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共英製鋼とは

共英製鋼株式会社は、大阪市北区に本社を置く関西地盤の大手電炉メーカーであり、日本の電炉業界では規模・存在感ともに第2位クラスに位置する企業である。鉄スクラップを主原料とし、電気炉によって建設用鋼材を製造する典型的な電炉メーカーで、主力製品は鉄筋コンクリート用棒鋼である。特にマンションやビルなどの鉄筋コンクリート構造物向け棒鋼では国内トップシェアを誇り、建設インフラを支える基幹素材メーカーとしての役割を担っている。
製品面では、一般的な棒鋼に加え、付加価値の高いネジ節棒鋼にも強みを持つほか、平鋼、等辺山形鋼など多様な品種・サイズを取り揃えており、顧客ニーズへの対応力が高い。販売エリアは北海道から沖縄まで全国を網羅しており、地域ごとの需要動向に応じた供給体制を構築している点が特徴である。
共英製鋼は、日本製鉄系の資本関係を持ち、大輪会の会員企業でもある。国内事業に加え、海外展開にも積極的で、ベトナム、米国、カナダなどで鉄鋼事業を展開しており、海外鉄鋼需要の取り込みと事業基盤の分散を進めている。国内需要に依存しすぎない体制づくりが進んでいる点は、中長期的な安定性につながる要素といえる。
また、共英製鋼の大きな特徴として、環境リサイクル事業を併営している点が挙げられる。鉄スクラップを溶解する電気炉の高温アーク熱を活用し、医療廃棄物や産業廃棄物を完全無害化・資源化する技術を確立しており、鉄鋼事業と環境事業を両輪としたビジネスモデルを構築している。これは単なる副業ではなく、鉄鋼製造で培った溶融技術を応用した事業であり、資源循環型社会における電炉メーカーの役割を体現している。
電炉メーカーは、高炉メーカーと比べてCO2排出量が少なく、環境負荷の低い生産方式を採用している点も特徴である。共英製鋼は、国内に蓄積された膨大な鉄スクラップを再資源化する「スクラップ&ビルド」の中核を担う存在であり、鉄鋼リサイクルを通じて日本のインフラと環境の両面を支えている。
事業拠点は、関西を中心に、関東、中部、中国・四国、九州と全国に分散配置されており、鉄スクラップの発生地と需要地の両方を意識した地産地消型の生産・供給体制を確立している。重量物である鋼材の輸送コストを抑えつつ、地域ごとの市場変動に即応できる点は、電炉業界における競争優位性となっている。
総じて共英製鋼は、棒鋼を中心とした建設用鋼材で国内トップクラスの地位を持ち、海外展開と環境リサイクル事業を組み合わせた、資源循環型社会に適応した電炉メーカーである。鉄鋼市況の影響は受けやすいものの、事業の幅と技術基盤は厚く、単なる建設向け素材メーカーにとどまらない特徴を備えた企業といえる。
共英製鋼 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021.3 | 226,371 | 12,656 | 12,935 | 8,788 | 202.2 | 60 |
| 2022.3 | 292,719 | 8,819 | 10,549 | 6,322 | 145.5 | 40 |
| 2023.3 | 355,715 | 14,819 | 14,671 | 13,108 | 301.6 | 80 |
| 2024.3 | 320,982 | 21,055 | 21,034 | 13,826 | 318.1 | 90 |
| 2025.3 | 322,849 | 15,332 | 15,745 | 10,791 | 248.3 | 90 |
| 2026.3予 | 323,000 | 17,000 | 16,000 | 10,500 | 241.6 | 90 |
| 2027.3予 | 330,000 | 18,500 | 17,500 | 11,500 | 264.6 | 90 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023.3 | 19,259 | -6,138 | -9,017 |
| 2024.3 | 24,290 | -17,048 | -14,173 |
| 2025.3 | 39,408 | -9,882 | -18,224 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER (高値/安値) |
PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3 | 4.1 | 7.2 | 3.8 | – | – |
| 2024.3 | 6.5 | 7.1 | 3.9 | – | – |
| 2025.3 | 4.7 | 5.3 | 3.0 | 8.1/4.9 | 0.52 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の水準を億円ベースで見ると、2024年3月期は売上高3,209億円、営業利益210億円、経常利益210億円、純利益138億円と、電炉メーカーとしては比較的しっかりした利益水準にあった。2025年3月期は売上高3,228億円と横ばいだが、営業利益は153億円、経常利益157億円、純利益107億円へと減少しており、利益面では明確に調整局面に入っている。2026年3月期予想では、売上高3,230億円、営業利益170億円、経常利益160億円、純利益105億円とされており、25年期からはやや回復するものの、24年期のピーク水準には戻らない前提である。
収益性指標を見ると、営業利益率は2023年4.1%、2024年6.5%、2025年4.7%と、24年に一時的に改善したものの再び低下している。電炉メーカーとしては平均的な水準であり、高収益体質とは言いにくい。ROEも7.2%、7.1%、5.3%と低下傾向で、資本効率は高くない。ROAも3.8%、3.9%、3.0%と低水準で推移しており、資産を使った利益創出力は控えめである。
一方、評価面を見ると、2025年実績PERは高値平均8.1倍、安値平均4.9倍とかなり低位にあり、PBRも0.5倍程度にとどまっている。市場は収益性の低さと市況変動リスクを強く意識しており、成長期待はほとんど織り込んでいない状態と言える。
これらを総合すると、共英製鋼は「高成長・高収益を狙う銘柄」ではなく、「市況循環の中で利益水準が上下する、典型的な電炉株」と位置づけられる。営業利益率やROEが低く、構造的に評価が切り上がりにくい一方で、PBR0.5倍台という水準はすでにかなり慎重な見方を反映しており、業績が大きく悪化しなければ下値も限定されやすい。
結論としては、短期的な成長株投資には向かないが、鉄鋼市況の底入れや業績の安定を前提に、割安水準で中長期に構える投資対象としては検討余地がある銘柄である。利益率の改善が見えない限り大きな評価上昇は期待しにくく、投資スタンスとしては値上がり益よりも「低評価+安定利益」をどう捉えるかがポイントになる。
配当目的とかどうなの?
