株価
アイチコーポレーションとは

株式会社アイチコーポレーションは、高所作業車を主力とする特装車メーカーであり、この分野では国内トップクラスのシェアを持つ企業である。1962年に創業し、旧社名は愛知車輌株式会社。現在は東京証券取引所プライム市場に上場しており、日本のインフラ整備・保守を支える装置産業の一角を担っている。
同社の事業の中心は、高所作業車および電力・通信工事向けの特殊車両である。電力会社向けの比率が高く、送電線・配電線工事や保守点検で使用される高所作業車、穴掘建柱車などを多数供給してきた。電力・電気・通信工事は定期的な保守や更新が不可欠であるため、需要が景気変動の影響を受けにくいという特徴があり、同社の事業は比較的安定した構造を持っている。
製品分野としては、高所作業車を中心に、電気工事用車両、通信工事用車両、建設工事用車両、荷役用車両、造船工事用車両など多岐にわたる。作業環境や用途に応じて仕様を細かく作り分ける必要があり、こうしたカスタマイズ対応力と安全性を重視した設計が同社の強みとなっている。また、高所作業車の操作研修や安全教育も事業の一部として行っており、車両の販売にとどまらないサービス提供を行っている。
近年は、新たな育成分野として鉄道関連事業にも注力している。線路と道路の両方を走行できる軌陸両用車を開発・展開しており、鉄道の電気工事や保守点検用途での採用拡大を目指している。鉄道インフラも老朽化が進んでおり、更新・保守需要の増加が見込まれる分野であることから、中長期的な成長領域として位置づけられている。
生産拠点については、本社を埼玉県上尾市に置き、群馬県内に新治工場、伊勢崎工場、高崎工場といった複数の工場を展開している。これらの工場で高所作業車や特殊車両の製造・組立を行い、国内需要に対応している。販売・サービス面では、北日本、関東、中部、関西など全国主要地域に支店を配置し、納入後の保守・点検・修理までを含めたサポート体制を整えている。安全性が強く求められる製品であるため、アフターサービスの充実は同社の競争力の一つとなっている。
海外展開としては、中国を中心に現地生産を行っている。国内市場で培った技術や品質管理ノウハウを生かしつつ、海外のインフラ整備需要の取り込みを進めているが、事業の軸足は依然として国内インフラ向けが中心である。
全体として、アイチコーポレーションは高所作業車というニッチだが社会インフラに不可欠な分野に特化し、電力・通信・建設・鉄道といった安定需要を背景に事業を展開している企業である。急成長型というよりは、更新需要と保守需要に支えられた堅実なビジネスモデルを持ち、専門性と安全性を重視した製品・サービスで長年の実績を積み上げてきた点が特徴といえる。
アイチコーポレーション 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度(連結) | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株当たり配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 59,330 | 7,051 | 7,708 | 5,906 | 76.8 | 32 |
| 連22.3 | 56,591 | 6,861 | 7,736 | 5,644 | 74.1 | 34 |
| 連23.3 | 60,678 | 7,351 | 8,016 | 5,958 | 79.2 | 36 |
| 連24.3 | 53,129 | 6,341 | 7,018 | 5,270 | 70.3 | 40 |
| 連25.3 | 59,306 | 7,440 | 8,225 | 6,334 | 85.0 | 55 |
| 連26.3予 | 61,000 | 7,600 | 8,300 | 6,500 | 100.7 | 60 |
| 連27.3予 | 65,000 | 8,100 | 8,800 | 6,800 | 105.3 | 60〜65 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 4,508 | -2,253 | -3,225 |
| 2024 | 7,111 | 32,763 | -3,551 |
| 2025 | 9,871 | -1,955 | -3,133 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 12.1 | 7.5 | 6.2 | – | – |
| 2024 | 11.9 | 6.4 | 5.5 | – | – |
| 2025 | 12.5 | 7.5 | 6.3 | 15.6(高)/10.6(安) | 1.26 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績規模を見ると、売上高は連24.3期が約531億円、連25.3期が約593億円、連26.3期予想が約610億円となっており、売上は緩やかに拡大している。営業利益は連24.3期が約63億円、連25.3期が約74億円、連26.3期予想が約76億円で、売上増加に伴い利益水準も着実に切り上がっている。経常利益は連24.3期が約70億円、連25.3期が約82億円、連26.3期予想が約83億円と増加基調が続いている。純利益についても、連24.3期が約52億円、連25.3期が約63億円、連26.3期予想が約65億円であり、利益の伸びは比較的安定している。
収益性指標を見ると、営業利益率は2023年が12.1%、2024年が11.9%、2025年が12.5%となっており、3年間を通じて12%前後の水準を維持している。売上規模が拡大する中でも利益率が大きく低下しておらず、事業の収益構造は安定していることが数値から確認できる。ROEは2023年が7.5%、2024年が6.4%、2025年が7.5%で、1桁台後半で推移している。ROAは2023年が6.2%、2024年が5.5%、2025年が6.3%で、資産に対する収益効率もおおむね安定している。
株価指標については、2025年実績PERが高値平均で15.6倍、安値平均で10.6倍となっており、株価水準によって評価倍率に一定の幅がある。PBRは1.2倍で、純資産に対してはやや上回る水準に位置している。
これらの数値を総合すると、売上・利益はいずれも拡大基調にあり、営業利益率は12%前後と比較的高水準で安定している。ROE・ROAも大きな低下は見られず、収益性は一定水準を維持している。一方で、ROEは2桁には達しておらず、急成長や高い資本効率を前提とした評価にはなりにくい。株価指標はPERが10倍台前半から中盤、PBRが1倍強と、安定した業績と収益性を反映した水準に収れんしている構造と整理できる。
配当目的とかどうなの?
