株価
タダノとは

株式会社タダノは、香川県高松市に本社を置く建設用クレーン・高所作業車メーカーであり、移動式の建設用クレーン分野では世界最大手級の地位を占めている。油圧技術を中核とした製品開発を強みとし、建設・インフラ、資源開発、エネルギー関連など幅広い分野で使用されている。国内市場にとどまらず、北米や欧州を中心に海外売上比率が高く、グローバル展開を前提とした事業構造を持つ点が特徴である。
事業の中心は建設用クレーンであり、オールテレーンクレーン、ラフテレーンクレーン、トラッククレーン、クローラクレーンといった多様なラインアップを展開している。オールテレーンクレーンは40トン級から1,200トン級まで幅広く、風力発電や大型プラント建設などの大規模インフラ工事で利用される。ラフテレーンクレーンは国内向けでは小型から100トン級までを揃え、海外向けには160ショートトンクラスの大型機も開発されている。クローラクレーンについては、伸縮ブーム式からラチスブーム式まで手掛け、最大で3,000トン超級の超大型機もラインアップに含まれており、資源・エネルギー関連工事への対応力が高い。
このほか、車両積載型クレーン、いわゆるカーゴクレーンや高所作業車も重要な事業領域となっている。カーゴクレーンは物流・建設現場向けに幅広く普及しており、OEM供給も行っている。高所作業車は電力、通信、建設、保守用途などで使用され、特に海外市場での存在感が大きい。さらに、セルフローダや車両運搬車、橋梁点検車、軌道陸上兼用車といった目的別の特殊車両も展開しており、インフラ維持管理需要にも対応している。
生産拠点は香川県を中心に複数存在し、本社・高松工場をはじめ、志度工場、香西工場、多度津工場などがある。歴史的には鉄道関連機械の製造実績を持ち、工場敷地を鉄道が横断するという特徴的な立地も有している。東京には営業・管理機能を担うオフィスを構え、国内外の事業を統括している。
グループ会社は、クレーンや高所作業車の製造・販売、整備、物流、システム運用、教習事業などを担い、製品販売後のアフターサービスや人材育成まで含めた体制を構築している。中古クレーンの売買、部品供給、整備・点検、免許教習といった周辺サービスを通じて、ストック型収益の確保にも取り組んでいる点が特徴である。
近年では、2019年に買収したドイツのクレーン事業の再建を進めており、欧州市場での競争力強化と事業構造の改善が中長期的なテーマとなっている。全体としてタダノは、移動式クレーンを中核に、インフラ・資源関連需要とグローバル市場を主戦場とする重機メーカーとして事業を展開している。
タダノ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.12 | 192,932 | 7,191 | 6,540 | 2,210 | 17.4 | 8 |
| 連23.12 | 280,266 | 18,349 | 16,367 | 7,773 | 61.3 | 19 |
| 連24.12 | 291,500 | 23,778 | 21,077 | 6,642 | 52.3 | 23 |
| 連25.12予 | 335,000 | 17,000 | 13,000 | 14,000 | 110.9 | 36 |
| 連26.12予 | 380,000 | 22,000 | 18,000 | 10,000 | 79.2 | 24〜36 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 連22.12 | -20,419 | 4,517 | -5,048 |
| 連23.12 | 10,121 | -3,983 | -13,253 |
| 連24.12 | 26 | -25,109 | 21,623 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 6.5 | 4.2 | 2.1 | – | – |
| 2024 | 8.1 | 3.5 | 1.6 | – | – |
| 2025 | 5.0 | 7.4 | 3.4 | 15.3〜24.1 | 0.74 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益の水準と動きを見る。連23.12は営業利益183億、経常利益163億、純利益77億だった。連24.12は営業利益237億、経常利益210億まで伸びている一方で、純利益は66億に減っており、営業段階と最終利益の動きにズレが見られる。
連25.12予では営業利益170億、経常利益130億といったん落ち込む計画だが、純利益は140億と大きく増える想定になっている。連26.12予では営業利益220億、経常利益180億へ回復する一方、純利益は100億に減少する見通しで、営業・経常利益と純利益が年度ごとに大きく入れ替わる構造が数字から読み取れる。利益の安定性は高いとは言いにくい。
収益性を見ると、営業利益率は2023年6.5%、2024年8.1%、2025年5.0%と推移している。2024年に改善した後、2025年は再び低下しており、高水準で安定しているというよりは変動の大きい水準にある。
資本効率では、ROEが2023年4.2%、2024年3.5%、2025年7.4%となっている。2025年は改善しているが、3年間を通して一桁台にとどまっており、効率性が高いとは言えない。ROAも2023年2.1%、2024年1.6%、2025年3.4%で、資産効率は低位で推移している。
