株価
リケンNPRとは

リケンNPRは、自動車用ピストンリングで国内最大手の企業グループであり、旧リケンと日本ピストンリングが経営統合して誕生した共同持株会社である。本店所在地は東京都千代田区三番町に置かれ、内燃機関向け基幹部品を中核としながら、多角的な事業ポートフォリオを展開している。
グループの中核事業はピストンリング事業である。ピストンリングはエンジン性能を左右する極めて重要な部品であり、高出力化、低燃費化、排ガスのクリーン化といった要求に直接応える技術が求められる。リケンNPRは、乗用車向けだけでなく、商用車・産業用、補修用、さらには大型船舶用まで幅広い分野に製品を供給しており、世界中のエンジンメーカーから高い評価を受けている。船舶用では直径1m級の巨大なピストンリングも手がけており、素材技術や加工技術の蓄積が強みとなっている。
ベース事業としては、自動車・産業機械向けの精密機器部品や、建設・産業分野向けの配管機器製品を展開している。配管製品は都市インフラや防災、プラントなどで使われる重要部材であり、JISをはじめとする各種規格・認証を取得した「コマ印」ブランドを中心に、高い信頼性を武器としている。安定した需要が見込める分野であり、グループ全体の収益基盤を下支えする役割を担っている。
ネクストコア事業では、既存の材料・加工・表面処理といった固有技術に外部リソースを組み合わせ、次世代事業の育成を進めている。自動車関連では、従来の内燃機関部品に加え、水素や合成燃料対応エンジン向け部品、さらには電動車向け部品など、将来を見据えた技術開発に取り組んでいる。内燃機関一本足からの脱却を意識した事業ポートフォリオ改革が進められている点が特徴である。
そのほか、金属射出成形部品事業では、複雑形状を高精度かつ省資源で量産できる技術を活かし、自動車部品のみならず、ロボット、通信機器、医療機器、レジャー用品など幅広い分野に製品を供給している。熱エンジニアリング事業では、金属・セラミックス発熱体や工業炉などを手がけ、長年培った熱制御技術で産業界を支えている。EMC事業では、電磁波測定用の電波暗室などを提供し、電子機器の高度化を支援している。
さらに、医療・災害救急関連分野にも展開しており、生体適合性に優れた独自合金NiFreeTを用いた医療材料の開発や、災害救急医療製品を扱う商社機能を通じて、医療・BCP分野への貢献も進めている。RV関連商品や半導体製造関連部品など、商社機能を活かした周辺事業も手がけており、事業領域は多岐にわたる。
総合すると、リケンNPRは内燃機関向けピストンリングという世界トップクラスの中核技術を軸に、産業インフラ、次世代自動車、医療・災害分野まで裾野を広げている企業グループである。自動車の電動化という逆風を受けやすい分野にいながらも、技術の横展開と新規分野開拓によって、中長期的な生き残りと事業転換を模索している点が、この会社の大きな特徴と言える。
リケンNPR 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連24.3 | 138,586 | 8,764 | 11,635 | 26,324 | 1,092.0 | 70 |
| 連25.3 | 170,340 | 11,807 | 14,678 | 8,756 | 323.3 | 130 |
| 連26.3予 | 158,000 | 9,500 | 13,000 | 9,000 | 334.5 | 135 |
| 連27.3予 | 162,000 | 10,700 | 14,200 | 8,500 | 315.9 | 135 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連24.3 | 18,496 | -13,548 | -8,615 |
| 連25.3 | 17,477 | -7,085 | -8,404 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 連24.3 | 6.3% | 18.7% | 12.0% | – | – |
| 連25.3 | 6.9% | 6.0% | 3.9% | 6.4〜9.8倍 | 0.68倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の規模を見ると、売上高は1,500〜1,700億円規模で安定しており、自動車部品メーカーとしては中堅クラスに位置する。営業利益は80〜120億円程度で推移しており、事業としては大きな成長はないものの、一定の収益力は維持している。
24.3の純利益が263億円と突出しているが、25.3では87億円に急減しており、利益水準のブレが非常に大きい。この点から、24.3は特殊要因による一時的な利益が含まれていた可能性が高く、実力ベースとしては25.3〜26.3予の90億円前後が実態に近いと見るのが妥当である。
収益性を見ると、営業利益率は6%台で、内燃機関系部品メーカーとしては比較的良好な水準にある。一方でROEとROAは、24.3では高いが、25.3ではROE6.0%、ROA3.9%まで低下しており、平常時の資本効率は決して高くない。事業の稼ぐ力自体は悪くないが、資本を効率よく回している企業とは言いにくい。
評価面に目を向けると、2025年実績PERは6.4〜9.8倍、PBRは0.6倍台と明確に低水準である。市場はこの企業を成長株として評価しておらず、将来の業績拡大も控えめに見積もっていることが数字からはっきり分かる。一方で、PBR1倍を大きく下回っている点は、資産価値に対して株価が割安に放置されている状態とも言える。
配当については、25.3で130円、26.3予で135円と、利益水準に対して比較的高い還元を行っており、インカム志向の色合いが強い。ただし、利益の変動が大きいため、将来的な増配余地は限定的で、安定性にはやや注意が必要である。総合すると、リケンNPRは事業としては安定しているが高成長は期待できず、利益の振れも大きい。一方でPER・PBRは低く、評価面では明確な割安圏にある。
