株価
PHCホールディングスとは

PHCホールディングス株式会社は、医療機器、ヘルスケアIT、ライフサイエンス分野を中核とするグローバルヘルスケア企業である。糖尿病関連製品、臨床検査、医療情報システムに強みを持ち、前身はパナソニックヘルスケア事業である。2014年に投資ファンド傘下に入り、パナソニックグループから独立した後は、M&Aを通じて事業領域を拡大してきた。
同社は、日本の大手医療機器メーカーの一角を占める存在であり、世界市場全体ではニッチな分野も多いものの、特定領域で高い競争力を持つ点が特徴である。糖尿病マネジメント分野では、血糖自己測定器やセンサなどの体外診断機器を中心に展開しており、患者向けの小型血糖値測定器とセンサをいち早く開発した実績を持つ。慢性疾患管理という継続需要を背景に、消耗品ビジネスの比率が高い構造となっている。
ヘルスケアソリューション分野では、医療機関や診療所、薬局向けのITシステムを展開している。電子カルテ、医事会計システム、電子薬歴システムなどを手掛け、医療現場の業務効率化やデータ管理を支える事業を構築している。また、臨床検査事業もこの領域に含まれ、日本国内で唯一、世界アンチ・ドーピング機構公認のドーピング検査を提供している点が特徴である。
診断・ライフサイエンス分野では、研究機関や医療機関向けの保存機器、培養機器、病理診断機器などを展開している。特に超低温フリーザは世界シェア2位、国内シェア1位を誇り、2020年以降のコロナ禍ではワクチン保管用途として需要が拡大した。CO2インキュベータなどの培養機器や再生医療関連機器、実験環境機器なども含め、研究・医療支援用途に幅広く対応している。
沿革を見ると、同社の源流は四国に拠点を置く松下寿電子工業にあり、パナソニックグループの医療・業務用機器事業として発展してきた。その後、三洋電機グループの業務用冷蔵庫部門も承継し、冷却・保存技術を強化している。2014年にパナソニックグループを離脱して以降は、海外企業の買収などを通じて事業規模と領域を拡大し、2018年にPHCホールディングスへ商号変更した。2021年に東証一部へ上場し、2022年にプライム市場へ移行している。
拠点は東京都千代田区の本社を中心に、首都圏・大阪に営業拠点を持つほか、愛媛、徳島、群馬に製造・開発拠点を構えている。国内基盤を維持しつつ、北米、欧州、アジアにも事業展開しており、海外売上比率が高い点も特徴である。
全体としてPHCホールディングスは、糖尿病管理、医療IT、研究・検査機器といった医療分野の中でも専門性の高い領域に事業を集中させ、機器販売に加えて消耗品やサービスを組み合わせた事業構造を構築している。構造的な医療需要を背景に、医療機関・研究機関向けに幅広い製品とソリューションを提供するヘルスケア企業として位置づけられる。
PHCホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ◇21.3 | 306,071 | 17,599 | 22,788 | 16,906 | 149.1 | 0 |
| ◇22.3 | 340,452 | 8,174 | 3,002 | -8,460 | -70.8 | 38 |
| ◇23.3 | 356,434 | 20,000 | 179 | -3,222 | -25.8 | 72 |
| ◇24.3 | 353,900 | 1,566 | -13,249 | -12,893 | -102.5 | 54 |
| ◇25.3 | 361,593 | 22,580 | 18,823 | 10,485 | 83.1 | 42 |
| ◇26.3予 | 363,100 | 20,000 | 8,000 | 4,400 | 34.8 | 42 |
| ◇27.3予 | 365,000 | 23,000 | 17,500 | 9,600 | 75.9 | 42 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| ◇23.3 | 21,376 | -17,520 | -40,832 |
| ◇24.3 | 41,304 | -21,072 | -39,139 |
| ◇25.3 | 41,941 | -8,473 | -39,068 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.6% | -2.4% | -0.6% | – | – |
| 2024 | 0.4% | -9.3% | -2.3% | – | – |
| 2025 | 6.2% | 7.4% | 1.9% | 15.0倍(高値平均)/10.9倍(安値平均) | 0.95倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
連24.3期は売上高が3,539億円と高水準を維持している一方で、営業利益は15億円にとどまり、経常利益は-132億円、純利益は-128億円と大きな赤字になっている。売上規模自体は大きく落ちていないものの、利益面では一時的に大きく悪化した年度であることが数値から分かる。
これに対して連25.3期は、売上高が3,615億円とほぼ横ばいで推移する中、営業利益は225億円、経常利益は188億円、純利益は104億円と急回復している。売上の増加よりも利益の回復幅が大きく、採算面が大きく改善した年度となっている。ただし、直前の大幅赤字からの反動という側面もあり、利益水準の安定性という点ではまだ評価が分かれる局面にある。
連26.3期予想では、売上高は3,631億円と微増が見込まれているが、営業利益は200億円、経常利益は80億円、純利益は44億円と、25.3期からは減益となる前提になっている。黒字は維持するものの、利益のピークは25.3期で、その後は一段落する想定であることが読み取れる。
収益性指標を見ると、営業利益率は2023年が5.6%、2024年が0.4%、2025年が6.2%と推移している。2024年に大きく低下した後、2025年に再び改善しており、直近3年は安定した上昇ではなく、大きな振れを伴う動きになっている。ROEも2023年が-2.4%、2024年が-9.3%、2025年が7.4%と、赤字期を経てプラスに転じている。ROAも同様に、-0.6%、-2.3%、1.9%と推移しており、資本効率・資産効率ともに2025年にようやく回復した形になっている。
バリュエーション指標では、2025年実績ベースでPERは高値平均が15.0倍、安値平均が10.9倍となっている。PBRは0.9倍と1倍を下回っており、純資産に対して株価は割高な水準ではない。利益が回復した局面を前提にすると、PERは1桁後半から10倍台前半ではなく、10倍台前半から中盤のレンジで評価されていることになる。
これらの数値を並べて見ると、売上高は3,500億円台で安定している一方、利益は24.3期に大きく落ち込み、25.3期に急回復し、26.3期は減益予想と、短期間で大きく変動している。営業利益率、ROE、ROAも同様に、安定的な改善というよりは、悪化と回復を繰り返す推移になっている。
数値だけから判断すると、現在は業績が完全に安定した段階ではなく、大きな調整を経て回復途上にある局面と整理できる。PBRが1倍を下回っている一方で、PERは回復後利益を前提にすると10倍台で推移しており、強い成長を織り込んだ水準でも、極端に割り切られた水準でもない。全体としては、業績の振れが大きい企業であり、25.3期の利益水準が今後も続くのか、それとも一時的な回復にとどまるのかが、数値面から見た最大の分岐点になっている。
配当目的とかどうなの?
