株価
リンナイとは

リンナイは、愛知県名古屋市に本社を置く熱エネルギー機器メーカーで、給湯器やガスコンロを中心としたガス器具分野で国内トップシェアを持つ企業である。給湯機器と厨房機器を2本柱とし、家庭用から業務用まで幅広い製品を展開している。東証プライム市場に上場しており、安定した収益力と健全な財務体質を兼ね備えたメーカーとして評価されている。
リンナイのルーツは1920年にまで遡り、創業者である林兼吉と内藤秀次郎の名前に由来して社名が付けられた。もともとは石油コンロの卸売からスタートしたが、その後ガス機器分野へと事業を拡大し、日本のガス普及とともに成長してきた。長年にわたり安全性と耐久性を重視した製品づくりを行ってきたことから、給湯器やビルトインコンロなどの分野で高いブランド力を確立している。
事業内容の中核は、給湯機器と厨房機器である。給湯分野ではガス給湯器、ガス給湯暖房機、ハイブリッド給湯・暖房システムなどを展開し、住宅用だけでなく集合住宅や業務用途にも対応している。厨房分野ではビルトインガスコンロ、ガステーブル、オーブン、食器洗い乾燥機、レンジフード、ガス炊飯器など、キッチン全体をカバーする製品群を持つ点が特徴である。この2分野でリンナイの収益基盤は構成されている。
国内市場では、住宅の新設需要に加えて、給湯器やコンロの更新需要が安定的に存在するため、景気変動の影響を受けにくい事業構造となっている。過去には同業他社の不祥事や撤退を背景に、市場シェアを拡大した局面もあり、結果として給湯器分野での地位をより強固なものにしてきた。また、他社ブランド向けのOEM供給も行っており、製造技術力の高さが裏付けられている。
海外展開にも積極的で、韓国、中国、米国、オーストラリア、東南アジアなどに生産・販売拠点を持ち、各国の生活様式やエネルギー事情に合わせた製品を提供している。海外売上比率は高く、国内市場が成熟する中で重要な成長ドライバーとなっている。特にアジアやオセアニアではガス機器需要が根強く、リンナイの強みが発揮されやすい市場である。
近年は脱炭素や環境対応も重要なテーマとなっており、高効率給湯器やハイブリッド型機器の開発に加え、将来のエネルギー転換を見据えた研究開発にも取り組んでいる。ガス器具トップメーカーでありながら、環境負荷低減という社会的要請への対応力を高めている点も特徴である。
総じてリンナイは、ガス給湯・厨房機器という生活必需分野で圧倒的な国内シェアを持ち、海外展開と高い財務健全性を背景に、安定性と持続性を重視した経営を行う企業である。急成長型ではないものの、長期的に安定収益を積み上げるタイプのメーカーとして位置付けられる。
リンナイ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 344,364 | 40,690 | 42,400 | 27,581 | 178.9 | 41.7 |
| 連22.3 | 366,185 | 35,864 | 39,060 | 23,748 | 156.8 | 46.7 |
| 連23.3 | 425,229 | 41,418 | 44,565 | 26,096 | 176.9 | 53.3 |
| 連24.3 | 430,186 | 39,362 | 46,071 | 26,667 | 184.8 | 60 |
| 連25.3 | 460,319 | 46,005 | 50,323 | 29,691 | 209.7 | 80 |
| 連26.3予 | 470,000 | 51,400 | 55,900 | 34,900 | 252.8 | 100 |
| 連27.3予 | 485,000 | 52,800 | 56,300 | 35,100 | 254.2 | 100〜102 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 19,387 | -30,087 | -21,313 |
| 2024年3月期 | 43,347 | -19,968 | -23,664 |
| 2025年3月期 | 57,502 | -22,685 | -26,503 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 9.7 | 7.1 | 4.7 | – | – |
| 2024年3月期 | 9.1 | 6.8 | 4.6 | – | – |
| 2025年3月期 | 9.9 | 7.3 | 4.8 |
高値平均20.0 安値平均14.4 |
1.39 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
2024年3月期から2026年3月期予想までの数字を見ると、まず売上高は4,301億、4,603億、4,700億と着実に増加しており、事業規模は安定的に拡大している。住宅設備という成熟市場に属しながらも、数量と価格の両面で成長を維持できている点は評価できる。営業利益は393億から460億、さらに514億へと増えており、売上成長以上に利益が伸びていることから、価格転嫁や効率改善が機能していることが読み取れる。経常利益や純利益も同様に右肩上がりで、利益成長の質は高い。
収益性を見ると、営業利益率は2023年9.7%、2024年9.1%、2025年9.9%と、多少の変動はあるものの一貫して9%台後半を維持している。原材料高や為替変動がある中でこの水準を保っている点は、事業競争力の強さを示している。ROEは7.1%、6.8%、7.3%、ROAは4.7%、4.6%、4.8%と、いずれも大きなブレはなく、安定した資本効率が続いている。飛び抜けて高い数値ではないが、利益の積み上げと整合的で、無理のない経営をしていることが分かる。
株価指標に目を向けると、2025年の実績PERは高値平均20.0倍、安値平均14.4倍、実績PBRは1.39倍である。利益が着実に成長していることを踏まえると、PER20倍前後は成長性と安定性を織り込んだ妥当な水準と考えられる。PBR1.39倍も、ROE7%台の企業としては過度に高いとは言えず、市場が企業価値を素直に評価している状態といえる。
