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アイコムとは

アイコム株式会社は無線通信機器を専業とするメーカーで、本社は大阪市平野区に所在する。1954年に井上徳造が京都で井上電機製作所として創業し、1978年に現在の社名へ変更された。日本で初めて携帯型アマチュア無線機を開発した企業として知られ、無線機メーカーの草分け的存在と位置付けられる。社名はInoueの「I」とcommunicationの「com」を組み合わせたもの。
事業内容は無線通信機器の開発・製造・販売が中心で、アマチュア無線、陸上業務用無線、海上用無線の3分野が柱となっている。売上の中心は陸上業務用無線で、警備、消防、防災、工場、建設、イベント運営、運輸、レジャー施設など現場の連絡手段として使われるトランシーバーやデジタル無線システムを供給している。
アマチュア無線分野では高性能機種や高価格帯モデルも投入し、愛好家向けブランドとしての地位を確立している。海上分野では船舶用無線機や航法関連機器を扱い、漁業・商船・レジャーボート用途で使用される。
このほか航空用無線機、無線LAN機器、IP通信機器、通話サーバ、モバイルセントレックス関連機器なども手掛けており、近年はデジタル化やネットワーク化に対応した通信システム製品も展開している。ハードウェア単体販売だけでなく、通信システムとしての導入需要にも対応する構成となっている。
地域別売上では海外比率が高く、日本は約3割程度にとどまり、北中南米が約3〜4割、欧州を含むEMEAが約2割弱、アジア・オセアニアが1割強を占める。特に北米と欧州だけで約4割前後となり、グローバル市場依存度の高い企業である。1970年代から海外販売を進めており、アウトドア文化や業務無線需要の強い地域で販売を伸ばしてきた。
収益構造は機器販売が中心の装置販売型だが、業務用無線は更新周期があり一定の買い替え需要が存在するほか、防災用途や安全用途では継続的な需要が発生する特徴を持つ。半導体や設備投資に連動する産業機械メーカーとは異なり、景気敏感度は中程度で、災害対策、公共安全、海上需要、アウトドア市場の動向に影響を受けやすい通信機器メーカーの性格を持つ。
アイコム 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 27,941 | 1,889 | 2,259 | 1,736 | 120.2 | 50 |
| 22.3 | 28,277 | 1,058 | 1,574 | 1,093 | 76.2 | 50 |
| 23.3 | 34,173 | 2,850 | 3,262 | 2,574 | 179.4 | 72 |
| 24.3 | 37,117 | 3,415 | 4,416 | 3,461 | 241.2 | 97 |
| 25.3 | 37,468 | 3,721 | 3,902 | 2,951 | 205.6 | 83 |
| 26.3予 | 36,000 | 2,550 | 3,080 | 1,980 | 138.0 | 60 |
| 27.3予 | 38,000 | 3,700 | 3,900 | 2,900 | 202.1 | 80 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 3,418 | 2,484 | -718 |
| 2024 | 2,208 | -3,675 | -1,124 |
| 2025 | 2,513 | -2,669 | -1,393 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 8.3 | 3.8 | 4.2 | – | – |
| 2024 | 9.2 | 4.7 | 5.2 | – | – |
| 2025 | 9.9 | 3.9 | 4.3 | 11.8~16.2 | 0.65 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上高は371億から374億、来期予想360億とほぼ横ばい圏にあり、拡大トレンドではなく規模が安定している状態にある。2年間は微増だが来期は減収予想であり、需要は強い成長局面というより循環の中にあると読める。
営業利益は34億から37億と一度増加した後、来期は25億まで低下する予想となっている。経常利益は44億から39億、来期30億、純利益は34億から29億、来期19億と段階的な減益見通しで、利益のピークは既に過ぎている前提の数値になっている。特に純利益の減少幅が大きく、利益水準のボラティリティは小さくない構造と読み取れる。
営業利益率は8.3%から9.2%、9.9%と改善してきており、売上が伸びていない中で利益率が改善しているためコスト構造の改善や採算性の向上が起きていたことを示す。ただし来期は利益額が落ちる見込みのため、利益率上昇トレンドが継続するかは不透明な段階に入る。
ROEは4.2%から5.2%、4.3%、ROAは3.8%から4.7%、3.9%と推移しており、資本効率は大きくは変化していない。ROEが5%前後に留まる水準は資本収益性が高い企業ではなく、株価が成長性で評価されるタイプではない数値構成になっている。ROAも4%前後で安定しているため、高収益企業というより安定型の収益構造に近い。
