株価
岡部とは

岡部株式会社は、建設向けの仮設機材、型枠関連製品、構造機材を主力とする金属建材メーカーであり、建設現場の安全性と施工性を下支えする分野で長い実績を持つ企業である。1917年創業と100年以上の歴史を有し、長年にわたって建設業界との取引を重ねる中で築かれた信頼関係が「okabe」ブランドの根幹となっている。本社は東京都墨田区に置き、国内では埼玉県久喜市、茨城県下妻市、京都府久御山町に生産拠点を構えている。
事業の中核は建設関連製品事業で、仮設・型枠製品や構造機材、建築・土木向けの金属製品を幅広く手掛けている。これらの製品は、建物やインフラの基礎部分、構造部分に使われるため、最終製品として目立つ存在ではないが、安全性や耐久性に直結する重要な役割を担っている。施工現場では品質トラブルが許されない分野であり、岡部は品質管理や安定供給を強みとして、ゼネコンや施工会社との継続的な取引関係を築いてきた。
また、岡部は単なる製品メーカーにとどまらず、技術提案型の企業としての側面も持っている。茨城県下妻市にある総合実験センターでは、最新鋭の試験設備を備え、製品の性能評価や新製品開発を行っている。一級建築士や博士号を持つ専門人材が在籍し、施工性や安全性、耐久性を科学的に検証しながら製品改良を進めている点は、同社の競争力の源泉である。こうした研究開発体制により、市場ニーズに対応した製品を比較的早いスピードで投入できる体制を整えている。
営業面では、全国に展開する営業担当が建設会社や施工業者のニーズをきめ細かく拾い上げ、国内外の生産拠点から製品をタイムリーに供給する体制を構築している。現場ごとに異なる条件や課題に対して、製品単体ではなく工法や使い方を含めた提案ができる点が評価されており、価格競争に陥りにくいビジネスモデルを形成している。
海外展開にも積極的で、北米およびASEAN市場を中長期的な成長領域と位置付けている。特に米国では建材販売事業を展開し、現地の建設需要を取り込んできた。一方で、米国で行っていた自動車用バッテリー部品事業については売却を行い、事業ポートフォリオを建設関連分野へ集中させる戦略を明確にしている。この動きからは、成長性や収益の安定性を重視し、本業とのシナジーが薄い事業を整理する姿勢がうかがえる。
加えて、岡部は海洋事業なども手掛けており、港湾設備や海洋構造物といった分野にも関与している。これにより、建設市場の中でも分野分散がある程度図られており、特定分野への依存度を下げる効果を持っている。
総合すると、岡部株式会社は、建設向け仮設・型枠・構造機材というニッチだが不可欠な分野を軸に、技術開発力、提案力、海外展開力を組み合わせて事業を展開する老舗建材メーカーである。建設市況の影響は受けやすいものの、インフラ更新需要や安全性重視の流れを背景に、一定の需要が見込まれる分野に強みを持つ。派手な成長を狙う企業ではないが、現場密着型の製品と長年の信頼関係を武器に、堅実に事業を積み上げていくタイプの企業と位置付けられる。
岡部 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.12 | 76,854 | 5,271 | 5,471 | 3,848 | 81.3 | 24 |
| 連23.12 | 78,152 | 4,082 | 4,303 | -5,472 | -118.2 | 25 |
| 連24.12 | 67,806 | 4,194 | 4,422 | -874 | -18.9 | 35特 |
| 連25.12予 | 72,500 | 4,700 | 4,800 | 3,120 | 68.4 | 41特 |
| 連26.12予 | 74,800 | 5,100 | 5,200 | 3,500 | 76.7 | 41〜45特 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2022.12 | 1,975 | -8,202 | -18 |
| 2023.12 | 6,202 | -1,769 | -8,567 |
| 2024.12 | 3,729 | -2,423 | -2,413 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.2% | -8.9% | -6.1% | – | – |