これらの数字を総合すると、リンナイは売上と利益が安定的に伸び、本業の収益力が高く、資本効率も安定している優良メーカーである。急成長を期待する銘柄ではないが、業績の積み上げが見込めるため、中長期で見れば安心感のある企業といえる。一方で、PERやPBRはすでに一定の評価を受けており、明確な割安感がある局面ではない。
結論として、提示された数値だけで判断するなら、リンナイは割安株というよりも、質の高い事業を持つ安定成長株である。大きな値上がりを狙う投資よりも、業績の着実な成長と配当を受け取りながら中長期で保有する投資に向いた銘柄だと評価できる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは2026年3月期、2027年3月期ともに2.46%とされており、水準としては高配当株とは言えないが、安定配当を狙う投資としては十分に現実的な水準にある。東証全体の平均と比べるとやや低めから中程度だが、配当の信頼性という点では評価しやすい。
配当の裏付けとなる利益を見ると、純利益は2024年3月期266億、2025年3月期296億、2026年3月期予想349億と着実に増加している。EPSも185円、210円、253円と伸びており、配当は利益成長に裏打ちされた形で引き上げられている。無理に配当を出している状況ではなく、内部留保を確保しながら増配できる余力がある。
また、営業キャッシュフローは年々拡大しており、本業から安定して現金を生み出している。投資キャッシュフローや財務キャッシュフローを差し引いても、配当を賄える体力があるため、短期的な減配リスクは低いと考えられる。財務面も健全で、借入に依存しない経営が続いている点は配当目的の投資家にとって大きな安心材料である。
一方で、配当利回り2.46%という数字自体は、インカム重視の投資家にとって突出した魅力がある水準ではない。配当だけで高いリターンを狙う銘柄ではなく、株価の安定性や業績成長とセットで考える必要がある。
結論として、リンナイは配当目的として「高配当株」ではないが、「減配リスクの低い安定配当株」としては非常に優秀である。大きな利回りを狙う投資には向かないが、業績の積み上げとともに配当を受け取りながら中長期で保有するインカム補完型の投資に適した銘柄だと評価できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
リンナイはガス給湯器・厨房機器で国内トップシェアを持つメーカーであり、給湯と厨房という2本柱はいずれも生活必需性が高く、需要の安定性が非常に強い事業構造を持っている。国内市場は成熟しているものの、更新需要が継続的に発生するうえ、海外ではアジア、豪州、米国などを中心にガス機器需要を取り込んでいる。
近年は原材料高の影響を受けつつも、価格転嫁と効率改善により営業利益率は9〜10%前後の高水準を維持しており、製造業としては収益力の高い企業といえる。一方で、ROEやROAは7%前後、5%弱と安定しているものの、爆発的に高い水準ではなく、市場からは「高収益だが成熟した優良企業」という評価を受けやすい。
良い場合は、海外事業の拡大と高付加価値製品の販売比率上昇が進み、営業利益率が10%台前半から中盤まで安定的に定着するシナリオである。原材料価格が落ち着き、価格転嫁がスムーズに進めば、利益成長がより明確になり、ROEも8%台まで上昇する可能性がある。この場合、市場はリンナイを「成熟市場にいながらも着実に成長するグローバル優良メーカー」と再評価し、PERは20倍台前半から後半、PBRは1.5倍前後まで許容される展開が考えられる。増配基調が続けば長期資金の流入も見込まれ、5年後の株価は5,200円〜6,400円程度まで上昇するシナリオが想定される。
中間の場合は、業績が会社計画どおりに推移し、売上・利益ともに緩やかな成長を続けるが、大きな事業構造の変化は起きないケースである。営業利益率は9〜10%台を維持し、ROE・ROAも現状水準で安定する。市場評価は現在の延長線上となり、PERは15〜20倍、PBRは1.2〜1.4倍程度で推移する。配当利回りは2%台半ばを維持し、株価は下値を配当に支えられながらも、大きな上昇トレンドにはなりにくい。この場合、5年後の株価は4,200円〜4,900円程度に収まるイメージとなり、値上がり益よりも安定配当と業績の安心感を重視する投資家向けの推移となる。
悪い場合は、世界的な景気減速やガス需要の鈍化、原材料・物流コストの再上昇によって利益率が圧迫されるシナリオである。価格転嫁が遅れ、営業利益率が9%を下回る水準に低下すると、成熟企業としての成長期待が後退し、評価が切り下げられる可能性がある。ROE・ROAも低下し、市場ではディフェンシブ性は評価されるものの、積極的に買われにくい状況となる。この場合、PERは15倍前後まで低下し、PBRも1.0倍近辺まで調整する可能性があり、5年後の株価は3,200円〜3,800円程度で低迷し、環境次第では3,000円前後まで下押しするリスクも考えられる。
総合すると、リンナイは急成長を狙う銘柄ではないが、生活必需分野に支えられた高い収益力と安定したキャッシュフローを持つ優良企業である。5年間では中間シナリオが最も現実的で、配当を受け取りながら緩やかな値動きを期待する投資スタイルに向く。一方で、海外成長と利益率改善が進めば上振れ余地もあり、逆に外部環境が悪化した場合には4,000円割れまでの調整リスクも併せ持つ銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年1月10日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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