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イリソ電子工業とは

イリソ電子工業株式会社は神奈川県横浜市港北区に本社を置くコネクタメーカーで、電子機器の内部で電気信号や電力を伝える接続部品を開発・製造・販売している企業である。コネクタ専業メーカーの中でも車載分野への依存度が高い点が特徴で、車の電子制御化が進む領域に合わせた製品を主力としている。インフォテインメント機器、メーター、センサー、ECU、カメラ、ADAS関連装置など自動車の内部基板同士を接続する用途で採用され、振動や温度変化、長期耐久性が求められる環境向けに設計された製品を中心に扱う。
主力製品は基板対基板コネクタやフローティング構造コネクタで、実装時の位置ズレを吸収する機構を持つ点が特徴となる。自動車部品は大型化・多機能化に伴い基板の大型化や複数枚化が進むため、単純な接続だけでなく応力吸収や組立作業性を重視した設計が求められ、同社はこの分野の提案型設計を強みとしている。製品の大半は顧客ごとに仕様が異なるカスタム品であり、量産電子部品メーカーというより設計参加型の部品サプライヤーの性格が強い。
車載用途を柱としながら、FA機器、ロボット、通信機器、ゲーム機、家電など産業機器や民生機器向けにも供給しているが、売上構成は自動車関連の影響を大きく受ける。景気循環というより自動車生産台数や電装化比率の影響を受けやすく、自動車1台あたりの電子部品点数増加が需要の背景となるタイプの電子部品メーカーである。
1966年に創業し、当初はテレビチューナー関連の基板組立を行う下請け工場としてスタートした。受注依存体質から脱却するため自社製品を持つメーカー化を志向し、基板実装の経験からコネクタ分野へ進出した。ピンヘッダー製造を経てコネクタメーカーとして技術を蓄積し、現在は車載用途に強みを持つ精密電子部品メーカーへと発展している。社名は創業時に受注していた会社の所在地「入曽」に由来する。
生産体制は日本に加えて中国、ベトナム、フィリピンなどに拠点を持ち、自動車メーカーのグローバル生産に対応した供給網を構築している。さらに国内では秋田県横手市に新工場を建設し、生産能力拡張とBCP対応を進めている。海外工場は量産対応、国内は開発・高付加価値対応の役割分担を持つ構造となっている。
同社はマーケットイン型の開発方針を掲げ、顧客の設計段階から参画して接続課題を解決する部品提案を行う。コネクタは単価が低い一方で採用が決まると長期間継続採用される特性を持つため、一度車載設計に組み込まれるとモデル寿命にわたり供給が続くストック性の高いビジネス構造となる。反面、新規車種採用のタイミングや自動車市場の生産変動の影響を受けやすい産業構造を持つ。
総じて、車の電子化・電動化・安全装置増加といった「1台あたり電子部品点数の増加」に連動する需要を背景に、耐環境性と実装性を重視したコネクタを供給するBtoB型電子部品メーカーである。
イリソ電子工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 36,520 | 2,900 | 2,970 | 2,141 | 90.9 | 50 |
| 連22.3 | 43,863 | 4,520 | 4,838 | 3,913 | 166.2 | 60 |
| 連23.3 | 52,903 | 6,940 | 7,661 | 5,541 | 235.6 | 80 |
| 連24.3 | 55,271 | 5,936 | 7,189 | 5,593 | 237.8 | 90 |
| 連25.3 | 56,332 | 5,307 | 5,504 | 2,662 | 118.3 | 100 |
| 連26.3予 | 58,000 | 5,500 | 5,900 | 4,800 | 224.8 | 150記 |
| 連27.3予 | 61,000 | 6,100 | 6,100 | 4,000 | 187.3 | 120〜130 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 11,613 | -8,179 | 516 |
| 2024 | 12,934 | -9,089 | 2,313 |
| 2025 | 12,043 | -8,778 | -5,495 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 13.1 | 6.7 | 8.2 | – | – |
| 2024 | 10.7 | 5.7 | 7.3 | – | – |
| 2025 | 9.4 | 2.9 | 3.7 | 14.2〜24.1 | 0.99 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模の推移を見る。2024年は営業利益59億、経常利益71億、純利益55億。2025年は営業利益53億、経常利益55億、純利益26億。2026年予想は営業利益55億、経常利益59億、純利益48億となっている。
営業利益は24年から25年で減少し、26年にかけては回復見込みだが水準としては24年付近に戻る程度の想定になっている。経常利益も同様に一度縮小した後の持ち直しの形となっている。一方で純利益は55億から26億へ半減し、その後48億へ戻る見込みとなっており、最終利益の振れ幅が営業利益より大きい構造になっている。
収益性を見ると、営業利益率は13.1%から10.7%から9.4%へと3年連続で低下している。売上規模は大きく変化していない前提の中で利益率のみが低下しているため、コスト上昇や採算の変化の影響を受けやすい状態の数値になっている。
資本効率ではROEが8.2%から7.3%から3.7%、ROAが6.7%から5.7%から2.9%へと低下している。利益率低下に対して低下幅が大きく、最終利益の縮小が資本効率に強く反映されている。特に純利益が半減した年度ではROEとROAの落ち込みが顕著で、利益の変動がそのまま効率指標に現れている。
株価指標では2025年の実績PERは14.2倍から24.1倍のレンジ、PBRは0.99倍となっている。PBRが1倍付近である一方、ROEは3%台まで低下しているため、評価は資産価値基準に近い位置にある数値構造になっている。またPERは幅が広く、利益水準の変動に応じて評価倍率が動きやすい状態を示している。
全体として、売上は横ばい圏、営業利益は縮小後に回復、純利益は大きく変動。利益率・ROE・ROAはいずれも低下傾向で資本効率は縮小方向の数値となっている。評価指標ではPBRが1倍前後、PERが広いレンジにあり、利益水準の変化が株価評価に反映されやすい数値構造が確認できる。
配当目的とかどうなの?
