株価
山一電機とは

山一電機株式会社は東京都大田区に本社を置く電子部品メーカーで、半導体検査用ソケットを主力とする接続部品メーカーである。1956年創業で、超微細加工技術を基盤とした精密接触技術を強みとしており、半導体の製造工程、電気信号の伝送、光の波長制御という電子機器の基盤領域に関わる部品を提供している。
半導体メーカーの設備投資動向に収益が左右されやすく、業績の振れ幅が大きい典型的な半導体設備関連型の企業であるが、近年はコネクタや光部品などの分野を拡大し収益安定化を進めている。
事業の中心はテストソリューション事業で、半導体の性能や耐久性を検査する工程に使用されるバーンインソケットやテストソケットを製造している。半導体は出荷前に電気的検査を行う必要があり、その際に検査装置と半導体を接続する部品がソケットである。
同社製品はBGA、LGA、QFN、SONなど様々なパッケージに対応し、微細ピッチや高周波、高電流といった高難度の検査条件にも対応する。NANDフラッシュ向けオープントップソケットやケルビン測定対応ソケットなど、用途別にカスタム設計されるケースが多く、多品種少量の半導体検査需要に対応している。半導体の高性能化に伴い検査精度の要求が上がるほど技術的価値が高まる分野であり、同社の主力収益源となっている。
コネクタソリューション事業では電子機器間や基板間を接続するコネクタ、実装用ICソケット、フレキシブル配線板YFLEXを展開している。通信機器用の光トランシーバー向けインターフェイスコネクタ、車載カメラ用同軸コネクタ、産業用M12コネクタなど、高速通信や耐振動・耐環境性が求められる用途に採用されている。
コネクタとフレキシブル基板を一体提案できる点が特徴で、電子機器の小型化や高密度化に対応した設計提案型のビジネスを行っている。半導体関連ほど景気変動の影響を受けにくく、収益の下支えとなる事業として位置付けられている。
光関連事業では光薄膜フィルタや光モジュールを扱う。多層成膜技術による高精度な光学フィルタを製造し、医療検査装置、分析装置、監視カメラなどに用いられる。ラマン分光向けエッジフィルタやPCR検査用バンドパスフィルタなど、特定波長の光のみを透過させる用途が中心であり、光の制御を必要とする装置に組み込まれる部品を提供している。数量は多くないが付加価値が高い分野であり、新たな柱として育成されている。
同社は半導体検査用ソケットという設備投資連動型の事業を主軸としながら、コネクタと光部品を組み合わせることで事業ポートフォリオを構成している。半導体市況が良い局面では収益が大きく伸び、停滞局面では他事業が下支えする構造となっている。精密加工技術を核に電子機器の検査、接続、光制御を担う基盤部品メーカーとして位置付けられる企業である。
山一電機 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 27,673 | 3,192 | 3,143 | 2,592 | 121.1 | 37 |
| 連22.3 | 39,574 | 8,375 | 8,746 | 6,771 | 319.3 | 96 |
| 連23.3 | 46,985 | 9,134 | 9,450 | 7,212 | 346.1 | 104 |
| 連24.3 | 36,423 | 2,933 | 2,914 | 2,060 | 100.4 | 31 |
| 連25.3 | 45,298 | 8,225 | 7,689 | 5,240 | 259.5 | 89 |
| 連26.3予 | 47,400 | 9,300 | 9,100 | 6,400 | 346.6 | 105 |
| 連27.3予 | 50,000 | 10,000 | 9,800 | 6,900 | 373.7 | 105〜130 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 10,846 | -4,858 | -3,355 |
| 2024 | 3,230 | -4,221 | -3,432 |
| 2025 | 9,005 | -3,657 | -5,493 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 19.4% | 14.3% | 19.6% | – | – |
| 2024 | 8.0% | 4.0% | 5.4% | – | – |
| 2025 | 18.1% | 9.8% | 13.2% | 9.6〜15.4 | 3.47 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模の推移を見る。2024年は営業利益29億、経常利益29億、純利益20億と低水準に落ち込んでいるが、2025年は営業利益82億、経常利益76億、純利益52億まで急回復している。2026年予想は営業利益93億、経常利益91億、純利益64億と増益継続の見込みであり、直線的な成長ではなく落ち込みからの反発によって利益が拡大している形になっている。売上も364億から452億、474億予想へと回復しており、需要の回復に連動して収益が伸びる構造が見て取れる。
収益性を見ると営業利益率は19.4%から8.0%から18.1%と大きく上下しており、継続的な改善ではなく市況に応じて急変している。固定費比率の高い事業構造であるため、稼働率の変化がそのまま利益率に反映されるタイプの数値で、好況時は高収益、不況時は平均水準まで低下する循環型の収益体質になっている。
