株価
大和冷機工業とは

大和冷機工業株式会社は、業務用冷凍冷蔵庫を中心とする業務用冷機器の大手メーカーであり、日本全国に張り巡らせた営業・サービス網と、省エネ型製品への強みを武器に、外食・食品流通インフラを支える企業である。本社は大阪市天王寺区と東京都台東区の2本社体制を採っており、全国すべての都道府県に営業拠点とサービス体制を構築している点が大きな特徴となっている。
主な事業内容は、業務用冷蔵庫・冷凍庫、冷凍冷蔵ショーケース、製氷機、ブラストチラー、低温保存庫などの開発・製造・販売であり、加えて、機器の設置工事や導入後のメンテナンス、修理対応までを自社で一貫して手がけている。スーパーマーケット、コンビニエンスストア、飲食店、花屋、和洋菓子店、ホテル、病院、学校、福祉施設、食品メーカー、物流事業者、官公庁など、顧客層は非常に幅広く、日本の食と流通の現場に深く入り込んだ事業構造を持つ。
同社の最大の特色は、代理店に依存しない直販体制と、全国規模の営業・サービス網である。営業担当者が直接顧客を訪問し、導入提案からアフターサービスまで継続的に対応することで、顧客との長期的な関係を構築している。この体制により、更新需要や修理・保守といったストック型収益が安定して積み上がる構造となっており、業績の安定性と財務の強さにつながっている。
沿革を見ると、1958年に大阪市で創業し、1960年代に業務用冷蔵庫の規格品製造を開始して以降、着実に事業を拡大してきた。1980年代以降は省エネ性能を重視した製品開発に注力し、NHガラス採用ショーケースやインバータ制御機器など、業界に先駆けた技術を投入してきた。2000年代以降は「エコ蔵くん」シリーズに代表される省エネ型・環境配慮型製品を拡充し、ノンフロン発泡剤の採用など、環境規制への対応でも先行している。
製造拠点は福岡工場、佐伯工場、関東大利根工場など国内に分散配置されており、品質管理と供給安定性を重視した生産体制を構築している。これに加え、全国に多数の営業所、法人営業部、厨房専門部門、サービスセンター、配送センターを配置し、導入から保守までを一体で支える体制を整えている。
財務面では、長年にわたり安定した利益とキャッシュフローを確保しており、好財務体質として知られている。外食産業や小売業の景況感に左右される側面はあるものの、既存顧客の更新需要とメンテナンス収入が下支えとなり、業績の振れは比較的抑えられている。
総合すると、大和冷機工業は、業務用冷凍冷蔵庫というニッチながら不可欠な分野で、直販・全国サービス網・省エネ技術を軸に、堅牢な事業基盤を築いてきた企業である。派手な成長よりも、安定性、継続性、財務の強さを重視した経営が特徴で、日本の食と流通を陰で支えるインフラ型メーカーと位置付けられる。
大和冷機工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単22.12 | 43,942 | 6,985 | 6,866 | 4,446 | 87.9 | 30 |
| 単23.12 | 45,969 | 8,137 | 7,989 | 5,537 | 112.2 | 30 |
| 単24.12 | 47,938 | 8,076 | 7,959 | 5,441 | 110.2 | 50 |
| 単25.12予 | 48,600 | 8,100 | 8,000 | 5,500 | 111.4 | 50 |
| 単26.12予 | 49,300 | 8,300 | 8,100 | 5,600 | 113.4 | 50 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 単22.12 | 4,293 | -1,141 | -3,386 |
| 単23.12 | 8,891 | -1,217 | -1,475 |
| 単24.12 | 3,448 | -2,449 | -1,479 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 単23.12 | 17.7 | 8.6 | 6.0 | – | – |
| 単24.12 | 16.8 | 7.9 | 5.8 | 10.8〜14.7 | 1.14 |
| 単25.12予 | 16.6 | 8.0 | 5.8 | 15.14 | – |
出典元:四季報オンライン
投資判断
23.12期は売上高459億円、営業利益81億円、経常利益79億円、純利益55億円である。24.12期は売上高479億円、営業利益80億円、経常利益79億円、純利益54億円と、売上は伸びているものの利益はほぼ横ばいで推移している。25.12期予想では売上高486億円、営業利益81億円、経常利益80億円、純利益55億円、26.12期予想では売上高493億円、営業利益83億円、経常利益81億円、純利益56億円と、売上の緩やかな増加と安定した利益水準が続く前提となっている。急成長はないが、業務用冷凍冷蔵庫という内需型事業らしい、非常に安定した業績推移である。
収益性を見ると、営業利益率は23年17.7%、24年16.8%、25年16.6%とわずかに低下しているものの、3年とも16%台後半を維持しており、製造業としては高水準で安定している。ROEは8.6%、7.9%、8.0%、ROAは6.0%、5.8%、5.8%と、いずれも大きなブレはなく、資本効率・資産効率ともに堅実な水準にある。派手さはないが、事業の稼ぐ力が長期的に安定していることが数字から読み取れる。
評価面では、24年時点の実績PERは10.8倍から14.7倍、PBRは1.1倍である。25年予想PERは15.1倍とやや上昇している。ROEが8%前後であることを踏まえると、PBR1倍強はおおむね妥当な水準で、割安感はないが割高とも言いにくい。PER15倍前後も、安定収益型の内需・ディフェンシブ銘柄としては許容範囲内の評価と考えられる。
これらを総合すると、大和冷機工業は売上が緩やかに伸びつつ、営業利益80億円前後を安定して稼ぐ典型的な堅実企業である。営業利益率16%台、ROE8%前後、ROA6%前後という数値は、成長株ではないものの、事業の継続性と収益の質の高さを示している。一方で、利益の急拡大を期待する局面ではなく、市場からはすでに「安定企業」として一定程度評価されている段階にある。
この数値だけで判断すれば、大和冷機工業は値上がり益を狙う成長株ではなく、業績のブレが小さいことを重視する投資家向けのディフェンシブ寄り銘柄と位置付けられる。PERやPBRに強い割安感はないが、安定した利益と高い営業利益率を背景に、配当を含めて中長期で保有するタイプの銘柄だと判断できる。
配当目的とかどうなの?
