株価
PILLARとは

株式会社PILLARは、流体の漏れを防ぐパッキンを発祥とする日本有数のシール技術メーカーである。本社は大阪市西区に置き、東証プライム市場に上場している。1924年創業と100年を超える歴史を持ち、日本の重化学工業、エネルギー、インフラ産業の発展とともに歩んできた企業である。旧社名は日本ピラー工業株式会社であり、2024年にグローバル展開を意識して商号を株式会社PILLARへ変更した。
同社は、液体やガスといった流体を安全に封じ込めるシール技術を中核とし、グランドパッキン、ガスケット、メカニカルシールの分野で業界トップクラスの地位を築いている。社名の由来は、創業初期の代表製品である「特許ピラーパッキンNo.1」の形状が柱状であったことにあり、PILLARという名称には産業を支える柱であり続けるという意味合いも重ねられている。
事業構成は大きく電子機器関連事業と産業機器関連事業に分かれている。電子機器関連事業は現在の収益の中核を担う分野で、特に半導体製造装置向け部材が利益の柱となっている。半導体製造工程では、強酸や強アルカリなどの薬液を高温かつ高純度環境で扱う必要があり、耐薬品性、耐熱性、クリーン性に優れた部材が不可欠である。PILLARはふっ素樹脂加工技術を強みとし、継ぎ手、バルブ、ポンプなどの高付加価値製品を提供することで、半導体ウエハー洗浄工程を中心に高いシェアを確保している。この分野は設備投資サイクルの影響は受けるものの、技術要求水準が高く、価格競争に陥りにくい点が特徴である。
一方、産業機器関連事業は同社の祖業ともいえる分野であり、化学プラント、石油精製、発電所、造船、各種製造工場など幅広い産業に製品を供給している。遠心ポンプなどの回転機器に使用されるメカニカルシール、バルブのステム部に用いられるグランドパッキン、配管の接合部に使われるガスケットなど、設備の安全性と安定稼働を支える基幹部品を扱っている。これらは定期的な交換需要があり、景気変動の影響を比較的受けにくい安定収益源となっている。
生産体制としては、兵庫県三田市の三田工場、京都府福知山市の福知山事業所、熊本県合志市の九州工場などを有し、国内一貫生産体制を構築している。営業拠点も全国に展開しており、顧客の設備や使用条件に応じた技術提案やアフターサービスを重視した事業運営を行っている。
総じて株式会社PILLARは、伝統的な流体シール技術という安定した基盤を持ちながら、半導体製造装置向け継ぎ手や樹脂部品といった成長分野を取り込むことで、安定性と成長性を両立した事業構造を築いている企業である。
PILLAR 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 30,200 | 4,847 | 5,094 | 3,445 | 144.7 | 50 |
| 連22.3 | 40,670 | 11,392 | 11,821 | 8,285 | 350.5 | 106 |
| 連23.3 | 48,702 | 13,842 | 14,136 | 10,428 | 443.0 | 133 |
| 連24.3 | 58,605 | 14,206 | 15,098 | 10,780 | 462.6 | 159 |
| 連25.3 | 57,988 | 11,335 | 11,474 | 8,299 | 355.8 | 125 |
| 連26.3予 | 57,500 | 10,300 | 10,300 | 7,200 | 314.2 | 105 |
| 連27.3予 | 60,000 | 12,000 | 12,000 | 8,400 | 366.6 | 122〜126 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 (単位:百万円) |
営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 6,058 | -573 | -2,790 |
| 連24.3 | 5,640 | -16,197 | 5,323 |
| 連25.3 | 14,184 | -6,807 | -3,959 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 28.4 | 17.5 | 14.3 | – | – |
| 連24.3 | 24.2 | 15.4 | 10.9 | – | – |
| 連25.3 | 19.5 | 11.2 | 8.4 | 13.7(高値) 7.3(安値) |
1.86 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益水準を見ると、売上規模はおおむね575〜586億円で横ばい圏にある一方、営業利益は2024年の142億円をピークに、2025年113億円、2026年予想103億円と減少基調にある。経常利益、純利益も同様にピークアウトしており、純利益は2024年107億円から2025年82億円、2026年予想72億円へと段階的に低下している。利益額そのものは依然として高水準だが、明確に減益フェーズに入っている点は重要である。
収益性指標を見ると、営業利益率は2023年28.4%、2024年24.2%、2025年19.5%と3年連続で低下している。それでも2025年時点で約20%近い水準を維持しており、製造業としては依然かなり高収益だが、「ピーク時の超高収益状態」からは明確に後退している。ROEも17.5%から11.2%へ、ROAも14.3%から8.4%へと低下しており、資本効率・資産効率の両面で収益力が鈍化していることが読み取れる。
