ともにピークアウト局面にある。現時点では収益力が縮小している局面と判断せざるを得ない。
一方、評価指標に目を向けると、2025年実績PERは高値平均7.3倍、安値平均4.5倍と極めて低く、PBRも0.31倍と解散価値に近い水準まで売り込まれている。市場は今後の減益と市況不安をかなり厳しく織り込んでおり、成長期待はほぼ排除された評価になっている。
以上を踏まえると、中山製鋼所は高成長株や安定高収益株として評価する銘柄ではなく、典型的な市況循環型の超割安株である。短期的には業績悪化が続く前提であり、積極的に買い上がる理由は乏しい。一方で、PBR0.3倍台という水準は、市況が底打ちし営業利益率が回復に向かう局面では、株価が大きく反発しやすい位置でもある。
結論として、この数値だけで判断するなら、中山製鋼所は「業績は悪化局面にあるが、すでに相当程度織り込まれた超割安ゾーンにある銘柄」であり、安定配当や成長を求める投資には不向きだが、鉄鋼市況回復を前提とした中長期のバリュー投資・景気循環狙いには検討余地がある、という評価になる。
配当目的とかどうなの?
まず利回り水準だけを見ると、連26.3予で2.11%、連27.3予で3.24%と、鉄鋼株としては中程度の水準であり、いわゆる高配当株とは言い難い。特に26.3期は利益が大きく落ち込む予想で、配当水準も抑制的になっている点が重要である。
業績との整合性を見ると、26.3期予想では営業利益42億円、純利益23億円と利益規模が急縮小しており、この局面での配当は「余力十分」とは言えない。配当性向が無理に高く設定されているわけではないが、利益水準自体が低いため、景気がさらに悪化すれば減配リスクは常に存在する。安定配当を重視する投資家にとっては、この不安定さは無視できない。
27.3期予で利回りが3.24%に上がる点は一見魅力的に見えるが、これは配当増というより「業績が底を打つ前提」と「株価水準次第」で成立する数字であり、確度の高いインカム狙いとは言いにくい。あくまで市況がこれ以上悪化しないことが前提条件になる。
一方で評価面を踏まえると、PBR0.3倍台という極端な低評価水準にあり、財務CFも継続してマイナスながら破綻的ではない点から、即座に無配に転落するリスクは高くない。市況が底打ちし、利益が回復局面に入れば、配当水準が徐々に引き上げられる余地はある。
総合すると、中山製鋼所は「配当を安定的に受け取り続けるための銘柄」ではなく、「市況回復を待ちながら一定の配当を受け取る」タイプの銘柄である。主目的を配当に置くなら他に適した銘柄は多いが、割安水準で仕込み、市況回復による株価反発と合わせてトータルリターンを狙う中で、配当が補助的に付いてくる位置づけで考えるのが現実的と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
中山製鋼所の現在値616円を起点に、今後5年間での株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。まず全体像として、中山製鋼所は建設・土木向け鋼材を主力とする鉄鋼メーカーであり、業績は鋼材市況や公共投資、建設需要の影響を強く受ける典型的な景気循環型銘柄である。直近では営業利益率、ROE、ROAが低下しており、市場評価はPBR0.3倍台という極めて低い水準まで切り下がっている。一方で、こうした評価はすでに業績悪化を相当程度織り込んだ状態とも言える。
良い場合のシナリオでは、国内建設投資やインフラ更新需要が底堅く推移し、鉄鋼市況が回復基調に入る。連26.3期を業績の底として27.3期以降は売上・利益が緩やかに回復し、営業利益率が再び6〜7%台まで戻る。ROE、ROAも改善し、市場は中山製鋼所を景気循環回復局面の割安株として再評価する。この場合、PERは8〜10倍、PBRは0.8〜1.0倍程度まで見直され、株価は900円から1,200円程度まで上昇する余地がある。配当利回りは2〜3%台を維持しつつ、値上がり益を伴う展開となる。
中間のシナリオでは、建設需要や鉄鋼市況は大きくは改善せず、現状水準で横ばいが続く。売上・利益は小幅な増減にとどまり、営業利益率は5%台前半から6%台前半、ROE、ROAも低位安定となる。市場評価はPER6〜8倍、PBR0.5〜0.8倍程度にとどまり、株価は500円から800円程度のレンジで推移する可能性が高い。配当は業績に応じて2〜3%台を受け取れるが、大きな値上がりは期待しにくい。
悪い場合のシナリオでは、世界景気の減速や建設投資の落ち込みが長期化し、鉄鋼市況の回復が見通せない状況が続く。利益水準は26.3期予想からさらに下振れし、営業利益率は4%前後、ROE、ROAも5%未満に低下する。この場合、市場評価はPER4〜6倍、PBR0.3〜0.5倍にとどまり、株価は300円から500円程度まで調整するリスクがある。配当利回りは一時的に高まる局面があっても、安定性は低下する。
総合すると、中山製鋼所の今後5年間の株価レンジは、良い場合で900〜1,200円、中間では500〜800円、悪い場合で300〜500円程度が一つの目安となる。現在値616円は、業績悪化を前提にした悲観的な評価がすでに織り込まれた水準であり、市況回復が確認できれば上方向の余地はあるが、回復が遅れれば低位での長期停滞も覚悟する必要がある位置づけと言える。
この記事の最終更新日:2026年1月4日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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