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コーアツ工業とは

株式会社コーアツ工業は、鹿児島県鹿児島市伊敷五丁目17番5号に本社を置く建設会社です。1959年11月10日に設立され、資本金は約13億1900万円。東京証券取引所スタンダード市場および福岡証券取引所に上場しています。事業年度は毎年10月1日から翌年9月30日までで、単元株数は100株です。
事業内容は、主にプレストレストコンクリート(PC)を用いた土木・建築工事の設計・施工・監理です。具体的には、橋梁工事、杭打ち工事、地盤改良工事、補修・補強工事、コンクリート構造物の建設などを手掛けています。これらの工事においては、高い技術力と長年の実績を持ち、公共インフラ整備や地域開発に貢献しているのが特徴です。
また、建設事業以外にも、コンクリート二次製品(PC構造製品など)の製造・販売を行っており、橋梁や道路、トンネルなどの構造部材を自社で生産しています。加えて、再生可能エネルギーを活用した売電事業や、不動産事業なども展開しており、事業の多角化を進めています。
売上構成の大部分は建設事業が占めていますが、製品販売や売電、不動産事業なども安定的に収益を支える柱となっています。コーアツ工業は、南九州を中心に全国的に事業を展開しており、地域に密着しながら高品質なインフラ整備を提供する総合建設企業です。
直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年9月期 | 9,844 | 379 | 397 | 227 | 100.1 | 25 |
| 2024年9月期 | 12,061 | 530 | 552 | 593 | 260.8 | 35(特別) |
| 2025年9月期(予想) | 13,700 | 950 | 970 | 600 | 263.8 | 0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022年9月期 | -523 | -572 | 20 |
| 2023年9月期 | 1,362 | -400 | -820 |
| 2024年9月期 | 501 | -182 | -218 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年9月期 | 8.6% | 6.9% | 4.4% | ― | ― |
| 2023年9月期 | 3.8% | 2.7% | 1.9% | ― | ― |
| 2024年9月期 | 4.3% | 6.6% | 3.9% | 高値平均:16.5倍 安値平均:7.0倍 |
0.44倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
コーアツ工業は、プレストレストコンクリート(PC)技術を活用した建設事業を中心に展開しており、近年は売上・利益ともに回復基調にあります。営業利益は2022年に3億79百万円、2023年に5億30百万円、2024年には9億50百万円(予想)と着実に増加しており、利益体質が強化されつつあります。純利益も2023年の2億27百万円から2024年に5億93百万円へと大きく伸び、業績の底堅さが確認できます。
営業利益率は2022年8.6%、2023年3.8%、2024年4.3%と推移しており、一時的に低下したものの再び回復傾向にあります。ROEも2.7%から6.6%へと改善しており、経営の効率性が上がっています。ROAも1.9%から3.9%に上昇しており、資産の使い方がより効果的になっていることがわかります。
指標面では、PER(株価収益率)が高値平均16.5倍、安値平均7倍と、業績に比べてやや割安水準にあります。PBR(株価純資産倍率)は0.44倍と非常に低く、株価が資産価値を大きく下回っており、明らかな割安圏にあるといえます。
総合的に見ると、コーアツ工業は派手な成長株ではありませんが、安定した業績と堅実な財務体質を持つ「バリュー株」としての魅力があります。利益率が緩やかに改善しており、今後もインフラ需要や公共投資の継続が追い風になると考えられます。PBR0.5倍以下という低水準は、企業価値の再評価余地が大きいことを示しており、中長期的な視点で見れば下値リスクの小さい堅実な投資先といえます。
結論として、コーアツ工業は「堅実なインフラ関連バリュー株」であり、安定成長と資産割安性を重視する中長期投資家に向いた銘柄です。
配当目的とかどうなの?
コーアツ工業は、配当目的としては「安定配当型の中堅建設株」に分類できる銘柄です。
まず、配当の実績をみると、2023年9月期に25円、2024年9月期には35円(特別配当を含む)と増配しており、利益の回復に合わせて株主還元を強化していることが分かります。ただし、2025年9月期の会社予想では配当が「0円」となっており、これは業績悪化によるものではなく、一時的な特別配当後の調整とみられる可能性が高いです。
財務的にはキャッシュフローも安定しており、営業キャッシュフローは2022年のマイナスから2023年に1,362百万円、2024年にも501百万円としっかり黒字を確保しています。これは、今後も安定的な配当余力を持っていることを意味します。
また、PBRが0.44倍と非常に低く、企業価値に比べて株価が大幅に割安なため、利回り面での妙味も高いです。2024年の配当35円を基準にした場合、株価が仮に800円前後だったとすると、配当利回りは4%を超えており、建設業界の中では比較的高い部類に入ります。
ただし注意点として、コーアツ工業は公共工事の比率が高く、業績が景気や受注環境に左右されやすい傾向があります。そのため、配当は安定傾向にあるものの、業績次第では減配や一時的な無配の可能性もゼロではありません。
総合的に見れば、コーアツ工業は「高リスク・高利回り」ではなく、「低リスク・中利回り」の堅実な配当銘柄」です。
安定配当を長期で受け取りたい投資家、あるいはPBR0.5倍以下という資産割安性を重視する投資家にとっては、十分検討に値する銘柄といえます。
今後の値動き予想!!(5年間)
コーアツ工業(現在値1,828円)は、ここ数年で業績が回復基調にあり、売上や利益が増加傾向にあります。営業利益率は2022年に8.6%、2023年に3.8%と一度下がったものの、2024年には4.3%まで改善しています。ROEも2.7%から6.6%に上昇しており、経営効率が上がっている点はプラス評価です。PBRが0.44倍と非常に低く、資産面から見ても株価は依然として割安な水準にあります。
良い場合のシナリオでは、公共工事の需要が拡大し、利益率が6%以上に改善するケースです。業績が順調に伸び、PERが18倍程度まで評価されれば、株価は2,600円から3,200円程度まで上昇する可能性があります。現在値から見ると約40〜70%の上昇が見込まれ、増配や特別配当が再開すれば、さらに株主還元への期待も高まります。
中間の場合は、業績が堅調に推移しながらも成長が緩やかにとどまるケースです。営業利益率は4%前後を維持し、ROEは5〜7%程度。市場の評価も安定し、PERが12〜15倍で推移すれば、株価は1,950円から2,200円程度に落ち着くと考えられます。現在値から10〜20%ほどの上昇が期待でき、安定配当を受け取りながら保有するのに適した展開です。
悪い場合は、資材価格の上昇や公共投資の減少などによって利益が圧迫されるケースです。営業利益率が2〜3%台に低下し、ROEも下がると、市場評価は慎重になりPERが8〜9倍程度まで下がる可能性があります。この場合、株価は1,400円から1,550円程度まで下落する恐れがあります。ただし、PBRが低いことから下値は比較的堅いと考えられます。
総合的に見ると、コーアツ工業は業績が堅調に改善しており、財務体質も安定しています。急成長を狙うタイプではありませんが、現状の株価水準は依然として割安であり、中長期的に見れば安定した配当と緩やかな株価上昇を期待できる銘柄です。
この記事の最終更新日:2025年10月28日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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