株価
ユー・エム・シー・エレクトロニクスとは

ユー・エム・シー・エレクトロニクスは、電子機器をメーカーから受託して製造・組立・開発までを担うEMSを主力事業とする企業であり、特に車載向け電子機器を中心とした事業構成を持っている。電子回路基板の実装を核に、部品調達、加工組立、検査、完成品製造までを一貫して請け負うビジネスモデルを採用しており、品質・信頼性が強く求められる分野を主戦場としている点が特徴である。
同社の起源は神奈川県川崎市でのクリスマス電球の色付け・製造組立にさかのぼり、その後、電卓のOEM供給などを経て電子機器の受託製造へと事業領域を広げてきた。2000年に内山茂樹氏が社長に就任して以降、中国を皮切りにベトナム、タイへと海外生産拠点を拡大し、グローバルEMS企業としての体制を構築した。この海外展開はコスト競争力の強化と量産対応力の拡充につながり、同社の成長を支える重要な要素となっている。
事業面では、自動車関連との結びつきが強く、2013年の豊田自動織機、2015年のNOKとの資本提携を通じて車載分野の比重を高めてきた。車載向けでは、走る・曲がる・止まるといった安全性に直結する重要保安部品に関わる電子機器を多く手がけており、高い品質水準と長期供給能力が求められる案件を主力としている。こうした分野は参入障壁が高く、一度量産に入ると比較的安定した生産が続く特徴を持つ。
一方で、OA機器分野ではメインボードや周辺機器などの電子基板を幅広く量産しており、産業機器分野では半導体試験装置、ロボット関連機器、データセンター向けサーバーやストレージ機器などの製造・組立・検査まで対応している。近年はITプロダクツ分野でも日立製作所と協業し、サーバー・ストレージ・ネットワーク機器といった高付加価値領域でのものづくりを強化してきた。また、電動化の流れを背景に、電動自動車向けインバータ機器への注力も進めている。
経営面では、2016年に東証1部へ上場したものの、その後業績悪化などを背景に2019年に特設注意市場銘柄に指定された。2021年には事業再生ADRが成立し、豊田自動織機、アイシン、ネクスティ エレクトロニクスといったトヨタグループ3社による第三者割当増資が実行され、同グループの出資比率は過半数に達した。これにより財務基盤と事業基盤の立て直しが進み、2022年末に事業再生ADRは終了している。
拠点は、国内では埼玉、宮崎、佐賀に製造拠点を持ち、海外では中国、ベトナム、タイ、メキシコに生産拠点を展開している。販売・営業拠点も国内外に配置され、日本のものづくり品質をグローバルに展開する体制を整えている。連結子会社には、旧日立情報通信マニュファクチャリングを引き継ぐUMC・Hエレクトロニクスなどが含まれる。
総合すると、ユー・エム・シー・エレクトロニクスは、車載向けを中心に高い信頼性が求められる電子機器分野に強みを持つEMS企業であり、再生局面を経てトヨタグループとの関係を軸に事業の安定化と再成長を目指す段階にある企業と整理できる。
ユー・エム・シー・エレクトロニクス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 136,179 | 857 | 1,117 | -97 | -5.0 | 0 |
| 連22.3 | 134,550 | 1,498 | 2,093 | 1,570 | 55.6 | 0 |
| 連23.3 | 161,706 | 2,222 | 1,179 | 637 | 22.5 | 0 |
| 連24.3 | 131,289 | 2,043 | 1,233 | 1,021 | 36.1 | 10 |
| 連25.3 | 131,938 | 2,149 | 1,646 | -2,508 | -90.5 | 10 |
| 連26.3予 | 115,000 | 1,800 | 1,500 | 1,000 | 35.5 | 10 |
| 連27.3予 | 125,000 | 2,000 | 1,700 | 1,100 | 39.1 | 10〜12 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 362 | -8,761 | 10,143 |
| 2024 | 8,660 | -4,744 | -3,454 |
| 2025 | 10,352 | -3,652 | -5,567 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 1.3 | 3.5 | 0.7 | – | – |
| 2024 | 1.5 | 5.1 | 1.2 | – | – |
| 2025 | 1.6 | -16.5 | -3.5 | 12.7〜20.7 | 0.97 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上高は24.3期が1,312億、25.3期が1,319億とほぼ横ばいで推移しており、26.3期は1,150億と減収予想になっている。トップラインは拡大局面にはなく、事業規模は縮小と横ばいの間で推移している状況にある。
営業利益は24.3期が20億、25.3期が21億と微増したものの、26.3期予想では18億と減少する見通しとなっている。営業利益率は2023年1.3%、2024年1.5%、2025年1.6%と緩やかに改善しているが、水準そのものは1%台にとどまっており、収益力は依然として低い。コスト構造の改善は見られるものの、利益率が大きく跳ね上がる段階には至っていない。
経常利益は24.3期が12億、25.3期が16億と増加したが、26.3期予想では15億とやや減少する。純利益については24.3期が10億の黒字であった一方、25.3期は25億の赤字に転落しており、利益の安定性に課題があることが数字から読み取れる。26.3期は10億の黒字回復予想となっているが、振れ幅は大きい。
ROEは2023年3.5%、2024年5.1%と改善した後、2025年は-16.5%まで急低下している。ROAも2023年0.7%、2024年1.2%から2025年は-3.5%となっており、25.3期の赤字が資本効率・資産効率を大きく押し下げたことが分かる。全体として、安定的に資本を利益に変換できているとは言い難い。
バリュエーション面では、2025年の実績PERは安値平均12.7倍から高値平均20.7倍のレンジにあり、利益水準の不安定さを考慮すると特別に割安とは言い切れない。PBRは0.9倍台と1倍を下回っており、資産価値面では低めの評価を受けていることが分かる。
これらの数値だけで判断すると、ユー・エム・シー・エレクトロニクスは、営業利益率が低水準にとどまり、純利益やROE・ROAの変動が大きい企業である。事業再生を経て黒字基調には戻りつつあるものの、収益力と安定性はまだ十分とは言えず、株価評価も「安定成長を前提としたもの」ではない。現状では、業績の回復・安定がどこまで継続するかを慎重に見極める局面にある銘柄と整理できる。
配当目的とかどうなの?
