株価
山洋電気とは

山洋電気株式会社は、1927年創業の老舗電機メーカーで、通信機器用電源を起点に発展してきた企業である。本社は東京都豊島区南大塚に置き、冷却ファン、サーボモータ、ステッピングモータ、無停電電源装置など、産業・通信インフラを支える基幹部品を手掛けている。社名が似ている三洋電機(旧パナソニック傘下)とは一切関係がなく、区別のため「やまようでんき」と呼ばれることも多い。
同社はNTT向け通信機器用電源をルーツとしており、創業当初から電源・回転機・通信関連技術を強みとしてきた。戦前から通信機器用電源や小型回転機を製造し、戦後は国内外の通信インフラ整備とともに事業を拡大してきた。現在では長野県上田市を中核拠点とし、複数の工場やテクノロジーセンターを集約した開発・生産体制を構築している。
事業内容は大きく三つの柱で構成されている。一つ目は冷却システム分野で、主力ブランド「San Ace」を展開している。高風量・高静圧・低騒音・長寿命を特徴とする冷却ファンやファンユニットを提供しており、通信基地局、サーバ、データセンター、電源装置、半導体製造装置、医療・検査機器など幅広い分野で採用されている。通信機器やITインフラの高密度化・高性能化が進む中で、同社の冷却技術は重要性を増している。
二つ目は電源システム分野で、「SANUPS」ブランドを中心に無停電電源装置、インバータ、エンジン発電装置、太陽光発電用パワーコンディショナなどを展開している。通信インフラや産業設備、医療機関など、電源の安定性が不可欠な分野を主要な顧客としており、信頼性の高さが評価されている。NTT向け電源を発祥とする同社らしく、電源品質や耐久性を重視した製品設計が特徴である。
三つ目はサーボ・モーション分野で、「SANMOTION」ブランドとしてサーボモータ、サーボアンプ、ステッピングモータ、ドライバ、コントローラなどを展開している。半導体製造装置、工作機械、産業用ロボット、射出成形機といった設備向けが中心で、高速・高精度な制御性能を強みとしている。工作機械や半導体装置の高性能化に伴い、この分野は同社の成長エンジンの一つとなっている。
海外展開にも積極的で、欧州、米国、中国、アジア各国に販売・製造・サービス拠点を構築し、グローバルに事業を展開している。BtoB向けを中心とした事業構造のため、個人向け製品はほとんど手掛けないが、その分、産業インフラや設備投資動向と密接に連動した業績構造を持つ。
総じて山洋電気は、通信インフラ由来の高信頼性電源技術、冷却ファンというニッチだが不可欠な分野での世界的競争力、そして工作機械・半導体装置向けのサーボ・モーション技術を併せ持つ企業である。派手さはないものの、産業・通信・ITインフラを足元から支える基盤技術メーカーとして、堅実かつ専門性の高い事業構造を持つ点が大きな特徴といえる。
山洋電気 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
税前利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ◇21.3 | 77,506 | 4,830 | 4,996 | 3,942 | 108.6 | 30 |
| ◇22.3 | 101,123 | 10,971 | 11,787 | 9,015 | 248.3 | 38.3 |
| ◇23.3 | 120,803 | 13,421 | 14,226 | 11,410 | 314.3 | 45 |
| ◇24.3 | 112,904 | 11,811 | 13,323 | 10,477 | 289.2 | 48.3 |
| ◇25.3 | 97,847 | 7,936 | 8,003 | 5,637 | 157.6 | 55 |
| ◇26.3予 | 107,100 | 11,600 | 12,000 | 8,500 | 239.3 | 70 |
| ◇27.3予 | 118,000 | 13,000 | 13,400 | 9,500 | 267.5 | 75〜80 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 (単位:百万円) |
営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| ◇23.3 | 8,258 | -4,422 | -2,675 |
| ◇24.3 | 21,452 | -6,466 | -10,666 |
| ◇25.3 | 15,788 | -3,734 | -9,690 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| ◇23.3 | 11.1 | 12.2 | 7.9 | – | – |
| ◇24.3 | 10.4 | 9.4 | 6.9 | – | – |
| ◇25.3 | 8.1 | 4.9 | 3.8 | 12.2(高値) 7.8(安値) |
1.28 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績規模を見ると、売上高は2024年1129億円、2025年978億円、2026年予想1071億円である。2025年は明確な減収となったが、2026年は回復を見込む計画となっている。営業利益は2024年118億円から2025年79億円へ大きく減少し、2026年予想では116億円まで戻す想定である。経常利益も2024年133億円から2025年80億円へ急減し、2026年予想は120億円と回復見通しである。純利益は2024年104億円、2025年56億円と半減に近い落ち込みを見せた後、2026年予想では85億円までの回復が示されている。
