株価
フリューとは

フリューは、プリントシール機を中核とし、アプリ課金、キャラクター商品、デジタルコンテンツまで幅広く展開する総合エンターテインメント企業である。プリントシール機では国内シェアが事実上9割近くに達しており、2018年以降は競合が消滅したことで、実質的な独占状態に近い市場構造を持っている点が最大の特徴である。
同社はもともとオムロンの100%出資子会社であった旧オムロンエンタテインメントを前身とし、2007年にマネジメント・バイ・アウトによって独立した経緯を持つ。社名の由来は「風流」であり、人の心を引きつけ、豊かにするエンタテインメントを提供するという思想を企業理念の中核に据えている。本社は東京都渋谷区に所在する。
プリントシール事業では、1997年と業界では後発ながら、センサー技術や通信機能を活用した差別化で急速にシェアを拡大した。撮影した画像をスマートフォンで取得・保存できる仕組みを早期に導入し、そこから公式サービスへ誘導する導線を構築したことが、リピーター獲得と囲い込みにつながった。現在では新機種を年2〜3回投入し、筐体そのものよりも消耗品であるシール用紙の補充によって安定的に利益を得るビジネスモデルを確立している。このため、新規営業や広告宣伝に大きなコストをかけずとも収益を維持しやすい構造となっている。
プリントシール機と連動する画像取得・閲覧サービス「ピクトリンク」は、累計会員数が1,000万人を超え、有料会員比率も15%を超えている。単なる筐体ビジネスにとどまらず、アプリ課金によるストック型収益を持っている点は、同社の収益安定性を高める重要な要素である。2012年以降はプリントシール機専門店舗の直営運営も行い、ユーザー接点の強化を進めている。
主な利用者は女子中高生だが、観光地や映画館向けの小型プリントシール機、証明写真用途の機種など、年齢や性別を問わない用途拡張も進めている。また、社内には「ガールズ総合研究所」を設置し、若年女性の嗜好や行動を研究することで、商品企画やマーケティングに反映させている点も特徴的である。
コンテンツ・メディア事業では、ピクトリンクを中心に、写真加工、デコレーション、待受、医療・美容系コンテンツなど、若年層向けの多様なデジタルサービスを展開している。これらはプリントシール事業と親和性が高く、ユーザー基盤を相互に活用できる構造となっている。加えて、カラーコンタクトレンズ事業にも参入し、自社ブランド商品の企画・販売を行ってきたが、この事業は2025年3月末をもって譲渡予定となっており、今後はエンターテインメント領域への集中が進むと見られる。
キャラクター・マーチャンダイジング事業では、クレーンゲーム向けのプライズ景品を中心に、サンリオやサンエックスなどのファンシー系キャラクター、アニメ・コミック作品、アーティスト関連商品を幅広く展開している。自社オリジナルキャラクターも保有しており、IPを活用した商品展開によって収益機会の拡大を図っている。
総合すると、フリューはプリントシール機という圧倒的なシェアを持つ基盤事業を軸に、アプリ課金やキャラクター商品といった周辺ビジネスで収益を積み上げる企業である。流行や若年層の嗜好変化に左右されやすい側面はあるものの、独占的な市場地位とストック型収益を併せ持つ点が、この会社の最大の強みだと言える。
フリュー 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) (円) |
一株配当(DPS) (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単21.3 | 24,777 | 2,736 | 2,716 | 1,844 | 67.4 | 36 |
| 連22.3 | 34,058 | 3,709 | 3,707 | 2,544 | 93.0 | 52 |
| 連23.3 | 36,400 | 2,134 | 2,179 | 1,443 | 53.6 | 38 |
| 連24.3 | 42,768 | 3,771 | 3,735 | 2,491 | 94.2 | 39 |
| 連25.3 | 44,305 | 2,239 | 2,280 | 1,627 | 61.5 | 39 |
| 連26.3予 | 45,000 | 3,000 | 3,000 | 2,100 | 79.3 | 39 |
| 連27.3予 | 46,000 | 3,300 | 3,300 | 2,300 | 86.8 | 39〜40 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 904 | -2,334 | -2,440 |
| 連24.3 | 3,942 | -2,251 | -1,009 |
| 連25.3 | 3,856 | -2,603 | -1,036 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 5.8% | 7.1% | 5.5% | – | – |
| 連24.3 | 8.8% | 11.3% | 8.7% | – | – |
| 連25.3 | 5.0% | 7.2% | 5.7% | 21.7倍 ~14.1倍 |
1.25倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
フリューの直近の業績を見ると、売上は2024年に427億円、2025年に443億円、2026年予想で450億円と、緩やかながらも一貫して増加している。一方で利益面は安定しているとは言い切れず、2024年の営業利益は37億円あったものの、2025年には22億円まで落ち込み、2026年予想では30億円へ回復する見通しとなっている。経常利益や純利益も同様に、年ごとの振れが大きい構造であることが分かる。
収益性を示す営業利益率は、2023年の5.8%から2024年に8.8%まで改善したが、2025年には5.0%まで再び低下している。利益率が右肩上がりで定着している企業とは言えず、プライズやコンテンツ事業におけるヒットの有無によって業績が左右されやすい体質が、数字からもはっきり読み取れる。
資本効率を見ると、ROEは7.1%から11.3%、7.2%と推移し、ROAも5.5%から8.7%、5.7%と、いずれも2024年をピークに低下している。利益が出た年には効率が改善するものの、それが継続しない点から、構造的に高い収益力を持つ企業というより、好不調の波を繰り返すタイプの企業と判断できる。
株価評価の面では、2025年の実績PERが安値平均14.1倍、高値平均21.7倍とやや高めで、営業利益率5%前後の企業として見ると、割安感は乏しい。PBRは1.2倍で資産面からの過度な割高感はないものの、収益の安定性を考慮すると、すでに一定の期待は株価に織り込まれている印象を受ける。
これらの数値だけで判断すると、フリューは売上は安定的に伸びているものの、利益の振れ幅が大きく、営業利益率・ROE・ROAが安定して積み上がる構造にはなっていない企業である。PER水準も決して低くはなく、業績が好調な局面では評価されやすい反面、業績が一段落すると株価が調整しやすい。長期で安心して持ち続けるタイプの銘柄というよりは、業績の波と市場評価を意識しながら、距離感を保って付き合う必要のある銘柄だと感じる。
配当目的とかどうなの?