株価指標を見ると、2025年の実績PERは安値平均15.3倍から高値平均24.1倍と幅があり、利益の振れを反映して評価が上下していることが分かる。一方、実績PBRは0.7倍と1倍を下回っており、純資産に対する市場評価は低い水準にある。
これらの数値を総合すると、売上規模は拡大基調にあり、営業・経常利益も中期的には回復を見込む計画だが、年度ごとの利益構成や収益性、資本効率にはばらつきが大きい。高収益・高効率を安定的に出す企業というより、景気や案件動向に左右されやすいタイプである。
数値だけで判断すると、成長性や高収益を前提に積極的に評価される局面ではなく、業績変動リスクを前提に、資産評価の低さと利益回復局面をどう捉えるかが投資判断の軸になる銘柄、という位置付けになる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは、連25.12で3.0%、連26.12で2.0%と示されている。25.12は市場平均と比べるとやや高めだが、高配当株と呼べるほどの水準ではない。一方、26.12では2%台前半まで低下する見込みで、インカム目的としての魅力は一段弱まる。
これまで見てきた利益の動きと合わせると、営業利益や経常利益、純利益はいずれも年度ごとの振れが大きく、安定して積み上がるタイプではない。営業利益率やROE、ROAも高水準で安定しているわけではなく、収益性・資本効率の面で「配当を安定的に増やし続ける企業像」は描きにくい。
25.12で配当利回りが3%を超えている点だけを見ると一時的なインカム妙味はあるが、26.12で利回りが低下する想定になっていることから、配当水準は業績や年度要因に左右されやすいと考えられる。長期で安定した配当収入を狙う銘柄というより、業績回復局面や一時的な配当水準をどう捉えるか、という位置付けになる。数値だけで判断すると、タダノは「高配当・安定配当」を主目的に持つ銘柄ではなく、配当はあくまで付加要素であり、インカム重視の投資先としては優先度は高くない、という評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
株式会社タダノの現在値1,168.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は移動式建設用クレーンで世界最大手級のポジションを持ち、ラフテレーンクレーンやオールテレーンクレーンを主力とする重機メーカーである。国内外のインフラ建設、資源・エネルギー関連工事に強みを持ち、売上の過半を海外が占めるグローバル企業という点が特徴である。一方で、事業特性上、業績は世界景気やインフラ投資、資源投資の動向に左右されやすく、年度ごとの振れが出やすい。
直近の数値を見ると、売上規模は拡大基調にあるものの、営業利益・経常利益・純利益の動きにはばらつきがあり、収益構造が安定しているとは言い切れない。営業利益率は一時的に改善する年がある一方、再び低下する局面も見られ、ROE・ROAも一桁台にとどまっている。株価水準も高成長を織り込む評価ではなく、低PBRを前提にした慎重な見方が市場に根付いている状況にある。
良い場合は、世界的なインフラ更新需要や再生可能エネルギー関連投資が底堅く推移し、大型クレーン需要が安定的に積み上がるシナリオである。加えて、ドイツ事業の再建が進み、欧州での採算が改善することで、営業利益率は7〜8%程度まで回復する可能性がある。ROEも一桁後半で安定し、利益の振れが小さくなれば、市場からは「収益回復が見えたグローバル重機メーカー」として再評価される。この場合、PERは20倍前後まで許容され、PBRも1倍近辺まで切り上がる余地があり、5年後の株価は1,600円〜1,900円程度まで上昇する展開が考えられる。配当も一定水準を維持し、インカムと緩やかなキャピタルゲインの両立となる。
中間のケースでは、インフラ投資は一定水準を維持するものの、景気や案件動向の影響で業績の上下が続く。営業利益率は5〜6%台、ROEは一桁台前半から中盤で推移し、収益性は大きく改善しない。この場合、PBRは1倍を下回る水準が続き、評価は資産価値と業績回復期待の綱引きとなる。株価は現在値を中心に上下しながら、1,000円〜1,400円程度のレンジで推移しやすく、リターンの中心は配当となる。
悪い場合は、世界景気の減速や資源・インフラ投資の縮小により、クレーン需要が弱含むシナリオである。ドイツ事業の再建が想定以上に長期化し、利益率は低位にとどまる。営業利益率は5%を下回り、ROE・ROAも低水準が続くことで、収益体質への懸念が強まる。この場合、市場評価は一段と慎重になり、PBR0.7倍前後の低評価が固定化される可能性がある。5年後の株価は800円〜1,000円程度まで下振れし、配当についても維持余力が問われる局面となる。
総合すると、タダノの株価は現在値1,168.0円において、高成長期待を前提とした局面にはなく、業績回復の確度と収益の安定度を見極める段階にある。今後5年間は、グローバルなインフラ・エネルギー投資動向と欧州事業の採算改善が最大の評価軸となり、収益の安定化が進めば上方向、改善が鈍ければ横ばい、悪化すれば下振れという時間帯になりやすい。投資スタンスとしては、急激な値上がりを狙うよりも、業績の底固めと回復の進捗を確認しながら中長期で向き合う銘柄と位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月24日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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