株価
栗田工業とは

栗田工業は、総合水処理分野における国内最大手企業であり、水処理装置と水処理薬品の両分野を中核とする水処理専業メーカーである。工場や社会インフラに不可欠な「水」を安定的かつ高品質に供給することを事業の軸としており、特に半導体や液晶ディスプレイなどの先端製造分野で使用される超純水の分野に強い競争力を持つ。超純水は製品歩留まりや品質に直結する重要工程であり、同社の技術力は国内外の大手メーカーから高い評価を受けている。
同社は1949年に神戸市で設立され、水処理専業企業として事業を拡大してきた。創業当初から工業用水やボイラ水の処理を主力とし、高度経済成長期には製造業の拡大とともに事業規模を拡大してきた。社名は創業者の姓に由来するが、現在は創業者一族との関係はなく、経営は完全に独立した企業体制となっている。本社は東京都中野区に置き、国内主要都市に支社・支店を構え、全国規模で事業を展開している。
事業の柱は大きく分けてプラント事業、水処理薬品事業、サービス・メンテナンス事業で構成されている。プラント事業では、工場向けの用水処理設備や排水処理設備、超純水製造システムなどを設計・施工しており、特に半導体工場向けの大型・高難度案件に強みを持つ。一方で、この分野は設備投資の影響を受けやすく、年度ごとの業績変動要因にもなりやすい。
これに対し、水処理薬品事業は安定収益源として重要な役割を果たしている。ボイラ水、冷却水、排水処理向けの各種薬品を継続的に供給することで、顧客の設備運転を長期にわたって支えるビジネスモデルを構築している。装置納入後も薬品供給や運転条件の最適化提案が続くため、ストック型収益の性格が強く、同社の収益基盤の安定化に寄与している。
さらに近年は、装置や薬品に加えて、運転管理、保守、改善提案を含めたサービス事業の比重を高めている。顧客工場の水使用量削減、排水の再利用、省エネルギー化といった課題に対し、データ活用や運転ノウハウを組み合わせた総合的なソリューションを提供している点が特徴である。これにより、単発の設備販売から長期契約型のビジネスへと事業構造が進化している。
海外事業にも積極的であり、アジア、北米、欧州を中心に拠点を拡大している。特に半導体や電子部品工場の海外展開に伴い、現地での超純水供給や水処理サービスの需要が拡大しており、海外売上比率は中長期的に高まる方向にある。国内市場が成熟する中で、海外事業は同社の成長余地を担う分野となっている。
クリタグループ全体としては、水処理装置、水処理薬品、メンテナンス・サービスの3分野で培った技術とノウハウを組み合わせ、工場のモノづくり現場から社会インフラ、環境対策分野まで幅広い領域で事業を展開している。設備投資に左右されやすいプラント事業と、安定的な薬品・サービス事業を併せ持つことで、景気変動への耐性を持った事業構造を形成している点が、同社の大きな特徴である。
栗田工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年数 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 税前利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 267,749 | 31,529 | 29,150 | 19,088 | 169.9 | 66 |
| 22.3 | 288,207 | 35,734 | 30,079 | 18,471 | 164.4 | 72 |
| 23.3 | 344,608 | 29,058 | 30,151 | 20,134 | 179.1 | 78 |
| 24.3 | 384,825 | 41,232 | 41,686 | 29,189 | 259.7 | 84 |
| 25.3 | 408,888 | 31,275 | 31,821 | 20,305 | 180.7 | 92 |
| 26.3予 | 425,000 | 53,500 | 52,500 | 36,300 | 331.7 | 112 |
| 27.3予 | 445,000 | 60,000 | 59,000 | 41,000 | 374.7 | 126〜130 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年数 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 23.3 | 48,631 | -46,274 | 1,101 |
| 24.3 | 50,874 | -35,801 | -15,337 |
| 25.3 | 87,760 | -52,074 | -25,448 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年数 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 23.3 | 8.4 | 4.0 | 6.8 | – | – |
| 24.3 | 10.7 | 5.2 | 8.8 | – | – |
| 25.3 | 7.6 | 3.6 | 6.0 | 21.7〜33.7 | 2.38 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず売上規模を見ると、24.3期は3,848億、25.3期は4,088億、26.3期予想は4,250億となっており、3年間を通して売上高は緩やかに増加している。売上面では大きな減速は見られず、事業規模は拡大基調にある。
一方、利益の動きは売上ほど安定していない。営業利益は24.3期が412億だったのに対し、25.3期は312億まで減少している。その後、26.3期は535億まで回復する予想となっており、利益は一度落ち込んだ後に大きく戻る想定が置かれている。税前利益も同様に、24.3期416億、25.3期318億、26.3期予想525億と、25.3期に明確な減少があった。純利益についても、24.3期291億から25.3期203億へ減少し、26.3期は363億まで回復する予想であり、利益水準の変動幅は比較的大きい。
収益性を見ると、営業利益率は23.3期8.4%、24.3期10.7%、25.3期7.6%となっている。24.3期は2桁台まで改善したが、25.3期には7%台まで低下しており、利益率は安定して高水準にあるとは言いにくい。利益額の増減がそのまま利益率の上下として表れている。
資本効率の面では、ROEが23.3期6.8%、24.3期8.8%、25.3期6.0%、ROAが23.3期4.0%、24.3期5.2%、25.3期3.6%となっている。いずれも24.3期に改善した後、25.3期に低下しており、収益性の変動が自己資本・総資産に対する効率にも反映されている。数値水準としては高効率といえる水準ではなく、利益の安定性に左右されやすい構造が見て取れる。
株価指標については、25.3期の実績PERが安値平均21.7倍、高値平均33.7倍と幅が広い。利益水準の変動に対して市場評価も振れやすい状況であることがうかがえる。PBRは2.3倍で、純資産に対しては一定の評価プレミアムが付いている水準にある。
これらの数値を総合すると、売上は安定して拡大しているが、営業利益・純利益は年度による振れがあり、利益率やROE・ROAも同様に上下している。26.3期には大幅な利益回復予想が置かれているものの、直近実績では収益性と資本効率が低下した局面を経ている。PERは20倍台から30倍台とレンジが広く、PBRは2倍台で推移しており、利益の安定性よりも今後の回復を織り込んだ評価が含まれていることが、提示された数値から読み取れる。
配当目的とかどうなの?
