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データがありません。日本乾溜工業とは

日本乾溜工業株式会社は、福岡県福岡市東区馬出1丁目11番11号に本社を置く建設業の企業です。1939年(昭和14年)に設立され、資本金は約4億1,367万円です。代表取締役社長は兼田智仁氏で、従業員数は連結で約292名(2024年9月期時点)となっています。平均年齢は約46歳、平均勤続年数は14年ほどです。上場市場は福岡証券取引所で、1996年4月に上場しました。
もともとは電極用ピッチコークスの製造・販売を目的に設立された会社で、戦後は鋳物砂添加剤や不溶性硫黄など化学品の製造販売を行っていました。1960年代からはガードレールや防護柵などの交通安全施設資材を扱い始め、法面工事や景観工事などの建設分野にも進出しました。その後、子会社の統合や事業再編を経て、現在は「建設事業」と「防災安全事業」の2本柱を中心とした経営体制をとっています。
建設事業では、公共・民間の幅広い分野で工事を請け負っており、交通安全施設工事(防護柵、標識、路面標示など)や法面工事、景観工事、環境メンテナンス工事などを行っています。関連する資材の販売も手掛けており、道路やインフラの安全性・景観向上に貢献しています。また、ドローンやICT技術を活用した法面工事や点検など、新しい施工方法の導入にも積極的です。
防災安全事業では、災害時に必要となる非常用食料品や避難生活用品、防災資機材、産業安全衛生用品などを企業や自治体向けに販売しています。さらに、自然素材を活かした環境配慮型の防草舗装材「かぐやロード」の製造・販売も行っており、竹林の有効活用やヒートアイランド現象の抑制など、環境保全にも取り組んでいます。
グループ会社としては、佐賀安全産業株式会社、株式会社旭友、株式会社大邦興産、株式会社ニチボーなどがあり、建設資材や安全用品の販売などを通じて、地域に密着した事業展開を行っています。
経営理念として「環境にやさしく安全な社会の創造に向けてあくなき挑戦を続ける」を掲げており、地域社会の安全と環境保全の両立を目指しています。地域に根ざした施工・販売ネットワークを強みとし、九州を中心に全国へ展開しています。
直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 当期純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
| 2022年9月期 | 16,839 | 926 | 989 | 323 | 61.0 | 14 |
| 2023年9月期 | 16,894 | 943 | 1,002 | 743 | 146.3 | 17 |
| 2024年9月期 | 17,545 | 873 | 928 | 688 | 134.9 | 19 |
| 2025年9月期(予想) | 17,400 | 600 | 660 | 450 | 90.8 | 19 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) |
| 2022年9月期 | 1,275 | -84 | 4,755 |
| 2023年9月期 | 410 | 289 | 5,203 |
| 2024年9月期 | 1,469 | 35 | 6,430 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
| 2022年9月期 | 5.4% | 4.0% | 2.4% | ― | ― |
| 2023年9月期 | 5.5% | 8.6% | 5.5% | ― | ― |
| 2024年9月期 | 4.9% | 7.5% | 4.9% | 実績PER:高値平均 8.1倍/安値平均 5.7倍 | 実績PBR:0.54倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
日本乾溜工業は、売上高が2022年の約168億円から2024年には約175億円へと微増傾向を維持しています。建設業の中では景気変動に左右されにくく、公共工事や防災関連の需要を背景に、安定した売上を確保しています。
営業利益は2022年が9.2億円、2023年が9.4億円、2024年が8.7億円とほぼ横ばいですが、営業利益率は5%前後で推移しています。建設業としては平均的な水準で、特筆すべき高収益ではないものの、利益が大きく落ち込むこともなく堅実な経営が続いています。
純利益も2022年3.2億円 → 2023年7.4億円 → 2024年6.8億円と安定しており、ROEは7.5%、ROAは4.9%とやや控えめですが、自己資本比率が高いため財務基盤は健全です。借入依存度も低く、キャッシュフローも営業CFがプラスを維持しており、経営の安定性は高いです。
バリュエーション面では、2024年度の実績PERが高値平均8.1倍・安値平均5.7倍、PBRが0.54倍とかなりの割安水準に位置しています。特にPBRが0.5倍台というのは、企業の純資産価値よりも低く評価されていることを意味しており、株価的には“放置されている優良銘柄”とも言えます。
配当目的とかどうなの?
日本乾溜工業は、配当目的の中長期保有には向いている銘柄です。
この会社は業績が大きくブレるタイプではなく、安定した収益と堅実な財務を背景に、ここ数年で着実に配当を増やしてきました。
実際に、2022年は1株あたり14円、2023年は17円、2024年は19円と3年連続で増配しています。2025年も19円を据え置く予想で、減配の可能性は低いと見られます。建設業の中でも、防災工事や交通安全施設など、公共性の高い仕事が多いため、景気の影響を受けにくい点も安心材料です。
また、株価の指標を見ても割安です。2024年の実績PERは5.7~8.1倍、PBRは0.54倍と低水準で、株価が純資産価値よりも安く評価されています。こうした割安株で年間配当が19円あることを考えると、配当利回りはおおよそ2.8~3%前後になり、預金金利よりもはるかに高い利回りが期待できます。
キャッシュフローも安定していて、営業キャッシュフローが毎年プラスを維持しているため、今後も安定した配当を続けられる可能性が高いです。自己資本比率も高く、借入金への依存度が低い点からも、財務面の安全性は十分です。
総合的に見ると、日本乾溜工業は「高配当株」とまでは言えませんが、安定して配当を受け取りたい人には適した銘柄です。業績の安定、増配傾向、財務健全性の3つがそろっており、長期的に持っていて安心感のある株といえます。
短期での値上がり益を狙うタイプではなく、「毎年安定した配当をもらいながらじっくり保有する」タイプの投資家に向いています。
今後の値動き予想!!(5年間)
日本乾溜工業(証券コード1771)の現在株価は930円前後です。
この株価水準と直近の業績、指標(PER5.7~8.1倍・PBR0.54倍・ROE7.5%)を踏まえると、5年間の値動きは次のように考えられます。
【良い場合】
公共工事や防災関連の需要が引き続き拡大し、営業利益率が改善してROEも上昇すれば、株価は見直し買いが進む可能性があります。
PERが10倍前後まで評価されると仮定すると、株価は1,300~1,500円程度まで上昇する可能性があります。
また、配当を維持または増配すれば、安定株としての人気も高まり、中長期的には1,600円台まで回復する展開も考えられます。
【中間の場合】
業績が現状水準で安定的に推移するものの、大きな成長要因が見えない場合、株価は概ね900~1,100円のレンジで推移する可能性が高いです。
配当利回りが2.5~3%台で保たれ、PBR0.5倍付近が下値の目安となるため、大きな下落リスクは小さいと考えられます。
長期的には配当を受け取りながら、株価の緩やかな上昇を待つ形になります。
【悪い場合】
公共投資の縮小や建設コストの上昇、原材料価格の高騰などで利益率が低下した場合、業績悪化によりPER評価がさらに低下する可能性があります。
この場合、株価は700~800円台まで調整するリスクがあります。
ただし財務体質は強固なため、極端な下落は限定的とみられます。
総合的に見ると、日本乾溜工業は**「上値は重いが下値も堅い安定株」**であり、5年間の想定レンジはおおむね 700円~1,500円程度。
成長よりも安定を重視した中長期保有に向いた銘柄です。
この記事の最終更新日:2025年10月29日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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