一株益は2024年462円、2025年355円、2026年予想314円と減少傾向で、配当も159円から125円、105円へと減配方向が示唆されている。これは会社が成長投資や先行投資を優先している可能性もあるが、少なくとも短期的には株主還元の勢いが弱まっている局面と判断できる。
バリュエーション面では、2025年実績PERは高値平均13.7倍、安値平均7.3倍とレンジが広い。利益減少局面にあることを踏まえると、市場が高い成長プレミアムを付与している状態ではなく、業績の底打ち確認を待つ循環株的な評価に近い。PBRは1.86倍で、ROEが11%台まで低下している現状を考えると、割安とも割高とも言い切れない中立的水準にある。
以上を踏まえると、この銘柄は「高収益体質は維持しているが、利益・収益性ともにピークアウトし、調整局面にある企業」と位置付けられる。成長株として積極的に評価される局面ではなく、業績が下げ止まり、再び営業利益率やROEが安定・回復する兆しが見えるまでは、強気に買い進む局面とは言いにくい。一方で、利益水準自体は高く、PERの下限水準では下値余地も限定的と考えられるため、投資判断としては「割安感が出る局面での中長期目線の押し目待ち、もしくは様子見」が妥当といえる。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りは、連26.3で1.72%、連27.3で2.00%と、全体としては低めの水準にとどまっている。高配当株と呼べる水準ではなく、インカムゲインを主目的とする投資家にとっては物足りない利回りである。
配当の中身を見ると、一株当たり配当は2024年159円から2025年125円、2026年予想105円と減配基調にあり、利益の減少に合わせて配当も調整されている。これは無理に配当を維持する姿勢ではなく、業績連動型で比較的保守的な配当方針を取っていることを示している。裏を返せば、配当の安定性や増配期待を重視する配当投資には向きにくい。
また、ROEは17.5%から11.2%へ低下し、営業利益率も28.4%から19.5%まで落ちている。収益力がピークアウトしている局面で、配当利回りも2%前後にとどまるとなると、「配当をもらいながら気長に持つ」銘柄としての魅力は限定的である。PBRは1.86倍と決して低くなく、利回り水準と組み合わせて見ると、配当株として割安感があるとは言いにくい。
以上を踏まえると、この銘柄は配当目的にはあまり向かない。配当は補助的な位置付けであり、あくまで事業の収益力や半導体関連需要の回復を前提とした値上がり益、もしくは業績回復後の増配余地を見込む投資に向いた銘柄である。現時点での投資判断としては、「純粋な配当狙いなら他銘柄を優先、PILLARは業績回復局面を見据えた中長期型向け」と整理するのが妥当である。
今後の値動き予想!!(5年間)
株式会社PILLARの現在値6,090.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は流体の漏れを防ぐパッキンを発祥とするシール技術の老舗メーカーであり、メカニカルシールやふっ素樹脂製継ぎ手を強みとする。産業機器向けでは化学プラントやエネルギー、インフラ分野を支え、電子機器分野では半導体製造装置向け継ぎ手・部材が利益の柱となっている。景気循環の影響は受けるものの、高付加価値・必須部材を扱う点が事業の特徴である。
良い場合は、半導体設備投資が再び拡大局面に入り、ふっ素樹脂製継ぎ手や関連部材の需要が力強く回復するシナリオである。産業機器向けも安定推移し、全体として売上は緩やかに増加、利益率も回復基調となる。営業利益率は20%前後で下げ止まり、純利益は90億円前後を安定的に確保、EPSは350円前後で推移する。この場合、市場からは「高収益体質を維持する半導体関連部品メーカー」として再評価され、PERは高値平均に近い13〜14倍が許容されやすい。EPS350円×PER14倍を前提とすると、5年後の株価は9,000円〜10,500円程度まで切り上がる展開が想定される。業績回復に伴い配当も持ち直せば、株価の上昇を後押しする要因となる。
中間のケースでは、半導体向け需要は回復するものの勢いは限定的で、産業機器向けが下支えとなる安定推移のシナリオである。売上は横ばい圏、営業利益率は18〜19%程度、ROEは10%前後で落ち着き、業績は大きく崩れないが成長力は限定的となる。この場合、市場評価はPER10〜12倍程度に収まりやすく、現在水準から大きな乖離は生じにくい。株価は5,500円〜7,000円程度のレンジでの推移が中心となり、値上がり益よりも配当を含めたトータルリターン重視の展開になりやすい。
悪い場合は、半導体設備投資の回復が遅れ、電子機器関連事業の収益性が低下するシナリオである。産業機器向けは底堅いものの全体の利益を補うには至らず、営業利益率は15%台まで低下、純利益は70億円前後、EPSは300円を下回る水準にとどまる。この場合、市場は成長期待を後退させ、PERは安値平均に近い8〜9倍まで低下する可能性がある。EPS300円×PER9倍を前提にすると、株価は4,000円〜4,800円程度まで調整する展開も想定される。配当は維持される可能性が高いものの、株価回復には時間を要する。
総合すると、PILLARの株価は現在値6,090.0円において、過去の高収益局面からの調整と、将来の半導体関連回復期待が拮抗した水準にある。今後5年間は急成長による大化けを狙う銘柄というよりも、高収益体質を前提に、業績の底打ちと回復を確認しながら中長期で向き合う銘柄と位置付けられる。配当は補助的要素であり、業績回復が見えた局面での評価見直しが株価上昇の鍵となる。
この記事の最終更新日:2026年1月26日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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