株価
エアトリとは

エアトリは、航空券予約サイト「エアトリ」を中核とする総合旅行プラットフォーム企業であり、オンライン旅行事業(OTA)を祖業として成長してきた会社である。本社は東京都港区に置かれ、東京証券取引所プライム市場に上場している。現在はエアトリグループとして、旅行事業を中心にIT、メディア、投資など多角的に事業を展開しており、全体で12の事業領域を持つ点が特徴である。
同社は2007年に「株式会社旅キャピタル」として創業され、オンラインで航空券や旅行商品を取り扱うOTAとして事業を開始した。創業者は大石崇徳氏と吉村英毅氏であり、当初からインターネットを活用した直販型の旅行モデルを志向していた。2012年にはベトナム・ホーチミンにITオフショア開発拠点を設立し、旅行事業とは別軸となるIT開発事業をスタートさせている。
2016年に東証マザーズへ上場し、翌2017年には東証一部へ市場変更、その後プライム市場へ移行している。2018年にはDeNAトラベルを完全子会社化し、事業基盤を拡大。2020年には社名を現在の「株式会社エアトリ」に変更し、柴田裕亮氏が代表取締役社長兼CFOに就任した。以降、M&Aや子会社上場を通じてグループ経営を本格化させている。
事業の中核は「エアトリ旅行事業」であり、国内線・国際線の航空券を中心に、宿泊、ツアー、高速バス、レンタカー、各種オプションサービスなどをオンラインで提供している。複数の旅行商品を横断的に比較・予約できる利便性を強みとしており、手数料収入や取扱収益が主な収益源である。直販に加えて、旅行コンテンツの提供や卸売も行っている。
これに加えて、ITオフショア開発事業では、ベトナムを主拠点としたラボ型開発を行い、Webシステムやアプリ、ゲーム開発などを受託している。この分野ではグループ会社のハイブリッドテクノロジーズが上場しており、旅行事業とは異なる安定収益源として機能している。
訪日旅行事業・通信関連事業では、訪日外国人向けの旅行手配やWi-Fiルーターのレンタルサービスを展開しており、インバウンド需要を取り込む役割を担っている。こちらもグループ会社のインバウンドプラットフォームが上場している。
メディア事業では、メールマガジン配信やニュース配信、ライブ配信などを手がけており、まぐまぐが中核となっている。さらに、投資事業としてはエアトリCVCを通じてスタートアップへの出資を行い、事業シナジーや中長期的な投資リターンを狙っている。
そのほか、地方創生事業、クラウド型業務支援サービス、人材ソリューション、マッチングプラットフォーム、CXOコミュニティ事業、クリエイティブ・DX支援事業など、旅行を起点としながらも周辺領域へ事業を広げている点が特徴である。一部ではヘルスケアや福利厚生分野にも投資先を通じて関与している。
全体としてエアトリは、旅行事業という景気や外部環境の影響を受けやすい分野をコアに持ちながらも、IT開発、メディア、投資といった複数の事業を組み合わせることで、収益源の分散を図っている企業である。単一事業に依存しないグループ経営を進めつつ、オンライン完結型サービスを軸に成長機会を模索している点が、エアトリの大きな特徴と言える。
エアトリ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 税前利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.9 | 17,524 | 3,142 | 3,043 | 2,372 | 112.2 | 10 |
| 22.9 | 13,510 | 2,193 | 1,979 | 1,901 | 85.9 | 10 |
| 23.9 | 23,162 | 2,398 | 2,318 | 1,489 | 67.0 | 10 |
| 24.9 | 26,571 | 2,368 | 1,910 | 2,013 | 90.0 | 10 |
| 25.9 | 28,024 | 3,159 | 3,088 | 1,839 | 82.1 | 10 |
| 26.9予 | 34,000 | 2,400 | 2,300 | 1,400 | 62.4 | 10 |
| 27.9予 | 38,000 | 2,600 | 2,500 | 1,500 | 66.8 | 10 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 23.9 | 4,109 | -588 | -121 |
| 24.9 | 2,271 | -3,629 | -1,397 |
| 25.9 | 4,549 | -1,353 | -791 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 23.9 | 10.3% | 11.8% | 4.8% | – | – |
| 24.9 | 8.9% | 14.6% | 6.9% | – | – |
| 25.9 | 11.0% | 11.6% | 5.5% | 30.5倍〜19.4倍 | 1.15倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の規模感を見ると、売上高は24.9期の265億円から25.9期に280億円、26.9期予想では340億円へと拡大しており、旅行需要の回復や関連事業の拡張によって事業規模そのものは順調に大きくなっている。売上成長だけを見ると勢いはあり、マーケット環境が良ければトップラインは伸ばせる企業であることが分かる。
一方で利益の動きは売上ほど素直ではない。営業利益は24.9期23億円から25.9期に31億円へ増加したものの、26.9期予想では24億円と再び減少する見通しになっている。税前利益も30億円から23億円へ、純利益も18億円から14億円へと落ち込む予想であり、売上拡大に対して利益が安定的に積み上がる構造とは言いにくい。旅行事業特有の変動費構造や競争環境の影響を受けやすい点が、そのまま数字に表れている。