| 2024 | 6.1% | -1.5% | -1.1% | 7.4~9.4倍 | 0.72倍 |
| 2025 | 6.4% | 5.2% | 3.5% | 14.60倍 | – |
出典元:四季報オンライン
投資判断
2023年12月期は、営業利益40億円、経常利益43億円を確保している一方で、純利益は-54億円と大幅な赤字となっている。この結果、ROEは-8.9%、ROAは-6.1%と資本効率は大きく毀損した年である。ただし、営業利益率は5.2%と一定水準を維持しており、本業そのものが赤字に陥っていたわけではない点が特徴である。
2024年12月期は、売上が落ち込む中でも営業利益は41億円、経常利益は44億円と前年並みを確保し、純損失は-8億円まで大きく縮小した。営業利益率は6.1%へ改善し、ROEは-1.5%、ROAは-1.1%と、赤字ではあるものの明確な回復過程に入っている。この年の実績PERは7.4〜9.4倍、PBRは0.7倍と、市場はすでに業績悪化を強く織り込んだ低評価を付けていたことが分かる。
2025年12月期予想では、営業利益47億円、経常利益48億円、純利益31億円と黒字転換が見込まれている。営業利益率は6.4%まで上昇し、ROEは5.2%、ROAは3.5%と、資本効率も正常水準に戻る想定である。一方で、回復局面であるため、2025年予想PERは14.6倍と、過去の実績PERと比べるとやや高めに見える。ただし、PBRはなお1倍を下回る水準にあり、評価面では依然として慎重な見方が残っている。
2026年12月期予想では、営業利益51億円、経常利益52億円、純利益35億円と、利益水準はさらに積み上がる見通しとなっており、本業の収益力が安定して回復する前提が置かれている。
以上を踏まえると、この銘柄は2023年の大幅赤字を底に、2024年に損失を圧縮し、2025年以降に黒字定着を目指す「業績回復局面」にあると判断できる。営業利益率は一貫して5%台から6%台へ改善しており、本業の競争力は比較的安定している。一方で、ROEが5%台と高水準ではないことから、急成長企業としての評価を受ける段階にはない。
結論として、岡部は高成長を狙う投資対象ではなく、赤字局面を抜けて業績正常化が進むことを前提とした回復型・是正期待型の投資判断となる。PBRが0.7倍台にとどまっている点から、回復が計画どおり進めば評価修正の余地はあるが、利益回復が鈍化した場合には再び低評価に戻るリスクも併せ持つ銘柄と言える。
配当目的とかどうなの?
岡部を配当目的で見ると、かなり魅力的に見える一方で、前提条件を理解しておく必要がある銘柄だと言える。まず目につくのは、連25.12、連26.12ともに予想配当利回りが4.25%と高い水準にある点である。建設関連銘柄でこの利回りが確保できるのは簡単ではなく、インカム狙いの投資家にとっては十分に検討対象になる数字である。株価が業績悪化局面を経て抑えられていること、そして会社が株主還元を重視している姿勢を見せていることが、この利回りを成立させている背景にある。
ただし、この配当を「安心して長期保有できる安定配当」と捉えるのはやや危険である。2023年、2024年は純利益が赤字であり、それでも配当を実施してきた経緯があることから、これまでの配当は利益に裏付けられたものではなく、営業キャッシュフローや内部留保を原資とした配当だった。営業利益自体は40億円前後と安定しており、営業キャッシュフローもプラスを維持しているため、短期的に配当が払えなくなる状況ではないが、配当の「質」という点では強いとは言い切れない。
一方で、2025年以降は純利益が黒字に戻り、30億円超の利益が見込まれている。営業利益率も6%台まで改善し、ROEやROAもプラス圏に回復する前提となっており、このシナリオが実現すれば、現行水準の配当を維持できる可能性は十分にある。赤字配当から、利益に基づく配当へ移行できるかどうかが、配当目的投資としての最大の分岐点になる。
ただし、ROEは5%台と高水準ではなく、事業自体が急成長するタイプでもないため、今後も大幅な増配が続く姿はあまり想像しにくい。また、現在の配当には特別配当が含まれており、41円〜45円といった水準が恒常的な通常配当として続くとは限らない。業績回復が一巡した後には、特別配当が剥落し、配当水準が調整される可能性も十分に考えられる。
