株価
アーレスティとは

株式会社アーレスティは、ダイカスト大手として自動車向けアルミダイカスト製品を主力とするメーカーであり、SUBARUなどを主要取引先に持つ。自動車のエンジン、トランスミッション、足回り、ボディ部品を中心に、軽量化と高剛性が求められる分野でアルミダイカスト製品を製造・販売している。自動車以外にも、産業機械、コンピュータ、家電分野向けの製品を展開しており、アルミ地金事業や半導体クリーンルーム向け床材といった非自動車分野も手掛けている。
本社は東京都中野区に置き、国内には東松山工場、熊谷工場、東海工場、本社・テクニカルセンターなどの生産・開発拠点を持つ。グループ会社として、アーレスティ栃木、熊本、山形、プリテック、テクノサービス、ダイモールド各社などを擁し、鋳造から金型、周辺技術までをグループ内で完結できる体制を構築している。
事業内容は、ダイカスト製品の製造・販売を中核に、アルミニウム合金地金の製造、フリーアクセスフロアパネル、ダイカスト周辺機器の製造まで多岐にわたる。自社開発製品としては、アルミダイカスト製のフリーアクセスフロア「モバフロア」があり、半導体工場やクリーンルーム向け床材として採用実績を持つ。
同社は「ものづくりを究め進化させ、アーレスティプロダクションウェイを確立する」という10年ビジョンを掲げ、良いものをつくり、良品しかつくれない仕組みづくりを基本戦略としている。ダイカストという製造難度の高い工程において、設備・金型の予防保全、標準化、CAEを活用した設計段階での品質作り込みを重視し、製造条件を最適化するOPCCの実現を進めている。
技術面では、自動車の軽量化・電動化ニーズに対応するため、レーザ熱処理技術やHiGF法といった独自技術を有している。レーザ熱処理技術は、鋼板とダイカスト部品の接合時に必要な延性を部分加熱で確保するもので、工程短縮と品質向上を両立している。HiGF法は、キャビティ内を高真空状態にすることでガス含有量を低減し、熱処理可能で高延性・高強度のダイカスト製品を実現する技術であり、ボディ部品、サブフレーム、バッテリーケースなどへの適用を進めている。
また、車体系部品の生産では、HiGF法とセンターゲート、マルチキャビティを組み合わせることで、生産スピードと品質を両立し、世界最速レベルの生産性を実現している。材料面では、製品の90%以上にリサイクルアルミ(二次合金)を使用しており、軽量化と環境負荷低減を両立することで、脱炭素社会への貢献を重視している。
総合すると、アーレスティは自動車向けアルミダイカストを中核としつつ、アルミ地金やクリーンルーム床材といった周辺分野にも展開するダイカスト大手メーカーである。高い製造技術と品質管理力、独自工法を武器に、軽量化・電動化・環境対応という中長期トレンドの中で事業を展開する企業といえる。
アーレスティ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
1株益 (円) |
1株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 92,973 | -2,554 | -2,094 | -2,843 | -111.1 | 5 |
| 連22.3 | 116,313 | -2,422 | -2,032 | -5,189 | -201.2 | 10 |
| 連23.3 | 140,938 | 23 | 94 | -84 | -3.3 | 10 |
| 連24.3 | 158,254 | 2,291 | 2,574 | -7,699 | -300.6 | 15 |
| 連25.3 | 162,929 | 3,371 | 3,044 | -2,892 | -116.3 | 28 |
| 連26.3予 | 162,200 | 3,600 | 2,200 | 2,300 | 91.5 | 32 |
| 連27.3予 | 164,000 | 3,800 | 3,400 | 2,500 | 99.5 | 32〜35 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023.3 | 10,727 | -6,331 | -1,534 |
| 2024.3 | 18,319 | -13,939 | -5,951 |
| 2025.3 | 15,394 | -12,786 | -1,129 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3 | 0.0 | -0.2 | -0.1 | ― | ― |
| 2024.3 | 1.4 | -15.0 | -5.9 | ― | ― |
| 2025.3 | 2.0 | -5.6 | -2.2 | ― | 0.41 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績水準を億円ベースで見ると、2024年3月期は売上高1,582億円に対し営業利益22億円、経常利益25億円を確保しているものの、純利益は-76億円と大幅な赤字である。2025年3月期は売上高1,629億円、営業利益33億円、経常利益30億円と本業の利益水準は改善したが、純利益はなお-28億円と赤字が続いている。2026年3月期予想では、売上高1,622億円、営業利益36億円、経常利益22億円、純利益23億円とされており、最終損益は黒字転換見込みとなっている。
収益性指標を見ると、営業利益率は2023年3月期0.0%、2024年3月期1.4%、2025年3月期2.0%と、低水準ながら改善傾向にある。ただし自動車部品メーカーとしては依然として薄利であり、市況悪化時の耐性は高いとは言えない。ROEは-0.2%、-15.0%、-5.6%、ROAは-0.1%、-5.9%、-2.2%と、直近3年間はいずれもマイナスで推移しており、資本効率・資産効率の面では明確に弱い状態が続いていることが分かる。
株式評価の面では、2025年時点の実績PBRは0.4倍と、解散価値を大きく下回る水準にある。これは市場が同社の収益力や安定性に対して非常に慎重な評価をしていることを示している。一方、2026年3月期予想ではEPSが91円程度とされており、黒字定着が確認されればPER算定が可能となる段階に入るが、現時点ではまだ実績PERで評価できる局面ではない。
以上を踏まえると、アーレスティは売上規模は大きいものの、長期にわたる最終赤字と低い利益率、ROE・ROAのマイナスが重荷となり、投資対象としては「回復期待先行型」の位置づけとなる。PBR0.4倍という極端な割安感はあるが、それは裏を返せば資本効率の低さと業績不安を強く織り込んだ結果である。2026年3月期の黒字転換が実現し、営業利益率が2%台以上で定着するかどうかが評価見直しの分岐点となる。
現時点の数値だけで判断すれば、安定収益や資本効率を重視する投資には不向きであり、業績回復と最終黒字定着を前提にした高リスク・高リターンの再建局面銘柄といえる。黒字転換が確認できるまでは、慎重姿勢が妥当である。
配当目的とかどうなの?