まず配当水準を見ると、連26.3期の予想配当は1株60円、連27.3期も60〜65円程度が見込まれており、これを前提とした予想配当利回りは連26.3期・連27.3期ともに4.28%となっている。市場全体と比較すると、利回り水準は相対的に高い部類に入る。
利益との関係では、連25.3期の純利益は約63億円、一株益は85円であり、配当55円は利益の範囲内に収まっている。連26.3期予想では純利益が約65億円、一株益が約100円とされており、配当60円でも数値上は利益によるカバー余地が拡大している。利益成長を前提とすれば、配当水準は無理のない範囲に設定されていると読み取れる。
収益性指標を見ると、営業利益率は直近3年間で12%前後、ROEは6〜7%台、ROAは5〜6%台で推移しており、利益率は高水準だが、資本効率は中程度にとどまっている。このため、利益を急拡大させて配当を大きく引き上げる構造というより、安定した利益を背景に一定水準の配当を継続する形になりやすい。
これらを踏まえると、アイチコーポレーションは数値上、配当利回りが4%台と比較的高く、利益水準から見ても配当の継続性は確認できる。一方で、配当成長率が大きく跳ね上がる前提ではなく、配当を主目的とする場合は、高成長型の増配株というより、業績の安定性を背景に一定水準の配当を受け取るタイプの銘柄として位置づけられる。
今後の値動き予想!!(5年間)
株式会社アイチコーポレーションの現在値1,399.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は高所作業車メーカーとして国内トップクラスのシェアを持ち、電力会社向けを中心に、通信、建設、鉄道などインフラ分野向けの特装車を主力とする企業である。事業の性格上、景気循環の影響は受けるものの、電力・通信・鉄道といった社会インフラ向け需要が中核にあり、更新・保守需要に支えられた比較的安定したビジネスモデルを持つ。一方で、急成長株というよりは、インフラ更新需要を背景に着実に利益を積み上げていくタイプの銘柄と位置づけられる。
良い場合は、電力会社向けの更新需要が底堅く推移し、通信・建設分野でも高所作業車の更新が順調に進むシナリオである。加えて、鉄道向けの軌陸両用車が徐々に普及し、新たな収益源として定着すれば、売上と利益の水準は切り上がりやすい。営業利益率が12%前後の高水準を維持し、ROEも7%台を安定的に確保できれば、市場からは「高収益インフラ関連株」としての評価が強まりやすくなる。この場合、PERは15倍前後まで許容され、5年後の株価は2,300円〜3,000円程度まで上昇する可能性がある。配当利回りも4%前後を維持し、インカムとキャピタルの両面が意識される展開となる。
中間のケースは、電力・通信向けを中心とした既存需要が安定的に推移し、鉄道向けや海外展開は緩やかな進展にとどまるシナリオである。売上・利益は小幅な増減を繰り返しつつ横ばい圏で推移し、営業利益率は11〜12%前後で落ち着く。ROE・ROAも現状水準を維持し、市場評価は大きく変わりにくい。この場合、PERは10〜13倍程度に収れんし、株価は1,300円〜1,800円程度のレンジで推移し、5年後は1,600円前後に落ち着く可能性が高い。配当は安定的に支払われるものの、株価を大きく押し上げる材料にはなりにくい。
悪い場合は、電力・通信会社の設備投資が抑制され、建設需要の停滞が長引くシナリオである。受注環境が悪化すれば売上・利益は減少し、営業利益率も10%を下回る水準まで低下する可能性がある。ROE・ROAも低下し、市場からは成長性に乏しいインフラ関連株として評価を引き下げられやすくなる。この場合、PERは8〜9倍程度まで低下し、配当利回りが下値を支えるものの、株価の回復は緩慢となる。5年後の株価は900円〜1,200円程度にとどまる展開が想定される。
総合すると、アイチコーポレーションの株価は、テーマ性で急騰する銘柄ではなく、電力・通信・鉄道といったインフラ更新需要を背景とした安定性が評価軸となる。現在値1,399円は、配当利回りを含めると中立的な水準に位置しており、5年間という時間軸ではシナリオによる差はあるものの、極端な上振れ・下振れは起きにくい。投資スタンスとしては、大きな値幅を狙うよりも、比較的高い配当を受け取りながら緩やかな評価修正を待つ中長期保有向けの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年1月20日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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