収益性を見ると、営業利益率は23.9期10.3%、24.9期8.9%、25.9期11.0%と8〜11%のレンジで推移している。低くはないが、明確な改善トレンドが続いているわけでもなく、外部環境次第で上下しやすい水準である。ROEは11.8%から14.6%へ上昇した後、11.6%へ低下しており、資本効率は平均以上だが安定的に高まっているとは言えない。ROAも4.8%から6.9%へ改善した後に5.5%へ低下しており、収益力はあるものの、盤石というほどではない。
株価評価を見ると、2025年実績のPERは安値平均で19.4倍、高値平均では30.5倍と、決して低い水準ではない。特に26.9期予想で利益が減少する前提を考えると、PERの高さはやや気になる。PBRは1.1倍程度で、資産面から見た割高感は小さいが、だからといって割安と断言できるほどでもない。
これらを総合すると、エアトリは売上規模は拡大しているものの、利益は景気や需要動向に左右されやすく、安定成長型というより循環色のある企業であることが分かる。ROE・ROAは一定水準を保っており事業の基礎体力はあるが、26.9期予想では利益後退が見込まれており、成長ストーリーは一度踊り場に入っている印象がある。
投資判断としては、業績回復局面に強い企業であり、環境が好転すれば再評価余地はあるものの、現時点では積極的に成長株として買い上がる局面ではない。PBR面での下値不安は小さい一方、PERは利益減少を前提にするとやや高めであり、強気で入るよりも、利益率や純利益が再び明確に改善する兆しを確認してから判断したい銘柄と言える。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは26.9期、27.9期ともに1.29%と低く、配当目的という観点では明確に弱い水準である。日本株全体で見ても、配当狙いとされる銘柄は3〜4%程度が一つの目安になることが多く、それと比べるとエアトリの利回りはインカム投資には向かない。
利益面を見ると、純利益は25.9期で18億円あるものの、26.9期予想では14億円へ減少する見通しとなっており、利益が右肩上がりで積み上がる局面ではない。この状況で配当額を積極的に増やす余地は小さく、会社としても配当より成長投資や事業拡大を優先していることが数字から読み取れる。実際、1株配当は10円で横ばいが続いており、安定配当ではあるが、増配を期待できる段階ではない。
ROEは11%台、ROAは5%台と事業としての基礎体力はあるが、旅行事業は景気や外部環境の影響を受けやすく、業績の振れも大きい。そうした事業特性を考えると、会社が高配当政策を採りにくいのは自然であり、株主還元の中心は配当ではなく、事業成長や将来の企業価値拡大に置かれていると考えるのが妥当である。
総合すると、エアトリは配当目的の銘柄とは言えない。1.29%という利回りは、配当を主目的に保有するには物足りず、インカム狙いの投資家には不向きである。一方で、業績回復や旅行需要の再拡大による株価上昇を狙う成長・循環株としての位置付けであれば意味はある。配当はあくまでおまけ程度であり、配当を軸にした長期保有には向かず、値動きや業績回復を前提に判断するタイプの銘柄と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
エアトリは、航空券予約サイト「エアトリ」を中核とするオンライン旅行会社であり、旅行事業を祖業としながら、ITオフショア開発、メディア、インバウンド関連、投資事業などへ事業領域を広げてきた企業である。現在の株価は773円であり、この水準を起点に今後5年間の値動きを考える。
良い場合は、国内外の旅行需要が想定以上に回復・拡大し、航空券・宿泊予約の取扱高が再び高成長軌道に乗るシナリオである。インバウンド需要の本格回復や関連サービスの拡充が進み、ITオフショア開発や周辺事業も安定的に利益貢献することで、営業利益率が10%台後半で安定する。ROE・ROAも改善し、市場からは「回復局面に強い循環成長株」として再評価される。この場合、PERが25倍前後まで許容され、5年後の株価は1,400円〜1,800円程度が視野に入る。
中間の場合は、売上は拡大を続けるものの、利益率は上下を繰り返し、全体としては横ばいに近い推移となるケースである。営業利益率は10%前後、ROEは10%台前半で安定し、評価面ではPER20〜25倍、PBR1.1〜1.3倍程度に落ち着く。この場合、株価は現在値から大きくは離れず、5年後の水準は900円〜1,100円程度となり、緩やかな上昇か横ばい推移が想定される。
悪い場合は、旅行需要の回復が想定より鈍く、競争激化やコスト増によって利益率が低下するシナリオである。営業利益率が10%を下回り、ROE・ROAも悪化することで、市場からは「成長が一巡した循環株」と評価される。評価倍率は切り下がり、PERは15倍前後、PBRは1倍近辺まで低下する可能性がある。この場合、5年後の株価は550円〜750円程度まで下落するリスクがある。
総合すると、エアトリは売上成長力はあるものの、利益の安定性には課題を残す企業であり、高配当や安定成長を狙う銘柄ではない。外部環境の影響を受けやすい循環型の性格が強く、株価も業績の波に合わせて大きく動きやすい。今後5年間では中間シナリオが最も現実的であり、値上がり益を狙う回復・循環局面向けの銘柄として、業績と市況を見ながら付き合うタイプの企業と言える。
この記事の最終更新日:2026年1月15日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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