株価
全国保証とは

全国保証株式会社は住宅ローン保証を主力とする信用保証会社で、独立系では最大手の位置付けにある。本社は東京都千代田区大手町に置かれ、銀行・信用金庫・信用組合・ネット銀行など幅広い金融機関と提携し、民間住宅ローン向け保証業務を全国で展開している。一般の貸金業者のように自ら融資を行う会社ではなく、金融機関が貸し出す住宅ローンの信用リスクを引き受ける専門企業であり、金融インフラの一部を担うビジネスモデルになっている。
住宅ローン利用者が融資を受ける際、同社が保証人の役割を担うことで銀行は貸し倒れリスクを外部へ移転できる。利用者は保証料を支払い、返済不能となった場合には同社が銀行へ残債を代位弁済し、その後利用者から回収を行う仕組みである。
収益は契約時の一括保証料と、保証残高に応じて継続的に発生する保証料収入が柱となるため、過去契約が積み上がるほど収益が安定しやすいストック型構造を持つ。住宅ローンは契約期間が長く延滞率も比較的低いため、金融商品の中では安定性が高い分野とされるが、不動産価格や景気動向により代位弁済率は変動するため審査と回収能力が重要な経営要素となる。
同社の特徴は特定金融グループに属さない独立系である点にある。多くの保証会社が銀行の子会社や地域金融機関の共同出資会社であるのに対し、同社は全国の多様な金融機関と提携可能であり、地域や取引先の偏りが小さい分散型の事業構造を形成している。金融機関側は自前の保証会社を持たなくても住宅ローンを拡大でき、同社は金融機関の販売網を活用して保証残高を積み上げる関係にある。また独立系であるため商品設計の自由度が高く、資金使途や保証料体系を金融機関ごとに柔軟に設計できる点が強みとなる。
事業領域は住宅ローン保証を中心に拡大してきており、教育ローン保証、アパートローン保証、カードローン保証など個人向け融資保証へ展開している。さらに保証業務だけでなく債権回収会社を子会社化することで代位弁済後の回収機能をグループ内に取り込み、信用保証会社の買収を通じて地域金融機関との関係を強化している。
信用保証会社のM&Aは金融機関側の保証会社再編ニーズと一致しやすく、保証残高の拡大につながる構造になっている。加えて将来の事業拡張を見据えたベンチャー投資も行い、住宅ローン以外の金融サービス領域への展開も模索している。
収益の基盤となる保証債務残高は長期的に積み上がる性質を持ち、新規契約数と繰上返済、代位弁済率のバランスが業績を左右する。住宅着工数や金利動向、金融機関の貸出姿勢などマクロ環境の影響を受ける一方、契約残高が増えるほど過去契約からの保証料収入が増加するため、短期景気よりも住宅金融市場の構造変化の影響を受けやすいビジネスである。
まとめると、全国保証は住宅ローンの信用リスクを引き受けることで金融機関の貸出を支える信用保証会社であり、独立系のネットワークとストック収益、M&Aによる機能拡張を軸に事業を拡大している企業である。
直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単21.3* | 47,834 | 38,233 | 38,991 | 27,002 | 196.3 | 58.5 |
| 単22.3* | 48,842 | 39,470 | 40,551 | 27,835 | 202.4 | 66.5 |
| 連23.3* | 50,272 | 39,884 | 41,456 | 28,584 | 208.0 | 74 |
| 連24.3* | 51,638 | 39,102 | 41,581 | 28,796 | 209.5 | 85 |
| 連25.3* | 56,972 | 41,974 | 44,518 | 32,089 | 236.5 | 106 |
| 連26.3予 | 59,200 | 41,600 | 45,100 | 31,200 | 234.8 | 115 |
| 連27.3予 | 61,500 | 43,000 | 46,700 | 32,300 | 243.1 | 120〜125 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 28,700 | -36,042 | -9,159 |
| 2024 | 31,304 | -55,996 | -10,319 |
| 2025 | 33,423 | 625 | -19,311 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 79.3 | 6.4 | 13.9 | – | – |
| 2024 | 75.7 | 6.1 | 12.7 | – | – |
| 2025 | 73.6 | 6.5 | 13.4 | 13.4(高値平均)/10.8(安値平均) | 1.84 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模の推移を見ると、2024年は営業利益391億、経常利益415億、純利益287億、2025年は営業利益419億、経常利益445億、純利益320億と増益になっている。2026年予想は営業利益416億、経常利益451億、純利益312億で、増益基調から横ばい圏へ移行する形になっている。利益水準は明確に減少しているわけではないが、伸び続けるフェーズから安定維持フェーズへ入っている推移といえる。急拡大企業ではなく、利益を積み上げていくストック型の収益構造が数値に表れている。
収益性を見ると営業利益率は79.3% → 75.7% → 73.6%と低下しているが、依然として極めて高い水準にある。低下幅は大きくなく、ビジネスモデル上のブレの範囲内であり収益力の毀損とは言い難い。ROEは13.9% → 12.7% → 13.4%で横ばい圏、ROAは6.4% → 6.1% → 6.5%と安定しており、資本効率と資産効率は大きく変化していない。つまり高収益だが高回転型ではなく、リスクを抑えた金融型ビジネスの特徴が出ている数値になっている。
評価面ではPERは10.8〜13.4倍、PBRは1.8倍。営業利益率が70%台という極めて高収益企業にもかかわらず評価は抑えられており、成長株としてではなく安定収益株として扱われている水準にある。ROEが20%を超えるような資本効率型企業ではないため、プレミアム評価になりにくく、収益の安定性と配当継続性が主な評価軸になっていると読み取れる。
総合すると、利益は増加後に横ばい、利益率は高水準維持、ROE・ROAは安定、PER・PBRは中位評価という組み合わせになっている。数値だけで見る限り、株価は成長期待で上がる銘柄ではなく、利益水準が維持される前提で評価レンジが形成されるタイプの銘柄と判断できる。大きな上昇余地は限定的だが、業績が大きく崩れない限り下値も限定的になりやすい、典型的な安定収益型の投資対象といえる。
配当目的とかどうなの?
