株価
ゆうちょ銀行とは

株式会社ゆうちょ銀行は、日本郵政グループに属する普通銀行で、東京都千代田区丸の内に本店(窓口・登記上)、大手町に本社機能を置く。郵政民営化の準備として2006年に準備会社が設立され、2007年に現在の「ゆうちょ銀行」として営業を開始した。旧日本郵政公社の郵便貯金事業を引き継いでおり、全国に張り巡らされた郵便局ネットワークを背景に、個人の小口資金を中心に国内最大級の預貯金残高を持つ銀行として位置づけられている。
最大の特徴は「販売・窓口の強さ」と「ビジネスモデルの違い」である。全国約2万4,000局規模の郵便局での窓口業務は日本郵便に委託しており、多くの郵便局が銀行代理業務としてゆうちょの貯金・送金・各種金融商品の取り扱いを担う。
これにより、都市部だけでなく地方も含めて全国47都道府県に実質的な拠点網を持ち、個人が日常的に使う入出金・送金・決済のインフラとして強い存在感がある。ATM網も非常に大きく、広域ネットワークが「どこでも使える」利便性を支えている。
事業内容は大きく、預金(貯金)業務、決済・送金(為替)業務、資産運用、金融商品の販売、そして一部の貸付・媒介業務で構成される。一般的なメガバンクのように企業向け貸出で稼ぐ比率が高い銀行とは異なり、集めた預貯金を主に有価証券で運用して収益を得る「資産運用型」の色合いが強い。
歴史的には日本国債中心の運用が特徴だったが、近年は運用の多様化が進み、外国証券なども含めてポートフォリオを広げている。収益は金利や市場環境(債券価格、為替など)の影響を受けやすく、運用環境の変化が業績に反映されやすい構造になっている。
個人向けサービスとしては、通常貯金・定期性貯金、振込や口座振替などの決済、インターネットバンキング(ゆうちょダイレクト)などを提供する。加えて投資信託などの販売も行うが、これも「郵便局チャネル」を活用して広い顧客層にリーチできる点が特徴となっている。デジタル面では、ネット取引や無通帳型サービスなども整備し、対面依存を補う形で利便性と効率化を進めている。
ゆうちょ銀行を語る上で重要なのが、民間銀行にはない制度・規制の存在である。代表的なのが貯金の上限規制(預入限度額)で、個人の預入額に上限が設けられている。また日本郵政による持株比率に応じて、新規業務に対して認可が必要になるなど、郵政民営化法に基づく「上乗せ規制」により業務範囲が制限される局面がある。持株比率が下がると認可制から届出制へと緩和される仕組みがあり、資本政策(株式売却・自社株買いなど)とも結びついて、将来の事業拡張余地に影響する構造になっている。
まとめると、ゆうちょ銀行は、国内最大級の預貯金残高と全国郵便局ネットワークを基盤に、個人の小口資金を広く集め、主に有価証券運用と決済・送金インフラで収益機会を作る銀行である。営業・窓口を郵便局に委託する独自の販売モデル、国債中心からの運用多様化、そして貯金上限や新規業務に関する規制といった「制度面の特徴」が、一般的な商業銀行とは違う事業構造を形作っている。
ゆうちょ銀行 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 経常収益(百万円) | 業務純益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 1,946,728 | – | 394,221 | 280,130 | 74.7 | 50 |
| 連22.3 | 1,977,640 | – | 490,891 | 355,070 | 94.7 | 50 |
| 連23.3 | 2,064,251 | – | 455,566 | 325,070 | 86.8 | 50 |
| 連24.3 | 2,651,706 | – | 496,059 | 356,133 | 98.4 | 51 |
| 連25.3 | 2,522,052 | – | 584,533 | 414,324 | 114.6 | 58 |
| 連26.3予 | 2,780,000 | – | 705,000 | 487,000 | 136.2 | 66〜69 |
| 連27.3予 | 2,900,000 | – | 800,000 | 553,000 | 154.7 | 77〜78 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | -4,495,827 | 6,337,474 | -286,036 |
| 2024 | 81,041 | -10,278,226 | -236,642 |
| 2025 | 4,597,293 | 2,525,403 | -208,086 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | – | 3.3% | 0.1% | – | – |
| 2024 | – | 3.6% | 0.1% | – | – |
| 2025 | – | 4.5% | 0.1% | 10.8〜15.5 | 1.16 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模の推移を見る。2024年は経常利益4960億、純利益3561億。2025年は経常利益5845億、純利益4143億と増益。2026年予想は経常利益7050億、純利益4870億とさらに拡大見込みとなっており、利益は安定的に増加している。経常収益も2兆6517億→2兆5220億→2兆7800億予想と、やや上下はあるものの高水準を維持しており、巨大な事業規模の中で利益が積み上がっている構造になっている。
一方で収益性を見ると、営業利益率は算出不可だが、ROEは3.3%→3.6%→4.5%と緩やかに改善しているものの依然として低水準にとどまっている。ROAも0.1%で横ばいとなっており、資産規模に対する利益効率は非常に低い状態が続いている。利益額は大きいが、資本効率という観点では改善幅は限定的である。