結論として、提示された数値だけで判断するなら、リケンNPRは「成長株ではなく、低評価・高配当寄りのバリュー株」であり、業績の大幅な拡大を狙う銘柄ではないが、下値の堅さと還元を重視する投資には向いたタイプの企業と言える。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りを見ると、2026年・2027年ともに3.60%となっており、日本株全体で見れば比較的魅力的な水準にある。極端な高配当ではないものの、製造業の中堅企業としては十分に「配当を取りに行ける」利回りと言える。
配当の裏付けとなる利益水準を見ると、純利益は25.3で約87億円、26.3予でも約90億円と、平常時ベースでは安定した水準を確保している。営業キャッシュフローも年間170〜180億円規模で推移しており、配当原資はキャッシュ面でも無理がない。配当金は130円から135円へと小幅ながら増配予想で、会社としても一定の株主還元姿勢を維持しようとしていることが読み取れる。
一方で注意点もある。24.3の純利益は特殊要因で大きく膨らんでおり、その反動で25.3以降の利益水準は大きく低下している。ROEも24.3の18.7%から25.3では6.0%まで落ちており、恒常的に高収益な企業ではない。内燃機関向け部品が主力である以上、中長期的には市場縮小リスクも抱えており、将来にわたって配当を大きく伸ばしていく余地は限定的と考えられる。
評価面を見ると、PERは6.4〜9.8倍、PBRは0.68倍と低く、株価はすでに成長期待をほとんど織り込んでいない。このため、業績が大きく崩れない限り、株価下落リスクは相対的に小さく、配当利回りを安定して享受しやすい構造になっている。これらを総合すると、リケンNPRは「配当を主目的に保有するには、現実的でバランスの取れた銘柄」と言える。高成長や大幅な増配を期待する銘柄ではないが、3.5%前後の利回りを安定して受け取りながら、割安評価による下値の堅さも期待できる。
結論として、配当目的に限定して考えるなら、リケンNPRは十分に検討対象となる銘柄であり、インカム重視の中長期投資には向いたタイプの企業だと言える。ただし、成長性は低いため、値上がり益よりも「配当を積み上げる」目的での保有が前提になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
リケンNPRの今後5年間の株価がどのように動くのかを考えるうえで、最も重要な要素になるのは、「内燃機関向け部品事業をどこまで安定して維持できるか」という点だと言える。リケンNPRは自動車用ピストンリングで国内最大手という確固たる地位を持ち、長年にわたりエンジンの基幹部品を供給してきた。一方で、自動車業界全体は電動化という大きな構造変化の途中にあり、同社は成長企業というより「成熟産業に属する安定企業」として評価されやすい段階にある。
現在の株価は3,745円前後。PERは6〜9倍、PBRは0.7倍を下回る水準にあり、市場はすでに高成長をほとんど期待していない状態だ。つまりリケンNPRは、期待先行で買われる銘柄ではなく、「業績がどこまで崩れず、配当を維持できるか」が株価の下支えになるタイプの企業だと言える。この前提を踏まえると、5年後の株価は成長シナリオよりも、安定・衰退の度合いによって振れ幅が決まる。
まず、良いシナリオから考える。ここでは内燃機関向け部品需要が想定以上に底堅く推移し、ハイブリッド車や商用車、船舶・産業用エンジン向け需要が安定的に続くケースを想定する。リケンNPRは自動車だけでなく、船舶用の大型ピストンリングや産業機械向け部品も手がけており、完全なEVシフトの影響をすぐに受け切る企業ではない。利益水準が年間80〜100億円規模で安定し、配当利回り3.5%前後が維持されれば、バリュー株としての評価が見直される可能性がある。この場合、PERは8〜10倍程度まで評価され、5年後の株価は5,000円〜6,500円程度まで上昇する余地がある。現在値から見れば、配当込みで1.5倍前後のリターンが見込める展開だ。
次に中間のシナリオでは、内燃機関市場は緩やかに縮小するものの、急激な落ち込みは起きず、同社の業績も横ばい圏で推移するケースを想定する。売上高は1,500億円前後、営業利益率は6%台を維持し、純利益は80〜90億円規模で安定する。一方で、成長性が乏しいため市場評価は大きく改善せず、PERは6〜8倍、PBRも1倍を下回ったままとなる。この場合、株価は4,000円〜5,000円程度のレンジで推移し、5年間で大きな値上がりはないものの、配当を受け取りながらじわじわとしたリターンを得る展開になる。
それとは逆に、悪いシナリオとして考えられるのは、電動化の進展が想定以上に早まり、内燃機関向け部品需要が急速に減少するケースだ。特に自動車向け売上の比率が高いため、利益率が低下し、純利益が50億円以下まで落ち込むような局面では、市場の評価も一段と厳しくなる。配当維持への懸念が強まれば、バリュー株としての魅力も薄れ、PERは5倍前後まで切り下げられる可能性がある。その場合、株価は2,500円〜3,200円程度まで下落する展開も十分に考えられる。ただし、財務基盤が比較的健全であるため、事業継続そのものが危ぶまれるような極端な下落リスクは限定的だ。
こうして3つのシナリオを総合して考えると、リケンNPRは任天堂のように「新製品のヒットで一気に成長する銘柄」ではなく、「業績がどれだけ崩れずに踏みとどまれるか」で評価が決まる銘柄だと言える。株価は期待で大きく跳ねることは少ないが、その分、過度な失望売りも起きにくい。
結局のところ、リケンNPRの株価は「内燃機関向け部品事業をどこまで安定して維持できるか」という一点に集約される。成長株としての魅力は乏しいものの、割安な評価と配当利回りを重視する投資家にとっては、5年間じっくり保有する価値のある銘柄であり、リスクとリターンが比較的読みやすい、典型的なバリュー型企業だと言える。
この記事の最終更新日:2026年1月16日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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