株価
アンリツとは

アンリツ株式会社は神奈川県厚木市に本社を置く電子計測機器メーカーで、1895年創業の通信計測分野の老舗企業である。東証プライム市場に上場し、携帯電話や基地局、通信ネットワークの品質を測定する計測器で世界的なシェアを持つ。もともとは通信インフラ向け機器メーカーとして発展し、通信規格の進化に合わせて事業領域を拡大してきた。売上の多くを海外が占める外需型企業であり、通信キャリアや通信機器メーカーの設備投資の周期に業績が影響を受けやすい特徴を持つ。
主力の計測器事業では、モバイル通信端末、無線LAN、光通信、IPネットワークの開発・製造・保守に不可欠な各種測定装置を提供している。ワイヤレス計測、光計測、IPネットワーク計測、サービスアシュアランスを中核に、通信端末メーカー、半導体メーカー、通信キャリア向けのテストソリューションを展開する。
スペクトラムアナライザ、ベクトル信号アナライザ、ネットワークアナライザ、ビット誤り率試験器、シグナリングテスタなどの製品は、通信規格の研究開発段階から量産段階まで使用される。5Gや次世代通信規格の立ち上げ期には研究開発需要が増加し、普及期には量産評価や保守用途の需要が増える一方、投資一巡後は需要が落ち着く循環型ビジネスとなっている。
通信インフラの保守分野では光ファイバ敷設・保守向けフィールド測定器やネットワーク品質解析装置などを展開し、通信品質の維持や障害解析を支援する。映像・音声パケットの帯域制御装置など、通信サービス品質を向上させる機器も扱っており、通信ネットワーク全体の性能評価領域までカバーしている。
産業機械分野では食品工場向け検査装置を中心に展開している。X線異物検出機、金属検出機、重量選別機、アレルゲン自動検査装置などを提供し、食品製造ラインの品質管理用途で使用されるため通信分野に比べ景気変動の影響が小さい安定収益分野となっている。このほかガス検知器や防爆無線機、電子基板のはんだ印刷検査装置なども取り扱う。
グループでは計測器の校正・保守、製造、光デバイス、不動産などの関連事業も展開しており、販売だけでなくアフターサービス収益も一定割合を占める。研究開発比率が高く技術主導型の企業で、通信規格の世代交代時には需要が拡大しやすい一方、投資が一巡すると業績が落ち着きやすい周期性を持つ。通信計測の成長性と食品検査装置の安定性を組み合わせた事業構成により、景気敏感とディフェンシブの中間的な性格を持つ企業となっている。
アンリツ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 税前利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 105,939 | 19,651 | 19,838 | 16,105 | 117.2 | 40 |
| 22.3 | 105,387 | 16,499 | 17,150 | 12,796 | 94.0 | 40 |
| 23.3 | 110,919 | 11,746 | 12,438 | 9,272 | 70.0 | 40 |
| 24.3 | 109,952 | 8,983 | 9,951 | 7,675 | 58.3 | 40 |
| 25.3 | 112,979 | 12,124 | 12,737 | 9,257 | 70.4 | 40 |
| 26.3予 | 125,000 | 15,000 | 15,000 | 11,000 | 85.9 | 40 |
| 27.3予 | 130,000 | 17,000 | 17,000 | 12,000 | 93.8 | 40〜43 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 6,114 | -5,216 | -11,409 |
| 2024 | 16,573 | -3,643 | -6,578 |
| 2025 | 21,071 | -3,916 | -12,257 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 10.5% | 6.0% | 7.9% | – | – |
| 2024 | 8.1% | 4.7% | 6.1% | – | – |
| 2025 | 10.7% | 5.7% | 7.4% | 15.6〜23.1 | 2.40 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上は2024年1,099億円から2025年1,129億円、2026年予想1,250億円へ増収見込みとなっている。営業利益は89億円から121億円、150億円予想へ回復基調にあり、2024年に落ち込んだ後に回復している流れが確認できる。純利益も76億円から92億円、110億円予想へ増益となっており、利益は持ち直し局面にある。
