株価
日本電子とは

日本電子株式会社は東京都昭島市に本社を置く理科学機器メーカーで、電子顕微鏡を中心とした分析装置や半導体関連装置を開発・製造・販売・保守まで一貫して行う企業である。1949年に電子顕微鏡の開発を目的として設立され、JEOLの名称で海外にも広く知られている。大学や研究機関、半導体メーカー、材料メーカー、医薬・化学分野など研究開発分野を主な顧客としており、研究用途と産業用途の両方を持つ計測機器メーカーである。
主力は電子顕微鏡事業で、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、電界放出型電子顕微鏡、超高圧電子顕微鏡などナノレベルの観察装置を提供する。電子線源技術、電子レンズ制御技術、高電圧制御技術、高真空制御技術などのコア技術を持ち、材料の微細構造解析、半導体の欠陥解析、生体試料の観察などに用いられる。研究開発だけでなく製造現場の品質管理装置としても使われる基盤機器である。
分析機器分野では核磁気共鳴装置(NMR)、質量分析計、電子スピン共鳴装置、光電子分光装置、オージェ電子分光装置、X線分析装置などを展開し、物質の組成や分子構造の解析に用いられる。医薬品開発、材料開発、食品分析など幅広い用途に利用され、理科学機器メーカーとしての柱となっている。
半導体関連装置では電子ビーム描画装置やプロセス評価装置を扱い、微細回路のパターン形成や評価工程に使用される。特にマルチビーム描画装置は微細化に伴い重要性が高まっている分野で、半導体用途の比率が上昇している。ニコンと資本業務提携を行い、顕微鏡技術や医療分野の協業を進めている点も特徴である。
そのほか電子ビーム蒸着用電子銃やプラズマ発生装置などの産業機器、生化学自動分析装置などの医用機器も展開している。装置販売が中心だが導入後は保守契約や消耗品供給による継続収入が発生するビジネスモデルで、研究投資や半導体投資の影響を受けつつも一定のストック収益を持つ構造となっている。電子顕微鏡を基盤技術として分析装置・半導体装置へ展開する精密計測機器メーカーとして位置付けられる企業である。
日本電子 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 110,439 | 5,224 | 6,550 | 3,745 | 77.5 | 24 |
| 連22.3 | 138,408 | 14,144 | 16,313 | 12,278 | 246.8 | 50 |
| 連23.3 | 162,689 | 24,155 | 23,501 | 17,830 | 349.3 | 66 |
| 連24.3 | 174,336 | 27,531 | 30,023 | 21,704 | 424.9 | 102記 |
| 連25.3 | 196,695 | 35,501 | 34,424 | 18,688 | 365.6 | 106 |
| 連26.3予 | 181,000 | 24,000 | 24,500 | 18,000 | 350.9 | 106 |
| 連27.3予 | 170,000 | 23,000 | 23,500 | 18,500 | 360.6 | 109 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 3,351 | -5,734 | -8,732 |
| 2024 | 15,301 | -18,028 | -798 |
| 2025 | 23,104 | -855 | -17,116 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 14.8% | 17.4% | 8.9% | – | – |
| 2024 | 15.7% | 17.2% | 9.4% | – | – |
| 2025 | 18.0% | 13.6% | 8.3% | 10.2倍~19.3倍 | 2.24倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模の推移を見る。2024年は営業利益275億、経常利益300億、純利益217億。2025年は営業利益355億、経常利益344億、純利益186億となり、営業段階の利益は拡大している一方で最終利益は減少している。2026年予想は営業利益240億、経常利益245億、純利益180億となっており、増益から減益へ転じる見込みになっている。つまり利益は直線的に伸びているのではなく、好調な年の反動が出る変動型の推移である。
