株価
ニッパツとは

ニッパツは、神奈川県横浜市金沢区に本社を置く独立系の大手自動車部品メーカーで、1939年に自動車用懸架ばねメーカーとして創業した。現在では世界トップクラスの総合ばねメーカーとして知られ、特定の完成車メーカーに属さない独立系という立場から、国内外の幅広い自動車メーカーに部品を供給している。
中核事業は自動車用懸架ばねであり、コイルスプリングやスタビライザーなどの分野で世界首位級のシェアを持つ。車両の乗り心地や操縦安定性、安全性に直結する重要部品を担っており、高い信頼性と量産対応力が強みである。これに加えて自動車シート事業も大きな柱となっており、シート骨格、リクライニング機構、シート用ばねなどを通じて、安全性と快適性の両立に貢献している。
近年は自動車の電動化を背景に、エンジンや伝達系部品に加え、電動車向けのモーターコアや駆動制御関連の金属ベース基板などの分野でも売上を伸ばしている。また、自動車以外の成長分野として、ハードディスクドライブ向けサスペンション事業があり、磁気ヘッド保持ばねの分野で世界シェア約50%を占める。加えて、接合技術を活かした半導体製造装置向けのエッチング・成膜工程用部品も急速に拡大しており、非自動車分野の重要な収益源となりつつある。
技術面では、材料開発、シミュレーション、金属加工、熱処理、接合といった基盤技術をグループのコアとしている。ばね素材については素材メーカーと共同で高強度・高靭性鋼材を開発し、市場の要求特性に応じた材料設計を行っている。解析・評価技術と高度なシミュレーションを活用したバーチャルものづくりにより、開発効率と品質の向上を図っている。
金属加工技術では、高度なプレス加工能力と金型技術を強みに、自社で設計・製作した金型を用いて量産まで一貫対応している。電動車のキーパーツであるモーターコアは、日本、中国、メキシコの3拠点で同水準の製品供給が可能である。熱処理分野では、通電加熱や高周波加熱などCO₂排出量の少ない技術を導入し、焼戻し工程を不要とするスタビライザーの開発など、カーボンニュートラルへの対応も進めている。
接合技術もニッパツの大きな強みであり、独自のろう付や固相拡散接合技術を用いることで、高精度かつ残留歪の少ない接合を実現している。これにより、微細化・積層化が進む半導体製造工程において重要となる、正確な温度制御やガス分布を可能にする高付加価値部品の製造を支えている。
総合するとニッパツは、懸架ばねとシートという自動車分野の基幹部品で世界トップクラスの地位を持ちながら、HDD用サスペンションや半導体製造装置向け部品といった成長分野も取り込む技術集約型メーカーである。成熟した自動車分野と成長性のある非自動車分野を併せ持ち、材料から加工・接合までを自社技術で押さえる総合力を強みに、安定性と成長性の両立を目指す企業と位置付けられる。
ニッパツ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 572,639 | 10,463 | 14,533 | 9,396 | 40.5 | 17 |
| 連22.3 | 586,903 | 21,359 | 30,674 | 31,998 | 140.3 | 27 |
| 連23.3 | 693,246 | 28,838 | 37,317 | 21,537 | 94.5 | 32 |
| 連24.3 | 766,934 | 34,652 | 47,814 | 39,188 | 173.3 | 42 |
| 連25.3 | 801,698 | 52,160 | 57,960 | 48,167 | 224.7 | 69 |
| 連26.3予 | 800,000 | 47,000 | 51,500 | 38,900 | 192.0 | 66 |
| 連27.3予 | 840,000 | 50,000 | 56,000 | 42,000 | 207.3 | 66〜68 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 13,656 | -41,758 | -11,546 |
| 連24.3 | 66,706 | -10,349 | -20,996 |
| 連25.3 | 55,713 | -47,784 | -23,625 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 4.1% | 3.5% | 6.1% | – | – |
| 連24.3 | 4.5% | 5.6% | 9.6% | – | – |
| 連25.3 | 6.5% | 6.9% | 11.8% | 6.3〜9.6倍 | 1.26倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の規模と伸びを見ると、24.3期の売上高は7,669億円、営業利益は346億円、経常利益は478億円、純利益は391億円である。25.3期は売上高8,016億円、営業利益521億円、経常利益579億円、純利益481億円と、売上の拡大に加えて利益が大きく伸びている。26.3期予想では売上高8,000億円と横ばいだが、営業利益470億円、経常利益515億円、純利益389億円と高水準を維持する計画になっている。短期的なピークアウト感はあるものの、24.3期以前と比べれば明らかに収益力が底上げされた状態にある。
収益性を見ると、営業利益率は23.3期4.1%、24.3期4.5%、25.3期6.5%と段階的に改善している。自動車部品メーカーとしては6%台はかなり良好な水準であり、価格転嫁や製品ミックス改善が効いていることが数字から読み取れる。ROEも6.1%→9.6%→11.8%と上昇しており、25.3期には資本効率の面でも十分に評価できる水準に達している。ROAも3.5%→5.6%→6.9%と改善しており、資産を使ってしっかり利益を生み出せている局面にある。
