株価
合同製鐵とは

合同製鐵は、大阪府大阪市北区に本社を置く大手電炉系の鉄鋼メーカーであり、日本製鉄グループに属する条鋼メーカーである。略称は合鐵で、棒鋼や線材、異形棒鋼といった建設用鋼材を主力とし、国内の建設・土木分野を支える基礎素材メーカーとして長い歴史を持つ企業である。
同社はもともと高炉を保有する銑鋼一貫メーカーであったが、1994年に高炉事業から撤退し、その後は電気炉による製鋼に特化した事業構造へと転換した。現在は鉄スクラップを主原料とする電気炉メーカーとして操業しており、資源循環型で環境負荷の比較的低い製鉄モデルを採用している点が特徴である。電炉メーカーであるため、高炉メーカーと比べると設備規模は限定的だが、需要に応じた生産調整がしやすく、柔軟な操業が可能な体制を持っている。
製品構成は、棒鋼、異形棒鋼、線材、形鋼、軌条など、いずれも条鋼に分類されるものが中心である。これらの鋼材は主に建築物や土木構造物の鉄筋用途として使用されており、公共投資や民間建設投資の動向が業績に大きく影響する。特に鉄筋分野ではグループ会社との連携により、製造から加工、供給までを一体で行える体制を整えている。
製造拠点は、大阪製造所、姫路製造所、船橋製造所の3拠点体制で、いずれも電気炉を備えている。このうち大阪製造所は、かつて高炉を有していた歴史ある製鉄所であり、長年にわたって培われた圧延技術や操業ノウハウが現在の電炉操業にも活かされている。西日本と東日本の双方に拠点を持つことで、地域ごとの建設需要に対応しやすい供給体制を構築している。
資本関係では、日本製鉄が株式の約17.6%を保有する筆頭株主であり、2007年以降は日本製鉄の持分法適用関連会社となっている。この関係を通じて、原料調達や技術面での協力関係を維持しており、大手鉄鋼グループの一員としての安定感も同社の特徴である。一方で、完全子会社ではないため、独立性を保ちながら地域密着型の経営を行っている点も特徴的である。
グループ会社には、鋼材や機械を扱う商社機能を担う合鐵産業、電炉メーカーである三星金属工業、中山鋼業、そして鉄筋分野に強みを持つ朝日工業がある。特に朝日工業は鉄筋加工・供給において重要な役割を果たしており、合同製鐵グループの建設用鋼材事業の中核を担っている。これにより、単なる鋼材メーカーにとどまらず、建設現場に近いところまでカバーできる事業構造を形成している。
事業全体としては、先端素材や高付加価値鋼を成長ドライバーとする企業ではなく、建設・土木という生活インフラを支える分野に特化した、典型的な内需・市況連動型の鉄鋼メーカーである。業績は鉄鋼市況や建設需要に左右されやすい一方で、電炉メーカーとしてのコスト調整力や、日本製鉄グループとの関係による一定の安定性を併せ持っている。
総じて合同製鐵は、派手な成長ストーリーを描く企業ではないが、国内建設需要を背景にした堅実な条鋼メーカーとしての役割を果たしてきた企業であり、鉄鋼市況の循環の中で収益が上下する性格を持つ、基礎素材型の鉄鋼会社であると言える。
合同製鐵 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021.3 | 152,785 | 4,987 | 7,490 | 4,987 | 341.0 | 95 |
| 2022.3 | 204,201 | -2,697 | -1,252 | -1,112 | -76.1 | 0 |
| 2023.3 | 235,387 | 13,907 | 15,867 | 12,508 | 855.2 | 200 |
| 2024.3 | 222,850 | 17,850 | 20,301 | 15,193 | 1,039 | 280 |
| 2025.3 | 205,199 | 13,749 | 15,422 | 11,322 | 774.2 | 240 |
| 2026.3(予) | 195,000 | 10,500 | 12,000 | 8,500 | 581.2 | 180 |
| 2027.3(予) | 200,000 | 11,000 | 12,500 | 9,000 | 615.4 | 180〜185 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023.3 | 6,708 | -4,864 | 3,495 |
| 2024.3 | 17,839 | -4,943 | -10,458 |
| 2025.3 | 19,138 | -5,678 | -9,448 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER 高値平均/安値平均 |
PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3 | 5.9% | 11.1% | 4.9% | – | – |
| 2024.3 | 8.0% | 11.8% | 5.6% | – | – |
| 2025.3 | 6.7% | 8.4% | 4.4% | 6.1倍/2.9倍 | 0.41倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績を億円換算で見ると、連24.3は売上高2,228億円、営業利益178億円、経常利益203億円、純利益151億円と、鉄鋼市況が良好だった局面を反映した高水準の利益を確保している。連25.3は売上高2,051億円、営業利益137億円、経常利益154億円、純利益113億円へと減益に転じ、連26.3予では売上高1,950億円、営業利益105億円、経常利益120億円、純利益85億円まで落ち込む見通しである。売上・利益ともに3年連続で減少しており、市況調整局面に入っていることが数字から明確に読み取れる。
収益性を見ると、営業利益率は2023年5.9%、2024年8.0%、2025年6.7%で、24年をピークに低下している。ROEは11.1%から11.8%、8.4%へ、ROAは4.9%から5.6%、4.4%へと下がっており、資本効率・資産効率ともにやや悪化傾向にある。ただし、電炉・条鋼メーカーとしては依然として一定水準のROEを維持しており、収益力が急激に崩れているわけではない。
一方、評価指標を見ると、2025年実績PERは高値平均6.1倍、安値平均2.9倍と極めて低水準であり、PBRも0.41倍と簿価を大きく下回っている。市場は今後の減益や鉄鋼市況の不透明感をかなり厳しく織り込んでおり、成長期待はほぼ排除された評価になっている。
以上を踏まえると、合同製鐵は高成長株や安定高収益株として評価する銘柄ではなく、典型的な市況循環型の割安株である。短期的には業績が縮小局面にあり、積極的に評価を引き上げる材料は乏しい。一方で、PBR0.4倍前後、PER一桁という水準は、市況が底打ちし営業利益率が回復に向かう局面では、株価が見直されやすい位置でもある。
結論として、この数値だけで判断するなら、合同製鐵は「業績は調整局面にあるが、すでに相当程度の悪材料を織り込んだ割安ゾーンにある銘柄」であり、安定成長や高配当を主目的とする投資には向かないが、鉄鋼市況の回復を前提とした中長期のバリュー投資・景気循環狙いには検討余地がある、という評価になる。
配当目的とかどうなの?
