株価
マースグループホールディングスとは

マースグループホールディングス株式会社は、パチンコ店向け機器を中核とするアミューズメント関連事業を主力とした日本の持株会社である。グループの中核子会社であるマースエンジニアリングは、パチンコ・パチスロホール向け周辺機器の大手メーカーとして知られており、玉計数機や各台計数を行うパーソナルシステム、ホールコンピュータ、サイクルICカードユニットなどを幅広く手がけている。
アミューズメント関連事業の特徴は、単体の機器販売にとどまらず、ホール運営全体を支えるシステムとして提供できる点にある。現金管理、遊技データ管理、顧客管理を一体化した仕組みは、ホールの省人化や運営効率化と親和性が高く、設備投資の更新需要を安定的に取り込んできた。パチンコ店向けプリペイドカード事業では、日本ゲームカード、グローリーグループに次ぐ業界第3位のシェアを持ち、一定の市場地位を確保している。
一方で、パチンコ市場そのものは長期的に縮小傾向にあり、ホール数の減少や投資抑制の影響を受けやすい構造にある。このため、マースグループではアミューズメント分野で培った技術を他分野へ展開する動きを進めてきた。その代表例がRFIDやバーコードを活用した自動認識関連製品であり、工場向けや物流、流通分野などへの応用が図られている。これらの分野では、個体管理やトレーサビリティ、省人化といったニーズが高く、アミューズメント分野とは異なる成長余地を持つ。
グループには、宿泊・飲食分野を担う事業会社も存在する。ホテルサンルート博多やマースガーデンウッド御殿場を運営するマースプランニングは、グループの中では非中核事業に位置付けられるが、収益源の分散や事業育成の観点から継続されている。また、マーストーケンソリューションは、貯玉管理業務やバーコードリーダーなどの機器を扱い、アミューズメントと自動認識分野の橋渡し的な役割を担っている。
沿革を振り返ると、1974年に電子機器の設計試作・製造販売を目的として設立され、1990年代に株式上場を果たした後、2001年に東京証券取引所1部へ上場した。2018年10月には持株会社制へ移行し、旧マースエンジニアリングはマースグループホールディングスへ商号変更、パチンコ・パチスロ関連の周辺機器事業は新設されたマースエンジニアリング(2代)へ会社分割により移管された。この体制変更により、事業管理と事業運営を分離し、グループ全体での資本配分や事業戦略の柔軟性を高めている。
全体として、マースグループホールディングスは、パチンコ店向け機器という成熟・規制産業に強固な基盤を持ちながら、その延長線上にある自動認識技術やシステム分野へ展開を進めている企業である。業績は依然としてアミューズメント業界の動向に左右されやすいものの、既存事業の安定収益を基盤に、新分野を育成しながら事業構造の変化を模索している段階にある。
マースグループホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 14,760 | 1,130 | 1,533 | 807 | 48.3 | 70 |
| 連22.3 | 15,103 | 1,578 | 2,502 | 1,855 | 110.2 | 70 |
| 連23.3 | 20,346 | 4,126 | 4,730 | 3,144 | 190.2 | 70 |
| 連24.3 | 36,575 | 11,694 | 12,500 | 8,585 | 499.9 | 150 |
| 連25.3 | 42,250 | 12,331 | 13,086 | 8,716 | 475.7 | 195記 |
| 連26.3予 | 37,500 | 10,700 | 11,500 | 7,800 | 422.7 | 150 |
| 連27.3予 | 39,500 | 11,200 | 12,000 | 8,100 | 438.9 | 150 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 943 | -2,106 | -2,163 |
| 連24.3 | 6,447 | -1,636 | 1,813 |
| 連25.3 | 10,651 | -558 | -3,069 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 20.2% | 5.5% | 4.9% | – | – |
| 連24.3 | 31.9% | 12.0% | 10.2% | – | – |
| 連25.3 | 29.1% | 11.1% | 10.0% | 6.3~10.6倍 | 0.75倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模の推移を見る。営業利益は、連24.3で約116億円、連25.3で約123億円、連26.3予で約107億円となっており、2025年に一度ピークを付けた後、2026年はやや減少する想定である。経常利益も同様に、連24.3が約125億円、連25.3が約130億円、連26.3予が約115億円と、2025年を頂点に減少する見通しとなっている。純利益は、連24.3が約85億円、連25.3が約87億円、連26.3予が約78億円で、利益水準自体は高いものの、こちらも2026年は調整する前提の数値構成である。
次に収益性指標を見る。営業利益率は、2023年が20.2%、2024年が31.9%、2025年が29.1%で推移しており、2024年に大きく上昇した後、2025年も高水準を維持している。ROEは、2023年が5.5%、2024年が12.0%、2025年が11.1%で、2024年にかけて大きく改善し、その後はやや低下している。ROAは、2023年が4.9%、2024年が10.2%、2025年が10.0%と、2024年以降は2桁水準を確保している。
株価指標を見ると、2025年の実績PERは高値平均10.6倍、安値平均6.3倍で推移しており、利益水準に対する評価は年によって振れが大きい。PBRは0.75倍で、純資産に対する市場評価は1倍を下回っている。以上を総合すると、マースグループホールディングスは2024年から2025年にかけて利益額・利益率ともに大きく改善した実績を持つ一方、2026年は売上・利益ともに減少を見込む前提となっている。
直近が増益基調の途中というより、高収益年度を一度経験した後の調整局面を示す数値構成である点が特徴的である。ROE・ROAは2桁水準を確保しているものの、PBRは0.75倍にとどまっており、資本効率の改善がそのまま株価評価に十分反映されているとは言い切れない状態にある。現状の数値から読み取れる位置づけは、高い収益性を示した年度の後、利益が落ち着く局面に入りつつあり、評価倍率は抑えられている段階、という整理になる。
配当目的とかどうなの?
