株価
三菱化工機とは

三菱化工機は、石油・化学装置を中心とするエンジニアリング会社であり、下水・排水処理設備や油清浄機などの環境装置も手がける、三菱グループに属する中核的な機械・プラントメーカーである。化学工業向け機械の製造を祖業とし、現在ではエンジニアリング、単体機械、GX関連事業までを含む幅広い事業領域を展開している点が特徴である。
会社の基盤は、化学工業向け機械の製造とプラントエンジニアリングにあり、とりわけ水素発生装置では業界トップクラスのシェアを持つ。石油精製、石油化学、一般化学、医薬、半導体原料といった分野に向けて、プラントの設計、調達、建設、試運転までを一貫して提供してきた実績を有し、国内のみならず海外市場でも70年以上の事業経験を積み重ねてきた。都市ガスや上下水道といった社会インフラ分野にも深く関わっており、産業と生活基盤の双方を支える企業といえる。
環境分野では、下水・排水処理設備やバイオガス関連技術を強みとし、下水汚泥消化ガスから水素を製造し水素ステーションを運営するという、世界的にも先進的な事業に携わってきた。2016年には「下水汚泥消化ガスからの水素ステーション開発」により、国土交通大臣賞を受賞しており、環境技術と社会実装の両面で評価を受けている。
近年は成長戦略の柱としてGX事業を2025年に立ち上げた点が大きな特徴である。「持続可能な循環型社会推進」「水素を核としたクリーンエネルギー」「デジタルを活用した省力・省エネ」「水・食・自然災害等の社会課題解決」という4つの戦略的事業領域を掲げ、GX事業を新たな報告セグメントとして位置づけることで、事業進捗を定量的に管理する体制を整えている。新中期経営計画では、循環型社会と水素関連事業をQuick-Win分野とし、最終年度にGX関連売上高230億円を目指す計画で、技術開発や社会実装、M&A・アライアンスを含めて80億円規模の成長投資を行う方針である。
エンジニアリング事業に加え、単体機械事業も同社の重要な収益基盤である。1930年代に開発され現在も主力製品である油清浄機をはじめ、分離・ろ過技術をコアとした遠心分離機やろ過機を長年にわたり製造してきた。これらは化学、環境、エネルギー、食品など幅広い分野で使用されており、近年はナノテクノロジーや精密ろ過分野にも注力している。プラント事業と単体機械事業を組み合わせることで、設備一式から個別機器まで対応できる点が競争力となっている。
総合すると三菱化工機は、伝統的な石油・化学プラント技術を基盤にしつつ、環境・水素・GXといった成長分野へ事業軸を拡張している企業である。大型案件による業績変動リスクを抱えながらも、社会インフラ・環境・エネルギー分野への関与が深く、中長期的には脱炭素・循環型社会の流れを追い風に成長余地を持つエンジニアリング企業と位置づけられる。
三菱化工機 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 48,753 | 2,745 | 2,939 | 2,511 | 110.3 | 23.3 |
| 連22.3 | 45,438 | 2,770 | 3,230 | 2,547 | 111.7 | 23.3 |
| 連23.3 | 44,590 | 2,521 | 2,859 | 3,043 | 133.2 | 26.7 |
| 連24.3 | 47,774 | 4,410 | 4,709 | 5,397 | 236.2 | 36.7 |
| 連25.3 | 59,202 | 5,694 | 5,626 | 4,879 | 213.8 | 70 |
| 連26.3予 | 88,500 | 8,550 | 8,650 | 5,860 | 257.3 | 86 |
| 連27.3予 | 77,000 | 7,500 | 7,500 | 5,400 | 237.1 | 90 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 996 | 1,346 | -533 |
| 2024 | 1,360 | 1,369 | -854 |
| 2025 | -3,311 | 43 | -1,047 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.6 | 5.7 | 10.0 | – | – |
| 2024 | 9.2 | 8.5 | 15.6 | – | – |
| 2025 | 9.6 | 7.3 | 12.7 | 7.0(高値平均) 4.5(安値平均) |
2.02 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
連24.3では、売上高は約477億、営業利益は44億、経常利益は47億、純利益は53億という水準で、営業利益率は5.6%と製造業としてはまだ平均的なレベルにとどまっていた。ROEは10.0%、ROAは5.7%で、利益は出ているものの、資本効率という点では「まずまず」といった段階である。
連25.3になると状況は大きく変わる。売上高は約592億へ拡大し、営業利益は56億、経常利益も56億と増加した。純利益は48億とやや減ったものの、営業利益率は9.2%まで一気に上昇しており、利益構造そのものが改善したことが読み取れる。ROEは15.6%、ROAは8.5%と、収益性・資本効率ともに一段上の水準に入っており、この年が体質転換の年だったと評価できる。
連26.3予では、売上高は約885億、営業利益は85億、経常利益は86億、純利益は58億と、数字上はさらに大きな成長が見込まれている。営業利益率は9.6%と高水準を維持しており、利益額の拡大と収益性の両立が続く想定である。一方でROEは12.7%、ROAは7.3%と、25年のピークからはやや低下しており、急成長フェーズから安定成長フェーズへ移行しつつある兆しも見える。
バリュエーションを見ると、2025年実績PERは高値平均で7.0倍、安値平均で4.5倍とかなり低く、利益水準に対して株価は強く抑えられている印象がある。PBRは2.0倍で、ROEが2桁あることを考えれば割高感はなく、むしろ利益成長を考慮すると妥当からやや低めの評価といえる。
これらを総合すると、三菱化工機は営業利益率が5%台から9%台へ明確に改善し、ROE15%超を一度達成しているにもかかわらず、PERは1桁台前半にとどまっている点が最大の特徴である。市場は成長の持続性に慎重である一方、数字だけを見る限りでは、現時点の評価は利益水準に比べて低い。
結論として、三菱化工機は「高成長株」ではないが、収益構造が改善した実力株が割安に放置されている局面と判断できる。短期的な材料で急騰を狙う銘柄というより、業績の実現性を確認しながら中期で評価修正を待つ投資に向いた銘柄であり、数値ベースでは買いを検討できる水準にあると言える。
配当目的とかどうなの?