営業利益率は10.5%から8.1%へ低下した後10.7%へ回復しており、収益性は一定ではなく上下動を伴う推移になっている。ROEは7.9%から6.1%、7.4%、ROAは6.0%から4.7%、5.7%で推移しており、資本効率は高収益企業の水準には届かず中位圏に留まる。利益率と資本効率の変動から、安定成長型というより設備投資サイクルの影響を受けやすい収益構造が読み取れる。
評価面では実績PERは15.6倍から23.1倍のレンジ、PBR2.4倍であり、収益性の割に評価倍率はやや高めの位置にある。ROE7%台の企業としては低評価帯ではなく、将来の回復を前提とした価格帯に近い。つまり現状は業績の底打ち回復を織り込む段階の評価と整理できる。
以上の数値だけから整理すると、利益は回復過程にあるが収益性そのものは高くなく、株価は割安株ではなく回復期待株として扱われやすい状態にある。業績が拡大すれば評価は維持されるが、回復が鈍化した場合は倍率調整を受けやすく、株価は業績変動に連動しやすいタイプの銘柄と読み取れる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは2026年1.66%、2027年1.66%であり、日本株の中では低配当水準に位置する。インカム収入を目的とした保有では物足りない水準で、配当を主軸に銘柄を選ぶ投資スタイルとは相性がよくない。
利益面を見ると営業利益率は10%前後で変動し、ROEも6%台から7%台に留まっているため、継続的に増配を行えるほどの資本効率には達していない。配当額も40円前後で安定しており、利益が増えても配当が大きく伸びる構造ではなく、基本は維持型配当の性格が強い。つまり利益の変動は株価に反映されやすいが、配当には反映されにくいタイプの数値となっている。
またPER15.6倍から23.1倍、PBR2.4倍という評価水準は高配当株として買われている価格帯ではなく、通信投資サイクルによる業績回復期待が織り込まれている評価に近い。このため株価の主な変動要因は配当ではなく、通信規格更新や設備投資動向などの業績変化になりやすい。配当利回りが低いため、株価下落時の利回りによる下支え効果も限定的となる。
以上から、配当目的としては適さず、ポートフォリオのインカム補助にもなりにくい水準といえる。配当は安定性を示す指標としては機能するがリターンの中心にはならず、基本的には業績循環に連動した値動きを取りにいくタイプの銘柄と整理できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は2,405.5円で、アンリツは売上1,099億円から1,129億円、1,250億円予想へと回復基調にあり、営業利益も89億円から121億円、150億円予想へ拡大している。営業利益率は8.1%から10.7%へ戻り、ROEも6.1%から7.4%へ改善しているため、通信投資の谷を抜けて業績が持ち直している局面にある。
ただし収益性は依然として高い水準ではなく、安定成長企業というより設備投資サイクルに連動する循環企業の性格が強い。一方でPERは15.6倍から23.1倍、PBR2.4倍と資本効率に対して評価はやや高めに位置しており、株価は既に一定の回復を織り込んだ価格帯にある。そのため材料で急騰するタイプではなく、通信投資の強弱に応じて段階的に評価が変化する値動きになりやすい。
良い場合は、5G後半投資や次世代通信規格の研究開発需要が拡大し、利益成長が継続するシナリオである。営業利益率が11〜12%台へ上昇しROEが9%前後まで改善すると、成長期待が強まりPER20倍から24倍程度が許容されやすくなる。この場合は業績拡大と評価維持が同時に進み、5年後の株価は3,000円から3,800円程度まで上昇する可能性がある。値動きはテーマ株のような急騰ではなく、通信投資の局面ごとに段階的に切り上がる上昇パターンになりやすい。
中間の場合は、通信投資が一定水準で推移し、売上と利益が横ばい圏で安定するシナリオである。営業利益率は10%前後、ROE7%台に収まり、評価はPER17倍から20倍の範囲に収まる。この場合5年後の株価は2,100円から2,800円程度のレンジで推移しやすく、景気に応じて上下を繰り返すボックス型の長期推移になりやすい。
悪い場合は、通信投資の反動減により利益率が9%前後まで低下しROEも6%台へ低下するシナリオである。回復期待が後退するとPER15倍前後まで縮小し、5年後の株価は1,500円から2,000円程度まで下落する可能性がある。赤字転落の可能性は低いが、循環株特有の緩やかな下落が続きやすい。
総合すると現在値2,405.5円は割安圏ではなく回復を織り込んだ評価帯にある。上昇余地は通信投資の拡大に依存し、急騰よりも周期的な上昇になりやすい一方、投資減速局面では下落もしやすい。株価は短期材料より設備投資サイクルに反応しやすく、長期では上昇と下落を繰り返す波動型の値動きの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月7日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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