合同製鐵を配当目的で見ると、結論としては「利回りは魅力的だが、主目的に据えるには循環リスクが高い銘柄」という評価になる。まず数字だけを見ると、連26.3予・連27.3予ともに予想配当利回りは4.56%と高水準であり、表面上は高配当株に分類できる。短期的なインカム狙いという点では十分に目を引く水準である。
一方で業績との関係を見ると注意が必要である。連24.3をピークに、連25.3、連26.3予と売上・営業利益・純利益はいずれも減少基調に入っており、営業利益は178億円から137億円、105億円へ、純利益も151億円から113億円、85億円へと縮小している。利益が減る局面で高配当が維持されているため、配当性向は上昇しており、市況がさらに悪化すれば配当維持が難しくなる可能性がある。
キャッシュフロー面では、直近は営業CFをしっかり確保できており、現時点で配当を支払う体力はある。ただし合同製鐵は過去に22.3期で赤字・無配を経験しており、鉄鋼市況次第で配当が大きく変動する企業である点は明確なリスクとして意識すべきである。安定配当を長期で継続するタイプの企業ではない。
評価面を見ると、PBR0.41倍、PER一桁という極端な割安水準にあり、市場は「現在の高配当が将来も続く」とは見ていない。この点からも、ディフェンシブな高配当株とは性格が異なることが分かる。
以上を踏まえると、合同製鐵は「配当を安定的に受け取り続けること」を主目的にする銘柄ではなく、「鉄鋼市況が大きく悪化しないことを前提に、高い配当利回りを享受する銘柄」と位置づけるのが現実的である。配当だけを狙うのであれば、通信、インフラ、電力、商社などの業績変動が小さい銘柄の方が適している。
一方で、PBR0.4倍台という割安水準で仕込み、市況が横ばいから回復する局面で4%台の配当を受け取りつつ、評価修正や株価反発も狙うという「配当+景気循環狙い」のサブ枠としては、十分に検討余地のある銘柄と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
合同製鐵の現在値3,945円を起点に、今後5年間での株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。まず全体像として、合同製鐵は棒鋼・線材など建設用鋼材を主力とする大手電炉メーカーであり、業績は鉄鋼市況や国内建設需要の影響を強く受ける典型的な景気循環型銘柄である。直近では24.3期をピークに利益が減少局面に入っているが、PBR0.4倍前後、PER一桁という水準は、すでに市況悪化をかなり織り込んだ評価と言える。
良い場合のシナリオでは、国内建設投資やインフラ更新需要が底堅く推移し、鉄鋼市況が26.3期を底に回復へ向かう。スクラップ価格と製品価格のバランスが改善し、営業利益率は再び7〜8%台に戻る。ROEも10%前後を回復し、市場は合同製鐵を「高配当を維持できる循環株」として再評価する。この場合、PERは7〜9倍、PBRは0.8倍前後まで切り上がり、株価は5,500円から7,000円程度まで上昇する余地がある。配当は4%前後を維持しつつ、値上がり益も期待できる展開となる。
中間のシナリオでは、建設需要や鉄鋼市況は大きく改善も悪化もせず、緩やかな横ばいが続く。売上・利益は減少後に下げ止まり、営業利益率は6%前後、ROEは8〜9%台で安定する。市場評価はPER5〜7倍、PBR0.5〜0.7倍程度にとどまり、株価は3,500円から4,800円程度のレンジで推移する可能性が高い。この場合、配当利回り4%台を受け取りながらの中長期保有が中心となり、大きな値上がりは期待しにくい。
悪い場合のシナリオでは、国内外の景気減速が長引き、建設需要の落ち込みや鉄鋼市況の悪化が続く。利益水準は26.3期予想からさらに下振れし、営業利益率は5%を下回り、ROEも一桁前半まで低下する。市場は再び減配リスクを強く意識し、PERは3〜5倍、PBRは0.3倍台まで低下する。この場合、株価は2,000円から3,000円程度まで調整する可能性がある。配当は維持できても不安定となり、インカム狙いの魅力は低下する。
総合すると、合同製鐵の今後5年間の株価レンジは、良い場合で5,500〜7,000円程度、中間では3,500〜4,800円程度、悪い場合で2,000〜3,000円程度が一つの目安となる。現在値3,945円は、市況悪化を前提にした悲観的な評価が織り込まれた水準であり、回復局面に入れば上方向の余地はある一方、回復が遅れれば長期停滞も覚悟が必要な位置づけと言える。
この記事の最終更新日:2026年1月4日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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