株価
マックスとは

マックス株式会社は、ホッチキスや釘打機に代表される「留める・結束する」技術を核に発展してきた日本の機械メーカーである。複写機内蔵とじ機、ホッチキス、建築作業用釘打機では国内首位クラスのシェアを持ち、特にステープラー分野では国産初の商品を1952年に発売して以来、国内トップメーカーとしての地位を長年維持してきた。世界累計販売台数は3億台を超え、事務用品の定番ブランドとして高い認知度を誇っている。
事業の特徴は、オフィス機器、建築・産業向け機工品、住環境機器という異なる市場を同時に持っている点にある。オフィス機器分野では、ホッチキスや製本機、パンチ、タイムレコーダー、ラベルプリンタなど、企業や官公庁、個人事業主まで幅広く使われる製品を多数展開しており、買い替え需要や消耗品需要を通じて比較的安定した売上を確保している。特にステープラー針などの消耗品は継続的な需要が見込め、収益の下支えとなっている。
建築・産業向けの機工品分野では、釘打機やねじ打機、鉄筋結束機、エア工具、コンプレッサ、コンクリートドリルなどを手がけ、主にプロの現場で使用される製品を供給している。省力化や作業効率の向上、安全性の確保といった現場ニーズに応える製品が多く、建設投資やインフラ更新の動向に左右されやすい一方、付加価値の高い分野でもある。釘やワイヤなどの消耗品も自社グループ内で生産しており、工具と消耗品をセットで供給できる点は競争力の源泉となっている。
住環境機器分野では、浴室暖房換気乾燥機、24時間換気システム、床暖房、空気清浄機、火災警報器などを展開している。2000年代に本格参入した分野で、住宅の快適性や省エネ性能向上を背景に、リフォーム需要も含めた中長期的な市場を狙っている。建築向け機工品との親和性も高く、住宅関連市場を補完する事業として位置づけられている。
さらに特徴的なのは、介護・福祉分野への展開である。車いす国内トップシェアを持つカワムラサイクルを子会社化し、車いすの製造・販売を行っている。これは従来の工具や機械とは異なる分野だが、高齢化社会の進展を見据えた長期的な成長余地を意識した事業であり、社会性の高い分野への取り組みという側面も持つ。
生産体制を見ると、群馬県を中心に複数の工場を持ち、釘打機やオフィス機器、消耗品、住環境機器を国内で幅広く生産している。開発機能も国内拠点に集約されており、品質や信頼性を重視したものづくりが特徴である。一方で、中国やタイなど海外にも生産拠点を持ち、コストや供給体制の最適化も進めている。
沿革を振り返ると、もともとは航空機部品メーカーとして創業し、戦後に事務機器メーカーへ転換、その後ホッチキスを軸に成長してきたという異色の歴史を持つ。社名の「マックス」も、技術と製品の完成度を追求する姿勢を表したものであり、現在まで一貫して技術志向の企業文化が続いている。
全体としてマックス株式会社は、ニッチだがシェアの高い分野を数多く持ち、消耗品ビジネスとプロ向け高付加価値製品を組み合わせた安定感のある事業構造を築いている。オフィス、建築、住宅、福祉と市場が分散しているため、特定分野の不調があっても全体としての耐久力が比較的高い点が、この会社の大きな特徴と言える。
マックス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当 DPS(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 64,029 | 6,685 | 6,826 | 5,153 | 105.8 | 48 |
| 連22.3 | 73,958 | 7,498 | 8,282 | 6,090 | 128.4 | 64 |
| 連23.3 | 84,316 | 9,926 | 10,510 | 7,619 | 161.1 | 78 |
| 連24.3 | 86,638 | 12,601 | 13,717 | 10,435 | 222.6 | 101 |
| 連25.3 | 91,839 | 14,468 | 14,809 | 11,225 | 241.8 | 114 |
| 連26.3予 | 97,700 | 17,200 | 17,500 | 13,200 | 293.6 | 132 |
| 連27.3予 | 102,000 | 19,000 | 19,300 | 14,500 | 322.5 | 140〜150 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 8,248 | -1,085 | -3,332 |
| 2024 | 12,120 | -3,715 | -7,196 |
| 2025 | 14,588 | -1,750 | -7,614 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 11.7 | 8.5 | 6.5 | – | – |
| 2024 | 14.5 | 10.4 | 8.5 | – | – |
| 2025 | 15.7 | 10.5 | 9.0 | 10.3〜16.1 | 2.85 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
マックスは、2024年から2026年予想にかけて、売上高・利益ともに明確な右肩上がりの推移を示している。売上高は2024年約866億円、2025年約918億円、2026年予想で約977億円と、年を追うごとに着実に拡大しており、事業規模は安定的に成長している。急成長ではないものの、基盤のしっかりした増収が続いている点は評価しやすい。
営業利益は2024年約126億円、2025年約144億円、2026年予想で約172億円と、売上以上のペースで伸びている。これに対応して営業利益率も2023年11.7%、2024年14.5%、2025年15.7%と3年連続で大きく改善しており、価格転嫁や製品構成の改善、固定費吸収が順調に進んでいることがうかがえる。単なる売上増ではなく、稼ぐ力そのものが強くなっている局面と言える。
