株価
九州フィナンシャルグループとは

株式会社九州フィナンシャルグループは2015年10月に肥後銀行と鹿児島銀行が経営統合して誕生した金融持株会社で、本社機能は熊本県熊本市、登記上の本店は鹿児島県鹿児島市に置かれている。都道府県内でトップシェアを持つ地方銀行同士の統合としては初の事例であり、九州南部を中心に強固な顧客基盤を持つ金融グループである。総資産規模では九州・山口地域において上位に位置する地銀グループの一角を占めている。
統合の背景には、地域経済の縮小や人口減少といった構造課題への対応があり、営業面でのシナジー創出やコスト効率の向上を目的としている。両行の顧客基盤やノウハウを共有することで、融資・法人営業・個人金融の各分野で相互補完を図り、収益力の強化を進めている。また財務面では、自己資本の充実や資産内容の安定性から、地方銀行の中でも健全性が高い水準にあるとされている。
事業の中核は銀行業であり、肥後銀行と鹿児島銀行を中心に預金、貸出、為替といった伝統的な金融サービスを提供している。法人向けでは地元企業への融資に加え、事業承継やM&A支援などのコンサルティング機能も強化している。個人向けでは住宅ローンや消費者ローン、資産運用商品、保険商品の販売などを展開し、地域密着型の金融サービスを提供している。
銀行業以外にも、証券、リース、カード、コンサルティングなどの関連事業をグループで展開している。証券分野では2018年に九州FG証券を設立し、熊本・鹿児島・宮崎で営業を開始しており、銀行顧客への資産運用サービスの拡充を図っている。また資金の一元管理を目的とした運用会社の検討や、金融システム開発会社の設立など、グループ全体での機能強化も進めてきた。
拠点整備としては、熊本駅近くに本社ビルであるKFGビルを建設し、グループ機能を集約したほか、福岡市にも拠点ビルを設けて広域営業体制を強化している。福岡拠点では法人営業機能の強化に加え、地域産品の販売などを通じた地域連携も行っている。
近年はデジタル化にも注力しており、スマートフォンアプリの提供や、子会社を通じたECモールの開設など非対面サービスの強化を進めている。これにより、従来の対面中心のビジネスモデルからの転換と顧客接点の拡大を図っている。
全体としては、九州南部を地盤とする地方銀行グループであり、銀行業を中核に証券やコンサルなどを組み合わせた総合金融サービスを展開している。地域密着型の安定した収益基盤を持ちながら、統合によるシナジー追求とデジタル化によって収益力と効率性の向上を進めている構造となっている。
九州フィナンシャルグループ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 経常収益(百万円) | 業務純益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.3 | 187,630 | 32,678 | 24,656 | 16,655 | 38.1 | 12 |
| 連23.3 | 214,368 | 29,965 | 35,597 | 24,668 | 57.0 | 12 |
| 連24.3 | 222,551 | 22,572 | 38,438 | 26,394 | 61.0 | 18 |
| 連25.3 | 251,292 | 26,491 | 42,991 | 30,368 | 70.2 | 21 |
| 連26.3予 | 300,000 | 36,000 | 50,500 | 35,000 | 81.1 | 27 |
| 連27.3予 | 315,000 | 38,000 | 54,500 | 38,500 | 89.2 | 27〜29 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | -1,632,540 | 252,140 | -5,203 |
| 2024 | -153,188 | 144,976 | -6,502 |
| 2025 | -392,125 | 77,677 | -8,115 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | – | 0.1% | 3.7% | – | – |
| 2024 | – | 0.1% | 3.6% | – | – |
| 2025 | – | 0.2% | 4.3% | 7.7〜15.3 | 0.74 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模の推移を見る。2024年は営業利益225億、経常利益384億、純利益263億。2025年は営業利益264億、経常利益429億、純利益303億と増益。2026年予想は営業利益360億、経常利益505億、純利益350億とさらに拡大見込みとなっており、売上にあたる経常収益も2225億→2512億→3000億と増加しているため、事業規模の拡大とともに利益も順当に伸びている構造になっている。減益年は見られず、少なくとも直近は安定的に利益成長している局面にある。
一方で収益性を見ると、営業利益率は開示上明確ではないが、銀行業のため構造的に低水準となる前提であり、ROEは3.7%→3.6%→4.3%とやや改善しているものの依然として低い水準にとどまっている。ROAも0.1%→0.1%→0.2%とほぼ横ばいから微増にとどまっており、資産規模に対する利益創出力はかなり低い状態が続いている。利益額は増えているが、資本効率という観点では大きな改善は見られていない。
EPSは61円→70円→81円と上昇しており、1株当たり利益は着実に伸びている。これに連動して配当も18円→21円→27円へと増配が続いており、利益成長に応じた株主還元は行われている形になっている。ただし、増配余地は利益水準に対して急激に拡大しているわけではなく、安定配当型に近い動きとなっている。
バリュエーションを見ると、2025年のPERは7.7倍〜15.3倍のレンジで推移しており、平均的には10倍前後の評価帯と考えられる。PBRは0.7倍と純資産を下回る水準にあり、市場はこの企業を成長株としてではなく、低収益の資産株として評価している状況が読み取れる。ROEが4%前後にとどまっていることを考えると、PBR1倍を下回る評価は収益性に対する割引として整合的な水準とも言える。
キャッシュフローを見ると、営業CFは大きくマイナスとなっているが、これは銀行特有の資金の増減によるものであり、単純な事業悪化を意味するものではない。一方で投資CFはプラスで推移しており、有価証券の売却などによる資金回収の影響が出ている可能性がある。財務CFは小幅なマイナスが続いており、配当などを通じた資金流出はあるものの、大きなレバレッジ変動は見られない。
全体としては、利益は安定して増加しており、EPSと配当もそれに連動して伸びているが、ROE・ROAといった資本効率は低水準にとどまり、収益性の改善は限定的である。その結果としてPBRは0.7倍と低位に抑えられており、成長性よりも資産価値と安定性をベースに評価されている銘柄と整理できる。利益成長はしているものの、高収益企業への転換が見えているわけではなく、評価の見直しにはROEの大幅な改善が必要になる構造となっている。
配当目的とかどうなの?