資本効率も同様の動きで、ROE19.6%から5.4%から13.2%、ROA14.3%から4.0%から9.8%と大きく変動している。景気回復局面では高収益企業に近い水準に入るが、停滞局面では一般的な製造業水準まで低下するため、企業の体質として安定して高効率を維持するタイプではなく、需要環境に依存して効率が変わる配置になっている。
評価指標はPER9.6〜15.4倍、PBR3.4倍。利益が落ち込んだ局面ではPERは低く見え、回復局面では急速に上昇するが、評価レンジ自体は一定範囲に収まりやすい。PBRは高めで資産株として評価されているわけではなく、将来の収益回復を前提にした価格帯で取引されている状態と読み取れる。つまり市場は安定成長を期待しているのではなく、利益回復サイクルを織り込んで評価している構造になっている。
まとめると、売上と利益は需要の回復局面で大きく伸びるが継続的な成長カーブにはなりにくく、収益性と効率が周期的に変動する半導体設備関連型の指標配置である。好調時は高収益企業の数値を示す一方で低迷期には水準が下がるため、評価も一定レンジ内で変動しやすい。数値から読み取れるのは、安定成長株ではなく業績サイクルに応じて評価が上下する業績連動型の性格を持つ企業という点である。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは26、27年度ともに1.26%で、日本株全体で見ても低配当帯の水準になる。配当を主目的に保有する銘柄という位置付けではなく、あくまで業績回復局面に連動する値動きが中心になるタイプの利回りである。
利益と配当の関係を見ると、純利益は20億から52億へ急増し、さらに64億予想と回復局面にあるが、配当は31円から89円、105円と増配はしているものの、利益の伸びに対しては緩やかな増え方に留まっている。つまり利益連動で大きく配当が跳ねる設計ではなく、一定の水準に調整される配分になっていると読み取れる。
営業利益率やROEが大きく上下する循環型の収益構造であるため、会社としても配当を固定的に積み上げる方針にはなりにくく、好況期の利益は内部留保や投資に回る余地が大きいタイプである。実際に利回りは業績回復局面でも1%台に留まっており、インカム狙いの銘柄としては性格が弱い。
指標面でもPBRが3倍台と資産株ではなく成長期待寄りの評価を受けているため、株価は配当利回りではなく利益水準の変化に反応しやすい配置になっている。配当による下値支持も限定的で、株価の変動要因は業績サイクル側に偏る構造と考えられる。
まとめると、この銘柄は配当を積み上げていくタイプではなく、増配はあっても利回りは低水準に留まる。配当目的の長期保有より、業績回復局面を前提とした保有に向く性格であり、インカム重視の投資対象とは位置付けが異なる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は8,330円で、山一電機は売上364億円から452億円、474億円予想へと回復基調にある。一方で営業利益は29億円まで落ち込んだ後、82億円へ急回復し、93億円予想へ拡大見込みとなっており、直線的な成長ではなく半導体設備投資の回復に応じて大きく上下する推移になっている。
営業利益率は19.4%から8.0%へ低下した後18.1%へ戻り、ROEも19%台から5%台へ落ち込んだ後13%台へ回復しているが、安定的に維持される水準ではなく市況によって変動する。高収益期と低収益期がはっきり分かれる循環型の収益構造にある。
良い場合は、半導体設備投資拡大が継続し高稼働が続くシナリオである。営業利益率が18%前後を維持しROEが15%近辺で安定すると、PERが15倍から18倍程度へ評価拡大し、5年後の株価は11,000円から15,000円程度まで上昇する可能性がある。上昇は連続的というより好業績の年ごとに段階的に水準が切り上がる形になりやすい。
中間の場合は、半導体市況の波を繰り返しながら平均的な利益水準に収まるシナリオである。営業利益率は10%から18%の範囲で変動し、評価もPER10倍から14倍の範囲に収まる。この場合5年後の株価は6,500円から9,500円程度のレンジで推移しやすく、数年単位の上下を伴うボックス相場になりやすい。
悪い場合は、設備投資減速により利益率が一桁台まで低下しROEも10%未満に落ち込むシナリオである。評価がPER8倍から10倍へ縮小すると、5年後の株価は4,500円から7,000円程度まで下落する可能性がある。赤字転落の可能性は高くないが、低収益期が続くことで長い調整局面になりやすい。
総合すると現在値8,330円は成長期待だけで決まる価格ではなく、半導体市況の位置に応じて評価が変動するレンジ帯にある。上昇余地は業績拡大期の評価上昇に依存し、大幅上昇と調整を繰り返しやすい一方、下落も市況底入れで止まりやすい。株価は短期材料より設備投資サイクルに反応しやすく、長期では波を描きながら水準を変えていくタイプの値動きの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月14日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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