一株当たり配当は、◇25.3で42円、◇26.3予・◇27.3予ともに42円と据え置きの前提になっている。直近では配当水準を大きく引き上げる動きはなく、一定額を維持する形になっている。予想配当利回りは◇26.3、◇27.3ともに3.77%とされており、数値上は市場平均よりやや高めの水準に入っている。高配当株と呼ばれる4%超には届かないが、インカム目的として意識されやすいレンジにはある。
利益との関係を見ると、◇25.3は純利益104億円に対して配当42円、◇26.3予は純利益44億円、◇27.3予も同水準の配当が前提となっている。利益は25.3期をピークに減少する想定であり、配当は増配ではなく維持を優先する形になっている。利益水準に対する余裕は25.3期ほど大きくはなく、業績がさらに下振れした場合には配当余力が縮小する可能性は数値上残る。
キャッシュフローを見ると、営業CFは23.3から25.3にかけて213億円、413億円、419億円と高水準で推移している。一方で財務CFは3年連続で大きなマイナスとなっており、借入返済や株主還元などによる資金流出が続いている構造が読み取れる。配当は営業CFで賄える水準にあるが、フリーCF全体では余裕が大きいとは言い切れない。
総合すると、配当利回り3.77%という数字だけを見ると配当目的として一定の魅力はある。一方で、利益は直近で大きく振れており、26.3期以降は減益予想となっているため、配当成長を期待するタイプではない。数値上は「高配当を取りに行く銘柄」というより、「業績回復を前提に、当面は3%台後半の配当を受け取る位置づけ」の銘柄と整理できる。配当の安定性よりも、利益の振れをどこまで許容できるかが、配当目的で見る際の判断軸になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
PHCホールディングスの現在値1,112.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は糖尿病関連製品、医療IT、臨床検査・ライフサイエンス機器を柱とするヘルスケア企業であり、前身はパナソニックヘルスケア事業である。医療機関・研究機関向けという構造的需要を背景に事業を展開している一方、足元では業績の振れが大きく、24.3期の大幅赤字から25.3期に急回復した直後という、まだ安定性を確認している途中段階にある点が特徴といえる。
良い場合は、25.3期で回復した利益水準が一過性に終わらず、26.3期以降も黒字基調が定着するシナリオである。糖尿病マネジメント分野の消耗品収益が安定的に積み上がり、医療ITや超低温フリーザを中心としたライフサイエンス分野も底堅く推移する。営業利益率は6%前後で安定し、純利益は80億円〜100億円規模、EPSは70円〜90円程度で推移する。この場合、市場からは「業績変動を経て回復が定着した医療機器メーカー」として評価され、PERは高値平均に近い13〜15倍が許容されやすい。EPS80円×PER14倍を前提にすると、5年後の株価は1,900円〜2,400円程度まで上昇する展開が想定される。
中間のケースでは、業績は回復後に安定するものの、成長力は限定的にとどまる。営業利益率は5%前後、純利益は40億円〜70億円規模、EPSは35円〜60円程度で横ばい推移となる。医療分野の安定需要はあるが、大きな利益拡大には至らない。この場合、市場評価はPER10〜12倍程度に落ち着きやすく、株価は900円〜1,400円程度のレンジ内で推移する。5年後の水準は1,100円〜1,300円前後が中心となり、値動きよりも配当を受け取りながら保有する形になりやすい。
悪い場合は、25.3期の黒字回復が一時的に終わり、26.3期予想通りの減益後も利益水準が戻らないシナリオである。医療ITや検査関連の収益性が改善せず、営業利益率は3%台まで低下する。純利益は20億円〜30億円程度、EPSは20円前後にとどまり、業績の不安定さが再び意識される。この場合、市場は成長期待を引き下げ、PERは安値平均に近い7〜9倍まで低下する可能性がある。EPS20円×PER8倍を前提にすると、株価は600円〜800円程度まで調整する展開も想定される。
総合すると、PHCホールディングスの株価は現在値1,112.0円において、業績が大きく振れた後の「回復が本物かどうか」を見極める段階の評価水準にある。今後5年間は高成長を前提に持つ銘柄というより、医療分野の安定需要を土台に、利益回復がどこまで持続するかによって評価が上下する銘柄であり、中長期では回復定着時の評価修正を狙うスタンスが中心となる。
この記事の最終更新日:2026年1月27日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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