三菱化工機を配当目的で見ると、「高配当株」ではないが、「業績改善を背景にした中配当株」としては一定の評価ができる、という位置づけになる。予想配当利回りは連26.3で2.42%、連27.3で2.53%と、数値だけ見れば市場平均よりやや上程度で、インカム狙いの投資家を強く引きつける水準ではない。例えば4〜5%超を期待する典型的な高配当投資とは、明確に性格が異なる。
ただし、三菱化工機の配当は、業績の改善と連動して増配が進んでいる点が重要である。連24.3から連25.3にかけて利益水準が一段切り上がり、それに合わせて配当も大きく引き上げられている。連26.3予、連27.3予でも減配は想定されておらず、緩やかな増配基調が続く前提になっている。この点では「無理をして利回りを作っている配当」ではなく、「稼いだ利益の中から出している健全な配当」と評価できる。
配当性向の観点でも、利益水準から見て過度に高い水準ではなく、今後の成長投資や財務余力を圧迫する形にはなっていない。GX事業や水素関連など、成長分野への投資を続けながらも、配当を維持・増配できている点は、経営のバランス感覚としては悪くない。
一方で注意点として、同社はプラント案件の影響を受けやすく、業績の振れが完全に小さい企業ではない。そのため、電力・通信・食品のような「景気に左右されにくい安定配当株」と同列で考えるのは適切ではない。あくまで配当は業績連動型であり、将来も毎年確実に増え続ける保証があるタイプではない。
結論として、三菱化工機は配当“だけ”を目的に長期保有する銘柄ではないが、業績成長+配当を同時に狙う投資には向いている。キャピタルゲインを主軸にしつつ、2.5%前後の配当を受け取りながら中期で保有する、いわば「成長寄りインカム併用型」の銘柄と考えるのが最も現実的な評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
三菱化工機の現在値3,550.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。三菱化工機は、石油・化学装置を中心としたエンジニアリング事業と、油清浄機や分離・ろ過装置などの単体機械事業を両輪とする企業であり、近年は水素・環境分野やGX関連事業を成長軸としている。東洋エンジニアリングのような超大型EPC一本足ではなく、機械事業による下支えがある一方で、プラント案件の比重が高いため、年度ごとの業績振れは一定程度避けられない性格を持つ。
良い場合は、GX事業と水素関連が想定以上に立ち上がり、環境・エネルギー分野の受注が安定的に積み上がるシナリオである。プラント案件で大きな不採算が出ず、単体機械事業も堅調に推移すれば、営業利益率は9%台を維持、もしくは2桁近辺まで改善する可能性がある。ROEも12〜15%水準を安定的に確保できれば、市場は「一過性の好業績ではなく、収益体質が変わった企業」と評価しやすくなる。この場合、現在1桁台にとどまっているPERが10〜12倍程度まで切り上がり、5年スパンでは株価は5,000円〜6,500円程度まで上昇する可能性がある。配当も緩やかな増配が続けば、株価上昇とインカムの両面で評価される展開となる。
中間のケースは、GX事業は徐々に拡大するものの、主力のエンジニアリング事業は案件単位での波が続き、全体としては計画どおりの成長にとどまるシナリオである。営業利益率は8〜9%台で安定し、ROEも10%台前半で推移する。市場評価は慎重なままで、PERは7〜9倍程度にとどまりやすい。この場合、株価は大きくは崩れないものの上値も重く、3,800円〜5,000円程度のレンジで推移し、5年後は4,000円台後半に落ち着く可能性が高い。配当利回りは2.5%前後を維持し、キャピタルとインカムをバランスよく狙う中庸な投資対象という位置づけになる。
悪い場合は、プラント案件でのコスト増や工期遅延が発生し、利益が想定を下回るシナリオである。単体機械事業が下支えするとはいえ、エンジニアリング事業の比重が高いため、営業利益率は5%台まで低下し、ROE・ROAも1桁台に落ち込む可能性がある。この場合、市場は再び「業績の振れやすいエンジニアリング企業」として評価を引き下げ、PERは5〜6倍程度まで切り下げられる可能性がある。配当利回りは一定の支えになるものの、防御力は限定的で、株価は2,500円〜3,300円程度まで下落し、その後も回復に時間を要する展開が想定される。
総合すると、三菱化工機の株価は、東洋エンジニアリングほど投機的ではないものの、安定成長株とも言い切れない中間的な性格を持つ。現在値3,550円は、業績改善と割安感が同時に意識される水準であり、明確な割高感はない。一方で、5年間という時間軸では、GX事業とエンジニアリング案件の進捗次第で結果の差は大きくなる。投資スタンスとしては、安定配当を主目的にするよりも、業績の底上げと評価修正を狙う中期志向の投資に向いた銘柄だと言える。
この記事の最終更新日:2026年1月19日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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