株価
日本車輌製造とは

日本車輌製造は、1896年に名古屋で創業した鉄道車両メーカー大手で、現在はJR東海の連結子会社という位置付けにある。社名の読みはにっぽんしゃりょうせいぞうで、略称は日車。長らく異体字の表記を使っていたが、1996年以降は企業活動上の呼称として日本車両表記も使うようになっている。
鉄道車両を中核にしながら、輸送用機器、建設機械、橋梁や鉄骨などの鉄構、農業用施設や各種設備などのプラント・エンジニアリング領域へ多角化してきた会社で、いわゆる大型のモノづくり分野を複数抱える構成になっている。
拠点としては、本社が名古屋市熱田区にあり、東京本部を含め各地に営業所を置く。製造拠点は機能分担があり、豊川製作所が鉄道車両や輸送機器の中心工場、鳴海製作所が建設機械や発電装置など、衣浦製作所が橋梁・鉄骨など鉄構系を担う構図になっている。
事業の中核は鉄道車両で、新幹線、在来線、私鉄、地下鉄、気動車、貨車など幅広い車種に関わってきた実績がある。日本の鉄道車両メーカーは、川崎重工系(日立・川崎車両など)や総合車両製作所など複数社が競合するが、日車は長年の実績と量産体制を背景に、通勤・近郊車両や新幹線を含む多様な車種の製造に関与してきた。
鉄道車両部門では、設計・製造だけでなく、量産時の標準化や製造工法の工夫がコストや納期に直結しやすく、同社はステンレス車体の標準化工法として日車式ブロック工法(日車式SUSブロック構体)と呼ばれる考え方を持ち、通勤型車両の量産で採用されている例がある。近年はこの工法にブランド名を付けた動きもあり、量産の効率化や品質の均一化を意識した設計思想が読み取れる。
建設機械分野は、基礎工事系に軸足がある。具体的には杭打ち・地盤改良・掘削といった基礎施工向けの機械が中心で、建設投資、とりわけ公共工事や都市再開発、インフラ更新の動きと連動しやすい。過去には幅広い建機を扱った時期もあるが、近年は得意領域に絞ったラインナップになっているという整理になる。発電装置関連としてはディーゼル発電機や溶接機などの製品があり、用途としては災害対策・非常用電源・工事現場などの需要が想定される。
鉄構分野では橋梁や鉄骨などを扱う。橋梁は公共事業の比重が高くなりやすく、国や自治体の投資方針、入札環境、競争条件の変化で受注環境が変わりやすい。公共投資が絞られる局面では案件自体が減りやすく、逆に補修・更新が増える局面では需要が出やすい。案件ごとの採算差も大きくなりやすい分野なので、年度で数字が振れやすい性格がある。
プラント・エンジニアリング領域としては、農業用施設や各種設備(鉄道車両検修設備、搬送設備、産業機械など)が含まれる。会社としては「大型の設備・構造物」を作る能力を横展開している形で、鉄道車両のように完成品を丸ごと作る仕事と、設備を設計して据え付ける仕事が同居する。過去には新分野の試験運転を行ったものの、トラブルが続き事業化を断念した例もあり、多角化領域には成功・不成功の両面がある、という事実が残っている。
まとめると、日本車輌製造は、鉄道車両という受注型・大型案件中心の事業を核にしつつ、輸送用機器、建設機械、鉄構、農業用プラントや各種設備などの大型分野を複数持つ会社である。
強みは長い実績と製造拠点・量産技術の蓄積にあり、外部環境としては、鉄道各社の更新投資、公共投資、産業設備投資、原材料価格、案件採算、海外案件の難易度などが業績の振れにつながりやすい構造になっている。JR東海子会社という点は、安定した需要源になり得る一方で、グループの投資方針に連動しやすいという性格も併せ持ちます。
直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 99,448 | 9,047 | 9,301 | 7,928 | 549.3 | 10 |
| 連22.3 | 94,022 | 6,237 | 6,317 | 5,226 | 362.1 | 20 |
| 連23.3 | 97,969 | 4,461 | 4,494 | 3,118 | 216.1 | 20 |
| 連24.3 | 88,058 | 6,060 | 6,306 | 5,381 | 372.9 | 25 |
| 連25.3 | 96,340 | 6,935 | 7,297 | 6,416 | 444.6 | 35 |
| 連26.3予 | 98,000 | 8,200 | 8,600 | 8,000 | 554.4 | 40 |
| 連27.3予 | 98,500 | 8,300 | 8,700 | 8,100 | 561.3 | 40 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 7,152 | -1,579 | -11,431 |
| 2024 | -2,478 | -1,442 | -4,001 |
| 2025 | 1,447 | -1,721 | -3,557 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 4.5% | 2.5% | 6.1% | – | – |
| 2024 | 6.8% | 3.9% | 8.6% | – | – |
| 2025 | 7.1% | 4.8% | 9.9% | 6.0~7.7 | 0.82 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
営業利益は60億から69億から82億予想、経常利益は63億から72億から86億予想、純利益は53億から64億から80億予想と段階的に増加している。売上規模の拡大に対して利益の伸び率が高く、収益の回復というより採算改善が進んでいる形になっている。営業利益率も4.5%から6.8%から7.1%と上昇しており、固定費負担の軽減や採算の良い案件比率の上昇など、利益構造の改善が読み取れる推移になっている。
