株価
野村マイクロ・サイエンスとは

野村マイクロ・サイエンスは、半導体やフラットパネルディスプレイの製造工程で不可欠となる超純水製造装置の大手メーカーであり、国内外の先端電子産業を支えるインフラ企業である。北興化学工業を母体として1969年に設立され、超純水分野に特化した技術開発と実績の積み重ねによって成長してきた。
同社の最大の特徴は、半導体向け超純水装置の設計・施工・販売から、運転管理、保守、メンテナンスまでを一貫して手掛ける点にある。装置単体の販売にとどまらず、納入後のサポートや更新需要を取り込めるため、設備投資循環の影響を受けながらも、一定のストック型収益を併せ持つ事業構造となっている。
技術的なルーツは、GEで開発されたニュークリポアメンブレンにあり、膜分離技術や微粒子制御技術を日本に導入・発展させた点が同社の原点である。その後、プレフィルターやカートリッジ、除菌水装置などを開発し、食品、医薬、化学分野へも応用を広げてきたが、特に半導体分野での評価が飛躍的に高まったことで、事業の軸が確立された。
1970年代にはNEC向け純水装置を皮切りに半導体工場への納入実績を積み重ね、電電公社向け超純水システムの導入を通じて、業界内で「純水御三家」の一角として認知される存在となった。1980年代以降は海外展開を本格化させ、韓国のサムスン電子、台湾の半導体メーカーなど、アジアの有力企業向けにいち早く一貫システムを提供した点が大きな強みとなっている。特に韓国・台湾市場の開拓においては先駆的な役割を果たし、現在でもサムスン電子との取引実績が豊富である。
近年では、逆浸透膜、イオン交換膜、限外ろ過膜など複数の水処理技術を組み合わせた高度なシステム設計力に加え、薬剤を使用しないノンケミカル超純水装置の開発など、環境負荷低減を意識した技術にも注力している。また、製薬メーカー向けには蒸留法に代わる注射用水製造装置を提供するなど、半導体以外の高付加価値分野にも事業領域を広げている。
総合すると、野村マイクロ・サイエンスは、半導体設備投資の波に業績が左右されやすい一方で、高度な技術力と長年の実績による参入障壁が高く、国内外の先端メーカーと深い取引関係を築いている企業である。特に韓国・台湾を中心とした海外展開の早さと、超純水という不可欠な工程を担う立場から、中長期的には半導体産業の成長とともに存在感を発揮し続ける企業だと言える。
野村マイクロ・サイエンス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) (円) |
一株配当(DPS) (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3* | 30,361 | 3,972 | 3,636 | 2,618 | 71.2 | 16.3 |
| 連22.3* | 31,901 | 4,433 | 4,581 | 3,291 | 89.4 | 23.8 |
| 連23.3* | 49,595 | 6,550 | 6,416 | 5,806 | 156.9 | 37.5 |
| 連24.3* | 73,021 | 10,647 | 10,819 | 7,978 | 213.5 | 62.5 |
| 連25.3 | 96,359 | 15,372 | 13,399 | 10,199 | 270.8 | 80 |
| 連26.3予 | 60,000 | 6,200 | 5,200 | 3,850 | 101.1 | 70 |
| 連27.3予 | 105,000 | 16,500 | 15,500 | 11,500 | 302.1 | 90 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 4,681 | 64 | -24 |
| 連24.3 | -18,662 | 386 | 17,451 |
| 連25.3 | -20,202 | -2,742 | 27,178 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 13.2% | 27.3% | 13.8% | – | – |
| 連24.3 | 14.5% | 27.9% | 11.2% | – | – |
| 連25.3 | 15.9% | 27.9% | 8.7% | 19.8倍 ~5.0倍 |
3.87倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
野村マイクロ・サイエンスの業績を見ると、2024年3月期の売上は730億円、営業利益106億円、経常利益108億円、純利益79億円と、超純水装置需要の拡大を背景に高水準で推移している。2025年3月期には売上963億円、営業利益153億円、経常利益133億円、純利益101億円まで拡大しており、利益成長のスピードは非常に速い。一方で2026年3月期予想では売上600億円、営業利益62億円、経常利益52億円、純利益38億円と大幅な減益が見込まれており、業績の振れ幅が極めて大きいことが数字からはっきり分かる。
収益性を見ると、営業利益率は2023年の13.2%から2024年14.5%、2025年15.9%へと一貫して上昇しており、装置メーカーとしては異例に高い水準である。超純水装置という高付加価値分野に特化し、大型案件を取り込めた局面では、非常に強い収益力を発揮する企業だと評価できる。
資本効率の面では、ROEは27.3%、27.9%、27.9%と3年連続で約28%という突出した数値を維持している。ROAは13.8%から11.2%、8.7%へと低下しているが、これは売上急拡大に伴う資産増加の影響が大きく、必ずしも稼ぐ力の低下を示すものではない。ただし、資産を積み上げながら次の受注を待つ局面に入っていることは読み取れる。
株価評価を見ると、2025年実績PERは安値平均5.0倍から高値平均19.8倍まで大きく振れており、市場が業績サイクルを強く意識して評価していることが分かる。PBRは3.8倍と高く、ROE水準を考慮すれば理屈上は説明できるが、安定成長企業としてはかなり高い評価である。つまり、市場は「高収益期」を前提にした評価を付けている状態だと言える。
これらの数値だけで投資判断をすると、野村マイクロ・サイエンスは、好況期には極めて高い利益率と資本効率を叩き出す一方で、業績のピークアウト局面では利益が急減しやすい、典型的な半導体設備投資連動型の銘柄である。2026年予想の大幅減益が示す通り、足元は天井圏から調整局面に入る可能性が高く、高PER・高PBRを正当化し続けるには次の大型受注や投資サイクルの到来が不可欠となる。
総合すると、この数字からは「企業の稼ぐ力そのものは非常に強いが、業績の持続性は低く、投資タイミングの重要性が極めて高い銘柄」という評価になる。長期で安定保有するタイプというより、半導体投資サイクルを見極めながら入るべき銘柄であり、業績ピーク付近では慎重、低迷期には大きな妙味が出やすい企業だと判断できる。
配当目的とかどうなの?