2025年の評価指標ではPERは11.8倍から16.2倍の範囲、PBRは0.6倍となっている。ROE水準とPBRの関係は整合的で、資本収益性が低めの企業に見られる典型的な倍率帯に収まっている。株価は成長期待ではなく利益水準と純資産の範囲内で評価されている状態に近い。
数値の組み合わせから見ると、売上は安定、利益は増益期から減益期に移行、利益率は改善後に横ばい化の可能性、資本効率は中位水準、評価倍率は低PBRかつ中PERのレンジ型になりやすい構造となる。大きな業績拡大で評価が切り上がるタイプではなく、利益水準の上下に応じて株価が評価帯の中で往復しやすい数値バランスと読み取れる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは26.3期1.9%、27.3期2.6%で、一般的な高配当株とされる3〜4%台には届かず中位水準にとどまる。実際に配当額も97円から83円、来期60円へと減少しており、利益の増減に応じて配当が調整されるタイプであることが確認できる。
純利益は34億から29億、来期19億と段階的に減少予想で、減益と同時に減配が起きているため、配当性向を固定する方針ではなく利益連動型の配当設計になっている。来期は一株益138円に対して配当60円となり配当性向は約43%前後、翌期予想は一株益202円に対して80円で約39%前後と、一定範囲に収めている様子が読み取れる。配当を優先するというより、利益の範囲内で無理なく支払う設計に近い。
ROEは4%台、ROAも4%前後にとどまり資本収益性は高くないため、大幅な増配余力が蓄積していくタイプの数値ではない。またPBR0.6倍の評価は資産倍率で評価されている状態で、配当利回りによって株価が下支えされる水準でもない。PERも11.8倍から16.2倍のレンジで推移しており、配当利回りより利益水準の変動の方が株価への影響が大きい構造と考えられる。
総合すると、配当は出しているがインカム重視銘柄ではなく、利回りは平均水準、業績に応じて減配も発生、増配も限定的になりやすい数値構成である。安定した配当収入を主目的に保有するタイプというより、業績循環の中で株価と一緒に受け取る付随的な配当という位置付けに近い性格と読み取れる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は3,065円で、アイコムは売上371億円から374億円、360億円予想と横ばい圏で推移しており拡大局面ではない。一方で営業利益は34億円から37億円へ増加した後、25億円予想と減少見込みとなっており、直線的な成長ではなく需要循環に応じて上下する収益構造になっている。営業利益率は8.3%から9.2%、9.9%と改善してきたが、利益額は低下見通しでピークアウトの可能性がある。ROEは4%台、ROAも4%前後にとどまり、高収益企業というより中位の収益性に位置する。
PERはおおむね11.8倍から16.2倍の範囲、PBRは0.6倍と低く、成長株として評価されている状態ではない。資産価値に近い水準で取引されているため、材料で急騰するタイプではなく利益水準に応じて評価が調整される性格が強い。業績拡大より景気や需要分野の変動によって株価が上下する循環型銘柄の特徴を持つ。
良い場合は、減益が一時的にとどまり純利益が30億円前後まで回復し営業利益率が9%前後で安定、ROEが5%台後半まで改善するシナリオである。評価がPER15倍前後まで切り上がると、5年後の株価は3,800円から4,400円程度まで上昇する可能性がある。急騰ではなく業績回復に合わせてゆっくり水準を切り上げる推移になりやすい。
中間の場合は、利益が20億円台で増減しながら横ばい圏に収まるシナリオである。営業利益率は8%から9%、ROE4%台で安定し、評価はPER12倍から14倍の範囲に収まる。この場合5年後の株価は2,700円から3,400円程度のレンジで推移しやすく、大きなトレンドは出にくいボックス相場になりやすい。
悪い場合は、需要減速で純利益が20億円未満に低下しROEが4%前後へ低下するシナリオである。評価がPER11倍付近まで低下すると、5年後の株価は2,000円から2,600円程度まで下落する可能性がある。赤字の可能性は低いが、評価縮小による緩やかな下落になりやすい。
総合すると現在値3,065円は成長期待を織り込んだ価格ではなく資産評価帯に近い水準にある。上昇余地は利益回復による評価修正に依存し、大幅な上昇よりレンジ推移になりやすい一方、低PBR水準により下値も限定されやすい。株価は短期材料より業績循環に反応しやすく、長期では上下を繰り返しながら水準を変えていくタイプの値動きの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月10日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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