収益性を見ると営業利益率は14.8%から15.7%から18.0%と上昇している。売上拡大以上に採算改善の寄与が大きく、製品構成や採算管理の改善が効いている数値配置である。製造業としては高めの水準に入り、基礎的な収益力は強い領域にある。
資本効率はROE17.4%から17.2%から13.6%、ROA8.9%から9.4%から8.3%とやや低下している。利益水準自体は高いが、ピークからは落ち着く配置になっており、収益力が弱くなったというより好況期の反動減に近い動きである。安定的に高効率を維持するタイプというより、利益水準に連動して効率が上下する性格が見て取れる。
評価指標はPER10.2から19.3倍、PBR2.2倍。収益性の高さに対して一定の評価は与えられているが、極端なプレミアムは付いていないレンジである。市場は継続的な高成長というより、利益変動を前提とした平均的な評価を与えている位置と読み取れる。
まとめると、利益は拡大局面の後に調整が入りやすい循環型の推移で、収益性は高いが効率は利益水準に応じて変動するタイプである。指標配置から読み取れるのは、安定成長株というより景気・需要の波に応じて評価が上下する業績連動型の企業という性格である。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは2026年1.68%、2027年1.73%と2%未満の水準に留まっている。一般的にインカム狙いで意識されやすい3%前後の領域には届かず、配当収入を主目的に保有するタイプの銘柄とは言いにくい位置にある。
これまでの利益推移を見ると営業利益は拡大と減少を繰り返す循環型で、最終利益も年度ごとのブレがある構造になっている。このタイプは配当が大きく増配され続けるより、利益水準に応じて調整されやすい傾向があり、利回りも一定水準で固定されにくい特徴になる。実際に利回り水準も低めで安定高配当の設計には見えない。
また営業利益率は高めで事業の収益力は強い一方、ROEはピークから低下しており、企業は利益を内部投資へ回している比重が比較的大きいと考えられる。こうした企業は配当で還元するより事業投資で成長を維持する傾向になりやすく、結果として利回りは抑えられやすい。
まとめると、配当は出ているが利回りは低く、業績連動色もあるため安定したインカム狙いには向きにくい。配当目的というより、収益力の変化に伴う企業価値の変動を前提に保有するタイプの性格が強い銘柄と整理できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在値6,300円を基準に5年間の値動きを整理する。この企業は高い営業利益率と二桁ROEを持つ一方、半導体・分析機器の需要循環の影響を受けやすく、業績は拡大と調整を繰り返す傾向がある。PERは10倍台から20倍弱のレンジ、PBR2倍台という評価帯にあり、株価は成長株のような直線上昇ではなく業績サイクルに連動した波を作りやすい性格になる。
良い場合は、半導体設備投資と研究開発需要が拡大し、高収益状態が維持されるシナリオである。営業利益率が17%前後を維持しROEも15%近辺で安定すると、評価はPER18倍から22倍程度まで切り上がりやすい。この場合5年後の株価は9,000円から12,000円程度まで上昇する可能性がある。途中で上下の波はあっても基本は上方向のトレンドになりやすく、好況局面で大きく上振れしやすい。
中間の場合は、需要の拡大と減速を繰り返しながら平均的な水準に収まるシナリオである。営業利益率は14%から16%、ROE12%前後で推移し、評価はPER13倍から17倍のレンジに収まる。この場合5年後の株価は5,800円から8,200円程度の範囲での推移となりやすく、大きなトレンドは出にくく周期的な上下を繰り返す展開になる。
悪い場合は、半導体投資減速により利益が縮小し効率も低下するシナリオである。営業利益率が12%前後まで低下しROEも10%前後へ低下すると、評価はPER10倍から12倍程度まで圧縮されやすい。この場合5年後の株価は3,800円から5,500円程度まで下落する可能性がある。赤字転落の可能性は低いが、評価縮小による緩やかな下げが続きやすい。
総合すると現在値6,300円は割安圏でも過熱圏でもない中間評価帯に位置し、長期では上昇か横ばいかは業績サイクル次第になりやすい。急騰型ではなく、好況期に上がり不況期に調整する波型の値動きを繰り返しながら水準を変えていくタイプの銘柄と考えられる。
この記事の最終更新日:2026年2月14日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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