株価
チノーとは

チノーは温度制御を中心とした計測機器を扱う専業メーカーで、本社は東京都板橋区にある。1913年創業、1936年に千野製作所として設立された計測機器メーカーで、産業用温度計測の分野では国内で長い歴史を持つ企業の一つである。
現在は国内外に複数の製造・販売拠点を持ち、米国・中国・韓国・インド・タイなどに展開するグローバル企業となっている。特徴は装置販売だけでなくユーザーの現場に入り込むエンジニアリング活動が強い点で、製造設備の立ち上げや品質改善に合わせて計測システムを構築する提案型ビジネスを行っている。
主力は温度を測る・記録する・制御するための計測制御機器で、記録計、温度調節計、データロガー、サイリスタレギュレータなどを扱う。これらは鉄鋼、化学、電池、半導体、食品、医薬といった製造業の生産ラインで使用され、工程の安定運転や品質保証に直接関わる機器である。設備に組み込まれて長期間使用されることが多く、更新需要や保守需要が継続的に発生する分野となる。
センサ分野では熱電対や測温抵抗体などの接触型センサに加え、赤外線放射温度計や熱画像カメラといった非接触計測機器を製造している。赤外線計測分野では国内トップクラスのシェアを持ち、高温物体や移動体を測定できる技術を強みとしている。これらのセンサは装置メーカーへの組み込み用途が多く、完成品メーカーの生産設備の一部として長期間使用される。
また燃料電池評価試験装置では世界トップクラスのシェアを持ち、電池やエネルギー関連分野の研究開発用途に使われる評価装置も扱う。コンプレッサ性能試験装置など、開発段階の性能評価を行う機器も提供しており、量産設備だけでなく研究開発領域にも関わっている。これにより景気循環だけでなく設備投資や研究開発投資の影響を受ける事業構造となっている。
さらに計測機器の校正装置の製造や校正サービス、トレーサビリティ試験も行っている。温度計測では測定値の正確性保証が重要となるため、校正サービスは継続収益になりやすい分野である。単なる機器メーカーではなく、測定精度を保証するサービスまで含めた事業領域を持つ点が特徴となる。
子会社ではソフトウェア設計、計装工事、光学部品、センサネットワーク機器などを扱い、装置単体販売にとどまらずシステムとして提供する体制を整えている。工場全体の温度管理やデータ収集を行う計装システムを構築し、導入後の保守・更新まで関与するため、装置販売とサービスが組み合わさったストック性のあるビジネスモデルに近い。
全体としてチノーは温度計測を核に、センサ・装置・評価試験機・システム・校正サービスを一体で提供する産業計測メーカーであり、製造業の品質管理や研究開発を支えるインフラ的な位置にある企業と整理できる。製造ラインの稼働と研究開発投資の両方に関係するため、景気の影響を受けつつも完全な市況株とも異なる特徴を持つ事業構造となっている。
チノー 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3* | 21,080 | 1,136 | 1,283 | 1,289 | 76.1 | 22.5 |
| 連22.3* | 21,908 | 1,499 | 1,744 | 1,050 | 62.0 | 23 |
| 連23.3* | 23,793 | 2,018 | 2,294 | 1,536 | 90.6 | 26 |
| 連24.3* | 27,425 | 2,173 | 2,413 | 1,756 | 103.4 | 30 |
| 連25.3* | 29,329 | 2,879 | 3,034 | 1,991 | 117.2 | 40 |
| 連26.3予 | 30,000 | 2,900 | 3,050 | 2,000 | 117.4 | 42.5 |
| 連27.3予 | 31,000 | 3,100 | 3,250 | 2,130 | 125.1 | 50 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,619 | -564 | 655 |
| 2024 | 101 | 81 | -1,104 |
| 2025 | 2,543 | -667 | -1,103 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 8.4% | 4.2% | 8.1% | – | – |
| 2024 | 7.9% | 4.8% | 8.6% | – | – |
| 2025 | 9.8% | 5.2% | 9.0% | 8.7~12.5 | 1.14 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
24.3期は営業利益21億、経常利益24億、純利益17億、25.3期は営業利益28億、経常利益30億、純利益19億、26.3期予想は営業利益29億、経常利益30億、純利益20億と利益は緩やかに増加している。大きな跳ね上がりはないが、減益ではなく毎期積み上がる形の推移になっており、急成長型ではない代わりに悪化もしていない安定した増益傾向といえる。