配当水準だけを見ると、連26.3・連27.3ともに約2.0%前後と中途半端な位置にある。高配当銘柄として評価される目安である3〜4%には届いておらず、インカム目的で強く選好される水準ではない。
一方で配当の推移を見ると、18円→21円→27円と増配は継続しており、利益成長に合わせて株主還元を引き上げている流れは確認できる。EPSも61円→70円→81円と増加しているため、配当性向は極端に高いわけではなく、無理な配当ではない範囲での増配となっている。つまり減配リスクは相対的に低く、安定配当寄りの性格はある。
ただしROEが4%前後と低く、資本効率が高くないため、今後も大幅な増配が続く構造かというとそこは弱い。利益は増えているものの、銀行業という性質上、収益性が大きく跳ねにくく、配当も緩やかな増配にとどまる可能性が高い。
PBRは0.7倍と低く、株価が資産価値に対して割安な水準にあるため、将来的に評価が見直されればキャピタルゲインと配当の両取りは狙える構造ではある。ただしその前提はROE改善などの条件付きであり、現状のままでは「低PBR+低利回り」のまま長期停滞する可能性もある。
まとめると、この銘柄は高配当目的で積極的に持つタイプではなく、あくまで安定配当を受け取りながら、低PBRの見直しを待つ中間的なポジションの銘柄。配当狙いだけで選ぶには利回りが物足りず、キャピタルも含めたトータルリターン前提で考える必要がある水準になっている。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は1,318円で、九州フィナンシャルグループは経常収益が2225億円から2512億円、3000億円予想へと拡大しており、事業規模は安定的に拡大している。一方で営業利益は225億円から264億円、360億円予想、経常利益は384億円から429億円、505億円予想、純利益は263億円から303億円、350億円予想と増益が続いており、利益水準自体は着実に伸びている。ただし銀行業の特性上、急成長ではなく緩やかな拡大型の推移であり、景気や金利環境に応じて変動する性格が強い。
良い場合は、金利上昇によって利ざやが改善し、貸出収益が拡大することで利益が想定以上に伸びるシナリオである。経常利益は500億円台から600億円規模へ拡大し、ROEが6%から8%程度まで改善する。この場合、PBRは0.7倍から1.0倍前後まで見直され、評価修正が株価上昇の中心となる。5年後の株価は1,800円から2,400円程度まで上昇する可能性があり、配当も増配を伴いながら緩やかな上昇トレンドに近い値動きとなる。
中間の場合は、利益が計画通り緩やかに増加するものの、ROEは4%から5%程度にとどまり、収益性の大きな改善は見られないシナリオである。評価はPBR0.6倍から0.8倍の範囲に収まり、現在と大きく変わらない水準で推移する。この場合、5年後の株価は1,100円から1,500円程度のレンジで上下しやすく、配当利回り2%前後が意識されるボックス相場になりやすい。
悪い場合は、地域経済の停滞や貸出伸び悩み、信用コストの増加によって利益が伸び悩むシナリオである。ROEは3%台に低下し、低収益体質がより強く意識される。この場合PBRは0.5倍から0.6倍まで低下し、評価が一段とディスカウントされる。5年後の株価は800円から1,100円程度まで下落する可能性があり、緩やかな下落基調となりやすい。
総合すると現在値1,318円は成長期待を強く織り込んだ価格ではなく、資産価値に対して割安寄りの水準にある。上昇余地は金利上昇やROE改善による評価修正に依存し、大きな成長ストーリーがない限りはレンジ推移になりやすい。一方でPBR0.7倍という水準と安定した利益、配当の存在により下値も一定程度限定されやすい。株価は短期材料よりも金利環境と収益性の変化に反応しやすく、長期では緩やかに水準を変えながら推移するタイプの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月20日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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