総合的に見ると、この銘柄は高配当株として「安心して何年も放置する」タイプではない。むしろ、業績回復局面にある企業が、株主還元を強めているタイミングで利回りを取りに行く、回復型の配当投資向きの銘柄である。今後2〜3年で黒字定着が確認できれば評価は大きく変わる可能性があるが、その前提が崩れた場合には減配や特別配当の終了というリスクも現実的に存在する。
結論として、岡部は「減配を極力避けたい安定配当株」を探している投資家には向かないが、「業績正常化を前提に、今の4%超の利回りを取りに行く」というスタンスであれば十分に検討価値のある配当銘柄と言える。配当だけを見るのではなく、今後の利益回復が本物かどうかを見極めながら付き合う必要のある企業である。
今後の値動き予想!!(5年間)
岡部は、建設向けの仮設機材、型枠関連製品、構造機材を中核とする金属建材メーカーであり、建設現場の安全性と施工性を支える分野に強い事業基盤を持っている。現在の株価は964.0円で、この水準を起点に今後5年間の値動きを考えると、業績回復の進捗と建設市況の影響がそのまま株価に反映されやすい銘柄と言える。
岡部の製品は、建物やインフラの基礎・構造部分に使われるものが多く、最終製品として目立つ存在ではないが、品質や信頼性が重視されるため一定の需要が継続的に発生する事業構造となっている。国内建設市場は景気循環の影響を受けやすい一方で、インフラ更新や再開発需要が周期的に生じるほか、海外では北米やASEANを中心に建設関連製品の販売を行っており、事業の地域分散も進めている。
近年は、売上の変動を伴いながらも営業利益率は5%台から6%台へと改善しており、本業の収益力は底打ちから回復局面に入っている。2023年、2024年は純利益が赤字となり、ROEやROAはマイナス圏に沈んだが、営業利益自体は安定して確保されており、2025年以降は黒字転換が見込まれている。このため、市場では「一時的に業績を崩したが、回復途上にある建設資材メーカー」という見方が強く、現在の株価964.0円にも慎重な評価が反映されている。
良い場合は、国内の建設投資が堅調に推移し、インフラ更新や大型プロジェクト需要を取り込みつつ、海外事業も着実に拡大するシナリオである。仮設・型枠・構造機材といった主力分野で付加価値の高い製品比率が高まり、営業利益率が6%台後半から7%程度まで改善する可能性がある。純利益が安定して黒字化し、ROEが5%台後半から6%程度まで回復すれば、市場は岡部を「業績回復が進む堅実な建設資材メーカー」と再評価する。この場合、現在値964.0円を基準に、5年後の株価は1,300円〜1,600円程度まで上昇するシナリオが考えられる。
中間の場合は、業績が会社計画どおりに回復し、売上・利益ともに緩やかな改善にとどまるケースである。営業利益率は6%台前半で安定し、ROE・ROAもプラス圏ではあるが高水準にはならない。市場評価は現在の延長線上にとどまり、PERやPBRも大きく切り上がらない。この場合、株価は配当を下支えにしながらも大きな上昇トレンドには入らず、964.0円前後から900円〜1,100円程度のレンジで推移する可能性が高い。値上がり益よりも、配当と業績回復の安心感を重視する投資家向けの動きとなる。
悪い場合は、世界的な景気減速や建設投資の縮小、建設コスト上昇の影響で受注環境が悪化するシナリオである。主力の仮設・型枠・構造機材の需要が落ち込み、営業利益率が5%台前半まで低下すれば、業績回復が遅れ、黒字定着への信頼感も後退する。市場では回復期待が剥落し、評価が一段と引き下げられる可能性がある。この場合、現在値964.0円から下落し、5年後の株価は700円〜850円程度で低迷するリスクも考えられる。
総合すると、現在の株価964.0円は、岡部の業績回復期待と不透明感の両方を織り込んだ水準にある。5年間では中間シナリオが最も現実的で、配当を受け取りながら緩やかな回復を待つ投資スタイルに向く。一方で、建設需要の回復が想定以上に進めば上振れ余地があり、逆に市況悪化時には再び評価が低下するリスクも併せ持つ銘柄と言える。
この記事の最終更新日:2026年1月10日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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