配当面の数値を見ると、予想配当利回りは2026年3月期が4.25%、2027年3月期が3.40%となっている。水準だけを見ると株価指標の中では比較的高めの利回り帯に位置している数値になっている。
一方で利益との関係を見ると、純利益は2024年55億から2025年26億へ大きく減少し、2026年48億へ回復予想という変動の大きい推移になっている。営業利益も59億から53億へ減少後55億へ戻る見込みであり、利益水準は安定的な増加ではなく上下動のある形になっている。
収益性では営業利益率が13.1%から10.7%から9.4%へ低下、ROEが8.2%から7.3%から3.7%へ低下しており、資本効率は縮小傾向の数値になっている。利益効率が下がる局面で配当利回りが上昇しているため、利回りの高さは利益成長によるものではなく株価水準または利益変動の影響を受けて形成されている状態と読み取れる。
PBRは0.99倍で資産水準付近、PERは14.2倍から24.1倍のレンジと幅があり、利益変動に応じて評価が変わりやすい構造となっている。最終利益の振れが大きい企業では、配当利回りは一定に見えても利益変動に連動して変化しやすい特徴を持つ。
数値だけを整理すると、配当利回り自体は高めの水準にあるが、利益・ROE・利益率はいずれも低下傾向で安定拡大型ではないため、配当は利益水準の変動の影響を受けやすいタイプの数値構造になっている。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は3,525円で、イリソ電子工業は売上365億円から563億円、580億円予想へと拡大した後は伸びが緩やかになっている。一方で営業利益は59億円から53億円へ減少し55億円予想と回復見込みではあるが、増益基調というより需要に応じて上下する推移になっている。
純利益も55億円から26億円へ大きく落ち込み48億円予想へ戻る形で、最終利益の変動幅が大きい構造になっている。営業利益率は13.1%から10.7%から9.4%へ低下、ROEも8%台から3%台へ縮小しており、高収益成長企業というより車載需要の波を受ける循環型収益の性格が強い。
良い場合は、車載電子化やADAS関連の採用増加により利益率が10〜12%程度まで回復し、純利益50億〜60億規模が安定するシナリオである。ROEが7〜9%程度へ戻ると評価はPBR1.2倍前後まで見直され、評価修正が中心の上昇となる。この場合5年後の株価は4,500円から6,500円程度まで上昇する可能性がある。急騰というより業績改善に沿って段階的に切り上がる推移になりやすく、長期では緩やかな上昇トレンドに近い値動きになる。
中間の場合は、自動車生産の変動に合わせて利益が増減しながら横ばい圏で推移するシナリオである。営業利益は50億前後、ROEは4〜6%程度にとどまり、評価はPBR0.9倍から1.1倍の範囲に収まる。この場合5年後の株価は2,800円から4,200円程度のレンジで推移しやすく、配当利回りが意識されるボックス相場になりやすい。
悪い場合は、車載需要減速や採算悪化で営業利益率が一桁台前半へ低下し、純利益30億規模まで縮小するシナリオである。ROEが3〜4%台にとどまり評価がPBR0.7倍から0.9倍へ縮小すると、5年後の株価は2,000円から3,000円程度まで下落する可能性がある。赤字化の可能性は高くないが、評価縮小による緩やかな下落になりやすい。
総合すると現在値3,525円は成長期待を強く織り込んだ水準ではなく資産評価帯に近い。上昇余地は利益率回復による評価修正に依存し、大幅上昇よりレンジ推移になりやすい一方、資産水準と配当により下値も限定されやすい。株価は短期材料より自動車需要の循環に反応しやすく、長期では上下を繰り返しながら水準を変えるタイプの値動きの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月13日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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