配当目的としては条件付きで可だが、安定型の配当銘柄とは言いにくいという整理になる。26.3期、27.3期ともに予想配当利回りは2.92%と、日本株全体で見れば平均よりやや高めの水準にある。無配の期間を経て現在は年間10円程度の配当を継続する前提になっており、インカムが全く期待できない銘柄ではない。
一方で、業績の安定性には課題が残る。25.3期は純利益が25億円の赤字となっており、ROEは-16.5%、ROAも-3.5%まで悪化している。26.3期は純利益10億円の黒字回復予想となっているが、利益水準は大きいとは言えず、配当額に対する余裕は十分とは言えない。営業利益率も1%台にとどまっており、事業構造として薄利である点は依然として変わっていない。
過去数年の配当推移を見ても、増配を積極的に狙える段階というより、業績次第で維持できるかどうかという局面にある。仮に業績が再び悪化すれば、減配や無配に戻る可能性も現実的に残っている。PBRは1倍を下回っており資産面では割安感があるが、これは安定した配当銘柄として評価されているわけではないことの裏返しとも読み取れる。
以上を踏まえると、ユー・エム・シー・エレクトロニクスは高配当を長期で積み上げるインカム重視の銘柄というより、業績回復局面で配当も付いてくる可能性がある回復途上型の銘柄と位置づけられる。配当を主目的に安定収入を狙う投資スタイルには向きにくく、投資する場合は配当はあくまで付加的な要素であり、業績が崩れた場合には利回り前提が簡単に崩れる点を織り込んでおく必要がある。
今後の値動き予想!!(5年間)
ユー・エム・シー・エレクトロニクスの現在値342円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は電子機器を受託製造するEMS企業であり、車載向け電子機器を中心に事業を展開している。事業再生ADRを経て財務面の立て直しは一段落しているが、営業利益率は1%台と低く、薄利構造である点が株価を考える上での前提条件となる。
良い場合は、車載向けEMSの受注が安定的に積み上がり、電動化関連のインバータや制御系基板の案件が拡大するシナリオである。売上高は緩やかに増加し、コスト管理の進展によって営業利益率は2%台まで改善する。純利益は毎期安定して黒字を確保できるようになり、ROEも一桁後半まで回復する。この場合、市場は再生完了後の安定企業として評価を見直し、PERは15〜18倍程度が許容される。1株益35〜40円前後×PER15〜18倍を前提にすると、5年後の株価は550円〜750円程度まで上昇する展開が想定される。
中間のケースでは、車載向けの受注は一定水準を維持するものの、価格競争や人件費・材料費の上昇が重く、利益改善は緩やかにとどまるシナリオである。売上高は横ばいから微増、営業利益率は1%台後半で推移し、純利益も年によって振れを伴う。市場評価は低位で落ち着き、PERは10〜13倍程度に収れんする。この場合、1株益30〜35円前後×PER10〜13倍を前提にすると、5年後の株価は300円〜450円程度となり、現在値近辺でのレンジ推移が想定される。
悪い場合は、車載向けの受注減少や顧客からの価格引き下げ圧力が強まり、利益確保が難しくなるシナリオである。営業利益率は1%を下回り、再び赤字期が発生する可能性もある。この場合、市場は再成長期待を大きく後退させ、評価は資産価値や解散価値に近い水準まで切り下がる。PERは算定困難、もしくはPBRベースでの評価となり、株価は200円前後、状況次第では150円〜250円程度まで下落する展開も想定される。
総合すると、ユー・エム・シー・エレクトロニクスの株価は現在値342円において、事業再生後の回復期待と薄利構造による不安定さが拮抗した水準にある。今後5年間の値動きは、車載向けEMSで安定した黒字を継続できるかどうかに大きく左右されやすく、上振れ余地はあるものの下振れリスクも同時に抱える銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月1日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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