提示されている予想配当利回りは、2026年3月期・2027年3月期ともに3.77%と、表面上は製造業として十分に高い水準にある。この点だけを見ると、配当目的で目を引きやすい数字である。
ただし、これまでの実績を見ると、同社は長期にわたり純利益が赤字で推移しており、ROE・ROAも直近3年はすべてマイナスである。2026年3月期は黒字転換予想とはいえ、営業利益率は2%前後と低く、利益の安定性はまだ確立された段階とは言い切れない。配当原資となる利益やフリーキャッシュフローに余裕がある状態ではなく、配当は業績回復を前提とした「先行的な水準」といえる。
そのため、アーレスティの配当は、安定配当株として安心して長期保有するタイプの配当とは性格が異なる。景気や自動車市況が悪化した場合には、減配や据え置きのリスクが比較的高い点は意識しておく必要がある。
結論として、アーレスティは配当利回りだけを見れば魅力的だが、配当の安定性や持続性を重視する純粋な配当目的投資には向きにくい。業績回復と黒字定着を前提に、「回復局面で配当ももらえればよい」というスタンスの投資家向けであり、配当を主目的とするなら、より収益基盤が安定した企業と比べて慎重に扱うべき銘柄といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
株式会社アーレスティの現在値848.0円を基準に、今後5年間の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。アーレスティは自動車向けアルミダイカストを主力とするメーカーであり、売上規模は大きい一方、長期にわたり低収益と最終赤字が続いてきた企業である。直近では営業利益率が0%台から2%程度まで改善し、2026年3月期には最終黒字転換が見込まれているが、ROE・ROAはなおマイナスで、資本効率の低さが市場評価を強く抑えている。現在の株価水準はPBR0.4倍前後と極めて低く、回復期待と不信感が拮抗した局面にある。
良い場合は、自動車生産が安定的に回復し、EV化・軽量化の流れの中でアルミダイカスト需要が底堅く推移するケースである。営業利益率が2%台から3%台へ改善し、最終黒字が定着、ROEがプラス圏へ回復することが前提となる。この場合、極端な割安状態が是正され、PBRは0.8倍前後、PERも10倍程度が意識されやすくなる。配当利回り3%台を維持できれば評価見直しが進み、5年後の株価は1,400円〜1,800円程度まで上昇する展開が想定される。
中間の場合は、業績は黒字化するものの、利益率の改善が限定的で、ROE・ROAも低水準にとどまるケースである。自動車市況は安定するが高成長には至らず、同社の収益構造も大きくは変わらない。この場合、市場は回復を一定程度織り込むものの高い評価は与えず、PBRは0.5〜0.6倍程度で推移する。株価は緩やかな回復基調となり、5年後の水準は900円〜1,100円程度に落ち着くイメージとなる。配当を含めたトータルリターンはそこそこだが、大きな値上がりは期待しにくい。
悪い場合は、自動車市場の減速や原材料価格の上昇などにより収益改善が頓挫し、再び最終赤字に転落するケースである。営業利益率は再び1%未満に低下し、ROE・ROAのマイナスが長期化する。この場合、市場の不信感が強まり、PBRは0.3倍台まで低下する可能性がある。5年後の株価は500円〜700円程度で低迷し、環境次第ではそれ以下まで下押しされるリスクも考えられる。
総合すると、アーレスティは現時点では安定成長株でも高配当株でもなく、業績回復を前提とした再建・反転期待型の銘柄である。5年間では中間シナリオを基本としつつ、黒字定着と利益率改善が進めば1,500円前後への上振れ余地がある一方、回復が失速すれば800円割れまでの下押しリスクも併せ持つ。値上がり益を狙う場合は業績改善の進捗を継続的に確認する必要がある銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年1月10日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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