フリューを配当目的で見ると、立ち位置ははっきりしていて「高配当狙いとしては一歩手前、安定配当株としてはやや不安定」という評価になる。連26.3、連27.3ともに予想配当利回りは3.66%と、数字だけを見れば高配当株の水準に近いが、その裏付けとなる利益の安定性は強いとは言えない。
直近の利益水準を見ると、営業利益は2024年に37億円あったものが2025年には22億円まで落ち込み、2026年予想で30億円へ回復する想定となっている。利益の振れ幅が大きく、営業利益率も5%前後と高いとは言えないため、配当原資の余裕は年によって大きく変わる可能性がある。この点は、配当目的で見る場合の最大の注意点になる。
キャッシュフロー面では、2024年以降は営業CFが大きく改善しており、短期的な支払い能力に問題は見られない。ただし、投資CFは継続的にマイナスで、事業維持や拡大のための投資は欠かせない構造である。財務CFもマイナスが続いており、配当を含めた資金流出が常態化している点は、配当を最優先に考える投資家にとっては慎重に見たい部分だ。
また、フリューの配当は大きく増やすというより、一定水準を維持する姿勢が強く、業績が悪化しても急に減配しない代わりに、業績が好調でも配当を大きく引き上げるタイプではない。利回り3.6%台は、株価が大きく下がらない限り維持しやすいが、利益の回復が遅れた場合には減配リスクが意識されやすい。
総合すると、フリューは配当利回りの数字だけを見ると魅力的に見えるが、利益の安定性や事業の波を考慮すると、純粋な配当目的で長期保有するにはややリスクがある。配当を受け取りつつ値動きも見る「配当+タイミング型」の投資には向くが、安定インカムを最優先する高配当戦略の中核に据える銘柄ではない、というのがこの数値から導かれる結論になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
フリューの現在値は1,064円である。この水準を起点に今後5年間の値動きを考えると、業績の安定性よりも「ヒットの有無」と「市場の評価倍率」によって株価が大きく左右される銘柄だと分かる。安定成長株というより、業績の波を前提に評価が上下するタイプであるため、シナリオごとの差が比較的大きくなりやすい。
良い場合は、プリントシール機事業が安定収益源として機能しつつ、プライズやコンテンツ事業で継続的にヒットが出るケースである。この場合、営業利益は30億円前後で安定し、営業利益率も7〜8%程度まで回復する可能性がある。市場からは「独占的地位を持つエンタメ企業」として評価されやすくなり、PERは20倍前後が許容される。5年後に一株益が90円前後まで伸びれば、株価は1,700円から1,900円程度まで上昇する余地がある。配当を受け取りながら値上がりも期待できる展開になる。
中間のケースは、売上は緩やかに伸びるものの、利益は年によって上下を繰り返し、営業利益率が5%前後で推移するシナリオである。プリントシール機の安定性は維持されるが、新たな大ヒットが出ない状態が続く。この場合、PERは14〜16倍程度に落ち着きやすく、5年後の株価は1,000円から1,200円前後で推移する可能性が高い。現在値付近を中心に上下しながら、配当込みでトントンか、ややプラス程度のリターンになる。
悪い場合は、若年層の嗜好変化やエンタメ消費の変調により、プライズやコンテンツ事業の不振が長引くケースである。営業利益率が再び5%を下回り、利益水準も20億円前後にとどまると、市場は成長期待を後退させる。PERは10〜12倍程度まで低下し、一株益が60円前後にとどまれば、株価は600円から800円近辺まで下落するリスクがある。高配当利回りは維持されるものの、評価の切り下げによる株価下落が大きくなる展開となる。
総合すると、フリューは上にも下にも振れやすい銘柄であり、現在値1,064円は中間シナリオのやや下寄りに位置している印象を受ける。配当利回りは魅力的だが、株価の安定性を最優先する投資には向かない。業績の波を理解した上で、割安と感じる水準で拾い、評価が高まった局面では欲張らずに利益確定するような付き合い方が合っている銘柄だと感じる。
この記事の最終更新日:2026年1月17日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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