経常利益も2024年約137億円、2025年約148億円、2026年予想で約175億円と安定して増加しており、営業外要因に大きく左右される様子は見られない。純利益についても2024年約104億円、2025年約112億円、2026年予想で約132億円と順調に伸びており、最終利益まで一貫して成長が続いている。EPSも2024年222円、2025年241円、2026年予想293円と拡大しており、1株当たりの利益成長ははっきりしている。
資本効率の面では、ROEが2023年8.5%から2024年10.4%、2025年10.5%へと改善し、安定して10%台に乗ってきている。ROAも6.5%から9.0%まで上昇しており、総資産を使った収益力も着実に高まっている。製造業として見ると、収益性と効率性の両面で一段階レベルが上がった状態と評価できる。
バリュエーションを見ると、2025年実績PERは安値平均10.3倍から高値平均16.1倍と幅があるが、利益成長が続いていることを考えると、10倍台前半は割安感があり、16倍前後は業績改善を織り込んだ水準と捉えられる。PBRは2.8倍台と製造業としては高めだが、営業利益率15%超、ROE10%超が定着するのであれば、必ずしも過度な割高とは言い切れない。
以上の数値だけから判断すると、マックスは急成長株ではないものの、利益率改善がはっきりしており、ROE・ROAも着実に底上げされている。業績の質が確実に向上している段階にあり、評価が低い局面では中長期で拾いやすい、安定成長型の銘柄と位置づけられる。少なくとも、数字を見る限りでは、成長が止まった成熟企業ではなく、成熟企業の中で改善フェーズに入っている会社と判断できる。
配当目的とかどうなの?
配当目的で見ると、マックスは高配当株というより、安定配当と緩やかな増配を重視するタイプの銘柄と位置づけられる。予想配当利回りは連26.3で1.98%、連27.3で2.10%と、利回り水準そのものは市場全体と比べて特別高いわけではなく、配当利回りだけを目的に購入する銘柄とは言いにくい。
一方で、業績を見ると営業利益・純利益は着実に増加しており、営業利益率も11%台から15%台へと大きく改善している。EPSも伸びており、配当の原資となる収益力は確実に強化されている。こうした状況を踏まえると、配当水準は無理に引き上げているのではなく、業績の伸びに合わせて段階的に増配していく姿勢がうかがえる。
キャッシュフローの観点でも、営業キャッシュフローは安定してプラスを維持しており、投資や株主還元を行ってもなお配当を継続できる余力がある。財務面に大きな無理が見られないため、急な減配リスクは現時点では低いと考えられる。
そのため、マックスは、短期的に高い配当利回りを求める投資には向かないが、業績改善とともに配当が少しずつ増えていく過程を評価し、中長期で保有する配当目的には適した銘柄と言える。今の利回りだけを見ると地味だが、安定した利益成長と増配余地を重視する投資家にとっては、じっくり付き合えるタイプの配当株と判断できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
マックスの現在値6,660円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社はホッチキスや釘打機など「留める・結束する」分野で国内首位クラスの地位を持つ機械メーカーであり、オフィス機器、建築・産業機器、住環境機器、さらに福祉分野まで事業を分散させている。近年は利益率の改善がはっきりしており、成熟企業の中でも収益性が一段引き上がった段階にある点が特徴である。
良い場合は、建築・産業向け機工品を中心に需要が堅調に推移し、価格転嫁や製品ミックス改善が継続するシナリオである。営業利益率は15%前後で定着し、ROEも10%台を安定的に維持できる。EPSは300円台前半から中盤まで伸び、市場からは「高収益な安定成長型メーカー」として評価されやすくなる。この場合、PERは高値平均に近い15〜16倍水準が許容され、5年後の株価は7,000円台後半から8,500円程度まで切り上がる展開が考えられる。配当の緩やかな増加も下支えとなり、じり高基調が続くイメージとなる。
中間のケースでは、業績は会社予想に近い形で推移し、売上・利益は伸びるものの、利益率の改善は一服する。営業利益率は14%前後、ROEは10%前後で安定し、大きな成長期待は織り込まれにくい。市場評価はPER12〜13倍程度に落ち着き、現在の評価水準と大きな乖離は生じない。この場合、株価は5,800円〜6,800円程度のレンジで推移し、値上がり益よりも配当を含めたトータルリターンを重視する展開となる。
悪い場合は、建築需要の減速やコスト上昇により利益率が低下するシナリオである。営業利益率は12%前後まで後退し、ROEも一桁台に戻ることで、市場は成長期待を引き下げる。EPSは250円前後にとどまり、PERは安値平均に近い10倍前後まで低下する可能性がある。この場合、株価は4,500円〜5,000円程度まで調整し、配当は維持されるものの、評価回復には時間を要する展開となる。
総合すると、マックスの株価は現在値6,660円において、すでに一定の業績改善と安定性を織り込んだ水準にある。今後5年間は急成長による大化けよりも、利益率と資本効率をどこまで維持できるかが評価の分かれ目となる。安定配当を受け取りつつ、業績の持続性を確認しながら保有する中長期向きの銘柄であり、業績が崩れなければ大きく下がりにくい一方、上値は業績改善の継続性次第で徐々に切り上がっていくタイプと位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月25日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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