株価
ニデックとは

ニデック株式会社は、京都府京都市南区に本社を置く世界有数のモーターメーカーであり、旧社名は日本電産株式会社である。1973年に永守重信氏によって創業され、精密小型モーター分野を起点に成長してきた企業で、現在では精密小型から中型・大型、産業用、車載用まで幅広いモーターを手がける総合モーターメーカーとなっている。東京証券取引所プライム市場に上場しており、2023年時点でモーター業界の世界シェアは約13.9%と、世界最大級の規模を誇る。
ニデックの最大の強みは、精密小型モーター分野で長年にわたり世界首位のシェアを維持してきた点にある。ハードディスクドライブ向けモーターなどで圧倒的な存在感を示してきたが、近年はHDD市場の成熟を背景に、事業ポートフォリオを大きく転換しつつある。現在は中型・大型モーター、産業機械、工作機械、そしてEVを中心とした車載用製品を新たな成長の柱として育成している。
事業内容は、精密小型モーター、車載用モーターおよび関連システム、家電・商業用モーター、産業用モーター、モータードライブ、減速機、工作機械、検査装置、電子・光学部品など多岐にわたる。単体のモーター供給にとどまらず、制御装置やユニット、システムとしての提供まで事業領域を拡大しており、「回るもの・動くもの」全般を事業対象とする企業へと進化している。特にEV向けでは、駆動用モーターやEアクスルといった車両の中核部品への取り組みを強化している。
ニデックの成長を特徴づけるのが、積極的かつ戦略的なM&Aである。1980年代以降、米国、欧州、中国などで多数の企業・事業を買収し、事業領域と技術基盤を拡大してきた。自動車用モーター、産業用モーター、家電用モーター、コンプレッサ、工作機械といった分野を次々と取り込み、現在では連結子会社は300社を超える巨大グループを形成している。M&Aは単なる規模拡大ではなく、技術獲得や事業ポートフォリオの多角化を目的として行われてきた点が特徴である。
経営面では、創業者・永守重信氏の強烈なリーダーシップと独自の人事思想が知られている。学歴や年齢を重視しない実力主義の評価制度を採用し、成果を出した人材を積極的に登用する文化を持つ。リーマン・ショック時には雇用維持を最優先し、賃金カット分を後に利息付きで補填するなど、経営判断においても独自性が強い。
研究開発拠点は京都・神奈川・滋賀・けいはんな地域など国内各地に展開されており、基礎技術から応用技術、量産技術までを内製でカバーする体制を整えている。生産・販売拠点は世界各国に広がり、グローバル展開を前提とした事業運営が行われている。
全体としてニデックは、精密小型モーターで築いた圧倒的な技術と量産力を基盤に、EV・産業機器・中大型モーター分野へと事業の重心を移しつつある企業である。M&Aを駆使した事業拡張と、車載・産業向けを中核とする成長戦略により、「モーターの世界的総合メーカー」としての地位をさらに強化しようとしている点が、現在のニデックの事業構造と方向性を特徴づけている。
ニデック 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 税前利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 20.3 | 1,534,800 | 110,326 | 106,927 | 60,084 | 51.1 | 28.8 |
| 21.3 | 1,618,064 | 160,011 | 152,978 | 121,977 | 104.1 | 30 |
| 22.3 | 1,918,174 | 171,487 | 171,145 | 136,870 | 117.2 | 32.5 |
| 23.3 | 2,242,824 | 100,081 | 120,593 | 45,003 | 39.1 | 35 |
| 24.3 | 2,347,159 | 162,799 | 202,612 | 125,144 | 108.9 | 37.5 |
| 25.3 | 2,607,813 | 238,116 | 233,309 | 164,365 | 143.1 | 40 |
| 26.3予 | 2,650,000 | 100,000 | 110,000 | 80,000 | 69.8 | 0 |
| 27.3予 | 2,750,000 | 200,000 | 210,000 | 160,000 | 139.6 | 0〜40 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 143,485 | -164,943 | -19,238 |
| 2024 | 320,766 | -153,553 | -181,557 |
| 2025 | 284,428 | -147,255 | -80,193 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 4.4 | 3.3 | 1.5 | – | – |
| 2024 | 6.9 | 7.6 | 3.9 | – | – |
| 2025 | 9.1 | 9.5 | 4.9 | 40.2〜65.8 | 1.43 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上高は24.3期に2兆3,471億、25.3期に2兆6,078億と大きく拡大しており、事業規模は着実に拡大している。26.3期も2兆6,500億と増収予想になっており、トップライン自体は高水準を維持する前提となっている。
一方で利益の振れは大きい。営業利益は24.3期が1,627億、25.3期が2,381億と大幅に増加した後、26.3期予想では1,000億まで減少する見通しとなっている。税前利益も24.3期2,026億、25.3期2,333億から、26.3期予想では1,100億へと大きく減少する。純利益も同様に24.3期1,251億、25.3期1,643億から、26.3期予想では800億へと減益が見込まれている。
営業利益率は2023年4.4%、2024年6.9%、2025年9.1%と3年間で着実に改善しており、収益構造は明確に良化していることが読み取れる。ただし、利益率が改善してきたとはいえ、製造業全体で見ると依然として高水準とまでは言い切れない水準にある。
ROEは2023年3.3%、2024年7.6%、2025年9.5%と改善傾向にあるものの、10%未満にとどまっている。ROAも2023年1.5%、2024年3.9%、2025年4.9%と上昇しているが、水準自体は中低位であり、資本効率・資産効率はまだ発展途上の段階にあることが分かる。
バリュエーション面では、2025年の実績PERは高値平均65.8倍、安値平均40.2倍と非常に高い水準にある。一方でPBRは1.4倍程度にとどまっており、資本効率がまだ十分に高まっていないことを反映した評価とも言える。このPERとPBRの組み合わせは、足元の収益力よりも将来の利益成長や事業構造転換を強く織り込んだ株価水準であることを示している。
これらの数値だけを見ると、ニデックは売上規模を拡大しながら営業利益率やROE、ROAを改善させている途中段階にある一方、26.3期は大幅な減益予想となっており、業績の振れが大きい企業であることが前提となる。株価評価はPERベースで非常に高く、将来の収益性改善が順調に進むことが前提条件となっているため、短期的な業績の下振れには株価が敏感に反応しやすい局面にあると整理できる。
配当目的とかどうなの?