大和冷機工業株式会社を配当目的でどうか、という視点で見るとこの銘柄はかなり分かりやすく「安定配当向き」の部類に入る。予想配当利回りは25.12期、26.12期ともに3.10%で、機械セクターの中でははっきりと実用的な水準にある。突出した高配当ではないが、利回りの安定性という点では安心感がある数字と言える。
利益との関係を見ると、25.12期予想の純利益は55億円、26.12期予想でも56億円と、ほぼ横ばいで推移する前提になっている。EPSは110円前後で、配当は50円が継続される想定のため、配当性向は45%前後となる。この水準は無理をして配当を出している印象はなく、利益が多少上下しても配当を維持しやすい余地がある。
キャッシュフローを見ると、営業CFは一貫してプラスを確保しており、投資CFと財務CFを差し引いても、配当原資は本業から十分に生み出せている。財務CFが毎年マイナスで推移している点からも、借入に依存せず、稼いだキャッシュを配当や内部投資に回す健全な構造が続いていると判断できる。
評価面では、PERは15倍前後、PBRは1.1倍程度と、配当利回り3.1%を考えると極端な割高感はない。株価が急上昇しない前提でも、利回りを安定して受け取りやすい位置にある。逆に言えば、配当利回りを大きく押し上げるほどの割安局面でもないが、長期保有を前提にするなら納得感のある水準だ。
総合すると、大和冷機工業は配当目的として「利回り最優先で飛びつく銘柄」ではないが、「減配リスクが低く、毎年ほぼ同じ水準の配当を受け取りたい投資家」には非常に向いている。業績のブレが小さく、財務も安定しているため、値上がり益よりもインカムを重視する配当目的の長期保有には適した銘柄だと判断できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
大和冷機工業株式会社の現在値1,610.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は業務用冷凍冷蔵庫の大手メーカーであり、外食・小売・食品流通向けを中心に、全国すべての都道府県に営業・サービス網を構築している。製造から販売、設置、メンテナンスまでを自社で完結する直販体制を特徴とし、省エネ型製品への注力と好財務体質を背景に、内需型・ディフェンシブ色の強い事業基盤を持つ企業である。景気変動の影響は一定程度受けるものの、更新需要と保守収入により業績の振れは比較的抑えられている。
良い場合は、外食・小売業界の設備更新が底堅く推移し、省エネ型冷凍冷蔵庫への置き換え需要が継続するシナリオである。営業利益率は16〜17%台を維持し、純利益は55億円台後半から60億円規模で安定する。EPSは110円台前半で推移し、市場からは「高収益かつ安定性の高い内需ディフェンシブ銘柄」として評価されやすくなる。この場合、PERは過去の高値水準に近い14〜15倍が許容され、EPS110円×PER15倍を前提にすると、5年後の株価は1,900円〜2,100円程度まで緩やかに上昇する展開が想定される。配当利回り3%台が下支えとなり、じり高基調が続く可能性が高い。
中間のケースでは、業務用冷機器の需要は安定するものの、外食・小売の出店動向に左右され、成長感は限定的となる。営業利益率は16%前後、純利益は50億円台半ばで横ばい推移となり、評価も大きくは変わらない。PERは11〜13倍程度に落ち着き、この場合の株価は1,400円〜1,800円程度のレンジでの推移が中心となる。値上がり益は小さい一方、配当利回り3.1%前後を安定して受け取りながらのトータルリターン重視の展開になりやすい。
悪い場合は、外食・小売業界の投資抑制が長引き、更新需要が鈍化するシナリオである。営業利益率は15%前後まで低下し、純利益は50億円をやや下回る水準にとどまる。市場は成長期待を引き下げ、PERは過去の安値水準に近い8〜9倍まで低下する可能性がある。この場合、EPS110円前後でも評価が厳しくなり、株価は1,100円〜1,300円程度まで調整する展開も想定される。ただし、財務の健全性と配当維持姿勢から、下値では利回りが上昇し、大崩れしにくい構造と考えられる。
総合すると、大和冷機工業の株価は現在値1,610.0円において、すでに安定収益企業としての評価をある程度織り込んだ水準にある。今後5年間は高成長による大化けを狙う銘柄というより、業務用冷機器という必需性の高い分野で安定した利益と配当をどこまで維持できるかが評価の軸となる。配当を下支えにしつつ、業績の持続性を確認しながら中長期で保有するスタンスに適した銘柄と位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月25日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す