収益性を見ると、営業利益率は2023年11.1%、2024年10.4%、2025年8.1%と、3年連続で低下している。ROEも12.2%から9.4%、さらに4.9%まで落ち込み、資本効率は明確に悪化している。ROAも7.9%から6.9%、3.8%へと低下しており、資産を使った利益創出力もピークアウトしていることが分かる。これらの指標からは、同社が現在収益調整局面にあることがはっきり読み取れる。
一方でバリュエーションを見ると、2025年実績PERは高値平均12.2倍、安値平均7.8倍とレンジはあるものの、業績悪化を踏まえれば過度に高い水準ではない。PBRは1.2倍と、ROEが一桁台まで低下している状況を考えると、評価はすでに成長期待よりも「回復待ち」を前提とした水準に落ち着いている。
以上を踏まえると、山洋電気は「高収益期を過ぎ、業績が一度調整に入った局面の精密・産業部品メーカー」と位置付けられる。冷却ファンやサーボモータといった事業基盤は維持されているものの、2025年の数値は収益力の低下を明確に示しており、現時点で成長株として評価する段階にはない。一方で、2026年予想では売上・利益ともに回復が示されており、PER・PBRもすでに切り下がっていることから、回復が実現すれば評価余地が生じる局面ともいえる。
投資判断としては、積極的に成長を取りに行く銘柄ではなく、業績の底打ちと回復を確認しながら中期的に向き合うタイプの銘柄である。足元では慎重姿勢が妥当だが、収益指標の改善が再び見え始めれば、見直し買いが入りやすい位置にあると判断される。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは、2026.3期で1.64%、2027.3期で1.75%と見込まれている。水準としては東証プライム上場の製造業平均や、高配当銘柄とされる3%前後のレンジと比べると明確に低く、インカムゲインを主目的とする投資には向かない。
これまでの業績推移を見ると、2025年は利益が大きく落ち込んでおり、配当性向よりも事業回復や将来投資を優先する姿勢がうかがえる。2026年以降は利益回復が想定されているものの、配当利回りは2%に届かない見通しであり、積極的な増配を前提とした銘柄とは言いにくい。
一方で、配当が極端に不安定というわけではなく、利益水準に応じて段階的に配当を積み上げる傾向は確認できる。そのため、配当は「おまけ的要素」として受け取りつつ、業績回復や株価の見直しを主眼に置くスタンスであれば許容範囲といえる。
総合すると、山洋電気は配当目的で保有する銘柄ではない。インカム狙いよりも、業績の底打ちから回復局面に入った場合の評価修正や中長期の株価上昇を狙うタイプの銘柄であり、配当利回りを重視する投資家にとっては優先度が低いと判断される。
今後の値動き予想!!(5年間)
山洋電気株式会社の現在値4,265.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は通信機器向け電源を起点に発展し、現在は通信機器用冷却ファン、設備・工作機械向けサーボモーター、UPSなどを柱とする産業用部品メーカーである。データセンター、半導体製造装置、通信インフラといった分野に深く関わる一方、足元では業績が一度ピークアウトし、回復局面に向かう途中段階にある点が特徴といえる。
良い場合は、データセンター投資や通信インフラ更新、半導体装置向け需要が再び活発化し、2026.3期以降の業績回復が計画通り進むシナリオである。営業利益率は再び9〜10%台に戻り、純利益は80億円〜100億円規模を安定的に確保、EPSは250円前後で推移する。この場合、市場からは「高付加価値な産業部品メーカー」としての評価が回復し、PERは高値平均に近い12〜13倍が許容されやすい。EPS250円×PER13倍を前提にすると、5年後の株価は6,500円〜7,500円程度まで上昇する展開が想定される。
中間のケースでは、需要環境は底打ちするものの、成長力は限定的で、業績は緩やかな回復にとどまる。営業利益率は8%前後、純利益は60億円〜80億円規模、EPSは180円〜220円程度で安定する。この場合、市場評価はPER9〜11倍程度に落ち着きやすく、株価は4,000円〜5,500円程度のレンジ内での推移が中心となる。値上がり益は限定的で、業績の安定度を確認しながらの横ばい推移が続きやすい。
悪い場合は、通信・半導体関連の設備投資回復が遅れ、価格競争やコスト上昇も重なって収益改善が進まないシナリオである。営業利益率は7%を下回り、純利益は50億円前後、EPSは150円前後にとどまる。この場合、市場は成長期待を引き下げ、PERは安値平均に近い7〜8倍まで低下する可能性がある。EPS150円×PER7倍を前提にすると、株価は2,800円〜3,300円程度まで調整する展開も想定される。
総合すると、山洋電気の株価は現在値4,265.0円において、業績調整を経た「回復待ち」の評価水準にある。今後5年間は高配当を享受しながら保有する銘柄というよりも、通信・半導体関連需要の回復によって業績が立ち直るかを見極めつつ、中長期での評価修正を狙うスタンスに適した銘柄と位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月26日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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