配当目的の観点で共英製鋼を見ると、「高配当株」というより「市況連動型の中配当株」と位置づけるのが現実的である。まず、提示されている予想配当利回りは26.3期・27.3期ともに3.67%で、配当利回り水準だけを見ると東証平均よりやや高く、一定のインカムは期待できる水準にある。配当額は90円で据え置かれており、業績がやや調整局面にある中でも減配していない点は評価できる。
一方で、利益水準との関係を見ると注意が必要である。2026年3月期予想の純利益は約105億円と、24年3月期の138億円からは低下しており、利益成長局面ではない。営業利益率も5%前後、ROEは5%台と、収益性・資本効率は高いとは言えず、配当の「余裕度」はそれほど厚くない。つまり、配当は無理をしているわけではないが、好況期ほどの安全余地があるわけでもない。
ただし、キャッシュフローを見ると、営業CFは安定してプラスで、投資CFと配当を十分に賄えており、短期的に配当が危うい状況ではない。電炉メーカーとしては財務運営は堅実で、急な減配リスクは高くないと考えられる。
総合すると、共英製鋼は「配当を主目的に長期で握り続ける銘柄」としてはやや力不足だが、3%台後半の配当を受け取りながら、市況回復や業績安定を待つスタンスであれば成立する銘柄である。配当を“主役”にするよりも“下支え”として考える投資が向いており、値上がり益とセットで考える配当銘柄と捉えるのが妥当と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
共英製鋼の現在値2,450円を起点に、今後5年間での株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。共英製鋼は、鉄スクラップを原料に電気炉で棒鋼など建設用鋼材を製造する電炉メーカーであり、業績は鉄鋼市況や建設投資動向に左右されやすい典型的な市況循環株である。足元では利益水準がピークアウトしている一方、PERやPBRは低位にあり、評価面では慎重な見方がすでに反映されている状態にある。
良い場合のシナリオでは、国内建設投資やインフラ更新需要が底堅く推移し、鉄鋼市況が安定から回復基調に入る。これにより売上と利益が持ち直し、営業利益率は6〜7%台、ROEも7%前後まで回復する。この場合、市場は割安感と収益安定性を再評価し、PERは8〜10倍、PBRは0.8〜1.0倍程度まで切り上がる可能性がある。その結果、株価は3,000円から3,800円程度まで上昇する余地がある。配当利回りは相対的に低下するが、値上がり益を含めたトータルリターンが期待できる。
中間のシナリオでは、建設需要や鉄鋼市況に大きな改善も悪化もなく、現状水準での横ばいが続く。売上・利益は小幅な変動にとどまり、営業利益率は5%台前半から6%台、ROEは5〜7%台で推移する。この場合、評価水準はPER5〜7倍、PBR0.5〜0.7倍程度にとどまり、株価は2,000円から2,800円程度のレンジで動く可能性が高い。配当利回り3%台後半を受け取りながら、中長期で保有するスタンスが中心となる。
悪い場合のシナリオでは、世界的な景気後退や建設投資の縮小が長期化し、鉄鋼需要が低迷する。売上・利益が想定以上に落ち込み、営業利益率は4%台前半、ROEも5%以下まで低下する。この場合、市場評価はPER4〜6倍、PBR0.3〜0.5倍まで下がり、株価は1,400円から1,900円程度まで調整するリスクがある。配当利回りは見かけ上上昇するものの、業績不安が重しとなり株価は低迷しやすい。
総合すると、共英製鋼の今後5年間の株価レンジは、良い場合で3,000円〜3,800円程度、中間では2,000円〜2,800円程度、悪い場合では1,400円〜1,900円程度が目安となる。現在値2,450円は、市況悪化をある程度織り込んだ水準であり、回復局面に入れば上方向の余地はある一方、回復が遅れれば中間から悪いシナリオに近い動きとなる可能性が高い。配当を受け取りつつ、市況と業績の変化を見極める姿勢が求められる銘柄である。
この記事の最終更新日:2026年1月4日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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