資本効率も改善傾向で、ROEは6.1%から8.6%から9.9%、ROAは2.5%から3.9%から4.8%と上昇している。依然として高収益企業の水準ではないが、低収益状態からの回復過程にある数値で、資産の回転と利益率の双方が改善している状況と整理できる。純利益の伸び率が営業利益の伸びと概ね連動しているため、特別利益に依存した回復ではなく本業ベースの回復と読み取れる点も特徴になる。
評価面ではPERが6.0倍から7.7倍レンジ、PBR0.8倍となっており、利益増加に対して株価評価は高まっていない状態にある。ROEが10%に近づいているにもかかわらずPBRが1倍を下回っているため、市場は利益の持続性を十分には織り込んでいない、あるいは業績の変動性を前提に評価している状況と解釈できる。特にPERが低位で安定している点から、成長株という評価ではなく循環株に近い扱いを受けている可能性が高い。
まとめると、利益水準と収益性は改善方向にあり資本効率も上昇しているが、評価指標は低位のままで推移している状態で、業績改善の継続性が確認されるかどうかが評価変化の条件になりやすい数値構成になっていると整理できる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは26,27年度ともに0.95%で、数値としてはかなり低い水準に位置する。配当収入を主目的にする投資では、一般的に3%前後以上が意識されやすく、この水準ではインカムゲイン中心の保有対象にはなりにくい。年間40円配当予想という絶対額は増えているものの、株価に対する割合が小さいため、配当だけで資金回収を狙うには非常に長い期間が必要になる。
配当推移を見ると10円から20円から20円から25円から35円から40円予想と増配傾向ではあるが、利益の伸びに対して配当性向を大きく引き上げている形ではなく、業績連動型の緩やかな増配に近い動きになっている。つまり株主還元を積極的に強めている局面というより、利益拡大に合わせて最低限増やしているという配分に見える。利回りが1%前後に留まる点からも、会社として配当を株価の魅力の中心に据えていない方針が読み取れる。
利益自体は増益傾向にあるため減配リスクが高い状態ではないが、配当が投資判断の軸になるタイプではなく、あくまで補助的なリターンに近い性格になる。配当利回りが低い銘柄では、投資成果の大部分は株価変動によって決まるため、評価の変化や業績サイクルの影響を受けやすくなる。特にPERが低位にとどまっている銘柄では、配当よりも評価倍率の変動がリターンに与える影響の方が大きくなりやすい。
以上の数値だけから整理すると、この銘柄は配当収入を積み上げるタイプではなく、業績改善や評価変化による値動きが主体で、配当は保有中の補助収益として受け取る程度の位置付けになると考えられる。配当目的で長期保有するというより、株価の動きを前提にした銘柄の性格が強いと整理できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は4,190円で、日本車輌製造は売上880億円から963億円、980億円予想へと緩やかな増収傾向にある。一方で営業利益は60億円から69億円、82億円予想と回復しており、利益の伸びが売上を上回る形になっている。
営業利益率も4.5%から6.8%から7.1%へ上昇し、ROEは6.1%から8.6%から9.9%、ROAは2.5%から3.9%から4.8%へ改善しているが、いずれも高収益企業の水準には届かず中位水準に位置する。受注産業の性格が強く、年度ごとの案件規模や採算によって利益が変動しやすい循環型の収益構造と整理できる。
良い場合は、鉄道投資や大型案件が安定し利益が80億円台で定着、ROEが10%前後に近づくシナリオである。評価がPBR1.0倍から1.2倍程度まで見直されると、評価修正が中心の上昇となり5年後の株価は5,500円から6,500円程度まで上昇する可能性がある。急騰ではなく利益の安定化に合わせて徐々に切り上がる推移になりやすく、長期では緩やかな上昇トレンドに近い値動きになる。
中間の場合は、利益が受注の波に応じて増減しながら横ばい圏で推移するシナリオである。営業利益率は6%から8%、ROEは8%前後で推移し、評価はPBR0.7倍から0.9倍の範囲に収まる。この場合5年後の株価は3,800円から5,000円程度のレンジで推移しやすく、配当よりも業績サイクルで上下するボックス相場になりやすい。
悪い場合は、案件減少や採算悪化で利益が50億円台まで低下しROEも6%前後へ低下するシナリオである。評価がPBR0.6倍から0.7倍へ縮小すると、5年後の株価は2,500円から3,500円程度まで下落する可能性がある。赤字転落の可能性は高くないが、受注産業特有の利益変動による緩やかな下落になりやすい。
総合すると現在値4,190円は成長期待を強く織り込んだ価格ではなく資産評価帯に近い。上昇余地は利益安定化による評価修正に依存し、大幅上昇よりレンジ推移になりやすい一方、低PBR水準が下値を支えやすい。株価は短期材料より受注と利益の循環に反応しやすく、長期では上下を繰り返しながら水準を変えるタイプの値動きの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月17日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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