株価
平田機工とは

平田機工は、熊本県熊本市北区植木町に本社を置く生産設備エンジニアリング会社であり、世界の製造業の現場を支える総合生産システムメーカーである。自動車、半導体、家電、電子部品、物流といった多彩な業種を顧客に持ち、生産ラインの構想設計から、詳細設計、装置製作、組立、試運転、生産立ち上げまでを一貫して担える点を最大の強みとしている。
同社の特徴は、自社開発のモジュールや制御技術を中核とした「ものづくり力」にあり、単体装置ではなく、生産工程全体を最適化するシステム提案が可能な点にある。ハードウェアだけでなく、制御ソフトや生産管理との連携まで含めたトータルエンジニアリングを提供できるため、顧客ごとの仕様や生産条件に応じた高付加価値なカスタム型設備を得意としている。
自動車関連分野は同社の中核事業の一つであり、世界の主要自動車メーカー向けに、エンジンやトランスミッション、自動車部品の組立設備を長年にわたり供給してきた。近年では、自動車の電動化を背景に、電気自動車向けのドライブユニットやバッテリーパッケージングの組立設備など、EV関連の生産設備に注力している。内燃機関から電動化への構造転換という大きな変化の中で、従来技術と新技術の両方に対応できる点が競争力となっている。
半導体関連分野では、有機EL関連の製造工程で使用される真空搬送装置や、半導体製造工程においてウェハの搬送や受け渡しを行う装置、産業用ロボットを組み込んだ自動化設備などを展開している。高精度・高信頼性が求められる分野での実績を積み重ねており、半導体投資の拡大局面では業績に大きく寄与しやすい事業構造となっている。
また、物流機器および家電・電子機器関連分野では、大型テレビ、パソコン、HDDなどの製造工程向け設備や、工場内搬送設備、物流システムなどを提供している。製造現場の省人化や自動化ニーズの高まりを背景に、ロボット技術や搬送技術を組み合わせたシステム提案力が活かされている。
同社は世界40カ国以上に顧客基盤を持ち、海外向け売上比率も高い。国内だけでなく、北米、アジア、欧州などで生産システムを納入しており、グローバルな生産体制を前提としたエンジニアリング力を有している点も特徴である。グループ会社としては、タイヘイテクノス、トリニティ、ヒラタフィールドエンジニアリングなどを擁し、設計・製造から現地据付、アフターサービスまでを含めた総合対応力を高めている。
総合すると、平田機工は設備投資サイクルの影響を受けやすい事業構造ではあるものの、自動車と半導体という成長性と変動性を併せ持つ分野を主戦場とし、高度なエンジニアリング力と幅広い業種・地域に分散した顧客基盤を武器に事業を展開する企業である。単なる装置メーカーではなく、生産システム全体を設計・構築できる点に本質的な価値があり、世界の製造業における自動化・省力化の流れの中で、長期的に存在感を発揮し続ける企業だと言える。
平田機工 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) (円) |
一株配当(DPS) (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3* | 65,255 | 4,995 | 5,176 | 4,075 | 130.9 | 21.7 |
| 連22.3* | 67,087 | 3,856 | 4,258 | 2,682 | 86.1 | 21.7 |
| 連23.3* | 78,443 | 5,920 | 5,802 | 4,269 | 137.1 | 30 |
| 連24.3* | 82,839 | 6,047 | 6,259 | 4,344 | 139.4 | 33.3 |
| 連25.3* | 88,483 | 6,898 | 6,889 | 4,778 | 154.3 | 40 |
| 連26.3予 | 96,000 | 8,400 | 8,200 | 5,700 | 186.1 | 65 |
| 連27.3予 | 100,000 | 8,800 | 8,600 | 6,000 | 195.9 | 68〜70 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | -5,687 | -2,057 | 5,101 |
| 連24.3 | -4,592 | -2,233 | 5,866 |
| 連25.3 | 9,427 | -2,023 | -5,591 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 7.5% | 7.2% | 3.7% | – | – |
| 連24.3 | 7.2% | 6.6% | 3.3% | – | – |
| 連25.3 | 7.7% | 6.9% | 3.6% | 18.5倍 ~11.0倍 |
1.17倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
平田機工の業績を見ると、2024年3月期の売上は828億円、営業利益60億円、経常利益62億円、純利益43億円である。2025年3月期には売上884億円、営業利益68億円、経常利益68億円、純利益47億円と着実に増加しており、2026年3月期予想では売上960億円、営業利益84億円、経常利益82億円、純利益57億円と、利益成長が一段と加速する見通しとなっている。設備投資関連企業としては、比較的安定した増収増益トレンドに入っていることが読み取れる。
収益性を見ると、営業利益率は2023年から2025年にかけて7.5%、7.2%、7.7%と7%台で安定して推移している。生産設備エンジニアリング企業としては標準的な水準であり、高収益体質ではないが、極端に低いわけでもない。価格競争にさらされやすい装置産業の中では、一定の採算管理ができていると評価できる。
資本効率の面では、ROEは7.2%、6.6%、6.9%、ROAは3.7%、3.3%、3.6%と、いずれも高い水準とは言えないが、3年間ほぼ横ばいで推移している。急激な効率悪化は見られず、設備投資と人員を抱えながらも、安定的に利益を積み上げる構造であることが分かる。一方で、資本効率の面で市場から高いプレミアムを受ける企業ではない。
株価評価を見ると、2025年実績PERは安値平均11.0倍から高値平均18.5倍のレンジで推移しており、成長期待と安定性をほどほどに織り込んだ水準となっている。PBRは1.1倍で、ROE水準を考えると割安感はないが、割高とも言い切れない中立的な評価である。市場は同社を急成長株ではなく、堅実な設備投資関連銘柄として評価している。
これらの数値だけで判断すると、平田機工は爆発的な収益力や高い資本効率を誇る企業ではないが、売上・利益を着実に積み上げる安定型の生産設備エンジニアリング企業である。業績は自動車や半導体投資の影響を受けるものの、顧客分散と事業領域の広さにより、極端な業績悪化に陥りにくい構造を持っている。
総合すると、この数字からは「大きな成長期待で買う銘柄ではないが、業績の底堅さを前提に中期で保有するには無難な銘柄」という評価になる。PERやPBRに強い割安感はないものの、利益が増加基調にある中で評価が急激に高まっているわけでもなく、業績進展に伴って株価がじわじわ付いてくるタイプの銘柄だと判断できる。
配当目的とかどうなの?