まず配当利回りを見ると、26.3期予想が1.5%、27.3期予想が1.7%となっている。数値としては、一般に配当目的で注目されやすい3%前後と比べると低い水準にある。インカム収入を主目的とする投資対象としては、利回り面の魅力は強くない。
一株配当自体は、24.3期84円、25.3期92円、26.3期予想112円、27.3期予想126〜130円と、金額ベースでは増加傾向にある。ただし、同時に株価水準が高く、PERが20倍台後半から30倍台で推移していることから、配当金の増加が利回りの大幅な上昇にはつながっていない。
利益との関係を見ると、25.3期は純利益203億と前期から減少しているが、それでも配当は増額されている。26.3期は純利益363億と大幅な回復予想が置かれており、その前提で配当も引き上げられている。配当は業績悪化局面でも維持・増額されており、減配リスクを極力抑えようとする姿勢は数値上は読み取れる。
一方で、ROEは25.3期で6.0%、ROAは3.6%と高水準ではなく、PBRは2.3倍と純資産に対しては高めの評価となっている。配当利回りが低い状態でPBRが高いという点は、純粋な配当目的の観点では効率が良いとは言いにくい。
以上を踏まえると、配当額は年々増えているものの、利回りは1%台にとどまっており、配当収入を主目的に保有する銘柄としては優先度は高くない。配当を重視するというより、業績回復や成長を前提とした株価評価の中で、補助的に配当が付いてくるタイプの位置付けであり、純粋な配当目的で見ると控えめな水準にある、というのが提示された数値から読み取れる。
今後の値動き予想!!(5年間)
栗田工業の現在値7,316.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は総合水処理の国内最大手であり、水処理装置と水処理薬品を両輪とする水処理専業企業である。特に半導体・電子部品製造に不可欠な超純水分野で高い技術力と実績を持ち、装置納入後も薬品供給や運転管理を通じて継続収益を得るビジネスモデルを構築している。一方で、装置事業は半導体設備投資や大型案件の有無に左右されやすく、年度ごとに利益の振れが出やすい循環型の側面も併せ持つ。
直近では売上規模は拡大しているものの、営業利益率やROEは年度によって上下しており、安定して高水準にあるとは言い切れない。株価水準も高成長株というより、将来の業績回復と水インフラとしての事業価値を一定程度織り込んだ評価にとどまっている局面にある。
良い場合は、半導体投資が中長期的に回復・拡大し、国内外で超純水装置の新設・更新案件が積み上がるシナリオである。加えて、水処理薬品や運転管理サービスの比率が高まり、利益のブレが小さくなることで収益構造が安定する。この場合、売上高は4,500億円規模に近づき、営業利益率は8%前後まで改善する展開が想定される。ROEも9〜10%程度まで上昇し、市場からは「水インフラ×半導体を軸とした安定成長企業」としての評価が強まりやすい。PERが25〜30倍水準で許容されれば、5年後の株価は9,000円〜11,000円程度まで切り上がる可能性がある。配当利回りは高くないものの、緩やかなキャピタルゲインが主なリターンとなる。
中間のケースは、半導体投資は回復するものの波があり、装置事業の利益は年度ごとに変動しつつ、薬品・サービス事業が下支えするシナリオである。売上高は4,200〜4,500億円前後、営業利益率は7%前後で推移し、ROEは6〜8%程度に落ち着く。この場合、市場評価は大きく変わらず、PERは20倍前後、PBRは2倍前後に収れんしやすい。株価は現在値近辺を中心としたレンジ推移となり、5年後の水準は6,500円〜8,500円程度にとどまる可能性が高い。
悪い場合は、半導体設備投資の回復が遅れ、装置事業の大型案件が想定ほど積み上がらないシナリオである。利益は薬品・サービスで一定程度支えられるものの、営業利益率は6%台以下に低下し、ROE・ROAも低水準が続く。この場合、利益の振れが嫌気され、市場評価は一段と慎重になる。PERは15倍前後まで低下し、PBRも1.5倍程度まで調整されると、5年後の株価は5,000円〜6,000円前後まで下振れする可能性がある。配当利回りは1%台にとどまるため、下値を強く支える材料にはなりにくい。
総合すると、栗田工業の株価は現在値7,316.0円において、急成長期待よりも将来の業績回復と水処理分野での事業基盤を織り込んだ評価水準にあると考えられる。今後5年間は、半導体投資動向と装置事業の利益安定度が最大の評価軸となり、成長が明確になれば上方向、利益の振れが続けば横ばいから下振れという時間帯になる。投資スタンスとしては、配当目的というよりも、中長期での業績回復と評価の変化を見込むキャピタルゲイン寄りの銘柄と位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月22日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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