配当面を見ると予想配当利回りは26.3期3.58%、27.3期3.74%と市場平均よりやや高めの水準に位置している。いわゆる高配当株の4〜5%台には届かないが、安定配当株として選別されるレンジには入っており、配当を主目的に検討できる水準といえる。
利益との関係を見ると純利益は287億 → 320億 → 312億と大きな増減がなく横ばい圏で推移している一方、配当は85円 → 106円 → 115円予想と段階的に引き上げられている。急激な増配ではなく利益水準の積み上がりに合わせた緩やかな増配であり、業績連動型というより安定配当重視の配分方針が数値に表れている。減益でも大きく削るタイプではなく、長期的に徐々に増やす配当政策と読み取れる。
収益性は営業利益率70%台、ROE13%前後、ROA6%前後と高収益かつ安定型の金融ビジネスの特徴が出ており、大規模設備投資を必要としないためキャッシュ創出力が高い。実際に利益の伸びが緩やかでも配当を増やせるのは、このビジネス構造による余力が背景にあると考えられる。成長投資に資金を大量投入する企業ではないため、内部留保と配当のバランスが取りやすいタイプの数値になっている。
評価面ではPER10.8〜13.4倍、PBR1.8倍と過度な期待が織り込まれていない水準にあり、株価は成長期待ではなく収益の安定性と配当継続性を前提に形成されている状態に近い。したがって株価上昇によるリターンより、配当と緩やかな株価推移を前提に保有されやすい銘柄の性格を持つ。
総合すると配当利回りは突出して高くはないが、利益の安定性、増配の継続性、評価の落ち着きという組み合わせになっており、高配当狙いではなく「減配しにくい配当を長く受け取る」タイプのインカム投資向きと整理できる。株価の大幅上昇を期待する銘柄ではないが、業績が大きく崩れない限り配当と株価の安定を前提に保有されやすい中配当安定株の性格が強い。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は3,206円で、全国保証は営業利益391億から419億へ増加した後、416億予想と横ばい圏へ移行している。経常利益は415億から445億、451億予想と緩やかな増加を続けており、純利益も287億から320億、312億予想と大きな減少は見られない。
拡大成長というより、保証残高の積み上がりに伴い利益水準が安定的に推移する形になっている。住宅ローン保証というストック型ビジネスの性格上、景気敏感株のように急増減する動きではなく、徐々に水準が切り上がるか横ばいを維持する傾向が数値に表れている。
良い場合は、住宅ローン需要が安定し保証残高が継続的に積み上がり、信用コストが低位で推移するシナリオである。利益は緩やかに増加し増配も継続、評価が安定株から準成長株へ見直されPER14倍から16倍程度まで上昇する。この場合5年後の株価は4,200円から5,200円程度まで上昇する可能性がある。急騰ではなく増配と利益成長に沿った段階的な上昇になりやすい。
中間の場合は、住宅市場が横ばいで利益も横ばい圏に留まるシナリオである。ROE13%前後、PER11倍から13倍のレンジに収まり評価は大きく変化しない。この場合5年後の株価は2,900円から3,800円程度のボックス圏で推移しやすく、配当を受け取りながら保有される安定株の値動きになる。
悪い場合は、金利上昇や住宅着工減少で新規保証が減り信用コストが上昇するシナリオである。ROEが低下し評価がPER8倍から10倍へ縮小すると、5年後の株価は2,100円から2,800円程度まで下落する可能性がある。ただしビジネスモデル上急激な赤字化は起きにくく、急落というより長期的な下方レンジ移動の形になりやすい。
総合すると現在値3,206円は成長期待価格ではなく安定収益評価帯に近い水準であり、株価は大きな上昇よりレンジ推移になりやすい一方、配当と利益安定性により下値も限定されやすい。短期材料より住宅金融環境に連動してゆっくり水準を変えるタイプの値動きの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月19日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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