平田機工を配当目的で見ると、位置づけは「高配当ではないが、業績成長に支えられた安定配当株」に近い。連26.3の予想配当利回りは2.39%、連27.3でも2.50%と、利回り水準自体は平均的であり、配当だけを狙って買う銘柄とは言いにくい。ただし、製造業の中では無理のない水準で、減配リスクが相対的に低い点は評価できる。
業績面を見ると、売上・営業利益・純利益はいずれも増加基調にあり、2026年以降も増益予想となっている。営業利益率は7%台と高くはないが安定しており、ROEやROAも低位ながら横ばいで推移していることから、急激に稼ぐ力が落ちる構造ではない。配当が一時的な利益ではなく、継続的な事業収益を背景に支払われている点は、配当目的で見る場合の安心材料となる。
キャッシュフローを見ると、年度によって営業CFがマイナスになる局面はあるものの、2025年には大きく改善しており、案件回収が進めば現金はしっかり戻ってくる体質である。設備投資型ビジネスのため、利益とCFのズレは避けられないが、長期的に配当継続が困難になるほどの不安定さは感じにくい。
一方で、配当利回りが2.5%前後にとどまる理由は、会社が高配当を最優先していない点にある。平田機工は、人材、開発、設備への再投資を重視するエンジニアリング企業であり、配当性向を大きく引き上げるよりも、成長と安定のバランスを取る経営スタンスが基本となっている。そのため、今後も配当は増配余地を残しつつ、緩やかに引き上げていく形になる可能性が高い。
総合すると、平田機工は配当利回りの高さを求める投資家には物足りないが、業績成長を伴った安定配当を中期的に受け取りたい投資家には向いている銘柄である。高配当株ポートフォリオの主力というよりは、業績連動で配当がじわじわ増えていくタイプの補完銘柄として位置づけるのが、この数字から見た妥当な評価だと言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
平田機工の現在値は2,713円である。この水準を起点に今後5年間の値動きを考えると、同社の株価は半導体・自動車を中心とした設備投資サイクルと、装置産業としての評価倍率の変化に強く左右される銘柄である。生産設備エンジニアリングという業態上、短期的なテーマで急騰するタイプではなく、受注残の積み上がりと業績の見通しが株価に比較的素直に反映されやすい特徴を持つ。
良い場合は、半導体投資が本格回復し、加えてEVや次世代車向けの生産ライン更新需要が重なり、自動車関連の設備投資も底堅く推移するシナリオである。この場合、売上は年率5〜7%程度で安定成長し、営業利益は80億円台から90億円規模まで拡大する可能性がある。営業利益率は7%台後半を維持し、純利益も着実に積み上がることで、EPSの伸びが明確になる。市場からは「景気循環はあるが、安定して利益を出せる設備メーカー」として評価され、PERは18倍前後まで切り上がる余地がある。このシナリオが実現すれば、5年後の株価は3,800円〜4,300円程度まで上昇する可能性がある。配当利回りは高くないものの、値上がり益を含めたトータルリターンは十分に狙える展開となる。
中間のケースは、半導体・自動車向け設備投資が回復と調整を繰り返しながらも、全体としては緩やかな成長にとどまるシナリオである。売上成長率は年3%前後、営業利益率は7%前後で横ばいとなり、利益は増えるが加速感には欠ける。ROEやROAも大きく改善せず、市場評価は中立的なままとなる。この場合、PERは13倍〜15倍程度で推移し、株価は2,800円〜3,300円程度のレンジ内での動きが中心となる。5年後の株価は3,000円前後に落ち着く可能性が高く、配当を受け取りながら緩やかな値上がりを待つ投資スタンスが想定される。
悪い場合は、世界的な設備投資サイクルが長期低迷に入り、半導体投資の回復が遅れ、自動車業界でも設備更新が抑制されるシナリオである。この場合、受注が伸び悩み、売上は横ばいから微減、営業利益率は6%台まで低下する可能性がある。利益成長が止まることで、ROE・ROAの低さが改めて意識され、市場評価は一段と慎重になる。PERは10倍〜12倍程度まで低下し、株価は2,000円〜2,300円水準まで下落するリスクがある。配当利回りは相対的に上昇するものの、株価下落を補うほどの水準にはなりにくい。
総合すると、平田機工は業績の波はあるものの、極端に崩れにくい事業構造を持つ設備エンジニアリング企業である。現在値2,713円は、強気・弱気いずれも織り込んだ中立的な水準に位置しており、良いシナリオでは4,000円前後までの上値余地がある一方、悪いシナリオでは2,000円前後までの下振れリスクも残る。短期での急騰を狙う銘柄ではなく、設備投資環境を見極めながら中長期で付き合うことが前提となる株だと言える。
この記事の最終更新日:2026年1月17日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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