野村マイクロ・サイエンスを配当目的で見ると、結論から言えば「配当狙いには向かない銘柄」である。連26.3の予想配当利回りは1.89%、連27.3でも2.44%と水準は低く、インカムゲインを主目的とする投資家にとっては明確に物足りない。高配当株や安定配当株と比べると、配当利回りでの競争力はほぼないと言ってよい。
配当の背景を数字から見ると、同社は利益水準そのものは非常に高い。営業利益率は15%前後、ROEは約28%と突出しており、稼ぐ力が弱いわけでは全くない。それでも配当利回りが低い理由は、会社が安定配当を最優先していないこと、そして業績の変動が非常に大きいことにある。2025年3月期は純利益101億円と好調だが、2026年3月期予想では38億円まで急減する見通しであり、利益の振れ幅が極端に大きい。このため、配当も業績連動色が強く、長期的に一定水準を維持する配当政策にはなりにくい。
キャッシュフローを見ても、利益が出ている年でも営業CFが大きくマイナスになる年があり、運転資金や大型案件の影響で資金繰りが不安定になりやすい。こうした構造では、安定的に高配当を出し続ける経営判断は取りづらく、会社としても内部留保を厚めに確保する姿勢を優先せざるを得ない。
また、PBRが3倍台と高く、株価自体が「成長・高収益」を前提に評価されているため、株価水準に対して配当が相対的に小さく見える点も利回りを押し下げている。仮に配当額が増えても、株価が高止まりしている限り、利回りが大きく改善する可能性は低い。
総合すると、野村マイクロ・サイエンスは配当を安定して受け取りたい投資家向けの銘柄ではなく、半導体投資サイクルに乗った業績拡大と株価変動を狙うキャピタルゲイン寄りの銘柄である。配当は「おまけ程度」と割り切る必要があり、配当目的で選ぶのであれば、他の製造業や高配当株の方がはるかに適していると、この数字からは判断できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
野村マイクロ・サイエンスの現在値は3,685円である。この水準を起点に今後5年間の値動きを考えると、同社の株価は業績サイクル、特に半導体設備投資や大型装置受注のタイミングに大きく左右されやすい。超純水装置は半導体・FPDの製造工程で不可欠な装置であり、これら産業の設備投資局面では業績が急拡大する一方、設備投資が一服する局面では業績が急減することが過去の数字からも示されている。
良い場合は、半導体やフラットパネルディスプレイの先端投資が引き続き活発で、大型超純水装置の受注が拡大するシナリオである。この場合、売上・利益ともに上昇トレンドが継続し、営業利益率は15%前後、ROEは25%超という高収益体質を維持する可能性が高い。市場はこの成長を株価に織り込みやすく、PERは過去の高値レンジに近い15倍前後〜20倍程度まで評価される余地がある。これが実現すれば、5年後の株価は6,000円前後まで上昇する可能性がある。配当は相対的に低いが、株価の値上がり益で十分なリターンが狙える展開となる。
中間のケースは、半導体設備投資が局所的に盛り上がるが全体としては緩やかな波にとどまり、超純水装置の受注も大きなスパイクを伴わないシナリオである。この場合、業績は堅調ながらも大きく伸びないか、あるいは局所的な変動を繰り返す可能性が高い。PERは8倍〜12倍程度と市場評価が中庸で推移し、5年後の株価は3,000円〜4,500円前後の範囲での推移が想定される。値上がり益は限定的かもしれないが、中期的な配当と安定した利益水準を享受する投資スタンスが中心となる。
悪い場合は、半導体・FPDの設備投資鈍化や市場全体の冷え込みにより大型装置受注が急減するシナリオである。この場合、売上と利益は一段低い水準で推移し、利益急減期を迎える可能性があり、営業利益や純利益が予想値を大きく下回ることになる。市場評価が厳しくなり、PERは過去の安値レンジに近い4倍〜6倍程度まで低下する可能性がある。これが起きると、5年後の株価は2,000円〜2,800円まで下落するリスクがある。配当利回りは相対的には高まるが、キャピタルの損失を補うには足りない可能性が高い。
総合すると、野村マイクロ・サイエンスは業績の波に株価が大きく影響されやすい銘柄であり、現在値3,685円は高収益期の評価を一定程度折り込んだ水準である。良いシナリオでは大きな上値余地があるが、悪いシナリオでは株価の下振れリスクも無視できない。中間の評価レンジでは比較的穏やかな値動きが続くものの、設備投資サイクルを見極めることが投資成功の鍵となる株である。
この記事の最終更新日:2026年1月17日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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