バリュエーションを見ると、PERは10.8倍〜15.5倍のレンジで、中心は12〜13倍程度の水準と考えられる。PBRは1.1倍と純資産をやや上回る水準にあり、銀行としてはやや評価されている状態にある。ROEが4%台であることを考えると、PBR1倍を超えている点は資産株の中ではやや高めの評価とも言える。
純利益は3561億→4143億→4870億予想と増加しているが、ROEは4.5%と依然として高収益企業の水準には届いていない。そのため評価は大きく切り上がる構造ではなく、一定の評価帯の中で推移しやすい。
総合すると、利益は着実に増加しており規模は非常に大きいが、ROE4.5%、ROA0.1%と資本効率は低い。PBR1.1倍という評価は低収益ながらも安定性を評価された水準であり、大幅な割安とも割高とも言いにくい位置にある。利益成長は続いているものの、評価の上昇余地は資本効率の改善に依存する構造となっており、現状は安定大型の低収益銘柄と整理できる。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは連26.3で2.16%、連27.3で2.52%とやや上昇しているが、水準としては中程度にとどまる。高配当株と呼べる3〜4%台には届いておらず、インカムゲインを主目的にする銘柄としてはやや物足りない位置にある。
一方で、純利益は3561億→4143億→4870億予想と拡大しており、利益規模そのものは着実に増えているため、配当の裏付けとなる原資は増加している構造になっている。実際に1株配当も51円→58円→66〜69円と増配傾向が続いており、減配リスクは比較的低く、安定的に配当を受け取れる性格が強い。
ただし収益性の観点ではROEは3.3%→3.6%→4.5%と改善しているものの依然として低水準であり、資本効率が高い企業と比較すると株主還元を大きく引き上げる余力は限定的である。ROAも0.1%台と非常に低く、資産規模の大きさに対して利益効率は高いとは言えない。このため配当はあくまで業績連動で緩やかに増えていくタイプであり、急激な増配や高配当化は起きにくい構造といえる。
また、PBRは1.1倍台と資産価値近辺で評価されており、ROE4%台という収益性を踏まえると妥当なレンジに収まっている。PERも10〜15倍レンジで推移しており、極端な割安感や割高感は出にくい。そのため、配当利回りだけでなく株価上昇によるトータルリターンを狙うというよりも、安定した利益と配当を前提に保有されやすい銘柄の性格が強い。
総合すると、利回りは中程度、増配は緩やか、安定性は高いという特徴になっている。高配当を狙う銘柄ではなく、減配リスクの低さと安定した配当を評価するタイプであり、配当目的で保有する場合は「大きく稼ぐ銘柄」ではなく「ブレが少ない安定配当銘柄」としての位置付けになる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は3,054円で、ゆうちょ銀行は経常利益4960億円から5845億円、7050億円予想へと増益が続いており、利益規模は拡大傾向にある。一方で銀行特有の構造上、売上にあたる経常収益は金利環境や運用構成によって変動しやすく、安定的な右肩上がりというよりは外部環境に左右される推移になっている。
収益性を見ると、ROEは3.3%から3.6%、4.5%へと改善しているが依然として低水準にとどまる。ROAも0.1%前後でほぼ横ばいであり、巨額の資産を抱える構造に対して利益効率は低い状態が続いている。営業利益率は算出不可だが、国債中心の運用からの転換途上にあり、高収益体質とは言いにくい。利益額は大きいが資本効率は低いという特徴が明確に出ている。
良い場合は、金利上昇によって運用益が拡大し、利益が想定以上に伸びるシナリオである。純利益は5000億円台後半から6000億円規模まで拡大し、ROEも6%前後まで改善する。この場合、PBRは1.2倍から1.4倍程度まで見直され、評価修正中心の上昇となり5年後の株価は3,800円から5,000円程度まで上昇する可能性がある。急騰ではなく金利環境の改善に合わせて徐々に切り上がる推移になりやすい。
中間の場合は、利益は増加するもののROEは4%前後にとどまり、評価も大きくは変わらないシナリオである。PBRは0.9倍から1.1倍のレンジに収まり、この場合5年後の株価は2,800円から3,600円程度でのレンジ推移となりやすい。配当利回りを意識したボックス相場になりやすく、値幅は限定的になりやすい。
悪い場合は、金利低下や運用環境の悪化により利益が減少し、ROEが3%台へ低下するシナリオである。評価がPBR0.7倍から0.9倍まで低下すると、5年後の株価は2,200円から2,800円程度まで下落する可能性がある。赤字リスクは低いが、低収益構造により評価が縮小する形の下落になりやすい。
総合すると現在値3,054円は成長期待を織り込んだ水準ではなく、資産価値と安定収益を前提とした評価帯にある。上昇余地は金利上昇によるROE改善に依存し、大幅な上昇よりは緩やかな評価修正にとどまりやすい。一方で資産規模の大きさと配当によって下値も一定程度支えられる構造にあり、株価は短期材料より金利環境と収益構造の変化に連動して上下する、レンジ型の値動きになりやすい銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月20日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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