提示されている数値だけを見ると、配当目的という観点では明確に不向きと整理できる。26.3期、27.3期ともに予想配当利回りは0.00%となっており、少なくとも向こう2年間は無配を前提とした計画になっている。過去には配当を実施していたものの、現時点では配当を株主還元の中心に置いていない姿勢が数字から読み取れる。
営業キャッシュフロー自体は大きく、事業規模も拡大しているが、26.3期は営業利益・税前利益・純利益が大幅減益予想となっており、利益の変動幅が大きい。こうした状況下では、配当よりも事業投資や財務バランスの調整を優先する判断がなされていると考えられる。
また、ROEやROAは改善傾向にはあるものの、依然として10%未満の水準にとどまっており、安定的に高水準の利益を生み出して配当を継続する段階には達していない。PERは非常に高水準で推移している一方、インカムゲインは期待できない構造になっている。
以上を踏まえると、ニデックは配当を目的としたインカム投資の対象としては適さず、投資する場合は配当ではなく、将来の利益回復や事業構造転換が進んだ際の株価変動を狙うキャピタルゲイン前提の銘柄と位置づけられる。配当重視の投資スタイルにとっては、現時点では選択肢から外れる銘柄、という整理になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
ニデックの現在値2,206円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社はモーター分野で世界最大級のメーカーであり、精密小型モーターで築いた圧倒的なシェアを基盤に、現在は中大型・産業用モーターやEV向け車載用モーターへと事業の軸足を移している。M&Aを通じて事業領域を拡大してきた一方、利益の振れが大きく、株価は将来の構造転換を強く織り込んだ水準にある点が前提条件となる。
良い場合は、EV向け車載事業が想定どおり立ち上がり、駆動用モーターや関連システムが安定的に収益貢献するシナリオである。加えて、産業用・中大型モーターや工作機械事業も堅調に推移し、売上規模は3兆円近辺まで拡大する。営業利益率は10%前後まで改善し、純利益も安定して増加する。ROEは10%台に乗り、収益性改善が市場に評価される。この場合、成長企業としての評価が維持され、PERは25〜30倍程度が許容される。1株益140〜160円前後×PER25〜30倍を前提にすると、5年後の株価は3,500円〜4,800円程度まで上昇する展開が想定される。
中間のケースでは、EV向けは成長するものの、価格競争や初期投資負担が重く、全体の利益改善は緩やかにとどまるシナリオである。売上は拡大するが、営業利益率は8〜9%程度で推移し、純利益も年によって振れを伴う。市場評価は徐々に落ち着き、PERは18〜22倍程度に収れんする。この場合、1株益120〜140円前後×PER18〜22倍を前提にすると、5年後の株価は2,200円〜3,000円程度となり、現在値近辺での横ばいから緩やかな値動きが想定される。
悪い場合は、EV市場の成長が想定より鈍化し、車載事業の採算改善が進まないシナリオである。加えて、産業用分野の景気後退が重なり、利益水準が大きく低下する。営業利益率は6%前後にとどまり、ROEも再び一桁台前半に低下する。この場合、成長期待が後退し、市場評価は成熟製造業水準へと切り下がる。PERは12〜15倍程度まで低下する可能性があり、1株益90〜110円前後×PER12〜15倍を前提にすると、5年後の株価は1,200円〜1,800円程度まで下落する展開も想定される。
総合すると、ニデックの株価は現在値2,206円において、EV向けを中心とした事業構造転換の成功を一定程度織り込んだ水準にある。今後5年間の値動きは、車載事業がどこまで収益の柱として定着するかによって大きく分かれやすく、高い成長期待と業績変動リスクを併せ持つ銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月1日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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