配当目的で見ると、数値上は十分に高水準に入っている。連26.3、連27.3ともに予想配当利回りは4.49%とされており、東証全体の平均と比べても明確に高い部類に属する水準である。これまでの実績を見ると、利益が大きく伸びた局面では配当額も引き上げられており、連25.3では一株当たり配当が大きく増加している。2026年、2027年は利益がピークアウトする前提になっているものの、それでも配当は150円水準を維持する想定となっており、短期的に大きく減配する前提ではないことが読み取れる。
一方で、配当利回りの高さは「高成長を織り込んだ株価水準」ではないことの裏返しでもある。PERは高値平均でも10倍台、PBRも0.75倍と、株価は利益水準や純資産に対して割安圏に位置している。そのため、配当利回りの高さは業績不安というより、市場評価が抑えられていることによって生じている面が大きい。
総合すると、この銘柄は配当目的としては「攻めの増配株」ではなく、「高水準配当を受け取りながら業績の上下を受容するタイプ」の位置づけになる。今後も利益が高水準で安定すれば利回り4%台を維持できる可能性がある一方、業績が大きく崩れた場合には配当維持が最優先されるとは限らない。そのため、配当を主目的とする場合は、毎年の利益水準と配当性向の変化を確認しながら、中長期で付き合う銘柄という整理になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
マースグループホールディングスの現在値3,335.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを整理する。同社はパチンコ店向け周辺機器を中核としつつ、RFIDやバーコードなど自動認識関連製品、さらに宿泊・飲食事業も抱える多角化企業である。直近では売上・利益ともに大きく伸び、営業利益率は20%台後半から30%前後、配当も高水準となっている。一方で、主力のアミューズメント関連は市場規模の伸びが限定的で、業績は設備投資サイクルの影響を受けやすいという性格も併せ持つ。
良い場合は、パチンコ店向け設備投資が想定以上に回復し、スマート遊技機対応や更新需要が継続するシナリオである。加えて、工場・物流向けの自動認識関連製品が着実に拡大し、アミューズメント依存度が徐々に低下する。この場合、売上高は高水準を維持し、営業利益率も25〜30%前後で安定する可能性がある。市場からは「高収益・高配当の安定企業」として評価され、PERが10倍前後、PBRが1倍程度まで見直されれば、5年後の株価は4,000円〜5,000円程度まで切り上がる展開も考えられる。配当は高水準を維持し、インカムと緩やかなキャピタルゲインの両立となる。
中間のケースは、パチンコ店向け需要は横ばいで推移し、自動認識関連事業も緩やかな成長にとどまるシナリオである。売上・利益はピークアウト後にやや調整するものの、大きく崩れることはなく、高い利益水準を維持する。この場合、市場評価は現在と大きく変わらず、PERは7〜9倍、PBRは0.7〜0.9倍程度にとどまりやすい。株価は3,000円前後から3,800円程度のレンジで推移し、リターンの中心は引き続き配当となる。
悪い場合は、パチンコ市場の設備投資が想定以上に冷え込み、主力事業の受注が減少する一方で、新規分野の立ち上がりも遅れるシナリオである。売上・利益は明確に縮小し、営業利益率も20%を下回る水準まで低下する可能性がある。この場合、市場の評価は慎重になり、PERは6倍前後、PBRは0.5倍程度まで低下することも考えられる。5年後の株価は2,200円〜2,700円程度まで下振れし、配当も減額されるリスクを抱える。
総合すると、マースグループホールディングスの株価は現在値3,335.0円において、高成長期待を強く織り込む水準ではなく、高収益と高配当を前提とした評価にある。今後5年間は、アミューズメント関連需要の持続性と自動認識関連事業の広がりが評価の分かれ目となり、事業の安定度が高まれば上方向、主力市場の停滞が続けば横ばいから下振れという時間帯になりやすい。投資スタンスとしては、キャピタルゲイン狙いというより、高水準の配当を受け取りつつ中期的な事業動向を見守る銘柄と位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月24日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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