バリュエーションを見ると、25.3期実績PERは高値平均9.6倍、安値平均6.3倍と、利益水準に対してかなり低い評価にとどまっている。PBRは1.26倍であり、切り捨てで1.2倍となる。ROEが11%台まで上がっていることを考えると、PBR1倍台前半は割高感はなく、むしろ慎重な評価が続いている印象である。利益の持続性に対して市場がまだ様子見姿勢を取っている段階といえる。
これらの数値だけで判断すると、ニッパツは「業績拡大と収益性改善が同時に進んでいる局面」にある。売上成長に加え、営業利益率、ROE、ROAが揃って改善している点は評価が高い。一方で、PERは1桁台、PBRも1倍台前半にとどまっており、市場はこの高収益状態が長期的に続くかどうかについて、まだ強気にはなり切れていない。
総合すると、ニッパツは急成長株ではないが、成熟した自動車部品メーカーとしては収益力と資本効率が明確に改善しており、現在の評価水準は業績に対して割安寄りに見える。26.3期予想で減益となっても、利益水準そのものは高く、極端に評価を切り下げる理由は見当たらない。提示された数値だけを見る限り、ニッパツは「安定成長+評価余地」を併せ持つ銘柄であり、守りと適度な上値余地を意識した投資対象として妥当性の高い企業と判断できる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは26.3期、27.3期ともに2.58%であり、高配当株と呼べる水準ではないが、東証プライムの製造業平均と比べると極端に低いわけでもない。インカム狙いとしては「中配当・安定型」に分類される。
配当の裏付けとなる利益水準を見ると、25.3期の純利益は481億円、26.3期予想でも389億円が見込まれており、配当66円前後は十分に利益で賄える範囲にある。営業キャッシュフローも24.3期667億円、25.3期557億円と高水準で推移しており、現金創出力という面から見ても配当の安全性は高い。
配当性向のイメージとしても、25.3期は特別配当を含めて増配しており、業績が良い年は株主還元を厚くする姿勢がうかがえる。一方で、26.3期以降は配当66円程度に落ち着かせる計画となっており、無理に利回りを引き上げるよりも、安定配当を優先するスタンスと考えられる。
利回り2.5%前後という水準は、配当だけで大きなリターンを狙うには物足りないが、業績の安定性と成長性を考えると、減配リスクが低い点は大きな強みである。過去に赤字で配当が不安定になるような局面は少なく、成熟企業として配当を継続しやすい体質を持っている。
総合すると、ニッパツは「高配当目的一本」で保有する銘柄ではないが、「業績の安定成長+ほどほどの配当」を組み合わせて考える投資家には向いている。配当を受け取りつつ、利益成長に伴う株価の緩やかな上昇も期待する、中長期型の配当投資に適した銘柄といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
ニッパツは独立系の大手自動車部品メーカーで、懸架ばねでは世界トップクラスのシェアを持ち、シート事業やHDD用サスペンション、半導体製造装置向け部品など事業の幅も広い。直近数年は売上拡大に加えて営業利益率、ROE、ROAがそろって改善しており、成熟企業でありながら収益性が一段引き上がった局面にある。市場では安定企業として評価される一方、急成長株ほどの期待は織り込まれていない状態にある。ニッパツの現在値2,558.0円を基準に、今後5年間の値動きを考えます。
良い場合は、自動車生産が堅調に推移し、懸架ばねやシートの数量が安定的に伸びるシナリオである。加えて、HDD用サスペンションや半導体製造装置向け部品が想定以上に成長し、非自動車分野の利益貢献が拡大する。この場合、営業利益率は6%台後半から7%程度で定着し、ROEも12%前後を維持できる。市場はニッパツを「安定+成長」を兼ね備えた優良部品メーカーとして再評価し、PERは12〜14倍、PBRは1.4〜1.6倍程度まで許容される可能性がある。これが実現すれば、5年後の株価は3,200円〜3,800円程度まで上昇する展開が想定される。
中間の場合は、業績は会社計画どおりに推移し、売上は横ばいから緩やかな増加、利益も高水準を維持するが、これ以上の大きな改善は見られないケースである。営業利益率は6%前後、ROEは10%台前半に落ち着き、市場評価も現状の延長線上となる。PERは9〜11倍、PBRは1.1〜1.3倍程度で推移し、配当利回りが下値を支える構造になる。この場合、5年後の株価は2,400円〜2,900円程度と、現在値近辺を中心に緩やかなレンジ相場を描くイメージとなる。
悪い場合は、自動車需要の減速やEVシフトに伴う部品構成の変化で、従来型部品の収益性が低下するシナリオである。非自動車分野の成長がそれを補えず、営業利益率は再び5%を下回り、ROEも一桁台に低下する。この場合、市場は成熟企業としての安定性は認めつつも成長期待を後退させ、PERは7〜8倍、PBRは1倍割れまで評価が切り下がる可能性がある。5年後の株価は1,800円〜2,200円程度まで調整するリスクが考えられる。
総合すると、ニッパツは急激な値上がりを狙う銘柄ではないが、収益力と財務の安定性を背景に、大きく崩れにくい特性を持つ。5年間では中間シナリオが最も現実的で、配当を受け取りながら緩やかな値動きを期待する投資スタイルに向く。一方で、非自動車分野の成長が加速すれば上振れ余地もあり、逆に自動車市況悪化時には2,000円前後までの下押しリスクも併せ持つ銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年1月11日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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