利益率は8.4%から7.9%へ一度低下した後9.8%へ上昇しており、低収益化しているわけではなく改善方向にある。ROEも8.1%から8.6%、9.0%へと上昇し、ROAも4.2%から4.8%、5.2%へ上がっているため、利益規模の拡大だけでなく資本効率・資産効率も徐々に良くなっている。数値上は事業の体質が悪化している企業ではなく、収益力が少しずつ整ってきている状態と読み取れる。
一方で評価面はPER8.7倍から12.5倍、PBR1.1倍前後にとどまり、効率改善に対して高く評価されているとは言えない水準にある。ROEが9%前後の企業としては平均的かやや低めの評価帯で、成長株として買われている価格ではなく、安定した中小型株として扱われている状態といえる。
まとめると、利益は小幅増益を継続、利益率と効率は改善傾向、評価は低めという組み合わせになる。急激な成長を織り込んだ株価ではないため上値は業績に沿った動きになりやすいが、数値の方向性は悪化ではなく改善であり、評価が切り上がる余地は残る位置にある。業績拡大よりも収益体質の改善が株価の判断材料になりやすいタイプの状態と整理できる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは26.3期2.84%、27.3期3.35%と上昇見込みで、極端な高配当ではないが平均よりは上の中配当水準に入る。株価の値動き頼みではなく、配当もリターンの一部として意識される位置にある。
利益との関係を見ると、純利益は17億→19億→20億予と増加しており、配当は30円→40円→42.5円→50円予とそれ以上のペースで引き上げられている。ただし急激な利益減少の中で配当だけを維持している形ではなく、利益の拡大と同時に増配しているため、無理な還元政策とは読み取りにくい。配当性向は上昇方向ではあるが、利益水準の範囲内で段階的に引き上げている形に近い。
収益性を見ると営業利益率は8%台から9%台へ改善し、ROEも8%台から9%前後へ上昇している。つまり稼ぐ力が弱まっている企業の配当ではなく、収益体質の改善に伴って還元余力が増えている構造になっている。ROAも4%台から5%台へ改善しており、資産効率も悪化していないため、減配リスクが急に高まるような数値ではない。
評価面ではPBR1.1倍前後、PER8.7~12.5倍と極端に高い水準ではなく、株価が評価修正で急騰して利回りが大きく低下するタイプでもない。逆に大きな成長期待が織り込まれているわけでもないため、配当利回りは株価に対して比較的安定しやすい位置にある。
全体として、配当だけを目的に持つ銘柄というより、業績の緩やかな改善に連動して増配が続くタイプの配当構造になっている。高配当株のような利回りの高さはないが、急減配の可能性も小さく、値動きと配当のバランスでリターンを得る安定寄りの中配当銘柄という位置づけになる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は1,492円とする。チノーは売上274億円から293億円、300億円予想へと緩やかな増収が続いている。営業利益も21億円から28億円、29億円予想と拡大しており、急成長ではないが着実な増益基調となっている。純利益も17億円から19億円、20億円予想と同様に増加しており、規模の拡大とともに利益が積み上がる推移になっている。
営業利益率は8%台から9.8%へ改善、ROEも8%台から9%前後へ上昇、ROAも4%台から5%台へ上がっており、収益性と効率は悪化ではなく徐々に整ってきている。急拡大する成長企業というより、産業設備投資に連動して収益が積み上がる安定成長型の構造にある。
良い場合は、設備投資需要やエネルギー関連分野の拡大で利益率が10%台に定着し、ROEが10%前後まで改善するシナリオである。PBRが1.3倍程度まで見直されると評価修正中心の上昇となり、5年後の株価は1,900円から2,600円程度まで上昇する可能性がある。急騰ではなく業績に沿ってゆっくり切り上がる推移になりやすく、長期では緩やかな上昇トレンドに近い値動きになる。
中間の場合は、利益が景気に応じて小幅に増減しながら横ばい成長にとどまるシナリオである。営業利益率は9%前後、ROE9%前後で安定し、評価はPBR1倍前後に収まる。この場合5年後の株価は1,300円から1,700円程度のレンジで推移しやすく、配当利回りが意識されるボックス相場になりやすい。
悪い場合は、設備投資減速により利益率が8%台へ低下しROEも7%台へ戻るシナリオである。評価がPBR0.8倍前後まで縮小すると、5年後の株価は1,000円から1,300円程度まで下落する可能性がある。赤字転落の可能性は低いが、評価縮小による緩やかな下落になりやすい。
総合すると現在値1,492円は成長期待を強く織り込んだ価格ではなく中立評価帯に近い。上昇余地は収益改善に伴う評価修正に依存し、大幅上昇より段階的な切り上げになりやすい一方、低評価水準により下値も限定されやすい。株価は短期材料より設備投資循環に反応しやすく、長期では上下を繰り返しながら水準を変えていくタイプの値動きの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月11日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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