株価

Will Smartとは

株式会社Will Smartは、東京都江東区富岡に本社を構えるITソリューション企業で、2012年12月に設立されました。
比較的新しい企業ながら、AI・IoT・クラウドなどの先端技術を活用し、モビリティや公共交通、物流、商業施設など幅広い分野にソリューションを提供しています。
上場市場は東京証券取引所グロース市場で、決算期は12月です。

主な事業内容は、モビリティシステムサービス、AI・データサイエンスサービス、情報配信（デジタルサイネージ）サービス、およびクラウド導入支援サービスなどです。

まずモビリティシステムサービスでは、バスや鉄道など公共交通機関の運行管理・運行情報配信システムの開発、ダイヤ作成や運行データの可視化、混雑状況の分析などを行っています。これにより、交通事業者の効率化や利用者の利便性向上に貢献しています。

AI・データサイエンス分野では、交通データや人流データ、販売データなどを解析し、企業や自治体が抱える課題の解決を支援しています。データ分析をもとにした需要予測や、AIを活用した運行最適化、設備保全などのソリューションも展開しています。

また、商業施設や公共施設など向けのデジタルサイネージ（電子看板）事業も展開しており、施設内の案内情報や広告をリアルタイムで配信できる仕組みを提供。観光地や自治体の案内板、企業の受付・オフィス内情報表示などでも利用されています。

さらに、クラウド導入支援事業では、企業・自治体の業務システムをクラウド化する支援を行い、セキュリティ対策やコスト削減、業務効率化を実現しています。

このように、Will Smartは単なるシステム開発会社ではなく、「データ×AI×交通×社会インフラ」をキーワードに、スマートシティやデジタル社会の実現を目指す次世代型のテクノロジー企業です。
今後は、公共交通・物流・不動産・地方自治体など多様な分野において、データを活用した新しい価値創造をさらに進めていくと見られています。

直近の業績・指標

出典元：四季報オンライン

キャッシュフロー

出典元：四季報オンライン

バリュエーション

出典元：四季報オンライン

投資判断

株式会社Will Smartは、AIやIoT、クラウドを活用してモビリティシステムやデジタルサイネージなどを開発している新興企業です。

業績の推移を見ると、2022年から2024年にかけて売上が減少し、営業利益や純利益も赤字と黒字を繰り返す不安定な状況が続いています。
2022年3月期は営業損失21百万円、2023年3月期は赤字が拡大して179百万円の営業損失、2024年3月期には黒字化して営業利益36百万円となりましたが、2024年12月期（変則期）には再び227百万円の赤字に転落しました。

営業利益率は -2.0％ → -22.1％ → 3.3％ → -44.4％ と大きく上下しており、事業構造がまだ安定していません。
ROEも2024年3月期には8.6％まで改善したものの、同年12月期には -54.6％と再び大幅なマイナスとなりました。
ROAも同様に 3.4％から -34.0％へと急落しています。

PBRは2024年3月期で約5.06倍と非常に高く、利益が安定していない状態で株価だけが先行している印象です。
PERは赤字のため算出できず、現在の株価は企業の実力に対して割高水準にあると考えられます。

Will Smartは成長テーマとしては非常に魅力的な分野（AI、モビリティ、DX支援）に属していますが、現時点では黒字化が一時的であり、収益基盤が確立されていません。
営業キャッシュフローも赤字が続いており、事業拡大のための投資負担も重くなっています。

総合的に見ると、今は「将来性は高いがリスクも大きい段階」です。
安定した黒字が続き、利益率が回復してから投資を検討するのが安全です。
短期的な値上がりを狙うよりも、業績が定着してから成長株として中長期で狙うのが現実的だと思われます。

配当目的とかどうなの？

株式会社Will Smartは、配当目的の投資先としては適していません。

理由は明確で、過去数年間の実績を見る限り、配当が一度も出ていない（無配） 状況が続いているためです。
2022年3月期から2024年12月期まで、いずれの決算でも一株当たり配当は0円で、
会社としても利益の内部留保や成長投資を優先しており、株主還元よりも事業拡大を重視しています。

また、業績はまだ安定しておらず、営業利益や純利益が赤字と黒字を繰り返しています。
2024年12月期も大きな赤字（純損失約2.2億円）で終わっており、利益配分できる余裕がない状態です。
さらに、PBRが約5倍と高く、株価が割高な水準にあることからも、配当利回り目的の投資としては魅力がありません。

今後、黒字化が安定して営業キャッシュフローがプラスに転じれば、将来的に配当を検討する可能性はありますが、
現段階では**「無配の成長期待型銘柄」**であり、配当収入を目的に保有する株ではないと判断できます。

要するに、Will Smartは現時点では
「利益還元よりも成長投資を優先するフェーズの企業」であり、
配当を狙う投資家には不向きです。

今後の値動き予想！！(5年間)

株式会社Will Smartの現在値は1,003円です。
この水準をもとに、今後5年間の株価の動きを「良い場合」「悪い場合」「中間」の3つのシナリオで予想します。

良い場合（強気シナリオ）
AI・IoT・クラウドなどのモビリティ分野で受注が拡大し、黒字化が定着します。
営業利益率が5％程度まで改善し、ROEもプラス圏を維持できれば市場の評価が高まります。
PERやPBRが適正化され、企業の成長性が株価に反映されることで、5年後には2,200円から2,600円程度まで上昇する可能性があります。
上場企業としての信頼性が高まり、事業提携や新規案件の増加があればさらに上振れも考えられます。

中間の場合（横ばいシナリオ）
黒字化は維持されるものの、営業利益率が1〜2％前後と低水準で推移します。
AIやDX関連分野での需要はあるものの、競争が激しく、利益成長が限定的な状態です。
この場合、株価は大きく動かず、900円から1,200円程度のレンジで推移する可能性が高いです。
配当がない状態が続くため、投資家の注目度もやや低めで、出来高も安定しない展開が想定されます。

悪い場合（弱気シナリオ）
業績が再び赤字に転落し、営業キャッシュフローもマイナスが続くケースです。
競合との価格競争や開発コストの増加、案件の延期などが重なると、資金繰りが悪化します。
市場の信頼を失うと、PBRも切り下げられ、株価は600円から800円程度まで下落するリスクがあります。
もし増資や債務負担が発生すれば、さらに株価は下振れる可能性もあります。

まとめ
現在のWill Smartは、黒字と赤字を繰り返しており、業績の安定性が課題です。
ただし、AI・モビリティ・DXといった成長分野に位置しており、長期的なテーマ性は高いです。
短期では値動きが激しく、安定配当もないため、成長性を信じて中長期的に保有するタイプの銘柄といえます。

この記事の最終更新日：2025年10月28日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。